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第73話 君と電話
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火曜日の放課後。
ホームルーム後すぐに寮へ帰った陽太は部屋で1人、スマホの画面と睨めっこしていた。
(昨日の夜は仕事疲れもあって連絡出来なかったけど、今日は仕事もなし。静夜は友達と遊びに行くって言ってたからしばらく帰って来ない……つまり、小野さんに連絡するチャンス!)
そう意気込んだ陽太は千鶴のLINE画面のメッセージ欄まで操作を進めたが、そこで指が止まる。
(最初は何てメッセージ送れば良いんだろ? 今時間ある? とか今連絡大丈夫? とかで良いよな? 普通に、普通の友達として……)
陽太が考え込みつつ恐る恐るメッセージを打ち込んでいると、千鶴の方から先にメッセージが来た。
「ぅわっ!」
驚いた陽太は携帯を落としそうになり必死にキャッチした後辺りを見回した。
(静夜が居なくて良かったー! あっぶねー!)
陽太はバクバク言う心臓の鼓動を落ち着けつつ千鶴から来たメッセージの内容を確認する。
「今って少し話せる?」
(話す……話すってメッセージか? それとも電話? まあどっちでもOKだけど……)
「大丈夫、今LINEしようかと思ってたところ!」
返事を打ちながら誤字が無いか細心の注意を払いつつ陽太はメッセージを送った。
それからすぐに千鶴から返事が返ってきた。
「そうなんだ、良かった。陽太くん今日は仕事休みなの?」
陽太は返事を打ちつつやはりメッセージだと会話のテンポがどうしても遅くなる為電話の提案を持ちかける事にした。
「うん。今日は一日オフ。ところで電話って出来る?」
思い切って聞いてみたものの嫌がられないかと心配する陽太だったが、千鶴からはあっさりとした返事がすぐに返ってきた。
「うん、いいよ」
陽太はその返事を見て小さくガッツポーズした後LINEから電話をかける。
すると千鶴もすぐに電話に出た。
「あ、もしもーし、小野さん、聞こえる?」
「あ、うん、大丈夫だよ」
「あ、良かった、えーと、あのさ」
何から話そうかと焦った陽太はとりあえず昨日聞けなかった疑問を聞くことにした。
「昨日、何で小鳥遊学園に来てたの?」
「へっ!?」
陽太からの質問に千鶴は一瞬戸惑い瞬時に色々と考え始める。
(どうしよう? 陽太くんにそれとなーく静夜くんの事聞こうと思ったんだけど、静夜くん目当てで学校に来たなんて言ったら静夜くんの事好きなのバレちゃいそう……応援してくれそうでもあるけど、でもからかわれたり、露骨に応援されて静夜くんにまでバレたら……それはまずい!)
