90 / 164
4.なぜ彼女を好きになったのか
いつも、ああなのか?
しおりを挟む
「どういうこと!?私と殿下がいつ、どこで逢引きしたって!?私はずーーーーーーっと、ニーナと一緒にいたのよ、ねえ、そうでしょう」
「ええ。それはもう、蜜愛文庫の中身を元に、あれやこれやと殿下とリーゼ様の展開の妄想を聞かされていましたから」
中には……リーゼ様は全く問題ないだろうが、あっちは未経験で、かつリーゼのことを妖精さんだと言ってしまうくらいには、恋愛脳内お花畑王子には刺激が強い内容もあった。
そんなことを自分の変態雇い主が知ったらどんな反応をするのだろうか、とニーナは妄想するのが少し楽しかった。
推しカプの片割れとほぼほぼ同じ趣味を持っているのを喜ぶのか、はたまたショックを受けて寝込むのか。
どちらになっても、まあめんどくさいだろうな、という感想が妄想のラストだった。
「いや、俺だってそんなつもりは全くない。が……リーゼ嬢が……道端や噴水の前に連れて行ってくれというものだから」
他にもエドヴィン王子はリーゼに連れ回された、という場所の名前を挙げたが、そこは普通のカップルであれば手を繋いだり、腕を組んで歩くような場所。
エドヴィン王子も普通の状態だったらさぞ嬉しかったに違いない。
だが。
「…………殿下。場所をあげる度にどうして表情が暗くなっていくんです?」
「いや…………その…………リーゼ嬢が俺に、俺とアレクサンドラがいかに推し……?かを語るものだから……」
「あー…………」
あれを、よりによって本人にぶつけたのか、とニーナはエドヴィン王子に同情した。
「ちょっと変装しただけで、全く気づかれないのもどうかと思うし、好きな女性に全く興味がない女性とのカップリング……?がいかに素晴らしいかを語られて……俺はもう……」
「どうしてそこで言い返さないの!へたれ!」
「アレクサンドラ様、きっと無理だったのでしょう。それこそ、言葉を挟ませてもらえるゆとりすらなかったのかと……ですよね、殿下」
「…………いつも、ああなのか?」
「はい」
「本当に?」
「はい」
「…………そうか…………」
ずーんと落ち込むエドヴィン王子と、そんな王子を死んだ魚のような目で見つめるアレクサンドラを見比べながら、ふとニーナは1つの可能性に気づいた。
「やっぱり、その方法がいいのか……」
「ええ。それはもう、蜜愛文庫の中身を元に、あれやこれやと殿下とリーゼ様の展開の妄想を聞かされていましたから」
中には……リーゼ様は全く問題ないだろうが、あっちは未経験で、かつリーゼのことを妖精さんだと言ってしまうくらいには、恋愛脳内お花畑王子には刺激が強い内容もあった。
そんなことを自分の変態雇い主が知ったらどんな反応をするのだろうか、とニーナは妄想するのが少し楽しかった。
推しカプの片割れとほぼほぼ同じ趣味を持っているのを喜ぶのか、はたまたショックを受けて寝込むのか。
どちらになっても、まあめんどくさいだろうな、という感想が妄想のラストだった。
「いや、俺だってそんなつもりは全くない。が……リーゼ嬢が……道端や噴水の前に連れて行ってくれというものだから」
他にもエドヴィン王子はリーゼに連れ回された、という場所の名前を挙げたが、そこは普通のカップルであれば手を繋いだり、腕を組んで歩くような場所。
エドヴィン王子も普通の状態だったらさぞ嬉しかったに違いない。
だが。
「…………殿下。場所をあげる度にどうして表情が暗くなっていくんです?」
「いや…………その…………リーゼ嬢が俺に、俺とアレクサンドラがいかに推し……?かを語るものだから……」
「あー…………」
あれを、よりによって本人にぶつけたのか、とニーナはエドヴィン王子に同情した。
「ちょっと変装しただけで、全く気づかれないのもどうかと思うし、好きな女性に全く興味がない女性とのカップリング……?がいかに素晴らしいかを語られて……俺はもう……」
「どうしてそこで言い返さないの!へたれ!」
「アレクサンドラ様、きっと無理だったのでしょう。それこそ、言葉を挟ませてもらえるゆとりすらなかったのかと……ですよね、殿下」
「…………いつも、ああなのか?」
「はい」
「本当に?」
「はい」
「…………そうか…………」
ずーんと落ち込むエドヴィン王子と、そんな王子を死んだ魚のような目で見つめるアレクサンドラを見比べながら、ふとニーナは1つの可能性に気づいた。
「やっぱり、その方法がいいのか……」
0
あなたにおすすめの小説
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
年増令嬢と記憶喪失
くきの助
恋愛
「お前みたいな年増に迫られても気持ち悪いだけなんだよ!」
そう言って思い切りローズを突き飛ばしてきたのは今日夫となったばかりのエリックである。
ちなみにベッドに座っていただけで迫ってはいない。
「吐き気がする!」と言いながら自室の扉を音を立てて開けて出ていった。
年増か……仕方がない……。
なぜなら彼は5才も年下。加えて付き合いの長い年下の恋人がいるのだから。
次の日事故で頭を強く打ち記憶が混濁したのを記憶喪失と間違われた。
なんとか誤解と言おうとするも、今までとは違う彼の態度になかなか言い出せず……
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる