幼馴染でマジカルなアレが固くなる

余るガム

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第二部 高校生編

因縁のゲームってなんか燃える・・・燃えない?

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 財前たちをどこぞへ送った島崎さんを迎え、全体の講評をする。

「今回は渡辺君張り切ってましたねえ」

 既に仮面は外してあり、全員素顔のままだ。

「張り切ってた?」
「そうじゃないですか。だってあんなルール普段使わないでしょう。適当に負けて終わりじゃないですか」
「え、じゃあ今回も負けるつもりだったってこと?」
「ん、まあ・・・そうだな」
「じゃあ何勝ってんだよ、お前」
「渡辺君あれでしょ。新人君が居るからいいとこ見せようって張り切っちゃったんでしょ」
「うるせえですよ、島崎さん」
「男にデレられてもなぁ・・・」
「デレてない! おれはデレてない!」

 珍しく男三人だけという事で、話も弾む。
 しばらくの歓談の後、報酬の話と相成った。

「じゃあこれ、約束の20万な」
「お、おう・・・なんかあの勝負見た後だと安く見えるな」
「落ち着け、充分大金だ。一カ月かけてこれくらい稼ぐって奴だって多いんだぜ? 日当にしちゃ、最高の部類だろうさ」
「闇バイトとしては最奥の部類だったけどな。賭博に人身売買に違法取引に毒物に・・・上げたらキリがない」
「ま、だからこその日当ってことで」

 渡辺は拘束されたままの人間たちを見やる。

「十六人かー、何に使おっかなぁ。もう法律もITも語学も大体網羅してるしなぁ。あ、そういやこないだ空手潰れたんだっけ。じゃあ一人はそうして・・・島崎さんなんかあります?」
「カポエイラを習得させよう」
「あー、足技はムエタイあるんで、別ので」
「じゃあラップバトルとか?」
「もうそれぐらいしかないっすよねー・・・いつ使うんだそんなスキル」
「さあ?」

 この十六人、これから何されるんだろうか。
 なまじ聞き馴染みのある単語が多々あるせいで逆に得体が知れない。

「あ、そうだ」
「お? どうした」
「いらないんなら、一人くれないか?」
「なんでまた? お前人間捌ける様なルート持ってるわけでもないだろ。人間捌く様な趣味があるとも聞かないし」
「いや、実の所顔見知りが一人いてな。このまま得体のしれん処置をされても寝覚めが悪い」
「じゃあお前が受け取っても同じじゃないか? 養う様な財力もねーだろ。すぐ解放するって事?」
「そんなところだな」
「で、どれ?」
「それ。その・・・デブいの」

 圭希を指さす。
 拘束が肉に食い込んで妙に扇情的に見えるが、少々肉が多すぎて萎えるのは俺だけだろうか。

「これか。まあ別に良いけど・・・タダ、ってわけにはいかないのは分かるな?」
「ああ、そりゃそうだ。何が欲しい?」
「交渉事で言い値を渡すとはなってないな」
「俺にはお前たちが何を求めているか分からん。金もそんなにない。なら俺からお前たちが毟りたいものを知るためにも、必要な事だ」
「そうか。しかしここで要求して、ハイ分かりましたと契約成立しても粋じゃない」
「つまり?」
「ギャンブル、だな」

 渡辺は楽しげに笑う。

「今日はあの爺のおかげで結構楽しかったが、所詮は杓子定規。張ってた罠にかかったってだけで実感という奴はあまりない。狩りを生業にするんなら効率を求めるのは当然だが、趣味にするんなら興奮というプラスアルファがないと」
「ほーう? 俺は獲物だと?」
「その通り。しかしただの獲物じゃない。きっちりこっちを殺しに来る獲物だ。イエイヌよりエゾオオカミの方が狩り甲斐がある」

 認めてんだか侮ってんだか・・・まあいい。

「じゃあ言ってもらおうか。俺に何を求める?」
「俺たちのボスに会って欲しい」

 意外・・・は意外だな。
 てっきり『仕事を一つ頼みたい』ぐらいは言ってくるかと思った。詳細を伏せて要求されても俺はそれに逆らえないのだから、青天井の掛け金を入れることになると思っていた。

 まあものによっては『じゃあいいや』と圭希を切り捨てるつもりでもあったのだが。

「安心しな。本当に会うだけだ。実の所、俺が受けてる命令ってのがそれでな。お前をボスの前に引っ立てて来い、という訳だ。まあいくらかの勧誘ぐらいはされるかもしれないが、別に断ってもいい。前にも言ったが超能力者どうぞくに強要しないってのが流儀だからな」
「同族、ね」

 前々から思っていたが、こいつら超能力者が物を語る時、必ず『人間』と『超能力者』を別枠にして考えている。
 人間の優等種族、と財前の護衛の一人は言っていたが、それは的を射ている。

 だがそれは俺と相容れない価値観だ。
 それはつまり、俺となじみの仲を認めないという意味になる。

 たとえすべての超能力者を敵に回すとしても、それを俺の中に落とし込むことは無いだろう。

「OK、じゃあ俺はそいつを・・・呼び名に困るな。『デブ』でいいか・・・そのデブを求める」
「OK、じゃあ俺はお前がボスに会う事を求める」

「天秤に誓おう」

 二人の宣誓が部屋の中を叩き、世界を歪ませ、光の天秤を空中で編む。

「さて行うゲームだが・・・」

 渡辺は周りを見る。
 何とも雑多な部屋だ。渡辺専用の仮眠室か? クロップス、カード、バカラ、チンチロ、麻雀・・・色々あるな。全部玩具道具だ。ん、あれはバックギャモンだろうか。

 人間サイズの生物が二十人近く入って尚狭さを感じない幅がこの部屋にはある。
 しかしじゃあテニスをするかという程ではないが、大きめの人生ゲームを広げるくらいの余裕はある。

「まあ俺たちでのゲームっつったら、これしかねえだろ」

 そう言って渡辺は割り箸を投げてきた。
 数は・・・・10本か?

「くじ引きだ」

 成程、確かに俺たちには相応しいゲームだな。思えば最初のゲームからして、そうだった。

「ここに付箋がある。それに黒のサインペンで1~5までの数字を書き、更に赤のサインペンで割り箸に印をつける。番号を言って相手の割りばしを選択し、そこに赤のサインペンでの印がついてたらあたり。そうだな、先に五回あたりを引いたら勝ち。こんなところか」
「割り箸は50本用意してくれ。あたりを引く度に5本全部変えよう。変えるときは本人じゃなくて、相手が選ぶ」
「OK」

 多分元々そこから出したのだろう。割り箸の徳用パックみたいなのを丸ごと持ってきた。
 明らかに50より多いが・・・まあ多い分には問題ない。

「はい付箋」

 これまた、明らかに5枚より、というか50枚より多い。
 割り箸だけでなく、こちらもゲームごとに切り替えてよい、という事か。まあ付箋はあたりと関係しないから、粘着力が落ちてきた時用かもな。

「じゃあ割り箸くじ、開幕だね」
「先攻後攻は?」
「コインでいいだろ」

 トスしてこちらに聞いてくる。

「どっち?」
「表」
「・・・あ、表だ。じゃお前が先攻な」

 ルールを見た限りではこのゲームは先行優位。ひとまずはアドバンテージを取れたが、まあそう大きくもあるまい。

 付箋に1~5の数字を書き、割り箸にも印をつけ、2つを合わせる。
 渡辺も同じ様にした。

 俺は雑多に握っているが、渡辺が扇かトランプの様に握っている。

 さて、何番を選択するか・・・。

「ああそれと、当然『超能力を使わないなら』イカサマはアリだよ」

 うーむ、一気に疑うことが増えたな。
 いやまあ、多分『超能力を使わないなら』というのは本当だ。さっきの財前との戦いを見てもそう。こいつは常に理論によって財前を追い詰めていたし、それに快感を覚えている部分も見受けられた。

 相手と同じ土俵で、相手を超越することが大切なのだ。

 絶対無敵のイカサマチートなんて面白くないという感覚は俺も抱いたことがある。だからこそ、理解できるし共感できるし確信できる。そんなことはやらないと。

 しかしだからこそ、『超能力を使わないなら』こいつは十分イカサマもやってくるだろう。
 相手が見抜き、欺き、逆手に取れるならイカサマまで含めてゲームの一環と言い切る男だ。

「つまり、お前はイカサマをしていると?」
「勿論してるとも。どうやってかは言わないけど、何が起きるかは教えてあげよう。俺はお前と同じ番号をあたりにした」

 本当に楽しそうな笑顔だった。
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