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第26話 君と考え事
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「東陽太に大橋瑠奈にYuka……」
「普通に道歩いてても一生出会す事のない人達と、こうも簡単に会えるなんて……」
「「小鳥遊学園恐るべしっ!!」」
昼食後、教室へと戻る道中、太一と明宏は今日会った面々を思い出しては戦々恐々としていた。
「本物のYuka可愛かったなー!」
一方徹人は大ファンであるYukaに会えてまだ興奮が冷めていなかった。
「……」
そんな中遥は男子達がはしゃぐ横で思案顔をしていた。
(……小鳥遊学園芸能科……今まで特に深く考えた事なかったけど……)
(東くんがアイドルや女優やモデルに恋する可能性もゼロじゃない!?)
遥は1人脳内でテンパっていた。
(今までの東くんの態度から察するに、東陽太関連で女子に対して何らかのトラウマ、女性不信感がある様に思っていたからすっかり油断していたけど、東くんがこの学園の誰かを好きになる可能性は十分にあり得る……。
そもそも芸能科には見た目の良い子なんてごろごろ居る訳だし……。
いやでも東くんが見た目だけで誰かを好きになるかな? それはあんまりなさそうだけど、芸能人にだって見た目だけでなく性格良い子もいるだろうし……いやでもというかその前に……)
(私はそもそも恋愛対象に見られているのかなっ!?)
遥の脳内に初歩的な質問が浮かび上がった。
一方静夜もそんな遥の横で先程の陽太の表情を思い出しながら考え事をしていた。
(陽太の奴……今日の夜絶対からかってくるつもりだ……あの顔は絶対そう……)
静夜はすでに陽太がからかってくる事を予想して小さくため息をつく。
(全く……別に俺と葵さんは普通の友達だってのに……いや、でも……)
そこで静夜はお昼の途中に遥が自分の好きなタイプを突然訊いてきた事を思い出した。
(あの時結局何でそんな事訊いてきたのか分からなかったけど……というか思い返せば葵さんにずっと話しかけられてばっかりだった様な……?
流石に考えすぎか……?)
そこまで考えた静夜は未だに脳内で混乱している遥を横目で見やった。
(……まあ、少なくとも嫌われてはいないだろうけど、いやしかし……)
(俺の好かれる要素どっかにあったっけ?)
静夜は自己肯定感が低かった。
(とりあえず嫌われていないのは確実だとしても、いやそもそも葵さんが俺に向けてくる感情って恋愛感情としての好きというより何かもっと別な……あ、あれだ。
ペットを愛でるバカ親みたいな感じ)
静夜は遥の言動を振り返り納得する。
(つまり俺は好かれてるというより懐かれているって事だな……うん、よく分かんないけどそうしよう。
そもそも俺が勝手に葵さんが俺の事どう思ってるかなんて考えだしたところで答えなんて分からないしキリがない。
そういうものだと納得しよう。
とりあえず、教室戻ったら何か本でも読んで心落ち着かせよう、うん)
この後教室に戻った静夜はめちゃくちゃ読書した。
そして場面は変わり芸能科の教室にて。
「大橋さん」
「(!!?)
何かしら? 東くん」
陽太に声をかけられ瑠奈は内心かなり驚きつつもそれを表情に決して出す事なく平然と聞き返した。
「ちょっと数学の問題聞きたくてさ」
「……まあ、私でいいのなら、どこの問題?」
以下瑠奈の脳内。
(え? え?? ええっ!!??
なになに何なの急に!? これまで挨拶以外一度も声かけられた事なかったのに何故急にっ!!? い、いや落ち着くのよ私! 陽太は私に数学を習いに来ただけ!
理由は簡単! 私が芸能科一勉強が出来るから!! ただそれだけの事よ!! 変な期待を持って接するんじゃないわ平常心よ平常心!! これまでに培った演技力でこれまで通り表情を崩さない様に耐えるのよ私!
ニヤけるな私!!)
「あー、ここなんだけどさ……途中何でここの式がこうなるのかなって」
「ああ、そこね、そこはこっちを先に解いた後に……」
「んーどれどれ?」
瑠奈が数式を書いている途中で陽太が覗きこんできた。
(ち、近い近い近いっ!!?
え? え? だ、大丈夫な距離よね!?
まだ異性交友が始まる前の段階の距離よね!? ク、クラスの人に勘違いされたりとかしないわよね!? い、いや私はむしろ勘違いされてもオッケーなのだけれど!? で、でもお互い仕事に支障をきたすのはまずいわ!! い、いや、今はそんな事を考えている場合じゃなくて!!
