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6.二人が結ばれしまった夜

私のセックスフレンドよ

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「……アレクサンドラ様、お聞きしても?」
「なんでしょう、隊長」
「…………その表情、私が聞きたいこと、分かってますよね」
「なんのことかしら」

 アレクサンドラは「早く!早く聞いて!語りたくてうずうずしてるの!」というセリフをぶん投げてくるリーゼと同じ目をしながらニーナを見つめていた。
 ニーナは、ことをせっせと運ぶためにその視線にわざと乗ってあげることにした。そうすると上機嫌になって、何かしらのいいこと……例えばお給金が少し追加されるなど……がやってくることも、経験済みだったから。

「その、エドヴィン王子の正装と、エドヴィン王子の髪型に寄せたかつらを被せているけど、顔立ちは全く違う殿方は、どなたですか?」

 ニーナは、リーゼがいなくなった瞬間にアレクサンドラがべったりと寄り添っている男性の正体を確認した。
 ちなみにリーゼは、ぼんやりメガネ効果もあり、アレクサンドラがべったり男の方をエドヴィン王子と信じているようだった。
 とはいえ、体格はエドヴィン王子より少し大きめ……というより、筋肉が少し盛り上がっている印象をニーナは受けた。

「え?私のダーリンよ」
「だ、だー!?」
「ふふ、そう。私専属の男」
「あ、アレクサンドラ様……!!その言い回しは外ではしないと」
「あら、ニーナは特別よ、だって私の魂の親友なのだもの」

 いつ、そんな大層なものにさせられたんだよ、とニーナは心の中でツッコミを入れつつ……慌てふためく様子と、アレクサンドラに対して敬語を使う男の正体の方が気になった。
 どこかで、見たことがある気がしたから。
 ニーナは、リーゼとの「推しカプ最高!!」とリーゼが叫ぶ記憶をうまいこと掻き分けながら、アレクサンドラ単体に関する記憶を必死で呼び起こす。
 そうして1分後、ニーナは目の前のコワモテ顔がいついかなる時もアレクサンドラの後ろに控えている騎士と同じだということに気づいた。

「あの……アレクサンドラ様、もしかしてその方……アレクサンドラ様のお家の騎士の方ですか?」
「いいえ」

 え、違うの?とニーナが口を開こうとした時

「私のセックスフレンドよ」

 あっけらかんと、美女の口からとんでもワードが飛び出して、ニーナとセフレ呼ばわりされたコワモテ男が凍りついた。
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