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第四章
驚嘆風化 4
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「立ち話も何だし、中へどうぞ」
「ありがとうございます」
「ども、失礼します」
それから俺たちは案内されるがままにリビングへと通され、お茶まで出してもらった。
「まず、君達は何を聞いても私の話を信じてくれるかしら?」
「はい」
女性の意味深な問いに、アイリスは意味が分かっているのかいないのか、即答で答える。
「……ならいいわ。
あの日、あの子が居なくなった日。
私は、あの子と手を繋いで歩いていたの……。
そしたら、突然、消えたのよ」
「……消えた?」
女性の言葉の意味が分からず、俺がそのまま訊き返すと女性は、ええ、と頷きながら答える。
「警察に言っても信じてもらえなかったけど……あの子の足に、植物の根っこの様な、茶色い何かが絡みついたと思った瞬間、本当に突然消えたの……っ!
私だって、信じられないと思った。
何かの夢だと思って、周りを見渡しても何処にも居なくて……。
でも、それをそのまま警察に言ったら、疲れてるからそんな風に見えたんでしょうって。きっと、疲れか、それとも犯人がいるのなら犯人に薬でも嗅がされて幻覚でも見えて、その間に娘が連れ攫われたのでしょうって……。
でも、私確かにこの目で見たのよ。
眠らされてなんかない!
地面から何かの根っこが生えて、娘を捕らえて娘は消えたの!」
女性はひとしきり話した後、淹れた紅茶を一杯飲む。
「……取り乱して御免なさい。
信じろと言われて信じられる話じゃない事は分かってるわ。
でも、私は確かに見たの……警察も、主人も、誰も信じてはくれないけど……」
「分かりました」
女性の言葉に、アイリスは簡単にそう返事をする。
「……私を、変だと疑わないの?」
そんなアイリスの様子を、女性は目を丸くして見やる。
「はい。植物の根っこという事は、やはり花の怪異に巻き込まれて連れ攫われたのでしょう。
情報ありがとうございます」
おい、花の怪異とか言ってもいいのか?
俺は内心呆れながらそう考えたが、向こうに座っている女性は目に涙を浮かべ口元を両手で覆っていた。
「ありがとう……ございます……。
貴女が初めてです。
私の話を、信じてくれたのは……」
女性はどうやらやっと自分の話を真剣に聞いてくれる人が現れたと感謝している様だった。
「ところで……その、花の怪異、というのは?」
それから少し女性が落ち着くと、やはり疑問に思ったであろう質問をしてくる。
「花の怪異は、人の感情をエネルギーにして宿主に住みつき、特殊な能力に変換する怪異現象です。
恐らく、今回娘さんが連れ攫われたのも、花の怪異に取り憑かれた宿主による犯行だと思われます」
「……えーと、つまり、その花に取り憑かれた人? が犯人って事?」
女性も信じられないと言いたげな表情で更に質問する。
そりゃあいきなりそんな話されて分かる訳もないだろう。
現に俺だって既に三人も取り憑かれた人を見ても、それでもまだ完全に信じきれないのだから。
「そうです。
恐らく、その犯人は花の能力で娘さんを連れ去ったのでしょう」
「そう……なの。
信じ難いけど、でも、それだと私の見た物と辻褄が合うものね。
私も、貴女の言葉を信じるわ。
だから、もし娘の事が分かったら、教えてくれるかしら?」
「はい。分かりました」
こうして、俺とアイリスはようやく花の怪異と繋がりがありそうな犯人の証言をゲット出来た。
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