千鶴は陽太には静夜への恋心は隠す事に決めて何とか話を続けた。
「えーと、その……静夜くんと前に会った時に小鳥遊学園の話を聞いて、えと、友達が一度小鳥遊学園に行ってみたいと言って……」
「友達って昨日一緒に居た、あの大野さん……だっけ?」
「う、うん! そう! あかりちゃんと本当に芸能人とか見れるのかなとか話してて!」
昔の千鶴からは考えられない言動に陽太は少し驚く。
「へえ、小野さん、意外とミーハーな一面もあるんだね?」
「あ、いや! 別に芸能人に会いたいとかじゃなくてね! 学校近いし、興味本位でノリで行ってみようってなってね!」
(わ、我ながら苦しすぎる言い訳だなぁ……)
千鶴は言い訳を羅列しながら冷や汗を流していた。
一方陽太はと言うと。
(友達の付き合いで来てただけだったのか……俺に会いに来たとか自惚れも過ぎるよな……うん、そうだよな……)
千鶴の言葉にあっさりと納得しつつも内心期待していた分傷ついていた。
「そうなんだ……ところで俺小野さんと話したい事があってさ」
「え? 話したい事?」
少し傷ついて冷静になった陽太は一息ついた後口を開いた。
「中学の時……転校前に静夜が小野さんに告ったって話、本当は嘘だったんだろ?」
「!」
陽太の言葉に千鶴は驚き戸惑いつつも、はっきりと答える。
「……うん。ごめんなさい。騙しちゃって……」
暗い声色で謝る千鶴に陽太はなるべく冷静に話す。
「あの時の小野さんの事、静夜からある程度事情は聞いたんだけど。なあ小野さん、俺、確かに頼りにならないかもしれないけど、何かあったら隠さずに話して欲しい。俺、小野さんの力になりたいんだ」
陽太は振り絞る様に本心を話した。
そんな陽太の発言を聞いて千鶴は即座に答える。
「頼りにならないなんて思ってないよ! ごめんね、私のせいで陽太くんや静夜くんを巻き込みたくなかったの。私さえ我慢すれば……」
「だからっ! そういうとこっ! 1人で抱え込めばなんて友達にそんな風に考えて欲しくないんだよ! 小野さんにも静夜にも!」
千鶴の言葉に思わず感情のまま怒鳴ってしまった陽太はそこまで話して我に返った。
「あ、ごめん……怒鳴るつもりはなかったんだけど……その」
陽太がばつが悪そうに話していると、千鶴は「いいの」と話を続ける。
「私の方こそごめんなさい。あの時はああするのが1番いい解決策だと思っていたの。馬鹿な事言って大事な友達2人とも傷つけちゃって。本当にごめんなさい。」
反省し謝る千鶴に陽太は明るい声で話し出した。
「いや! 確かに嘘つかれたのはアレだったけどさ! でも1番悪いのは一部の俺の追っかけの奴らのせいだったんだろ? それなら俺も無関係とは言えないしさ、そうでなくとも今度から何か困った事があったらいつでも相談乗るし! 俺静夜みたいに頭良くはないから解決までは出来なくても、話くらいなら聞けるしさ! 友達なんだし!」
「陽太くん……」
「だからさ! それが伝えたかったからこの話は終わり! な!」
陽太の明るい声に千鶴はあんしんしながらお礼を言う。
「ありがとう陽太くん。今度からは何かあったら相談するね」
「おう、何でも相談に乗るぜ!」
陽太が声高らかにそう宣言したと同時に、部屋の扉がガチャリと開いた。
「ただいまー。あっ」
部屋に入ってきた静夜は陽太が携帯を耳に充てているのを見て通話中だと察して黙るも、陽太は気にせず静夜に話しかける。
「あ、静夜!? 帰ってくるの早くね?」
陽太が驚きつつ時計を確認するとまだ時間は午後5時になったばかりだった。
「まあ友達の買い物付き合っただけだし、夕飯はお金勿体無いから寮で食べるって話になって……」
「え? 静夜くん?」
陽太から静夜という単語が電話越しに聞こえた千鶴は問いかける様に呟いた。
「あ、小野さん、今ちょうど静夜帰ってきてさ」
「ん? 小野さん?」
陽太が事情を千鶴に軽く説明すると、今度は状況を察した静夜が訊ねる。
「もしかして俺、お邪魔だった?」
「いやいや! 邪魔とかじゃねーって! あ、どうせならスピーカーにして3人で少し話そうぜ!」
陽太がテンパりながらもそう提案すると、千鶴はそわそわしつつも賛同する。
「え? いいの? わ、私ちょうど静夜くんに聞きたい事あって……」
「だってさ静夜! 小野さん何か聞きたい事あるって!」
