幼馴染でマジカルなアレが固くなる

余るガム

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第二部 高校生編

実の姉に勃てるわけないだろ!

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 氷麗つらら
 その名前に相応しいクールな美しさを纏う姉さんは、弟の布団にもぐり込んだ現場を抑えられてなおそのクールさを失わなかった。

 もういっそ失ってしまえ。
 せめて何かしら動揺してくれ。

「これでもお姉ちゃん、社会人としてそれなりに経験を積んだ」
「ああ、ウン、そうだね?」

 それなりと言ってもまだ1、2年ぐらいだったと思うが。

「その経験の中でお姉ちゃんは悟ってしまった」
「何を?」
「弟より良い男が社会にいない」
「そんなことはないやろ」

 姉さんなら引く手数多だろうし、高校生のガキに負ける様なスペックの男ばかりであるものか。
 いやまあ、個生命体として考えるならまだわからんでもないけど。今の所明確に格上っぽいのが夜狐だけだし。渡辺はジャンル違いって感じ。

「お姉ちゃんはポテンシャル重視。思い出補正かとも思ったけど、出会いがしらのハグで確信した」
「あー・・・」

 あの時の呟きはそういう意味か。

「で? それが現状と一体何の関係が?」
「そういうの、を女に言わせるなー」
「ああそう、じゃあ俺流の解釈で返すとするけど・・・」

 察するに姉さんは最も『良い男』を捕まえるべく、逆夜這いを仕掛けて来たのだろう。
 審美眼についてはさておき、その行動自体は別段咎めるようなことではない。

「とりあえず『俺たち姉弟なんだぜ!?』とか『既に恋人が~』とかは抜きにしよう」
「うん。散々悩んだ後だし、どうせあの子のお手付きだろうし」
「その辺を抜きにして話すと・・・正直、食指は動かないかな。姉さんって確かに美人だけども、美しいのであって自分で手を出すのは違うっていうか」
「悪い気はしない」
「そりゃよかった。という訳で姉さんの夜這いは失敗だから、『二時間前に出直してきな』」
「何カッコ付けてるの」

 これは格好かっこう括弧かっこを掛けた非常に高度なギャグでして・・・。

「お姉ちゃんもレイプまがいのことはしたくない。しかしそれなりに覚悟を固めたうえでの行動。配慮しろー」
「えー・・・じゃあ今日は一緒に寝る?」
「おやすみのちゅーもしたら許す」
「へいへい」

 『も』ってことは同衾したうえでキスもしろと。
 しかし俺は逆らわない。姉弟における弟の立場など、大抵そんなもんだ。

「ちなみに恋人としてお付き合いというのは?」
「『俺たち姉弟なんだぜ!?』」
「カッコつけるな」



 あくる日。
 まるで何事もなかったかのようにふるまう姉さんに『女とは生まれ落ちたその瞬間から女優である』というどこかで聞いたような気がする言葉を改めて実感した。

 いやあ、よくやるわ。ちょっと気まずくて目を逸らした俺を嘲笑うかのように鬼がかった精度のバックレ顔だった。

 さて、本日珍しく携帯で連絡を取り合ったなじみと外で落ち合う。
 付き合っていますと改めて言うなんて恥ずかしい報告、さっさと済ませてしまおうという訳だ。
 尚、姉さんの件については黙秘する。わざわざ話をややこしくするようなことはない。

「あ、いた。なんか久しぶりだな」
「1日経ったかも怪しいのにね」

 苦笑するなじみだが、同じ感覚はあるようだ。
 報告の件については共有しているので、今日は随分とめかしこんでいる。着こなし自体は清楚可憐の具体例として辞書に乗せられるだろうファッションだが、悲しいかな主張の激しい体の所為で受ける印象は清楚とは程遠い。表情の明るさ、あどけなさでギリギリプラマイ0と言った感じだ。

「ちなみにどうだった、数か月ぶりの実家は」
「妹が弟になってた」
「・・・え、そんな感じの子だっけ」

 記憶の中を掘り返す。
 なじみの妹。名前は確かまどか。出会った当初は自信なさげで引っ込み思案と言った風だったが、その傾向は成長とともに鳴りを潜め、なじみとは正反対の社交性を発揮していったらしい。
 『らしい』というのは俺自身はその社交性を実際に体感してはいないからだ。交流はあったのに、俺の印象が出会った当初のソレと変わらないのだ。

 その印象を加味しても違和感の残る話だ。確かに短髪を好んだし、これまたなじみと正反対のスレンダーなスタイルをしていたが、性同一性障害を抱えているようには見えなかった。

 いや、しかし『女とは生まれ落ちたその瞬間から女優である』と今朝思い知ったばかり。
 だとすると隠していたのだろうか?
 仮に隠していたとすると、社交的な性格になるものなのか? 抱えている秘密と悩みはむしろ内向的な性格を作りそうなものだが。

 というかまだ中学生なのに性転換手術って受けられるものなのか?
 男の場合は『とる』なら早い方が良いと南の島で赤〇君が言っていたが。

「いや、ジェンダーがどうこうみたいなやつじゃなくて・・・見た方が早いんじゃないかな」
「そうか、そうだな。どうせこの後行くわけだし、その時に考えるか」

 恋人の妹が弟になっていたとかいうちょっと理解しがたい話をとりあえず飲み込み、二人でまずは俺の家に行く。



「あらあらあらあら! なじみちゃんちょっと見ないうちに綺麗になって!」
「お義母かあさんもお変わりないようで」
「ありがとね~」
「ほらほら、いつまでも玄関先にいてどうすんの」

 和気あいあいと玄関先で話し込む母さんとなじみを室内に誘導し、とりあえずテーブルに着く。
 こういう時に放置しておくと無限に話し込みかねないからな。

「お義母さん、今日は大事な話があってきました」
「あら何? かしこまっちゃって」

 こんな感じのセリフ、俺が言うもんだよな。
 いや、この後なじみの実家で似たようなことするし、その時は俺が言うんだけどさ。

「実は私、お宅の息子さんとお付き合いさせていただいておりまして、今日はそのご報告を」
「あらあらあらあら! そーう、あなたが・・・」
「不服ですか?」
「いーえ。気心知れた貴女で安心しました。この子ってば誰に似たんだか、昔っから妙に色気あってね。そのくせ自覚もしてないもんだから、どこぞの変な女に引っ掛かりかねないと心配してたのよ」
「そうですよね。私の学校でも女子の間じゃ、あだ名が・・・」
「おおっと! その話はオフレコだ!」

 知られてたまるか。実の母親に『歩く18禁』などと。
 ていうか母さんもそんなこと思ってたの? なんか俺だけ貞操観念逆転世界にいない? 気のせい?
 流石に実母に欲情はしないぞ。実姉にもな!

 俺の悪口(?)で盛り上がる二人は、思った以上に話し込んで。
 それに同席する事となった俺は、ただひたすらに針の筵だった。



 やたらと話し込む二人がその話を終え、今度は俺の番だ。
 なじみの家に行き、そのままインターホンを鳴らして・・・。

「お兄ちゃん!」

 鳴らす前に、明らかに俺に向けられた声へと振り向く。
 こう呼ぶのはこの子、なじみの妹まどかちゃんしかいない。
 目を向けた先にいたのは、その予想通り確かにまどかちゃんだったが、なるほど『弟になっていた』となじみが言うのもよくわかる。

 顔立ちはなじみに似て美しく、特にくりくりとした瞳は吸い込まれるような感覚を覚える。
 しかし服装はメンズかレディースか判断に困る雰囲気で纏まっており、髪も短く、身長はなじみ以上俺未満ぐらい。
 手の皮が少し厚くなっているな。何か武術でも習っているのかも知れない。

 なじみと正反対のスレンダーなスタイルも相まって『すれ違ったときは女に見えて、回想した時は男のような気がする』と言ったところ。
 中性的、と言う意味では部長もそうだが、部長は未成熟の賜物であり、また違った存在である。

「ああ、久しぶりだね。まどかく・・・ちゃん」

 思わず『君』付で呼ぼうとしたら凄く悲しい顔をされたので、とっさに元の『ちゃん』付で呼びなおしたが、正直違和感が凄い。謎の罪悪感すらある。

「どしたのまどか。家にいると思ったんだけど」
「えっいや、私はランニングしてて・・・てかお姉ちゃんくっつきすぎ! 人に見せるもんじゃないでしょ!?」
「ケー君にしかしないから大丈夫だよ」
「答えになってない! はーなーれーるーのー」
「ああん」

 無抵抗に俺から引っぺがされるなじみ。
 この辺りは彼女たちが姉妹とよくわかるシーンだな。妹以外からではなじみは意地でも離れなかっただろう。

 まどかちゃんに剝がされた結果、そのまま妹へ抱き着くなじみ。
 そういえば好意的な相手には性的な接触をしがちななじみだが、まどかちゃんに対してはどうなのだろうか。流石にしていないとは思うが・・・なじみは絶妙に予想を超えてくることがあるからな。

 というか妹の方も似たような傾向があって、お互い別段無自覚にしてる可能性もあるか。
 この辺についてはもういいか。多分どう触れてもろくなことにならない。

「まどか、ちゃんとご飯食べてる? すっごく細いけど」
「運動してるからお姉ちゃんよりは食べてると思うよ」
「そーなの? でもおっぱいとかもう嘆きの平原じゃん。なんか腕とかも固いし・・・」
「なに、嘆きの平原って」

 悪びれもせずに全身をくまなく探っていくなじみ。
 それを無感動に受け入れるまどか。

 可能性が現実のものとなってしまったようだ。

「ね? もう弟みたいでしょ?」
「あー・・・そうだな、なんというか、スタイリッシュになったな」

 なじみはズケズケと言うが、どうもそういう扱いを受けることを嫌がっているようなので、最大限言葉を濁しておく。
 それにパッと見が女性であることに間違いはない。弟みたいというのも『ボーイッシュ』でまあ通る。元の素材が良いし。

「で、ですよね! これぐらい『普通の女の子』の範疇ですよね! 弟なんてことはないですよね!」
「そうだねプロテインだね」
「ぷろ・・・?」

 確かに弟なんてことはないが、普通の女の子と言うには強弁が過ぎると思う。
 普通なんて曖昧な概念なのでもうこの際気にしないでいいだろう。

 こうなった過程に興味はあるが、とりあえず元の目的のため、三人で蝶ヶ崎宅へ入ることにした
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