最弱魔術師が初恋相手を探すために城の採用試験を受けたら、致死率90%の殺戮ゲームに巻き込まれました

和泉杏咲

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第2章

僕の愛する国民達よ

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「ひい、ふう、みい……んー4人か。随分と残っちゃったな。君達凄いね。見事だ」
殿下は、大袈裟な動作で拍手をしています。
「いかがだったかな?僕の可愛いスイートローズちゃん」
「スイートローズ……ですか?」
つい、口を挟んでしまったことを後悔し、私は口を抑えましたが、殿下は私がその質問をしたことで、高らかに笑い出しました。
「美しい僕にふさわしい魔術だと思わないか?」
「そ、そうです……ね……」
私は自分が発した言葉で、自分が目の前にいる為政者に怯え、恐怖していることに気づきました。
声がうまく出せません。
歯がぶつかり合い、カチカチと口から音が出ます。
たった今、自らの魔術によりあっという間に人を人でなくした殿下が、とても不気味に思えたのです。
殿下は、私の震える手を取りました。
「この手が、僕のスイートローズちゃんを……やったんだね」
殿下の声のトーンが一気に下がりました。
やった、というのは先ほどの風のことでしょう。
殿下は私の手の甲に、触れるだけの軽い口づけを落とし、ゆったりと離れました。
私はその瞬間、足から崩れ落ち、地べたに座り込みました。力が入らなくなりました。
殿下はそんな私の様子を全て見届け、微笑を浮かべています。
「まあ、ここで全滅になっても面白くないからね」
殿下がそう言うと、今度は地面が割れる音がしました。
広場が二つに割れ、地下へ続く階段が現れたのです。
「早速、次へ進んでもらおうか。僕の愛する国民達よ」
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