この恋の先にあるもの

朝倉舞衣

6

家に防犯カメラがあるのに気づいたのはつい2日前だった。普通の家が分からないからなんとも言えないのだが彼女の家は普通とは遠い気がしていた。最初に感じ取ったようにこの家は本家では無いらしく都心とも遠い場所にあるらしい。外に見える景色に人はおらず一軒家なのかそれとも何かで囲っているのか家も周りにはなかった。殺風景な部屋を見渡しやることも無くソファに座る。ここでの生活には慣れたが1日でもあの家のことを忘れたことはなかった。正確に言えば忘れられなかった。夜は毎日のように夢に出てうなされる。それはまるで呪いのように張り付いたまんまだった。
「まい、まい？」
「いやだ…」
怖い、誰かが追いかけてくる。あれは誰だか分からないだけど…
「落ち着いて、呼吸して」
そう声をかけられて彩さんの目を見る。静かにこちらを見る心配そうな目。
「あやさん…」
「大丈夫だよ」
そう抱き寄せられて自分が泣いていることに気づいた。
「あやさん、」
安心感と共に恐怖がまた押し寄せてきた。寝たくない。今日はもう嫌だ。あやさんが消えてしまいそうで。
「安心して。明日は一緒に出かけましょうか？」
そう笑った彼女の手は私をゆっくりベッドに押し倒した。彼女の綺麗な整っている顔が近付いてきて私の唇へと触れた。嫌じゃない。彩さんにならいいな。その想いが伝わったようにもう一度口付けをした。