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第四章
驚嘆風化 3
しおりを挟む「……それで、これからどうするの?
また私一人で聞き込みに行く?」
「あ? ああ、まあ……」
そういえば、前回こいつに聞き込みしてもらって、俺の役目はほぼないまま解決したんだった。
それはそれで楽でいいのだが……。
そこでふとある疑問が浮かぶ。
そもそも、こいつは何の為にこの花の怪事件に携わっているのだろうか?
俺の様に、何か欲しい情報でもあるのか、それとも金目当てか……。
そんな事を考えていると、アイリスがこちらをジッと見ていた。
「……んだよ。何見てんだよ?」
「いや、こっちを凄い見てくるから、何だろうと思って見てただけだよ」
そう言われて俺はすぐ様首ごとアイリスから目を背ける。
「それで? 結局リトはどうするの?」
「あー、面倒くせぇし……」
今回もパス、と言いかけた所で、まだ鍵をかけてなかったドアがバタン! と開けられる。
そこには帰ったはずのおっさんがにやにやとした表情で立っていた。
「おいおいリトく~ん? まさかアイリスちゃんにのみ調査を任せて自分は報酬だけ貰うだなんてそんな卑怯な事しようとは思ってないよな~?」
「なっ!? 帰ったんじゃねーのかよ!?」
「帰ろうと思ったんだけど、ちょっと忠告しに戻ったんだよ。
前回は大目に見たけど、二人で解決しないと報酬はなしになるから気をつけてな?」
「それを言いに戻ってきたのかよ……」
というか、前回のバレてるのかよ……。
こうして、おっさんの忠告の元、俺はアイリスと二人で聞き込みに行く羽目になったのだった。
◇
「はーい、どなたかしら?」
取り敢えずあの後俺とアイリスはおっさんの言う通り被害者の家に聞き込みに行く事にした。
まずは被害に遭った順番で話を聞こうという事になり、最初の被害者の家へとやって来たのだが……。
「すみません、十月二日に娘さんが行方不明になった件で聞きたい事がありまして」
アイリスの言葉に女性は如何にも嫌そうな顔をする。
「……娘が見つかったの?」
「あ、いえ、探す為に聞きたい事があったので」「もう警察にも全部事情は話したわ!
それ以上の情報なんてない!
冷やかしなら帰ってちょうだい!」
アイリスの言葉の途中で女性は不機嫌そうにそう言い放ちドアをバンッと閉めた。
その様子に、流石に俺もアイリスも一瞬固まる。
「……私の聞き方、駄目だったかな?」
「いや、まあ分かんねーけど、子供が居なくなってヒスってるだけじゃねーの?」
正直、子供の居なくなった母親の気持ちなんてよく分からないが、まあ普通で居られない気持ちの方が強いのだろう。
……俺の親の様に子供を平気で捨てる様な親じゃなければ。
「そっか。じゃあ中々聞き込みは難しいのかもね」
「まあ今回六件も被害者が居るんだし、全員が話出来ない状態って訳でもないだろ」
こうして、気を取り直して行った二軒目へ来てみたものの。
「あなた達は一体何者なの?」
「えーと、警察とは別に頼まれて今回の事件を調査してるのですけど」
「生憎、警察ですらまともな調査が出来てないのに、貴方達子供に何が出来るの?
悪いけれど、探偵ごっこは他所でしてくれないかしら?」
先程の一軒目よりはまだマシだが、やはり聞き込みなど出来なかった。
まあ、そりゃあ大人でもない俺らが急に事件の調査してます~なんて言って信じる大人の方が本来少ないのはそれもそうだが。
「うーん、この調子じゃ全然話が聞けないね」
「そうだな……」
こうして三軒目も同じく断られるのでは?
もう話を聞くのは無理なんじゃ……と内心諦めていたところ。
「……うちの子を捜してくれるの?」
「はい。その手がかりが欲しいのでお話を聞きたいのですが」
「……分かったわ。正直、誰でもいいから話をしたかったの」
こうして、ようやく俺とアイリスは被害者の一人から話を聞ける事となった。
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