俺の彼女が魔法少女やってます

本田ゆき

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メア

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卯月はすっかりやる気に満ち溢れていた。

そういえば昔から卯月は正義感が強かったっけ。

俺がクラスで虐められそうになった時も、助けてくれたのは卯月だった。

しかし、男子3人をボコボコにやっつけた卯月には本当に頭が下がる。

今回のメアだって、俺なら戦うことすら出来ないんだろうな…

「ここら辺にメアがいるっぽいよ!」
卯月はあたりをキョロキョロ見渡し始めた。

「そうなんだ、どうして分かるんだ?」

「ルーチェが教えてくれるの、テレパシーみたいなやつで!」

「へぇー」

「あ、いた!」
そういうや否や卯月はすぐさま変身して走っていった。

「おい!また結界張り忘れてるじゃねーか!!」

「あ!そうだった!」
そう言って卯月は恐らく結界を張ったのだろう。

辺り一面が白黒になった。

「え?これが結界の中なのか?」

「うん!空間を遮断してるんだって!」

どういう仕組みなのか分からないが、まぁあまり深く考えない様にしよう。

すると、卯月に向かって真っ赤な狂暴犬の様な物が走ってきた。

「え?それがメアなのか?」

「え、蒼にも見えるの?」

結界の中にいるせいなのか、俺にもメアの姿を捉えることが出来た。

見た目はドーベルマンの様で、鋭い爪に鋭い牙。尻尾は悪魔の様、角まで生えてケロベロスの様にも見える。

そして全体的に赤い。
まるで血の様だ。

「メアって真っ赤なんだな。」

「このメアは怒りの感情を奪ったから赤くなってるの。」

そうメアと戦いながら俺に教えてくれる。

卯月のやつ、まだ余裕があるらしい。

「メアはね、奪った感情の色になるんだ。逆に奪う前は真っ黒なんだよ。」

「そうなんだ。」

そう俺に教えてくれながら、卯月はでっかいピコピコハンマーを容赦なくメアに叩きつけた。

見てるとメアが可哀想に思えて来る。

瞬く間に、メアはボンっとエフェクトがかかったかの様に消えてしまった。

「ふう、討伐完了!
これで奪われた感情は元に戻るんだ!」

「そうなんだ。」

卯月が上機嫌にじゃあ、帰ろっか。と言ってきた瞬間。

卯月に向かって別の青いメアが後ろからいきなり襲ってきた。

「卯月、危ない!」

俺は咄嗟に彼女の腕を引いて前に出る。

ヤバい!噛まれる!

そう覚悟して目をギュッと瞑った。

しかし、何も起こらなかった。

「え?」

目を開けると、メアは後退りして、後ろに振り返っていっきに逃げていった。

…なんでだ?

一瞬混乱したが、結界が解けて辺りに色が戻ると、すぐさま卯月のことを思い出し、後を振り返る。

「卯月!大丈夫か!?」

俺が強く腕を引いたせいで尻餅をついていた。

「ごめん!痛くなかったか!?」

「ううん、大丈夫。
それより、庇ってくれてありがとう。」

「卯月?」

立ち上がった彼女は、何処か悲しげな表情だった。

「まさか、メアが後ろにいたのに気づかないなんて…!
ごめんね!私が守らなきゃなのに!」

今にも泣き出しそうな卯月の頭を俺は軽く撫でる。

「卯月、確かにお前は魔法少女だけど、俺だって卯月の彼氏なんだ。俺にもお前を助けさせてくれ。」

「…うん、ありがとう。」

卯月は少し落ち込み気味だったが、俺にとってはこれは卯月に俺の株を上げるチャンスとばかりに思っていた。

「じゃあ、暗くなるしそろそろ帰ろうぜ。」

そう言って俺は手を差し伸ばす…が。

「ううん、逃げたメアを退治してくる!」

卯月はすぐさま物凄い速さで消えてしまった。

恐らく、もう追いつけない。

そう諦めた俺は、1人とぼとぼ歩いて行くのであった…。
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