6 / 9
6章
見えるあなたと見えない僕
しおりを挟む
「こんにちは」
「今日はお願いします」
そう言って松本駅の前で会う。今日はこの左手の処理をするらしい。塩尻にある事務所まで電車に乗って移動する。普段はあまり気にしてなかったが、やはり天野さんは目立つらしい。向かいに座っている男子高校生らしい男の子がこちらをチラチラ見ながら話している。それに気づいていないのか彼女はスマホを見ている。
「大丈夫ですか」
なんとなく心配になりそう聞くと少しすまなそうに
「多くて…」
そう言ってくる。朝早くから出ているため電車内は混雑しているが彼女が言っているのはそこじゃないのだろう。普通には見えない何かについてだろう。混んでいるといっても満員ではない車内を見ながらぼんやりと考える。東京のこの時間はもっとすごいのだろうな…。そんなことを考えていたら塩尻駅につく。ワインが有名で駅には本物の葡萄がなっている。初めて塩尻駅に来たがとても綺麗なホームで景色も良かった。
「いいですよね。綺麗で」
そう言って山の方を見る。外の空気を吸ったおかげか顔色は良くなっていた。そのまま駅を出て10分ぐらい歩いたところのマンションに事務所はあった。見た目からはそんな感じしないが意外と人は来るらしい。中に入ると一人の女性と夫婦らしい二人が揉めていた。
「それはお気の毒ですがそれはできません」
「娘は殺されたかもしれないんだ。娘に聞いて見て欲しいんだ。あなた方が頼みの綱なんだ」
それを聞いてか、天野さんは先に奥の待合で座るように言ってから一人の女性の隣に座る。俺は少し聞いてしまったため大人しく行くこともできずに待合の前を隔てる壁に寄りかかる。そこしだが会話は聞き取れた。
「こんにちわ。わたくし、天野 空と言います。こちらの柏井が何か失礼なことを致しましたか」
あの女性は柏井というらしい。
「娘に合わしてくれないんです」
妻らしき女性が泣きながらそういう。俺は前カフェで彼女が言ってた言葉を思い出す。娘を見てトラウマにさせてしまう。最愛の娘が見るだけでトラウマにさせてしまうほどのおぞましい姿になっているとは考えてもいないのだろう。
「娘さんに犯人を聞く。そうですか…」
「そしたらきっと娘も…」
「不可能です。私たちは超能力者ではなく、霊能力者なので。あなた方が望む娘さんはもうこの世にはいません」
そう告げた彼女の表情は見えなかった。夫婦は怒ることもこれ以上頼むこともしなかった。ただ黙ったまま下を向いていた。数分が経ち、帰るとこちらに天野さんがやってくる。
「聞いてたんですか」
その声と被るように後ろから柏井と呼ばれていた女性が出てくる。
「お、これはまた…」
そう言った彼女の目はやはりと言っていいのか左手を見ていた。それほどにやばいのだろうか…。
「そんなにですか…」
そういうととりあえずさっきまで話をしていた席に座らされる。
「如月にやらせればいいのに…。あいつの得意分野じゃん」
「如月は荒いし、強すぎる」
なんか自然な天野さんを見れて笑ってしまう。あの男もここで働いている一人なのか…。あの時もなんの連絡もなしに来れたのは霊かなんかが知らせに行ったのだろう。
「まぁ、意識持って触ろうとは普通しないはずなんだけど、相当変わっているのんだろうね。じゃあ手、出して」
向かい合って座っている柏井さんに左手を差し出す。そして彼女が俺の手に触れた瞬間、俺は気を失った。
「今日はお願いします」
そう言って松本駅の前で会う。今日はこの左手の処理をするらしい。塩尻にある事務所まで電車に乗って移動する。普段はあまり気にしてなかったが、やはり天野さんは目立つらしい。向かいに座っている男子高校生らしい男の子がこちらをチラチラ見ながら話している。それに気づいていないのか彼女はスマホを見ている。
「大丈夫ですか」
なんとなく心配になりそう聞くと少しすまなそうに
「多くて…」
そう言ってくる。朝早くから出ているため電車内は混雑しているが彼女が言っているのはそこじゃないのだろう。普通には見えない何かについてだろう。混んでいるといっても満員ではない車内を見ながらぼんやりと考える。東京のこの時間はもっとすごいのだろうな…。そんなことを考えていたら塩尻駅につく。ワインが有名で駅には本物の葡萄がなっている。初めて塩尻駅に来たがとても綺麗なホームで景色も良かった。
「いいですよね。綺麗で」
そう言って山の方を見る。外の空気を吸ったおかげか顔色は良くなっていた。そのまま駅を出て10分ぐらい歩いたところのマンションに事務所はあった。見た目からはそんな感じしないが意外と人は来るらしい。中に入ると一人の女性と夫婦らしい二人が揉めていた。
「それはお気の毒ですがそれはできません」
「娘は殺されたかもしれないんだ。娘に聞いて見て欲しいんだ。あなた方が頼みの綱なんだ」
それを聞いてか、天野さんは先に奥の待合で座るように言ってから一人の女性の隣に座る。俺は少し聞いてしまったため大人しく行くこともできずに待合の前を隔てる壁に寄りかかる。そこしだが会話は聞き取れた。
「こんにちわ。わたくし、天野 空と言います。こちらの柏井が何か失礼なことを致しましたか」
あの女性は柏井というらしい。
「娘に合わしてくれないんです」
妻らしき女性が泣きながらそういう。俺は前カフェで彼女が言ってた言葉を思い出す。娘を見てトラウマにさせてしまう。最愛の娘が見るだけでトラウマにさせてしまうほどのおぞましい姿になっているとは考えてもいないのだろう。
「娘さんに犯人を聞く。そうですか…」
「そしたらきっと娘も…」
「不可能です。私たちは超能力者ではなく、霊能力者なので。あなた方が望む娘さんはもうこの世にはいません」
そう告げた彼女の表情は見えなかった。夫婦は怒ることもこれ以上頼むこともしなかった。ただ黙ったまま下を向いていた。数分が経ち、帰るとこちらに天野さんがやってくる。
「聞いてたんですか」
その声と被るように後ろから柏井と呼ばれていた女性が出てくる。
「お、これはまた…」
そう言った彼女の目はやはりと言っていいのか左手を見ていた。それほどにやばいのだろうか…。
「そんなにですか…」
そういうととりあえずさっきまで話をしていた席に座らされる。
「如月にやらせればいいのに…。あいつの得意分野じゃん」
「如月は荒いし、強すぎる」
なんか自然な天野さんを見れて笑ってしまう。あの男もここで働いている一人なのか…。あの時もなんの連絡もなしに来れたのは霊かなんかが知らせに行ったのだろう。
「まぁ、意識持って触ろうとは普通しないはずなんだけど、相当変わっているのんだろうね。じゃあ手、出して」
向かい合って座っている柏井さんに左手を差し出す。そして彼女が俺の手に触れた瞬間、俺は気を失った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる