4 / 88
第4話 君と約束
しおりを挟む
「東くん、何の本読んでるの?」
「え?」
放課後になり図書室で本を読んでいた静夜の元へと遥が声をかけた。
「な、なんでここに……?」
「夏休みにどうせ読書感想文とか出されるだろうから、一足先に書いちゃおうと思って本探しにきたんだ」
「まだ4月中旬だけど……?」
遥の思いもよらぬ返答に静夜は動揺する。
「まあ単純に東くんが気になったってのもあるんだけどね!」
ばちんとさながらアイドルかの様にウインクする遥を見て、静夜は一瞬で悟った。
(……あ、やっぱり。
葵さんも陽太目当てか)
教室で助けられた(?)一件からもしかしたら他の女子達とは違うのかも……と思ったが、今思えばあれも全部計算だったのだかもしれない。
そう、結局彼女も他の女子と同じなんだ。
「その、東くんってさ、あのー、東ヨウタ? って人の弟なんでしょ?
なんか大変そうだなーと思ってさ」
「……別に、葵さん程ではないよ」
「まあ私もめちゃくちゃ大変だったけどね!
でも東くんは私と違ってさ、自分じゃなくて身内だから私とは違う大変さなんだろうなって思ってさ」
「それで?」
笑顔で話しかける遥に若干イライラしながら静夜は聞き返す。
「それでね、この前助けたよしみ?
いや私が助けてはいないか……?
まあ似た様な境遇の者同士という事で頼みたい事がありまして……」
「陽太の情報が欲しいんなら、回りくどい事言わずにそう言えば?」
静夜は冷たく遥を睨みながらそう言い放った。
「……え?」
静夜の変貌に驚きのあまり遥はきょとんとする。
そんな遥の様子を無視して静夜は話を続けた。
「所詮あんたも他の女子と同じで、陽太に近づきたいだけだろ?」
「いやいや! 違うよ!
そもそも私ヨウタって人全然知らないし!」
「嘘つくならもうちょっとマシな嘘つけよ……。
毎日CMだのテレビだのに出てるんだから知ってるだろ」
「あー、確かに顔くらいは見た事あるかも。
知らないは嘘だったね、ごめんね」
遥は手を合わせて軽く謝る。
そのかわい子ぶりっこかの様な仕草に、静夜は心底イラついた。
「俺は騙されないから」
「へ? 騙す?」
静夜の言葉の意味が分からず遥は不思議そうに聞き返す。
「俺くらいなら可愛こぶってれば簡単に落とせるとでも思ったんだろ?
悪いけど……」
「ち、違くて!!」
「何が違うんだよ」
「私は、ただ……
完全数量限定カップル様限定フルーツシャルロット付きケーキバイキングに誘いたかっただけなの!!」
「……は?」
突然の予想外な遥の言葉に今度は静夜が面食らった。
「えーと、今、なんて?」
「だから、完全数量限定カップル様限定のフルーツシャルロット付きケーキバイキングに誘いたかっただけで……」
「ごめん、やっぱ意味分からん」
聞き返してもう一度遥のセリフを聞いたが静夜には理解が不能だった。
そんな静夜の様子を見かねて遥はゆっくりと説明し始める。
「えーとですね、私甘い物が好きで、ケーキ屋さんによく行くんだけどね」
「うん」
「そのケーキ屋さんで、たまに試作品をイベントで数量限定にして出す事があるんですよ」
「試作品……?」
「うん、そう。
それでアンケートとって人気だったら商品化するんだ。
でもそれが毎回カップル限定のイベントでね」
「何でカップル限定?」
「お店としては男性と女性の意見どっちも聞きたいっていう理由らしいんだけどね」
「なるほど」
説明を聞いている限りでは一見よく出来てるシステムに思える。
「でも私、お恥ずかしい事にこれまで一度も彼氏出来た事なくて……」
「……は?」
遥の台詞に静夜は目を丸くする。
誰がどう見ても美少女である遥に恋愛経験がない事に素直に驚いていた。
(いやいや、どう考えても引く手数多だろうに……。
いや、でもこれってよく考えたら偏見か?)
