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6.二人が結ばれしまった夜

うるさいエロ令嬢、しばくぞ

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「………………アレクサンドラ様、これ、どういうことです?」
「あら、思った以上に似合ってるじゃない。胸も思った以上に大きいわね。ウエストはちょっときつそう」

 うるさいエロ令嬢、しばくぞ、と言いそうになるのを堪えたニーナは、ぐっと唾を飲み込んでから 

「一体、この格好はどういう意味ですか?」

 と、アレクサンドラに無理やり着せられたドレスを指差しながら言った。
 ちなみにニーナは、同じ人種達に好き勝手に髪の毛やら顔やらいじられた結果を鏡で見て、非常に嫉妬もしていた。
 自分もそこそこヘアメイクの腕はある方だったのに、自分のなんの特徴もない白い壁顔が、自分ではなかなかできなかった「まともな女顔に仕立て上げられた」ことが、非常に悔しかった。
 絶対このやり方パクってやると心に決めながらも、まずは何故自分が、着飾られているのかの事情を知る必要があるとニーナは思った。

「あなたにも、令嬢のふりして参加してもらうわよ」
「頭のネジ拾ってきましょうか?」
「しっかりしまってるから安心しなさい」

 別に安心したいわけじゃない、とニーナはツッコミたかったが、そこも一応立場上は我慢した。

「考えてもみなさい。私とリーゼ様だけ参加していたら、流石にリーゼ様も怪しむでしょう?他に参加者がいないのかって、聞いてくるかもしれない」

 そこまで聞いて、ニーナはもう言いたいことがわかった。

「つまり、リーゼ様に嘘の試験だとバレないために……私にも舞踏会で踊れと、そういうことですか?」
「さすが私が師匠と認めただけのことはありますわ」
「ちなみにこのドレスは……」
「もちろん、私のよ。これを思いついたのが今日だったから、ドレスの準備をする時間がなくて」

 そういうことじゃねえ、とニーナは心から叫びたかった。
 アレクサンドラの細いウエストに合わせられた結果、今内蔵ごと握りつぶされているような感覚がニーナを支配していて、食べたものがこんにちはしそうだ。
 で、アレクサンドラは……言うなればこの国で2番目に金持ちの家の令嬢。
 そんな人間のドレスなんて、国宝級に違いない。
 実際、あちこちに散らばってる宝石が重すぎて仕方がない。
 この状態で、食べ物をこんにちはさせて汚しでもしたら……想像するだけで、ますますこんにちはしそうだと、ニーナは思った。

「今からでもドレス変えられませんかね」
「いやよ」
「何故です」
「隊長にはそのドレスが似合ってると思ったんだもの」
「っ!?」
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