今は陽太に数学を教えるというミッションをクリアする事だけ考えるのよ! そう!)
「……そしてこうなるの」
「ああ! そっかーなるほど!」
「分かったかしら?」
瑠奈の問いに陽太は笑顔で答える。
「ああ! すっげー分かりやすかった!
サンキューな!」
「(かっこいいーー~~!!!♡)
そう、分かりやすかったのなら良かったわ」
(ああもう私ったら何でそんな素っ気ない事しか言えないのっ!? 折角お話し出来るチャンスなのにこれじゃあここでお別れになっちゃう……)
瑠奈は脳内で反省しつつも、しかし表情はやはりいつも通り無表情だった。
「あ、そう言えば大橋さん使ってるシャーペンゆるネコ? 面白いよなその漫画!」
唐突の陽太の言葉と笑顔に瑠奈は頭が真っ白になり--。
「好き」
気付くと、そう口走っていた。
「あ、やっぱそうなんだ!
俺もゆるネコ好きだぜ! 今日も更新楽しみだな!」
「え? ああ、うん」
「あ、そろそろ次の授業始まるな!
そんじゃまた! 数学ありがとうな!」
「え、ええ……」
陽太が席に戻り、授業が始まった後、ようやく瑠奈の思考回路が戻って来た。
(わ、わ、私……!!
す、好きって、勢いで好きって言っちゃってたーー!!??)
(こ、こんな事一度だってなかったのに!? で、でも陽太の笑顔を見たら何も考えられなくなって気づいたら言っちゃってた!! ゆるネコの事だと思われたけど!! い、いやむしろそう思われた方がいいけどね! いきなり告白とか訳分かんなさすぎでしょ!! 誤解されて良かったー! ゆるネコのシャーペン持ってて良かった! いやそもそもゆるネコのシャーペンを持っていなければあんな風に声をかけられる事もなかったし好きって口走る事もなかったと思うんだけどね!? な、何はともあれ事なきを得て良かったー!!)
そう脳内ではかなり大慌てしつつも、それを一切表に出す事なく瑠奈は真面目な態度で授業を受けていた。
(んふふ~瑠奈ちゃんが嬉しそうで良かった~♡
陽太くんも割とすぐに声かけしててめちゃGJだよ~⭐︎)
そんな瑠奈の背中を眺めながら優歌はにこにこと満足気に微笑んでいた。
「普通に道歩いてても一生出会す事のない人達と、こうも簡単に会えるなんて……」
「「小鳥遊学園恐るべしっ!!」」
昼食後、教室へと戻る道中、太一と明宏は今日会った面々を思い出しては戦々恐々としていた。
「本物のYuka可愛かったなー!」
一方徹人は大ファンであるYukaに会えてまだ興奮が冷めていなかった。
「……」
そんな中遥は男子達がはしゃぐ横で思案顔をしていた。
(……小鳥遊学園芸能科……今まで特に深く考えた事なかったけど……)
(東くんがアイドルや女優やモデルに恋する可能性もゼロじゃない!?)
遥は1人脳内でテンパっていた。
(今までの東くんの態度から察するに、東陽太関連で女子に対して何らかのトラウマ、女性不信感がある様に思っていたからすっかり油断していたけど、東くんがこの学園の誰かを好きになる可能性は十分にあり得る……。
そもそも芸能科には見た目の良い子なんてごろごろ居る訳だし……。
いやでも東くんが見た目だけで誰かを好きになるかな? それはあんまりなさそうだけど、芸能人にだって見た目だけでなく性格良い子もいるだろうし……いやでもというかその前に……)
(私はそもそも恋愛対象に見られているのかなっ!?)
遥の脳内に初歩的な質問が浮かび上がった。
一方静夜もそんな遥の横で先程の陽太の表情を思い出しながら考え事をしていた。
(陽太の奴……今日の夜絶対からかってくるつもりだ……あの顔は絶対そう……)
静夜はすでに陽太がからかってくる事を予想して小さくため息をつく。
(全く……別に俺と葵さんは普通の友達だってのに……いや、でも……)
そこで静夜はお昼の途中に遥が自分の好きなタイプを突然訊いてきた事を思い出した。
(あの時結局何でそんな事訊いてきたのか分からなかったけど……というか思い返せば葵さんにずっと話しかけられてばっかりだった様な……?
流石に考えすぎか……?)
そこまで考えた静夜は未だに脳内で混乱している遥を横目で見やった。
(……まあ、少なくとも嫌われてはいないだろうけど、いやしかし……)
(俺の好かれる要素どっかにあったっけ?)
静夜は自己肯定感が低かった。
(とりあえず嫌われていないのは確実だとしても、いやそもそも葵さんが俺に向けてくる感情って恋愛感情としての好きというより何かもっと別な……あ、あれだ。
ペットを愛でるバカ親みたいな感じ)
静夜は遥の言動を振り返り納得する。
(つまり俺は好かれてるというより懐かれているって事だな……うん、よく分かんないけどそうしよう。
そもそも俺が勝手に葵さんが俺の事どう思ってるかなんて考えだしたところで答えなんて分からないしキリがない。
そういうものだと納得しよう。
とりあえず、教室戻ったら何か本でも読んで心落ち着かせよう、うん)
この後教室に戻った静夜はめちゃくちゃ読書した。
そして場面は変わり芸能科の教室にて。
「大橋さん」
「(!!?)
何かしら? 東くん」
陽太に声をかけられ瑠奈は内心かなり驚きつつもそれを表情に決して出す事なく平然と聞き返した。
「ちょっと数学の問題聞きたくてさ」
「……まあ、私でいいのなら、どこの問題?」
以下瑠奈の脳内。
(え? え?? ええっ!!??
なになに何なの急に!? これまで挨拶以外一度も声かけられた事なかったのに何故急にっ!!? い、いや落ち着くのよ私! 陽太は私に数学を習いに来ただけ!
理由は簡単! 私が芸能科一勉強が出来るから!! ただそれだけの事よ!! 変な期待を持って接するんじゃないわ平常心よ平常心!! これまでに培った演技力でこれまで通り表情を崩さない様に耐えるのよ私!
ニヤけるな私!!)
「あー、ここなんだけどさ……途中何でここの式がこうなるのかなって」
「ああ、そこね、そこはこっちを先に解いた後に……」
「んーどれどれ?」
瑠奈が数式を書いている途中で陽太が覗きこんできた。
(ち、近い近い近いっ!!?
え? え? だ、大丈夫な距離よね!?
まだ異性交友が始まる前の段階の距離よね!? ク、クラスの人に勘違いされたりとかしないわよね!? い、いや私はむしろ勘違いされてもオッケーなのだけれど!? で、でもお互い仕事に支障をきたすのはまずいわ!! い、いや、今はそんな事を考えている場合じゃなくて!!
今は陽太に数学を教えるというミッションをクリアする事だけ考えるのよ! そう!)
「……そしてこうなるの」
「ああ! そっかーなるほど!」
「分かったかしら?」
瑠奈の問いに陽太は笑顔で答える。
「ああ! すっげー分かりやすかった!
サンキューな!」
「(かっこいいーー~~!!!♡)
そう、分かりやすかったのなら良かったわ」
(ああもう私ったら何でそんな素っ気ない事しか言えないのっ!? 折角お話し出来るチャンスなのにこれじゃあここでお別れになっちゃう……)
瑠奈は脳内で反省しつつも、しかし表情はやはりいつも通り無表情だった。
「あ、そう言えば大橋さん使ってるシャーペンゆるネコ? 面白いよなその漫画!」
唐突の陽太の言葉と笑顔に瑠奈は頭が真っ白になり--。
「好き」
気付くと、そう口走っていた。
「あ、やっぱそうなんだ!
俺もゆるネコ好きだぜ! 今日も更新楽しみだな!」
「え? ああ、うん」
「あ、そろそろ次の授業始まるな!
そんじゃまた! 数学ありがとうな!」
「え、ええ……」
陽太が席に戻り、授業が始まった後、ようやく瑠奈の思考回路が戻って来た。
(わ、わ、私……!!
す、好きって、勢いで好きって言っちゃってたーー!!??)
(こ、こんな事一度だってなかったのに!? で、でも陽太の笑顔を見たら何も考えられなくなって気づいたら言っちゃってた!! ゆるネコの事だと思われたけど!! い、いやむしろそう思われた方がいいけどね! いきなり告白とか訳分かんなさすぎでしょ!! 誤解されて良かったー! ゆるネコのシャーペン持ってて良かった! いやそもそもゆるネコのシャーペンを持っていなければあんな風に声をかけられる事もなかったし好きって口走る事もなかったと思うんだけどね!? な、何はともあれ事なきを得て良かったー!!)
そう脳内ではかなり大慌てしつつも、それを一切表に出す事なく瑠奈は真面目な態度で授業を受けていた。
(んふふ~瑠奈ちゃんが嬉しそうで良かった~♡
陽太くんも割とすぐに声かけしててめちゃGJだよ~⭐︎)
そんな瑠奈の背中を眺めながら優歌はにこにこと満足気に微笑んでいた。
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