変に驚いてしまって失礼にならないかと律儀に考えだす静夜をよそに遥は言葉を続けた。
「それでー、こういうイベントの時はいつも幼馴染のユウちゃんに男装してもらって行ってたんだけど……。
今回はユウちゃんの家族旅行と日にちが被っちゃって……」
「はあ……」
それから遥は勢いよく頭を深く下げた。
「なので今週の日曜日私と一緒にケーキバイキング行ってくれませんか!?」
「は!?」
突然の遥のお願いに静夜が驚いていると、更に遥は畳み掛ける様に言葉を続けた。
「勿論お代は私が全額払います!
ケーキも苦手なら食べなくても良いです!」
「え、ちょ、ま……」
静夜が呆気に取られている中、遥はどんどん腰を落とし土下座一歩手前ほどの体勢になった。
「一生のお願いです!
後生です! 何でもしますから!!
土下座でも!!!」
「いやもういいから分かったからっ!
!」
ヒートアップする遥にかけより土下座を制止しにきた静夜に対し、遥は勢いよく顔を上げ満面の笑みで口を開いた。
「今分かったって言ったよね?」
「い、言ったけど?」
「じゃあケーキバイキング一緒に行ってくれるよね!」
「ま、まあ、それくらいなら……?」
静夜の返事を聞くと遥は即座に立ち上がり全力でガッツポーズした。
「っっしゃぁぁ!!
これでフルーツシャルロットは私のもんだぁ!!」
いきなりの遥の発狂に静夜は目を丸くする。
「あ、葵……さん……?」
「あ、ごめーん私ったら嬉しさでついキャラ崩壊しちゃった!
後これ私の連絡先!
詳しい日程とか決めたいから後で連絡してね!
じゃあね!」
遥は自分の連絡先を書いたメモを静夜に押し付け、瞬く間に帰っていった。
「……は?
……は?」
静夜は押し付けられたメモを片手に、しばらく混乱し続けるのであった。
「え?」
放課後になり図書室で本を読んでいた静夜の元へと遥が声をかけた。
「な、なんでここに……?」
「夏休みにどうせ読書感想文とか出されるだろうから、一足先に書いちゃおうと思って本探しにきたんだ」
「まだ4月中旬だけど……?」
遥の思いもよらぬ返答に静夜は動揺する。
「まあ単純に東くんが気になったってのもあるんだけどね!」
ばちんとさながらアイドルかの様にウインクする遥を見て、静夜は一瞬で悟った。
(……あ、やっぱり。
葵さんも陽太目当てか)
教室で助けられた(?)一件からもしかしたら他の女子達とは違うのかも……と思ったが、今思えばあれも全部計算だったのだかもしれない。
そう、結局彼女も他の女子と同じなんだ。
「その、東くんってさ、あのー、東ヨウタ? って人の弟なんでしょ?
なんか大変そうだなーと思ってさ」
「……別に、葵さん程ではないよ」
「まあ私もめちゃくちゃ大変だったけどね!
でも東くんは私と違ってさ、自分じゃなくて身内だから私とは違う大変さなんだろうなって思ってさ」
「それで?」
笑顔で話しかける遥に若干イライラしながら静夜は聞き返す。
「それでね、この前助けたよしみ?
いや私が助けてはいないか……?
まあ似た様な境遇の者同士という事で頼みたい事がありまして……」
「陽太の情報が欲しいんなら、回りくどい事言わずにそう言えば?」
静夜は冷たく遥を睨みながらそう言い放った。
「……え?」
静夜の変貌に驚きのあまり遥はきょとんとする。
そんな遥の様子を無視して静夜は話を続けた。
「所詮あんたも他の女子と同じで、陽太に近づきたいだけだろ?」
「いやいや! 違うよ!
そもそも私ヨウタって人全然知らないし!」
「嘘つくならもうちょっとマシな嘘つけよ……。
毎日CMだのテレビだのに出てるんだから知ってるだろ」
「あー、確かに顔くらいは見た事あるかも。
知らないは嘘だったね、ごめんね」
遥は手を合わせて軽く謝る。
そのかわい子ぶりっこかの様な仕草に、静夜は心底イラついた。
「俺は騙されないから」
「へ? 騙す?」
静夜の言葉の意味が分からず遥は不思議そうに聞き返す。
「俺くらいなら可愛こぶってれば簡単に落とせるとでも思ったんだろ?
悪いけど……」
「ち、違くて!!」
「何が違うんだよ」
「私は、ただ……
完全数量限定カップル様限定フルーツシャルロット付きケーキバイキングに誘いたかっただけなの!!」
「……は?」
突然の予想外な遥の言葉に今度は静夜が面食らった。
「えーと、今、なんて?」
「だから、完全数量限定カップル様限定のフルーツシャルロット付きケーキバイキングに誘いたかっただけで……」
「ごめん、やっぱ意味分からん」
聞き返してもう一度遥のセリフを聞いたが静夜には理解が不能だった。
そんな静夜の様子を見かねて遥はゆっくりと説明し始める。
「えーとですね、私甘い物が好きで、ケーキ屋さんによく行くんだけどね」
「うん」
「そのケーキ屋さんで、たまに試作品をイベントで数量限定にして出す事があるんですよ」
「試作品……?」
「うん、そう。
それでアンケートとって人気だったら商品化するんだ。
でもそれが毎回カップル限定のイベントでね」
「何でカップル限定?」
「お店としては男性と女性の意見どっちも聞きたいっていう理由らしいんだけどね」
「なるほど」
説明を聞いている限りでは一見よく出来てるシステムに思える。
「でも私、お恥ずかしい事にこれまで一度も彼氏出来た事なくて……」
「……は?」
遥の台詞に静夜は目を丸くする。
誰がどう見ても美少女である遥に恋愛経験がない事に素直に驚いていた。
(いやいや、どう考えても引く手数多だろうに……。
いや、でもこれってよく考えたら偏見か?)
変に驚いてしまって失礼にならないかと律儀に考えだす静夜をよそに遥は言葉を続けた。
「それでー、こういうイベントの時はいつも幼馴染のユウちゃんに男装してもらって行ってたんだけど……。
今回はユウちゃんの家族旅行と日にちが被っちゃって……」
「はあ……」
それから遥は勢いよく頭を深く下げた。
「なので今週の日曜日私と一緒にケーキバイキング行ってくれませんか!?」
「は!?」
突然の遥のお願いに静夜が驚いていると、更に遥は畳み掛ける様に言葉を続けた。
「勿論お代は私が全額払います!
ケーキも苦手なら食べなくても良いです!」
「え、ちょ、ま……」
静夜が呆気に取られている中、遥はどんどん腰を落とし土下座一歩手前ほどの体勢になった。
「一生のお願いです!
後生です! 何でもしますから!!
土下座でも!!!」
「いやもういいから分かったからっ!
!」
ヒートアップする遥にかけより土下座を制止しにきた静夜に対し、遥は勢いよく顔を上げ満面の笑みで口を開いた。
「今分かったって言ったよね?」
「い、言ったけど?」
「じゃあケーキバイキング一緒に行ってくれるよね!」
「ま、まあ、それくらいなら……?」
静夜の返事を聞くと遥は即座に立ち上がり全力でガッツポーズした。
「っっしゃぁぁ!!
これでフルーツシャルロットは私のもんだぁ!!」
いきなりの遥の発狂に静夜は目を丸くする。
「あ、葵……さん……?」
「あ、ごめーん私ったら嬉しさでついキャラ崩壊しちゃった!
後これ私の連絡先!
詳しい日程とか決めたいから後で連絡してね!
じゃあね!」
遥は自分の連絡先を書いたメモを静夜に押し付け、瞬く間に帰っていった。
「……は?
……は?」
静夜は押し付けられたメモを片手に、しばらく混乱し続けるのであった。
0
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
ケダモノ、148円ナリ
菱沼あゆ
恋愛
ケダモノを148円で買いました――。
「結婚するんだ」
大好きな従兄の顕人の結婚に衝撃を受けた明日実は、たまたま、そこに居たイケメンを捕まえ、
「私っ、この方と結婚するんですっ!」
と言ってしまう。
ところが、そのイケメン、貴継は、かつて道で出会ったケダモノだった。
貴継は、顕人にすべてをバラすと明日実を脅し、ちゃっかり、明日実の家に居座ってしまうのだが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる