聖剣なんていらんかったんや~苦し紛れに放った暗殺者が魔王を倒して世界を救ってしまったのだが~

余るガム

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第4章 悪魔の金貨は誰のもの?

三人

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「ふぅ、これで20人目、と……」

 アンドリューがため息をつきながら、そんなことを言う。

 場所は交易都市の路地裏である。
 この街は自然発生的に生まれたような街ではなく、この海岸を有する領主が港湾施設として開発していった、極めて人工的な交易都市である。

 そのため、この街は港から物資を街全体に供給する一連の流れが計算されていたり、上空から俯瞰して見ると碁盤の様に法則的に区画整理されていたり、いざ軍事侵攻を受けた時の兵士の導線が明確に設計されていたりする。
 こうした設計によって、街中で起こる問題は徹底的に矮小化されている。

 言い換えれば、この交易都市は城塞都市としても極めて優秀な設計をしているのだ。
 背後が海によって断絶されている立地もまた、その堅牢さを後押しする。

 当然、こんなものを正面から突破しようとするなど愚の骨頂。

 そもそも、城攻めは防衛側の4倍の兵数がいるとまで言われるのだ。
 これをひっくり返そうと思ったら、本当に4倍の兵士を持ってくるか、並みの兵士より4倍以上強い精鋭を引き連れてくるか。

 そして最後の手段。
 内応、裏切り、賄賂と甘言。
 隠密による、内側からの攻撃しかない。

 外の陣容を見る限り、その兵数が4倍という事は無い。装備を見る限りでは、武装神官団の様な精鋭はいないか、いたとしても超少数。
 となると、最後の負け筋はそうした搦め手のみとなる。

 その搦め手を担当する密偵が入り込んだ端から切り殺していくのが、今のアンドリューの仕事であった。

「しっかし、この街の防諜はどうなってるんだ……」

 これまでに仕留めた諜報員の数は20人。いずれも魔力を持たない常人である。
 まぁ教国の諜報員というだけで、その練度はある程度折り紙付きみたいなものだが……それにしたって、ほとんど素通しの様なものだ。

 ちなみに、このカラクリは結構単純で、ザルな検問が一つあるというだけだったりする。

 より正確には賄賂が効くタイプの衛兵がいる検問が1つある、という意味だ。
 クイームが突貫工事の偵察を強行しきれた理由が、ここにきて相手にも味方している。『ザル警備』と『融通が利く』が如何に大差のない状態かがよくわかるというものだ。

 まあ別に、どれだけ密偵が中に入り込んでいたところで余り意味が無いと言えばその通りだ。
 仮にこの街の全ての意志ある存在が『降伏』を選択したとしても、ある意味アンドリュー達には関係ない。

 しかしながら、出来れば、出来るだけ静かで目立たないファーストプランで行きたいのも事実。
 そのためには、ファーストプランの要であるクイームが返ってくるまでの時間を稼がなければならない。

 時間稼ぎとして最も有効なのは、相手に警戒をさせ、その上でこちらからは手を出さない事だ。
 放った密偵が全滅して、街の内情が一切分からないとなれば、相手は警戒をすることになるだろう。

 そんなわけで、アンドリューは今しばらく、教国からの密偵を始末することに腐心しなければならないのだった。

◆◇◆◇

 シャーロットは宿の窓から空を見上げて、何度目かになるため息を吐いた。
 今回は非常に急ぐことになる。クイームが北にある別の港町に仕事をしに行ったが、ある程度余裕を持たせたスケジュールで『門の創造』を発動するには、時間が足りない。

 そこで今回は、尋常ならざる飛行能力を持つ10号を連絡要員として使う。

 クイームが現地で仕事を終えた時、クイームはこの10号をシャーロットに向けて放つ。
 10号は『制空権の確保』を主眼に置いた性能調整が施されており、最高傑作の12号ほどではないが、複数の能力を持つ。

 最も特筆するべき能力は、『ハリオアマツバメの飛行能力』である。

 この鳥の最高速度は、時速350㎞を叩き出す。

 このスピードはハイエンドクラスのスポーツカーと同じぐらい、或いは新幹線の相場よりもやや上ぐらいの数値である。
 ハッキリ言って、内燃機関すら存在しないこの時代においてはあり得ない速度だ。

 勿論これはあくまでも最高速度の話であって、初速はそう大したものではないが……いずれにせよ、こいつを伝書バト代わりに使えば、鳩を遥かに超えるスピードで意思伝達ができる。
 10号を放ってからシャーロットの所につくまでは、おおよそ2時間かからないぐらいだ。鳩であれば3日は掛かる。

 そうしてクイームから飛ばされた連絡を受けたら、行きの時と同じ場所に『門の創造』を発動する。

 あと1日2日は余裕があると見てこういう仕儀となった訳だが……予想より進軍が早かった。
 アンドリュー曰く、『兵士の数が少なかったので、その分進軍速度が増したのだろう』とのことだ。

 勿論、今すぐクイームに連絡を付ける事は可能である。
 シャーロットからすれば容易い事だ。ほんの一言、『届け』と呟き言葉を送ればそれで事足りる。

 一方で、クイームの仕事内容とその報酬を事前に聞いているシャーロットからすれば、その仕事の難易度も重要性もよくわかっている。
 こちらから変に連絡を付けて、集中を削いで失敗すれば、それはそれで大きな損失だ。

 故に、シャーロットは台本を書くという仕事をしつつも、ずっとやきもきしながら空を見上げているのだった。

 結局、本来の台本を書く仕事については、碌に進まなかった。

◆◇◆◇

 クラウンは港にて、西方海洋互助団の長、ドーゼから給金を受け取っていた。
 ドーゼからは、事前に『あなたのおかげで雇う人数が随分と削減できたので、その分を上乗せしてある』と言い含められていたので、そこそこ期待しながら受け取りに来ていた。

「クラウン・ルールーさん」

 呼ばれたので、ドーゼの元へと赴く。
 他に雇われた人間はいない。正確には、先程まではそれなりにいたのだが、皆給金を受け取ったらとっととどこかへと行ってしまったのだ。

 戦争が起きるこの街から脱出するのか、家族と共に家の護りを強化するのか、或いは志願兵募集の広告へ応募にでも行ったのか……どれにせよ、成功率は微妙な所だが。

 実のところ、ドーゼとしてはこの状況をある程度予見していた。

 今のこの街は非常事態の真っただ中にある。しかしいくら非常事態でも先立つものが無ければ何もできない。
 志願兵となるにも、腹ごしらえが出来ないのなら弾かれるだろう。家の護りを強化するための材木にだって金は掛かるし、立てこもるなら食料もいる。脱出をするにしたって、最有力候補は衛兵に賄賂を贈ることだが、足元を見られる公算は高い。

 そして金があっても、同時に時間も足りない。
 飯は食うにも時間が掛かるし、金があっても材木が無ければ買い付ける事は出来ない。
 賄賂は一見何時でもいいかのように見えるが、衛兵が求める賄賂の金額は当人の肌感に寄るところが大きい。他の脱出者から散々に賄賂を貰った後になってから、更に汚職をはたらかせるためには、より大きな金額が必要となる。そして短時間でドンドン汚職をさせれば、当然上役にバレる可能性も高まっていき、賄賂を受け取る衛兵そのものが更迭され、脱出経路が1つ潰れてしまう事になる。

 故に金と時間、その両方を激しく必要とする彼らが、金を受け取ったらさっさとどこぞへ出発する事は予見できたことだった。

「随分遅かったね。最後にまで回すとは」
「ははは……君に渡す給料袋は、特に大きいものになるからね。他の人間たちが見たら、嫉妬で良からぬことを考えるやもしれない。気遣いって奴さ」
「なるほどね。まぁ、正直余計なお世話だけど……気持ちは有難く受け取っとくよ」

 本当に余計な一言を付け加えたクラウンに苦笑しつつ、少し離して隠してあった袋を取りに行く。

 この説明自体は嘘ではない。
 事実、戦争が近づくとモラルハザードが起きるのはよくある事だ。そもそも、戦争自体が純粋なるモラルハザードの結晶みたいな所もあるのだから、当然と言えば当然か。

 その状態において、嫉妬の的になっていると言うのが大変に危険な状態である事はクラウンにも分かる。
 言ってしまえば、ある種の無法地帯になるのだ。無法地帯においては、『気に入らない』と判断されること自体が『有罪』となる。

