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6.二人が結ばれしまった夜

こういう人の「言い忘れ」ほど重要事項が多い

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「つまり、こういうことでよろしいですか?」

 ニーナは、目の前でいちゃいちゃいちゃいちゃと、うざったらしいくらいベタベタお触りし合ってる、格好だけはこの国1番のカップル(外野だけが騒いでいる)をなめくじを見るような目で見ながら結論づける。

「アレクサンドラ様は、その方を殿下として扱ってリーゼ様を騙して、一方で別人のフリをした殿下が本番をキメるということで間違い無いでしょうか」

 本番というのはもちろん、告白なんて生ぬるいものではない。
 ベッドで最後まで。
 それはもう、口にしなくてもニーナとアレクサンドラの間ではしっかり認識は揃っていた。

「ここまでお膳立てして差し上げたのですわ。あのチンアナゴがちゃんと機能してくれなければ困りますわ」

 別にチンアナゴではないんじゃないか、というのは、これまで偶然見てしまったあれやこれやのおかげで、推察できてしまったニーナだった。
 とはいえ、気になることは他にもあったりはする。
 エドヴィン王子の髪型と服だけは同じ、筋肉ムキム騎士は言うなれば、衣装に着られてる残念な着せ替え人形状態。
 正直、リーゼ以外の人間には「いや、ぜってえ違う」が丸わかり。
 もし他の貴族を招待していたとしたら、あっという間に広まって、色々よからぬ噂を立てられるのはまず間違いない。自分ならやるから。

「アレクサンドラ様、ちなみにですが……他の出席者は?」

 ニーナは、リーゼ対策担当だったこともあり、実際この舞踏会がどのように行われるかは聞いていなかった。

「ああ、そうそう。言い忘れていたけれど」

 こういう人の「言い忘れ」ほど重要事項が多いのだということを、ニーナは職業柄よーく知っていたので、途端に胃がキリキリし始めた。

「あなたも、着替えて欲しいのよ」
「…………え?」

 何に?と尋ねる前にアレクサンドラがパンパン、と手を叩くと

「わっ!?」

 どこからともなく現れた、自分と同じ職種であることが一目でわかる人たちにあっという間に囲まれたニーナだった。
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