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3.リーゼVSそれぞれ

恋愛成就のパワースポット

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 そうして始まった「ああ、殿下ってこんなに男として頼もしいお方ですのね!作戦!」の最初は、デートの鉄板中の鉄板。街の人気カフェで紅茶とアフタヌーンティーを嗜むこと。
 提案したのはアレクサンドラだった。
 ニーナは、エドヴィン王子とリーゼが馬車に乗り込むのを見ながら、作戦会議の様子をぼーっと思い出していた。

「アフタヌーンティーなら、城でも用意できるが。パティシエを城に呼ぶだけでいいだろう」

 と言うエドヴィン王子の頭を、華麗な手捌きで扇子で叩きながら、アレクサンドラは自身ありげに言った。

「お馬鹿さんですの。ねえ、殿下?1度、それで失敗したのをお忘れですの?ねえ、ついさっきのことですのに、ねえねえ、ねえねえねえねえ」
「い、痛い!やめろアレクサンドラ!」

 エドヴィン王子の頬を、ツンツンと扇子で突きながらアレクサンドラはさらに言葉を続けた。

「恋愛というのは、いかに、非日常を演出できるかが鍵なんですのよ。そして、私がすでに手配した喫茶店は、恋愛成就のパワースポットと言われる程、カップル未満の方々が勝負に出ているとっておきのスポットですの」
「な、何……!?」

 エドヴィン王子の顔色が変わったのを、ニーナは見逃さなかった。
 と同時に、この2人の間には、一般的に考えられているものとは逆の上下関係が作られていることを察した。

「その喫茶店に行き、2人でケーキを突き合ってお互いを語り合えば、いつしか恋愛モードになって、帰る頃にはイチャイチャモードになると、大評判なんですって。いつもでしたら満席なんですけれど……今回は殿下の視察という名目で急遽貸し切りにさせてもらいましたので」

 行動力ぱねえなほんと、と、ニーナは思った。

「貸し切りということは……」
「殿下が行くことは店長には話を通してありますから。見張りは店の外につけておけば、店員とあなた達お二人だけのパワースポットの出来上がり、ですわ」
「な、なるほど……それはいいな……」

 
 そんな出来事があった昨日の流れを思い出しながら、ニーナは思った。
 「ほんと、推せるポイントもあると言うのに、基本的にはちょろいんだよな、この王子は」と。
 だが、そんなことはもちろん言えるはずもなく、本日を迎えたのだった。

 リーゼとエドヴィン王子を見送ったアレクサンドラは、意気揚々とこう言った。

「さ、私たちも参りましょ」
「承知いたしました」

 そうして、アレクサンドラと一緒に別の馬車に乗り込み、2人の場所の後を追った。
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