 しかしドーゼにとっての本命……本当に狙った効果は、気遣いなどではない。

「じゃ、私もこれで」
「その前に、少し良いかな?」
「……なんだい?」

 クラウンはうんざりした様な表情を露骨に表に出していたが、そんなもので怯むような人間が営業など掛けたりはしない。

「どうやらお察しのようだけど……クラウン、ウチに……西方海洋互助団に入らないか?」
「はぁー……まぁ、そんなところだとは思ったよ」

 これがドーゼの本命である。
 仮に、これが他の人間が多くいる状況であれば、こうすることは出来なかった。

 戦争目前となっているこの街から脱出するにあたって、最も有力な選択肢の一つが『衛兵に賄賂を贈って検問を通過する』であることは上述したとおりだが、この選択肢が最も有力であるからこそ、競合となる人間も多くいる。
 それによって賄賂は釣り上がり、衛兵が更迭されるまでのチキンレースが始まってしまう。

 だが、これを避けた別の脱出ルートも数多く存在する。
 『交易船に乗り込んで、海路で別の街へ逃げる』と言うのは、贈賄を除けば有力候補の1つである。

 西方海洋互助団への勧誘とは、すなわちこの手段を取って脱出できるだけの『空き』が、西方海洋互助団の船に存在することを示しているに等しい。

 実際、西方海洋互助団は、この手の脱出に関しても手引きしている。
 兵士が脱出すれば敵前逃亡の軍紀違反であり、同時にそれを手引きする事は犯罪に該当するが、兵士でも何でもない民間人の脱出は何の罪でもない。
 民間人を徴兵して軍の頭数を稼ぐタイプの国であれば、また話が変わってくるのだが、この街は金があるものだから、いわゆる『職業軍人』が数多くいる。

 総じて良い顔はされない事業だが、間違いなく人命救助にはなっている。
 勿論、事業である以上はきっちりと足元を見させてもらうが。

 しかし、今の全員が金を貰うや否や速攻で立ち去る様な状況でこれを提示すると、ドーゼでも抑えきれないほどの暴動や混乱につながる可能性がある。
 そのため、最大限他の耳目が存在しない状況で切り出す必要があったのだ。

「それで、どうだろうか? この街から脱出できるだけでもメリットではあるだろう? 勿論色々と働いてもらうことになるが、犯罪や人道に悖る行為は絶対にしないと誓う。それにウチは仲間を大切にするグループだ」
「アットホームな職場です、ってかい? 私は……あー、正確な所は全く証明できないけど、少なくとも自分の認識としては、西方人じゃあないんだけど?」
「それは問題ない。君は容姿からして西方人に近しい所があるし、そもそも別に人種でどうこうって話じゃないからね。要するに、他の仲間に敬意をもって、調和するつもりがあるのであれば十分なんだ」

 郷に入っては郷に従え、という奴か。
 或いは、生みの親より育ての親か。

「逆に、例え同じ西方人であっても無法者や無頼漢の類は仲間にしたりしない」
「なるほどねぇ……まぁ、耳障りは良いよ。その土地の文化に馴染もうとする努力、度量が大切って話には、共感するところもある」
「分かってくれるか。なら!」
「だがね。そもそもの話なんだが……アンタら、この東方大陸の文化に馴染もうともしてないじゃあないか」

 クラウンの思う、西方海洋互助団の歪みとはそこである。
 東方大陸に馴染んで、西方異大陸の文化を伝来させる訳でも無く、ただ東方大陸から逃れて、少し離れた遠洋で西方人だけで寄り集まっている。

 これで『郷に入っては郷に従え』など片腹痛い。

 やっていることは『郷より逃れて郷を生み出せ』だ。
 それは確かにある種の楽園を作り出せるだろうとは思うが、巨視的に見ればただの異分子、目の上のたん瘤でしかない。

「それは……まぁ、西方人だからね。差別的な扱いを受けることも多くて」
「そうかい。その西方人に似たような容姿をしている私は、別にそんな扱いを受けたこともないけど……まぁ、それは単純に私が屈強過ぎただけかもしれないか」

 実際問題、仮に人種差別で石を投げられたところで、クラウンには物理的には傷1つつかない。

「いや、けどその辺を抜きにしてもスケールが小さすぎるね」
「スケール……?」
「アンタ、変に頭が良いから、縮こまっちまうのさ。もっと足場を丸ごと壊す様な滅茶苦茶な話をぶち上げてくれないと、ついていきたいって面白さが無い」
「足場……」
「少なくとも、かつてはそうだったから、こんな東方大陸くんだりまで来たんだろ?」

 クラウンが給料袋を受け取る。
 そして立ち去っていく姿を見ながら、ドーゼは物思いにふけっていた。
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