静夜が空気を読んで部屋を出ようとしたが、陽太に引き止められ急遽会話に混ざる事になった。
「俺に聞きたい事?」
陽太はLINEの電話をスピーカーにして静夜にも聞こえる様にすると、改めて千鶴が話しだした。
「えと、この前土曜日に出かけた時に静夜くんらしき人を見かけたんだけど……その時可愛い女の子も一緒にいて、もしかして付き合ってるのかなーって……」
千鶴は自分で聞きながらその時の光景を思い出し徐々にショックを受ける。
(うう、聞いちゃった……! もう後には引けない……現実を受け入れるしか……)
千鶴は傷つく用意をしていたが、しかし静夜はあっさりと答える。
「ああ、それ多分クラスの女友達。用事に付き合ってただけで彼女とかではないから」
「そっか……え?」
てっきり付き合ってると言われるのかと思っていた千鶴は思わず驚きの声が漏れた。
しかしそれに陽太も静夜も気づかず話を続ける。
「さっさと付き合えば良いのにー」
「そんな軽く言うなよ。今は特に恋愛とか考えてないし」
静夜の言葉に千鶴は思わず笑顔になりながら答えた。
「そ、そうなんだー。私てっきり付き合ってるのかと思って声かけなかったんだけど、そうなんだー」
「別に声かけてくれても良かったのに」
すっかり安心する千鶴に陽太は気付く事なく話を続ける。
「静夜もなんだかんだでモテるのになー。こいつ毎回告白断ってばっかだし」
「俺の10倍告られて全部断ってる奴に言われたかないね」
久しぶりの東双子の会話に千鶴は懐かしさを覚えて微笑んだ。
「ふふ。2人とも変わってなくて良かった」
「そう言えば小野さんは少し変わったよね」
静夜にそう言われて千鶴はイマイチピンと来ずに聞き返す。
「え? 私? な、何か変わった?」
「前より明るくなった感じがする」
「あー、それ俺も思った! 昨日会った時も前より自信があるっていうか、なんつーか……」
「てか昨日会ったんだ。いつの間に連絡取り合ってるのかと思ったら」
静夜がふーん、と言いながら陽太に目をやると陽太はそっぽを向きつつ千鶴へと話を戻した。
「とにかく、小野さん前よりも明るくなったよな!」
「そ、そうかな……? でも確かに前よりは友達も増えて学校も楽しく感じてる……かな」
千鶴の言葉に陽太と静夜はそれぞれ微笑んだ。
「良かったじゃん! あ、これからもたまに時間ある時3人で話したりしようぜ!」
「小野さんが元気にやれてて本当良かったよ」
「うん、ありがとう陽太くん、静夜くん。あの、それじゃあそろそろ夕飯だから、また今度連絡するね!」
「おう! それじゃあまた!」
「またね、小野さん」
別れの挨拶を言った後陽太は電話終了のボタンを押して通話を切った。
「そんで? 陽太、昨日小野さんと何があったんだよ?」
通話が切れると同時に静夜はニヤニヤと陽太に詰め寄った。
「別に、昨日スタジオに向かってたらたまたま会ったから連絡先交換しただけだぞ! 急いでたからまともに会話も出来てなかったし」
「ふーん、そんで? 今日は電話で何話してたんだよ?」
「別にそんなのお前に話さなくていいだろ?」
頑なに拒否する陽太に静夜は日頃絡まれる鬱憤を晴らすかの様に質問した。
「何だよ? 俺にも言えない様な事話してたのかよ?」
「うぜえ! そんなんじゃねーし! 性格悪いぞ本当!」
「お前がいつも言ってくる事じゃん、お互い様だろ?」
静夜の言葉に陽太は何とか反論できないか言葉を探した結果。
「ぐぬぬ……もういい! もうお前と話さねー!」
「何小学生みたいな台詞言ってんだよ。別に話さないなら話さないでいいぜ」
そう静夜が突き放す言葉を言うと、陽太は即座に訂正した。
「ごめん、やっぱ今日出た宿題のとこまでは話す、で」
「結局かよ」
こうして双子の喧嘩とは言えないレベルの喧嘩は幕を閉じたのであった。
一方千鶴はというと。
「静夜くんと話せた……しかも彼女いないって……ふふふ♪」
ご機嫌で食堂へと向かっていったのだった。
ホームルーム後すぐに寮へ帰った陽太は部屋で1人、スマホの画面と睨めっこしていた。
(昨日の夜は仕事疲れもあって連絡出来なかったけど、今日は仕事もなし。静夜は友達と遊びに行くって言ってたからしばらく帰って来ない……つまり、小野さんに連絡するチャンス!)
