97 / 117
第二部 高校生編
因縁のゲームってなんか燃える・・・燃えない?
しおりを挟む
財前たちをどこぞへ送った島崎さんを迎え、全体の講評をする。
「今回は渡辺君張り切ってましたねえ」
既に仮面は外してあり、全員素顔のままだ。
「張り切ってた?」
「そうじゃないですか。だってあんなルール普段使わないでしょう。適当に負けて終わりじゃないですか」
「え、じゃあ今回も負けるつもりだったってこと?」
「ん、まあ・・・そうだな」
「じゃあ何勝ってんだよ、お前」
「渡辺君あれでしょ。新人君が居るからいいとこ見せようって張り切っちゃったんでしょ」
「うるせえですよ、島崎さん」
「男にデレられてもなぁ・・・」
「デレてない! おれはデレてない!」
珍しく男三人だけという事で、話も弾む。
しばらくの歓談の後、報酬の話と相成った。
「じゃあこれ、約束の20万な」
「お、おう・・・なんかあの勝負見た後だと安く見えるな」
「落ち着け、充分大金だ。一カ月かけてこれくらい稼ぐって奴だって多いんだぜ? 日当にしちゃ、最高の部類だろうさ」
「闇バイトとしては最奥の部類だったけどな。賭博に人身売買に違法取引に毒物に・・・上げたらキリがない」
「ま、だからこその日当ってことで」
渡辺は拘束されたままの人間たちを見やる。
「十六人かー、何に使おっかなぁ。もう法律もITも語学も大体網羅してるしなぁ。あ、そういやこないだ空手潰れたんだっけ。じゃあ一人はそうして・・・島崎さんなんかあります?」
「カポエイラを習得させよう」
「あー、足技はムエタイあるんで、別ので」
「じゃあラップバトルとか?」
「もうそれぐらいしかないっすよねー・・・いつ使うんだそんなスキル」
「さあ?」
この十六人、これから何されるんだろうか。
なまじ聞き馴染みのある単語が多々あるせいで逆に得体が知れない。
「あ、そうだ」
「お? どうした」
「いらないんなら、一人くれないか?」
「なんでまた? お前人間捌ける様なルート持ってるわけでもないだろ。人間捌く様な趣味があるとも聞かないし」
「いや、実の所顔見知りが一人いてな。このまま得体のしれん処置をされても寝覚めが悪い」
「じゃあお前が受け取っても同じじゃないか? 養う様な財力もねーだろ。すぐ解放するって事?」
「そんなところだな」
「で、どれ?」
「それ。その・・・デブいの」
圭希を指さす。
拘束が肉に食い込んで妙に扇情的に見えるが、少々肉が多すぎて萎えるのは俺だけだろうか。
「これか。まあ別に良いけど・・・タダ、ってわけにはいかないのは分かるな?」
「ああ、そりゃそうだ。何が欲しい?」
「交渉事で言い値を渡すとはなってないな」
「俺にはお前たちが何を求めているか分からん。金もそんなにない。なら俺からお前たちが毟りたいものを知るためにも、必要な事だ」
「そうか。しかしここで要求して、ハイ分かりましたと契約成立しても粋じゃない」
「つまり?」
「ギャンブル、だな」
渡辺は楽しげに笑う。
「今日はあの爺のおかげで結構楽しかったが、所詮は杓子定規。張ってた罠にかかったってだけで実感という奴はあまりない。狩りを生業にするんなら効率を求めるのは当然だが、趣味にするんなら興奮というプラスアルファがないと」
「ほーう? 俺は獲物だと?」
「その通り。しかしただの獲物じゃない。きっちりこっちを殺しに来る獲物だ。イエイヌよりエゾオオカミの方が狩り甲斐がある」
認めてんだか侮ってんだか・・・まあいい。
「じゃあ言ってもらおうか。俺に何を求める?」
「俺たちのボスに会って欲しい」
意外・・・は意外だな。
てっきり『仕事を一つ頼みたい』ぐらいは言ってくるかと思った。詳細を伏せて要求されても俺はそれに逆らえないのだから、青天井の掛け金を入れることになると思っていた。
まあものによっては『じゃあいいや』と圭希を切り捨てるつもりでもあったのだが。
「安心しな。本当に会うだけだ。実の所、俺が受けてる命令ってのがそれでな。お前をボスの前に引っ立てて来い、という訳だ。まあいくらかの勧誘ぐらいはされるかもしれないが、別に断ってもいい。前にも言ったが超能力者に強要しないってのが流儀だからな」
「同族、ね」
前々から思っていたが、こいつら超能力者が物を語る時、必ず『人間』と『超能力者』を別枠にして考えている。
人間の優等種族、と財前の護衛の一人は言っていたが、それは的を射ている。
だがそれは俺と相容れない価値観だ。
それはつまり、俺となじみの仲を認めないという意味になる。
たとえすべての超能力者を敵に回すとしても、それを俺の中に落とし込むことは無いだろう。
「OK、じゃあ俺はそいつを・・・呼び名に困るな。『デブ』でいいか・・・そのデブを求める」
「OK、じゃあ俺はお前がボスに会う事を求める」
「天秤に誓おう」
二人の宣誓が部屋の中を叩き、世界を歪ませ、光の天秤を空中で編む。
「さて行うゲームだが・・・」
渡辺は周りを見る。
何とも雑多な部屋だ。渡辺専用の仮眠室か? クロップス、カード、バカラ、チンチロ、麻雀・・・色々あるな。全部玩具道具だ。ん、あれはバックギャモンだろうか。
人間サイズの生物が二十人近く入って尚狭さを感じない幅がこの部屋にはある。
しかしじゃあテニスをするかという程ではないが、大きめの人生ゲームを広げるくらいの余裕はある。
「まあ俺たちでのゲームっつったら、これしかねえだろ」
そう言って渡辺は割り箸を投げてきた。
数は・・・・10本か?
「くじ引きだ」
成程、確かに俺たちには相応しいゲームだな。思えば最初のゲームからして、そうだった。
「ここに付箋がある。それに黒のサインペンで1~5までの数字を書き、更に赤のサインペンで割り箸に印をつける。番号を言って相手の割りばしを選択し、そこに赤のサインペンでの印がついてたらあたり。そうだな、先に五回あたりを引いたら勝ち。こんなところか」
「割り箸は50本用意してくれ。あたりを引く度に5本全部変えよう。変えるときは本人じゃなくて、相手が選ぶ」
「OK」
多分元々そこから出したのだろう。割り箸の徳用パックみたいなのを丸ごと持ってきた。
明らかに50より多いが・・・まあ多い分には問題ない。
「はい付箋」
これまた、明らかに5枚より、というか50枚より多い。
割り箸だけでなく、こちらもゲームごとに切り替えてよい、という事か。まあ付箋はあたりと関係しないから、粘着力が落ちてきた時用かもな。
「じゃあ割り箸くじ、開幕だね」
「先攻後攻は?」
「コインでいいだろ」
トスしてこちらに聞いてくる。
「どっち?」
「表」
「・・・あ、表だ。じゃお前が先攻な」
ルールを見た限りではこのゲームは先行優位。ひとまずはアドバンテージを取れたが、まあそう大きくもあるまい。
付箋に1~5の数字を書き、割り箸にも印をつけ、2つを合わせる。
渡辺も同じ様にした。
俺は雑多に握っているが、渡辺が扇かトランプの様に握っている。
さて、何番を選択するか・・・。
「ああそれと、当然『超能力を使わないなら』イカサマはアリだよ」
うーむ、一気に疑うことが増えたな。
いやまあ、多分『超能力を使わないなら』というのは本当だ。さっきの財前との戦いを見てもそう。こいつは常に理論によって財前を追い詰めていたし、それに快感を覚えている部分も見受けられた。
相手と同じ土俵で、相手を超越することが大切なのだ。
絶対無敵のイカサマなんて面白くないという感覚は俺も抱いたことがある。だからこそ、理解できるし共感できるし確信できる。そんなことはやらないと。
しかしだからこそ、『超能力を使わないなら』こいつは十分イカサマもやってくるだろう。
相手が見抜き、欺き、逆手に取れるならイカサマまで含めてゲームの一環と言い切る男だ。
「つまり、お前はイカサマをしていると?」
「勿論してるとも。どうやってかは言わないけど、何が起きるかは教えてあげよう。俺はお前と同じ番号をあたりにした」
本当に楽しそうな笑顔だった。
「今回は渡辺君張り切ってましたねえ」
既に仮面は外してあり、全員素顔のままだ。
「張り切ってた?」
「そうじゃないですか。だってあんなルール普段使わないでしょう。適当に負けて終わりじゃないですか」
「え、じゃあ今回も負けるつもりだったってこと?」
「ん、まあ・・・そうだな」
「じゃあ何勝ってんだよ、お前」
「渡辺君あれでしょ。新人君が居るからいいとこ見せようって張り切っちゃったんでしょ」
「うるせえですよ、島崎さん」
「男にデレられてもなぁ・・・」
「デレてない! おれはデレてない!」
珍しく男三人だけという事で、話も弾む。
しばらくの歓談の後、報酬の話と相成った。
「じゃあこれ、約束の20万な」
「お、おう・・・なんかあの勝負見た後だと安く見えるな」
「落ち着け、充分大金だ。一カ月かけてこれくらい稼ぐって奴だって多いんだぜ? 日当にしちゃ、最高の部類だろうさ」
「闇バイトとしては最奥の部類だったけどな。賭博に人身売買に違法取引に毒物に・・・上げたらキリがない」
「ま、だからこその日当ってことで」
渡辺は拘束されたままの人間たちを見やる。
「十六人かー、何に使おっかなぁ。もう法律もITも語学も大体網羅してるしなぁ。あ、そういやこないだ空手潰れたんだっけ。じゃあ一人はそうして・・・島崎さんなんかあります?」
「カポエイラを習得させよう」
「あー、足技はムエタイあるんで、別ので」
「じゃあラップバトルとか?」
「もうそれぐらいしかないっすよねー・・・いつ使うんだそんなスキル」
「さあ?」
この十六人、これから何されるんだろうか。
なまじ聞き馴染みのある単語が多々あるせいで逆に得体が知れない。
「あ、そうだ」
「お? どうした」
「いらないんなら、一人くれないか?」
「なんでまた? お前人間捌ける様なルート持ってるわけでもないだろ。人間捌く様な趣味があるとも聞かないし」
「いや、実の所顔見知りが一人いてな。このまま得体のしれん処置をされても寝覚めが悪い」
「じゃあお前が受け取っても同じじゃないか? 養う様な財力もねーだろ。すぐ解放するって事?」
「そんなところだな」
「で、どれ?」
「それ。その・・・デブいの」
圭希を指さす。
拘束が肉に食い込んで妙に扇情的に見えるが、少々肉が多すぎて萎えるのは俺だけだろうか。
「これか。まあ別に良いけど・・・タダ、ってわけにはいかないのは分かるな?」
「ああ、そりゃそうだ。何が欲しい?」
「交渉事で言い値を渡すとはなってないな」
「俺にはお前たちが何を求めているか分からん。金もそんなにない。なら俺からお前たちが毟りたいものを知るためにも、必要な事だ」
「そうか。しかしここで要求して、ハイ分かりましたと契約成立しても粋じゃない」
「つまり?」
「ギャンブル、だな」
渡辺は楽しげに笑う。
「今日はあの爺のおかげで結構楽しかったが、所詮は杓子定規。張ってた罠にかかったってだけで実感という奴はあまりない。狩りを生業にするんなら効率を求めるのは当然だが、趣味にするんなら興奮というプラスアルファがないと」
「ほーう? 俺は獲物だと?」
「その通り。しかしただの獲物じゃない。きっちりこっちを殺しに来る獲物だ。イエイヌよりエゾオオカミの方が狩り甲斐がある」
認めてんだか侮ってんだか・・・まあいい。
「じゃあ言ってもらおうか。俺に何を求める?」
「俺たちのボスに会って欲しい」
意外・・・は意外だな。
てっきり『仕事を一つ頼みたい』ぐらいは言ってくるかと思った。詳細を伏せて要求されても俺はそれに逆らえないのだから、青天井の掛け金を入れることになると思っていた。
まあものによっては『じゃあいいや』と圭希を切り捨てるつもりでもあったのだが。
「安心しな。本当に会うだけだ。実の所、俺が受けてる命令ってのがそれでな。お前をボスの前に引っ立てて来い、という訳だ。まあいくらかの勧誘ぐらいはされるかもしれないが、別に断ってもいい。前にも言ったが超能力者に強要しないってのが流儀だからな」
「同族、ね」
前々から思っていたが、こいつら超能力者が物を語る時、必ず『人間』と『超能力者』を別枠にして考えている。
人間の優等種族、と財前の護衛の一人は言っていたが、それは的を射ている。
だがそれは俺と相容れない価値観だ。
それはつまり、俺となじみの仲を認めないという意味になる。
たとえすべての超能力者を敵に回すとしても、それを俺の中に落とし込むことは無いだろう。
「OK、じゃあ俺はそいつを・・・呼び名に困るな。『デブ』でいいか・・・そのデブを求める」
「OK、じゃあ俺はお前がボスに会う事を求める」
「天秤に誓おう」
二人の宣誓が部屋の中を叩き、世界を歪ませ、光の天秤を空中で編む。
「さて行うゲームだが・・・」
渡辺は周りを見る。
何とも雑多な部屋だ。渡辺専用の仮眠室か? クロップス、カード、バカラ、チンチロ、麻雀・・・色々あるな。全部玩具道具だ。ん、あれはバックギャモンだろうか。
人間サイズの生物が二十人近く入って尚狭さを感じない幅がこの部屋にはある。
しかしじゃあテニスをするかという程ではないが、大きめの人生ゲームを広げるくらいの余裕はある。
「まあ俺たちでのゲームっつったら、これしかねえだろ」
そう言って渡辺は割り箸を投げてきた。
数は・・・・10本か?
「くじ引きだ」
成程、確かに俺たちには相応しいゲームだな。思えば最初のゲームからして、そうだった。
「ここに付箋がある。それに黒のサインペンで1~5までの数字を書き、更に赤のサインペンで割り箸に印をつける。番号を言って相手の割りばしを選択し、そこに赤のサインペンでの印がついてたらあたり。そうだな、先に五回あたりを引いたら勝ち。こんなところか」
「割り箸は50本用意してくれ。あたりを引く度に5本全部変えよう。変えるときは本人じゃなくて、相手が選ぶ」
「OK」
多分元々そこから出したのだろう。割り箸の徳用パックみたいなのを丸ごと持ってきた。
明らかに50より多いが・・・まあ多い分には問題ない。
「はい付箋」
これまた、明らかに5枚より、というか50枚より多い。
割り箸だけでなく、こちらもゲームごとに切り替えてよい、という事か。まあ付箋はあたりと関係しないから、粘着力が落ちてきた時用かもな。
「じゃあ割り箸くじ、開幕だね」
「先攻後攻は?」
「コインでいいだろ」
トスしてこちらに聞いてくる。
「どっち?」
「表」
「・・・あ、表だ。じゃお前が先攻な」
ルールを見た限りではこのゲームは先行優位。ひとまずはアドバンテージを取れたが、まあそう大きくもあるまい。
付箋に1~5の数字を書き、割り箸にも印をつけ、2つを合わせる。
渡辺も同じ様にした。
俺は雑多に握っているが、渡辺が扇かトランプの様に握っている。
さて、何番を選択するか・・・。
「ああそれと、当然『超能力を使わないなら』イカサマはアリだよ」
うーむ、一気に疑うことが増えたな。
いやまあ、多分『超能力を使わないなら』というのは本当だ。さっきの財前との戦いを見てもそう。こいつは常に理論によって財前を追い詰めていたし、それに快感を覚えている部分も見受けられた。
相手と同じ土俵で、相手を超越することが大切なのだ。
絶対無敵のイカサマなんて面白くないという感覚は俺も抱いたことがある。だからこそ、理解できるし共感できるし確信できる。そんなことはやらないと。
しかしだからこそ、『超能力を使わないなら』こいつは十分イカサマもやってくるだろう。
相手が見抜き、欺き、逆手に取れるならイカサマまで含めてゲームの一環と言い切る男だ。
「つまり、お前はイカサマをしていると?」
「勿論してるとも。どうやってかは言わないけど、何が起きるかは教えてあげよう。俺はお前と同じ番号をあたりにした」
本当に楽しそうな笑顔だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
田舎に帰ったら従妹が驚くほど積極的になってた話
神谷 愛
恋愛
久しぶりに帰った田舎には暫くあっていない従妹がいるはずだった。数年ぶりに帰るとそこにいたのは驚くほど可愛く、そして積極的に成長した従妹の姿だった。昔の従妹では考えられないほどの色気で迫ってくる従妹との数日の話。
二話毎六話完結。だいたい10時か22時更新、たぶん。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる