【完結】お嬢様は愛されたい!〜許嫁に振り向いて貰いたいお嬢様vs実はお嬢様大好きな不器用すぎる許嫁〜

本田ゆき

文字の大きさ
7 / 18

メイさんは可愛らしいですね。

しおりを挟む
「メイさん、今日も可愛らしい笑顔に癒されます!」

「え、えぇ、どうもありがとう。」

「メイさん、何か困った事があったら何でも頼って下さい!」

私、メイ・サンチェスは困っていた。

というのも、メアリーさんからの作戦というのは、イクリスに嫉妬させようという事だったのだ。

そして、今朝から私は、メアリーさんの知り合いである男性、ジョージさんと一緒にいると言う訳である。

しかし、私には不安しかない。

そもそも、イクリスは私を何とも思ってないんじゃないだろうか…?

この作戦で、イクリスの心情が少しでも分かったらいいのだが、イクリスがもし私に全く興味がなかったらどうしよう…?

そんな嫌な考えばかりが頭の中で思い浮かぶ。

そして、こちらジョージさんは、わざとイクリスに見せつける様に私と話している。

私としては何とも居心地が悪いが、こんなことにわざわざ付き合わされているジョージさんは恐らく優しい人なのだろう。

ふと、私はイクリスと目が合った。

しかし、イクリスは直ぐに視線を逸らしてしまう。

私は内心かなりショックを受けた。

「メイさん、顔色が悪そうですが、大丈夫ですか?」

そうジョージさんに心配される。

恐らく、本当に私の顔色が悪くなったのだろう。

「え、えぇ。大丈夫です。」

私はそうジョージさんに伝える。

演技に付き合ってもらってるのに、これ以上迷惑はかけられない。

「もし調子が悪いなら、すぐに言ってくださいね?」

そう心配そうに話しかけられる。

ジョージさんは優しい人だなぁとつくづく思う。

しかし、この際でもイクリスはやはりいつも通り。

やはり私に興味なんてないのだろう…。

「…。」

そんなメイの落ち込む様子を、ジョージは本当に心配していた。

メアリーにお願いされて、渋々引き受けはしたが、内心初めて会ったメイさんは大分可愛らしい。

正直、あの堅物のイクリスが相手でなければ、きっとこんなに恋愛に苦労はしないだろうに。

俺だったら…。

いや、俺は何を考えているんだ!?

ここで本気で俺がメイさんを好きになったとして、ただ邪魔者になるだけだろうに。

しっかりしろ俺!

そうジョージは恋心を抱きそうになるがそれをすぐ様消し去る。

そして、イクリスは2人の場を離れていった。

向かった先は、アイザックの元である。

「やばい…。
メイに彼氏が出来た。」

やはりか、とアイザックは頭を抱える。

きっとイクリスは変に勘違いするんだろうなと思ったら案の定である。

「あのな、兄貴、それは本当に彼氏なのか、メイ姉さんに聞いた?」

「聞かなくったって分かる、メイが笑いながら親しげに喋ってたんだ。
とうとうこの時がやって来てしまった…。」

どうやらイクリスは大分落ち込んでいる様である。

アイザックはわざとらしくはぁ、とため息を吐いた。

しかし、これはある意味イクリスに忠告するいい機会かもしれない。

「あのな兄貴、メイ姉さんだっていつ誰を好きになるか分からないだろ?
だから、後悔しない様にアタックした方がいいこともあるんだぞ。」

今までメイ姉さんもイクリス一筋だったが、イクリスがいつまでもこの調子では、本当にいつかメイ姉さんだって見限って他の男の元へ行ったっておかしくはない。

「それとも、兄貴は何もせずともメイ姉さんが自分と結婚してくれるとでも思ったの?」

これはちょっと言い過ぎただろうか?
しかし、俺としてはメイ姉さんと兄貴には幸せになって欲しいのだ。

「し、しかし、もう俺の出る幕なんてないだろ…。」

「いつまでヘタレてんだお前は!」
俺はそう言ってイクリスの胸ぐらを掴む。

「何年も片想いしてる相手に少し男の影がチラついたくらいで諦められるものなのかよ!
お前のメイ姉さんへの気持ちはそんな程度のものなのかよ!」

「そんな訳ないだろ!」
イクリスはすぐ様胸倉を掴まれた手首を掴み返し投げ飛ばす。

「俺だってメイの事が好きだ!
大好きだ!!
尊くて愛しくて何とも言えなくなるくらいには大好きだ!
だからこそ、相手の幸せを願いたいと思うだろ!」

投げ飛ばされたアイザックはケホケホと少しむせながら、よろよろと立ち上がる。

「だから、メイ姉さんはぶっちゃけお前のことが好きなんだよ!

てか言っちゃったじゃねーかよ!
何で俺が告白してんだよ!」

それを聞いて、イクリスはぽかんとした顔をする。
何とも間抜けな感じである。

「…え?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる

ラム猫
恋愛
 王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています ※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

五年越しの再会と、揺れる恋心

柴田はつみ
恋愛
春山千尋24歳は五年前に広瀬洋介27歳に振られたと思い込み洋介から離れた。 千尋は今大手の商事会社に副社長の秘書として働いている。 ある日振られたと思い込んでいる千尋の前に洋介が社長として現れた。 だが千尋には今中田和也26歳と付き合っている。 千尋の気持ちは?

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

処理中です...