【改訂版】僕が異世界のガチャから出た件で ~ソシャゲー世界で就職してみた~

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第八話 光のアビリティ

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「ここはマ国のスコウレリアという街だよ」
「そう……ですか……」
 街の名をチガヤから聴かされたウサウサは、遠く見つめて軽くため息をついたかと思うと、ほんの少しだけ口元を緩ませた。
「言い伝えは、間違っていたのですね」
「どういうこと?」
「太陽が月に覆い隠される年に生まれた王家の子は、17歳の誕生日に王家の名を捨て、聖なる河に流されてウツシの国へと辿りつく。そこで神の為に、その身を明け渡す。神は新たな肉体を得、王家に100年の繁栄を約束する。そう言われ続けてきました」
 ウサウサが話す内容もさることながら、彼女が長々と喋っていることにも伊吹は驚いていた。
「だから私は、穢れなきまま神の器にならんと生きてきました。いえ、そのように育てられ、生かされてきました。それが……」
 一呼吸おき、再び話し始める。
「実際に、この目で見てみるまでは、わからないものですね」
 ウサウサはシオリンのところで止まっていた桶に手を伸ばして受け取ると、隣にいるチガヤへと渡した。再び、バケツリレーが始まる。伊吹はウサウサにかける言葉を見つけられないまま、まわってきた桶の水を樽風呂に入れて空桶を戻した。戻っていく桶の流れを見ながら考える……
 彼女はおそらく、生贄として河を流れている最中に召喚されたのだ。召喚されていなければ、辿りつくはずの場所へ行っていたかもしれない。にわかには信じがたい言い伝えだが、可能性がないとは言い切れない。
 ただ、以前チガヤが言ったように、ガチャによる召喚対象が“今いる世界を離れたい”と思っている人なのだとしたら、ウサウサは自分が生まれた世界を離れたいと願っていたことになる。辿りついたかもしれない国を含め、そこは彼女にとって居たくない場所なのだ。生贄というさだめを負わされれば、自分だってそう思うだろう。
 思考を巡らせるほどに、何からどう話していいものか、伊吹はわからなくなっていた。
 しばらく無言のままバケツリレーが続いた後、サーヤはウサウサに優しく語り始めた。
「そうだな、実際に見ないとわからないことだらけだ。あたいは長いことガラスケースに入れられていたんだけど、そういう状況でも長く続くと、それが当たり前に思えてくるんだよな。こっちに来るまで、自分の置かれていた環境の異質さを忘れてたし、見ている世界が全てのように思えてた。あたいと境遇が似てるとは言わないけど、何ていうかさ……ここも悪くないから……」
「そうですねぇ~。みんな、色んな所から来てますけど、楽しくやれていますから」
 サーヤの言葉を補うようにシオリンが話す。チガヤはウサウサの顔を覗き込んで微笑んだ。
「仲良くしようね」
「はい……」
 ウサウサの肩から力が抜け、桶の受け渡しもよりスムーズになる。何度かリレーを繰り返すと、樽風呂が充分な水で満たされた。水を汲もうとしているワニックに向かって、伊吹は声を張り上げる。
「もう水はいいよ、結構溜まったから」
「では、やるとするか」
 ワニックが指をパチンッと鳴らすと、樽風呂の水はブクブクと音を立て、湯気を登らせた。伊吹が樽風呂に手を入れて温度を確認する。
「ちょうどいい湯加減になってる」
「すご~い! やったね、ワニック。今日は水で薄めなくてもいいね」
「温度調節がうまくいったのは初めてだ。これは、なかなか爽快だな」
 熱湯風呂になっていたら、またバケツリレーだったんだなと、チガヤ達の会話を聞いて思う。
「それじゃ、男は退散するとしますかね」
 伊吹は小屋を出て家へと向かった。その後にワニックやブリオが続く。
「なんか、空気が乾燥してない?」
 樽風呂から離れてみると、空気の乾き具合が気になった。ワニックが伊吹の横に出て答える。
「『水分蒸発』の効果範囲が、俺の周りだからだろう」
「バトルで使った時は、何も感じなかったんだけど……」