そう意気込んだ陽太は千鶴のLINE画面のメッセージ欄まで操作を進めたが、そこで指が止まる。
(最初は何てメッセージ送れば良いんだろ? 今時間ある? とか今連絡大丈夫? とかで良いよな? 普通に、普通の友達として……)
陽太が考え込みつつ恐る恐るメッセージを打ち込んでいると、千鶴の方から先にメッセージが来た。
「ぅわっ!」
驚いた陽太は携帯を落としそうになり必死にキャッチした後辺りを見回した。
(静夜が居なくて良かったー! あっぶねー!)
陽太はバクバク言う心臓の鼓動を落ち着けつつ千鶴から来たメッセージの内容を確認する。
「今って少し話せる?」
(話す……話すってメッセージか? それとも電話? まあどっちでもOKだけど……)
「大丈夫、今LINEしようかと思ってたところ!」
返事を打ちながら誤字が無いか細心の注意を払いつつ陽太はメッセージを送った。
それからすぐに千鶴から返事が返ってきた。
「そうなんだ、良かった。陽太くん今日は仕事休みなの?」
陽太は返事を打ちつつやはりメッセージだと会話のテンポがどうしても遅くなる為電話の提案を持ちかける事にした。
「うん。今日は一日オフ。ところで電話って出来る?」
思い切って聞いてみたものの嫌がられないかと心配する陽太だったが、千鶴からはあっさりとした返事がすぐに返ってきた。
「うん、いいよ」
陽太はその返事を見て小さくガッツポーズした後LINEから電話をかける。
すると千鶴もすぐに電話に出た。
「あ、もしもーし、小野さん、聞こえる?」
「あ、うん、大丈夫だよ」
「あ、良かった、えーと、あのさ」
何から話そうかと焦った陽太はとりあえず昨日聞けなかった疑問を聞くことにした。
「昨日、何で小鳥遊学園に来てたの?」
「へっ!?」
陽太からの質問に千鶴は一瞬戸惑い瞬時に色々と考え始める。
(どうしよう? 陽太くんにそれとなーく静夜くんの事聞こうと思ったんだけど、静夜くん目当てで学校に来たなんて言ったら静夜くんの事好きなのバレちゃいそう……応援してくれそうでもあるけど、でもからかわれたり、露骨に応援されて静夜くんにまでバレたら……それはまずい!)
