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第一話:霊 瑞香
自画自賛
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「そうだ、その話の中であなた方のことも聞きました。俺には強い仲間がいると。そしてそれは妖怪なんだとも聞きました。本当に妖怪なんでしょうか」
じろじろと遠慮なく二人を眺め回す。
初めて侍に会ったときに聞いた妖怪という言葉を噛み砕いて自分自身に納得させるまでにややしばらく時間がかかった瑞香ではあるが、己も幽霊なのだ、そう考えれば妖怪がいたって何一つおかしくはないと言い聞かせた。妖怪なんてものは昔話の一つにすぎないと思っていた。
「あららら、侍さんが既に妖怪ってのをバラしちゃってんなら仕方ねえ。いつもはこの話を端折って有耶無耶にするってだけだから。別に隠しちゃあいねえよ。聞かれりゃ答えるだけでわざわざこっちからは言わねえだけさ。で、既にご存知のとおり俺たちは江戸のもっと前からいる妖怪でね、時代時代で姿形を変えてこうやって人の世を楽しんでるんだよ」
昔は妖怪も住みやすかったが今ではほれ、見てみろ。周り近所は高層ビルとかいうやつで固められて木ぃが一本もなくなっちまった。でっけえ墓石がそこかしこに立ってるみたいで気色がわりい。
今じゃ妖怪を怖がるものなんかいなくなっちまった。怖がるどころか反対に妖怪の存在すら信じなくなっちまっただろう。おもしれえ世の中だ。見えるもんしか信じなくなるなんてな、まったくバカばっかりだ。
でもだ、この世は俺らの方が先に生きている。そして永遠に生きる。
暇つぶしにこうやって夜な夜な影にまみれて人の世に現れて生活をしているとな、普通が飽きてくるわけよ。
時代が変わっても人なんざなんら変わらねえ。つまらねえもんさ。そこでだ、思いついたことがあんだよ。人がダメなら霊を相手にしてみようってな。
「まあ、この話を持ってきたのは侍さんだけどな」
太郎は唇をにいっと横に長く伸ばした。
お前さんのように霊だって元々は人だ。
死してから我ら妖怪の存在を足らしめるのも悪かない。我ら妖怪ってもんはこの世にちゃんと存在してるというのを知らしめるのにも丁度いい。
己の見解に納得するように太郎は頷いた。そして、
「ついでに一つ二つ良いことでもしてやりゃあ、我らの気持ちも更に良くなるってもんでね」
「これは良き考えだったよねえ、我らは本当に頭がいい。そう思うだろう」
昭子がとびきりの笑みで問うてきたら瑞香も大きく頷く他ない。
不思議なことに、昭子が大きく笑うと辺りが凍えるように寒くなるのだ。
「やはり俺らの考えたことは間違いがないな。長くいるだけで知恵がつく。やはり年長者は敬うってえのはまんざらでもない」
と、太郎と昭子の機嫌はますます良くなっていく。
そんな二人に瑞香は、太郎さんも昭子さんもちょっと変わっているけれど、なんだか安心できる。悪い人じゃない。妖怪か。彼らは妖怪だけど、なんかほっとする。
自分でも忘れていることをしっかりと思い出すためにも、整理する目的も含めて話してみようか。
そんな不思議な気持ちになるのであった。
「私は、小林瑞香と申します。生まれは東京の目黒区で、大学生の頃から家の近くで一人暮らしをしていました」
「そうそう、そうこなくっちゃあ。面白くなってきた」
昭子が空いたグラスを太郎に差し出す。
太郎はそこに日本酒を注ぐ。それは決まりのような一連の流れであった。
瑞香は自分の身に起こったことをポツリと話し出した。
じろじろと遠慮なく二人を眺め回す。
初めて侍に会ったときに聞いた妖怪という言葉を噛み砕いて自分自身に納得させるまでにややしばらく時間がかかった瑞香ではあるが、己も幽霊なのだ、そう考えれば妖怪がいたって何一つおかしくはないと言い聞かせた。妖怪なんてものは昔話の一つにすぎないと思っていた。
「あららら、侍さんが既に妖怪ってのをバラしちゃってんなら仕方ねえ。いつもはこの話を端折って有耶無耶にするってだけだから。別に隠しちゃあいねえよ。聞かれりゃ答えるだけでわざわざこっちからは言わねえだけさ。で、既にご存知のとおり俺たちは江戸のもっと前からいる妖怪でね、時代時代で姿形を変えてこうやって人の世を楽しんでるんだよ」
昔は妖怪も住みやすかったが今ではほれ、見てみろ。周り近所は高層ビルとかいうやつで固められて木ぃが一本もなくなっちまった。でっけえ墓石がそこかしこに立ってるみたいで気色がわりい。
今じゃ妖怪を怖がるものなんかいなくなっちまった。怖がるどころか反対に妖怪の存在すら信じなくなっちまっただろう。おもしれえ世の中だ。見えるもんしか信じなくなるなんてな、まったくバカばっかりだ。
でもだ、この世は俺らの方が先に生きている。そして永遠に生きる。
暇つぶしにこうやって夜な夜な影にまみれて人の世に現れて生活をしているとな、普通が飽きてくるわけよ。
時代が変わっても人なんざなんら変わらねえ。つまらねえもんさ。そこでだ、思いついたことがあんだよ。人がダメなら霊を相手にしてみようってな。
「まあ、この話を持ってきたのは侍さんだけどな」
太郎は唇をにいっと横に長く伸ばした。
お前さんのように霊だって元々は人だ。
死してから我ら妖怪の存在を足らしめるのも悪かない。我ら妖怪ってもんはこの世にちゃんと存在してるというのを知らしめるのにも丁度いい。
己の見解に納得するように太郎は頷いた。そして、
「ついでに一つ二つ良いことでもしてやりゃあ、我らの気持ちも更に良くなるってもんでね」
「これは良き考えだったよねえ、我らは本当に頭がいい。そう思うだろう」
昭子がとびきりの笑みで問うてきたら瑞香も大きく頷く他ない。
不思議なことに、昭子が大きく笑うと辺りが凍えるように寒くなるのだ。
「やはり俺らの考えたことは間違いがないな。長くいるだけで知恵がつく。やはり年長者は敬うってえのはまんざらでもない」
と、太郎と昭子の機嫌はますます良くなっていく。
そんな二人に瑞香は、太郎さんも昭子さんもちょっと変わっているけれど、なんだか安心できる。悪い人じゃない。妖怪か。彼らは妖怪だけど、なんかほっとする。
自分でも忘れていることをしっかりと思い出すためにも、整理する目的も含めて話してみようか。
そんな不思議な気持ちになるのであった。
「私は、小林瑞香と申します。生まれは東京の目黒区で、大学生の頃から家の近くで一人暮らしをしていました」
「そうそう、そうこなくっちゃあ。面白くなってきた」
昭子が空いたグラスを太郎に差し出す。
太郎はそこに日本酒を注ぐ。それは決まりのような一連の流れであった。
瑞香は自分の身に起こったことをポツリと話し出した。
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