「あの時は、周囲の水を少しずつ集めてるヤツがいたからな」
「ああ、いたね。そんな人……。少しずつ無くなってれば、気づきにくいよね」
 時間をかけて水を集めていた水使いのことを思い出す。ワニックの能力で水が蒸発した様は、可笑しくも切なくもあった。ライターと大差がなかった炎使いといい、人は特別な能力を得ても、そんなに格好よくはなれないような気がする。
「乾いた空気が苦手なら、サーヤにアレを頼めばいい」
「アレ?」
「『加湿香炉』だったか。湿度を上げるアビリティだ」
「そこまでしなくてもいいかな。そういや、まだサーヤの能力って、見たことないなぁ」
 シオリンが後ろから伊吹の服を引っ張る。
「もし、サーヤが『加湿香炉』を使っても、匂いは気にしちゃダメですよぉ」
「どうして?」
「あのアビリティは使った人の匂いを振りまくんですよぉ~。サーヤ、羽根の匂いが虫臭いって、気にしてるんで」
「ああ、そうなんだ」
 確かに、蝶のような羽根をしているなとは思っていたが、匂いも昆虫のそれに近いのは意外だった。歩きながら話すうちに家に着く。ドアを開けて中に入ると、水を入れる桶が目に入った。
「なんか、喉乾いたなぁ……」
 少し飲もうと桶の中を覗くと、水は入っていなかった。ブリオがヒレのような手で、伊吹の脚をペチペチと叩く。
「昨日、汲んだ分は、もう無いんだな」
「じゃ、汲んでくるよ」
 伊吹は桶を持って再び井戸の方へと向かった。さっき、水を飲んでからくればよかったと後悔しつつ、井戸の前まで来ると小屋から光が漏れているのが見えた。
「光ってる……?」
 ランプの灯りにしては、おかしな光り方だった。閉め切られた小屋の壁の隙間から、抜け出すように輝く光は、中で何かが強く発光しているとしか考えられなかった。
 気になって小屋に近づいていくと、チガヤ達の話し声が聞こえてきた。
「すごい明るいね」
「明るいってレベルじゃないって……」
 小屋の前まで来た伊吹だったが、入浴中かもしれない彼女たちに、今起こってることを問いかけても、状況が状況だけに嫌がられるだろうと井戸に足を向けなおす。
「ここ、どうなってるんだろ?」
「あっ……」
 ウサウサの吐息混じりの声がして、伊吹の足が止まる。
「チガヤ、触るなって」
「ごめんね、驚かせちゃって」
 彼女たちが何をしているのか気になりだすと、選択肢はもう残されていなかった。伊吹はゆっくりと、光が漏れている隙間に顔を近づけた。
「あっ、光が弱まった」
 チガヤの言葉にビクッと反応するも、まだ見つかっていないことに安堵し、隙間から中を覗く。視界を妨げる光が徐々に弱まっていくとともに、樽風呂に浸かっている人影が見え始める。
 ゴクリと生つばを飲み込み、光が弱まっていくのを待つ。
 小屋中に広がっていた光が強さを失い、中にいる人の顔が認識できるようになる。あとは体の方も消えれば……と、気になる対象は完全に変わっていた。“光っていて気になる”というのは何処かにいっていた。
 まだか、まだか……と、体から光が消えるのを待つものの、肝心な部分は光で覆われたままだった。不思議なことに、女性陣の体の一部にだけ、光が射している状況が続いているのだ。
「これが『光耀遮蔽』ってアビリティなんだ」
「隠したいものや、見たくないものを光で覆うんだよね」
 中から聞こえてくる会話に、伊吹はガクッとうなだれた。ガチャ神殿でウサウサに告げられたアビリティの効果は、こういうことなのかと思い知る。
 今の状況が“隠したいものや見たくないものを覆っている”のだとしたら、ウサウサは自分の体を見せたくないのだろうし、他の人の体も直視したくないのだろう。ああ見えて恥ずかしがり屋だったという点はいいとしても、彼女がいる限り“女体の神秘”を拝めないという事実は、伊吹にとっては絶望を意味していた。
 伊吹は静かに小屋から離れ、井戸で水をくみ上げる。精神的なダメージが大きいせいか、バケツリレーの時よりも水が重く感じられた。
 水を汲んで家に戻ると、玄関前でワニックが待っていた。
「どうだった?」
「どうって、何が?」
 ワニックは耳元に口を近づけて囁いた。
「見に行ったんだろ? 小屋の中を」