千鶴は陽太には静夜への恋心は隠す事に決めて何とか話を続けた。
「えーと、その……静夜くんと前に会った時に小鳥遊学園の話を聞いて、えと、友達が一度小鳥遊学園に行ってみたいと言って……」
「友達って昨日一緒に居た、あの大野さん……だっけ?」
「う、うん! そう! あかりちゃんと本当に芸能人とか見れるのかなとか話してて!」
昔の千鶴からは考えられない言動に陽太は少し驚く。
「へえ、小野さん、意外とミーハーな一面もあるんだね?」
「あ、いや! 別に芸能人に会いたいとかじゃなくてね! 学校近いし、興味本位でノリで行ってみようってなってね!」
(わ、我ながら苦しすぎる言い訳だなぁ……)
千鶴は言い訳を羅列しながら冷や汗を流していた。
一方陽太はと言うと。
(友達の付き合いで来てただけだったのか……俺に会いに来たとか自惚れも過ぎるよな……うん、そうだよな……)
千鶴の言葉にあっさりと納得しつつも内心期待していた分傷ついていた。
「そうなんだ……ところで俺小野さんと話したい事があってさ」
「え? 話したい事?」
少し傷ついて冷静になった陽太は一息ついた後口を開いた。
「中学の時……転校前に静夜が小野さんに告ったって話、本当は嘘だったんだろ?」
「!」
陽太の言葉に千鶴は驚き戸惑いつつも、はっきりと答える。
「……うん。ごめんなさい。騙しちゃって……」
暗い声色で謝る千鶴に陽太はなるべく冷静に話す。
「あの時の小野さんの事、静夜からある程度事情は聞いたんだけど。なあ小野さん、俺、確かに頼りにならないかもしれないけど、何かあったら隠さずに話して欲しい。俺、小野さんの力になりたいんだ」
陽太は振り絞る様に本心を話した。
そんな陽太の発言を聞いて千鶴は即座に答える。
「頼りにならないなんて思ってないよ! ごめんね、私のせいで陽太くんや静夜くんを巻き込みたくなかったの。私さえ我慢すれば……」
「だからっ! そういうとこっ! 1人で抱え込めばなんて友達にそんな風に考えて欲しくないんだよ! 小野さんにも静夜にも!」
千鶴の言葉に思わず感情のまま怒鳴ってしまった陽太はそこまで話して我に返った。
「あ、ごめん……怒鳴るつもりはなかったんだけど……その」
陽太がばつが悪そうに話していると、千鶴は「いいの」と話を続ける。
「私の方こそごめんなさい。あの時はああするのが1番いい解決策だと思っていたの。馬鹿な事言って大事な友達2人とも傷つけちゃって。本当にごめんなさい。」
反省し謝る千鶴に陽太は明るい声で話し出した。
「いや! 確かに嘘つかれたのはアレだったけどさ! でも1番悪いのは一部の俺の追っかけの奴らのせいだったんだろ? それなら俺も無関係とは言えないしさ、そうでなくとも今度から何か困った事があったらいつでも相談乗るし! 俺静夜みたいに頭良くはないから解決までは出来なくても、話くらいなら聞けるしさ! 友達なんだし!」
「陽太くん……」
「だからさ! それが伝えたかったからこの話は終わり! な!」
陽太の明るい声に千鶴はあんしんしながらお礼を言う。
「ありがとう陽太くん。今度からは何かあったら相談するね」
「おう、何でも相談に乗るぜ!」
陽太が声高らかにそう宣言したと同時に、部屋の扉がガチャリと開いた。
「ただいまー。あっ」
部屋に入ってきた静夜は陽太が携帯を耳に充てているのを見て通話中だと察して黙るも、陽太は気にせず静夜に話しかける。
「あ、静夜!? 帰ってくるの早くね?」
陽太が驚きつつ時計を確認するとまだ時間は午後5時になったばかりだった。
「まあ友達の買い物付き合っただけだし、夕飯はお金勿体無いから寮で食べるって話になって……」
「え? 静夜くん?」
陽太から静夜という単語が電話越しに聞こえた千鶴は問いかける様に呟いた。
「あ、小野さん、今ちょうど静夜帰ってきてさ」
「ん? 小野さん?」
陽太が事情を千鶴に軽く説明すると、今度は状況を察した静夜が訊ねる。
「もしかして俺、お邪魔だった?」
「いやいや! 邪魔とかじゃねーって! あ、どうせならスピーカーにして3人で少し話そうぜ!」
陽太がテンパりながらもそう提案すると、千鶴はそわそわしつつも賛同する。
「え? いいの? わ、私ちょうど静夜くんに聞きたい事あって……」
「だってさ静夜! 小野さん何か聞きたい事あるって!」
静夜が空気を読んで部屋を出ようとしたが、陽太に引き止められ急遽会話に混ざる事になった。
「俺に聞きたい事?」
陽太はLINEの電話をスピーカーにして静夜にも聞こえる様にすると、改めて千鶴が話しだした。
「えと、この前土曜日に出かけた時に静夜くんらしき人を見かけたんだけど……その時可愛い女の子も一緒にいて、もしかして付き合ってるのかなーって……」
千鶴は自分で聞きながらその時の光景を思い出し徐々にショックを受ける。
(うう、聞いちゃった……! もう後には引けない……現実を受け入れるしか……)
千鶴は傷つく用意をしていたが、しかし静夜はあっさりと答える。
「ああ、それ多分クラスの女友達。用事に付き合ってただけで彼女とかではないから」
「そっか……え?」
てっきり付き合ってると言われるのかと思っていた千鶴は思わず驚きの声が漏れた。
しかしそれに陽太も静夜も気づかず話を続ける。
「さっさと付き合えば良いのにー」
「そんな軽く言うなよ。今は特に恋愛とか考えてないし」
静夜の言葉に千鶴は思わず笑顔になりながら答えた。
「そ、そうなんだー。私てっきり付き合ってるのかと思って声かけなかったんだけど、そうなんだー」
「別に声かけてくれても良かったのに」
すっかり安心する千鶴に陽太は気付く事なく話を続ける。
「静夜もなんだかんだでモテるのになー。こいつ毎回告白断ってばっかだし」
「俺の10倍告られて全部断ってる奴に言われたかないね」
久しぶりの東双子の会話に千鶴は懐かしさを覚えて微笑んだ。
「ふふ。2人とも変わってなくて良かった」
「そう言えば小野さんは少し変わったよね」
静夜にそう言われて千鶴はイマイチピンと来ずに聞き返す。
「え? 私? な、何か変わった?」
「前より明るくなった感じがする」
「あー、それ俺も思った! 昨日会った時も前より自信があるっていうか、なんつーか……」
「てか昨日会ったんだ。いつの間に連絡取り合ってるのかと思ったら」
静夜がふーん、と言いながら陽太に目をやると陽太はそっぽを向きつつ千鶴へと話を戻した。
「とにかく、小野さん前よりも明るくなったよな!」
「そ、そうかな……? でも確かに前よりは友達も増えて学校も楽しく感じてる……かな」
千鶴の言葉に陽太と静夜はそれぞれ微笑んだ。
「良かったじゃん! あ、これからもたまに時間ある時3人で話したりしようぜ!」
「小野さんが元気にやれてて本当良かったよ」
「うん、ありがとう陽太くん、静夜くん。あの、それじゃあそろそろ夕飯だから、また今度連絡するね!」
「おう! それじゃあまた!」
「またね、小野さん」
別れの挨拶を言った後陽太は電話終了のボタンを押して通話を切った。
「そんで? 陽太、昨日小野さんと何があったんだよ?」
通話が切れると同時に静夜はニヤニヤと陽太に詰め寄った。
「別に、昨日スタジオに向かってたらたまたま会ったから連絡先交換しただけだぞ! 急いでたからまともに会話も出来てなかったし」
「ふーん、そんで? 今日は電話で何話してたんだよ?」
「別にそんなのお前に話さなくていいだろ?」
頑なに拒否する陽太に静夜は日頃絡まれる鬱憤を晴らすかの様に質問した。
「何だよ? 俺にも言えない様な事話してたのかよ?」
「うぜえ! そんなんじゃねーし! 性格悪いぞ本当!」
「お前がいつも言ってくる事じゃん、お互い様だろ?」
静夜の言葉に陽太は何とか反論できないか言葉を探した結果。
「ぐぬぬ……もういい! もうお前と話さねー!」
「何小学生みたいな台詞言ってんだよ。別に話さないなら話さないでいいぜ」
そう静夜が突き放す言葉を言うと、陽太は即座に訂正した。
「ごめん、やっぱ今日出た宿題のとこまでは話す、で」
「結局かよ」
こうして双子の喧嘩とは言えないレベルの喧嘩は幕を閉じたのであった。
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