「いやぁ……それは……」
 何か言おうとしても、ハハハという笑いしか出てこない。
「見えなかったのか?」
「まぁ、そんなところ……というか、もっと酷いかも」
 『光耀遮蔽』の恐ろしさを、伊吹はとつとつと語った。ワニックは黙って聞き、話が終わると伊吹の肩をポンッと叩いた。
「こんな時は、思い切り走って、叫ぶといい。なんなら、『瞬間加速』をかけるぞ」
「じゃ、頼むよ……」
「さぁ、行け!」
 ワニックは伊吹の背中を押すと同時に『瞬間加速』をかけた。倍速で走りだした伊吹はあっという間に家から離れ、開けた場所へと到達する。大きく息を吸い込み、空に向かって吠える。
「クソアビリティがあぁぁぁっ!」
 叫び声が遠くでこだまする……


 チガヤ達の入浴が終わり、伊吹に風呂の順番がまわってくる。彼女たちの残り湯に浸っても、“女体の神秘”を拝めないという事実が頭から離れなかった。
 軽く浸かった程度であがり、あてがわれた部屋に戻ると、そこにはウサウサとチガヤがいた。ウサウサは新たに用意された藁のベッドに座り、チガヤは部屋の中央に大きな布をぶら下げていた。
「何してるの?」
「部屋の線引きだよ。今日から、ここは二人で使ってね」
 二人でということは、ウサウサと寝起きを共にするのか……と、その状況を想像する。テレビで観た“大人カップルの朝”が脳裏をよぎる。
「いやいやいや、それはマズいんじゃ……」
「マズいって、この線引きのこと? 私は要らないって言ったんだけど、サーヤが要るって言うから」
「そうじゃなくて、男女が同じ部屋で寝起きするのは……」
「サーヤも同じこと言ってたけど、何が問題なの?」
 何が問題か訊かれたところで、無垢な瞳を向けるチガヤには説明しづらかった。
「狭くなっちゃうけど、我慢してね。ウチ、他に部屋もないし」
 部屋が無いと言われれば納得するほかないが、線引きした布の薄さには納得しきれない。
「それじゃ、また明日ね。おやすみ」
 バタンッとドアを閉めて、チガヤが出て行く。
 伊吹は自分用に用意された藁のベッドに腰掛け、部屋の奥に設置されたウサウサのスペースを布越しに眺めた。シルエットとして布に浮かび上がっているのは、藁のベッドに座る彼女の姿だった。
 何て声をかけようかと苦慮していると、ウサウサはベッドに横になった。
「おやすみなさい」
 何の動揺も感じない、平坦な声だった。
「おやすみ……」
 反射的に挨拶を返すも、自分一人がドキドキしているのかと思うと、恥ずかしい気持ちになる。彼女は何であんなに冷静でいられるんだ、寝てる間に悪戯されるかもしれないし、何かの拍子で着替えを見られることだって……と想像を巡らせたところで溜め息をつく。
 彼女の着替えを想像した時ですら、あの体を覆い隠す光が再現されたのだ。もはや、トラウマのように、彼女のアビリティは伊吹の心に刷り込まれていた。
 この先、自分は光り輝く裸体しか見られないのかと思うと、生きる楽しみを奪われた気分になってくる。彼女のアビリティを防ぐ手立てはないものかと、ぶら下がる布を見つめて思いを巡らせる。
 ふと、寝ていてもアビリティは発動するのかという疑問を抱く。
 それを確かめるには、寝ている彼女の服を脱がせるしかない。寝ていても発動するなら光るだろうし、発動しないなら“女体の神秘”が拝めるはずだ。
 試してみる価値はある。だが、試す奴に価値は無い。
 伊吹は悶々としながら、手が届きそうで届かない“女体の神秘”について、あれやこれやと考え続けた。
 そして、そのまま朝がやってきた――
 リビングの方で物音がする。昨日の朝も聴いたそれは、窓にはめた板を取る音だ。
 寝不足のままで仕事か……と思いながら、起き上がって部屋を出ると、ワニックが棒を外してまわっていた。
「なんだ、寝れなかったのか? 目の下にクマができてるぞ」
「クマ……?」
 どのくらいクマができているか確認するため、水桶に顔を映してみる。鏡とは違って、揺らめく水面に映る顔ではよくわからなかった。
 鏡はないかと家の中を見回すものの、それらしきものは見当たらなかった。代わりに、玄関のドア下から紙が入れられているのに気づく。手に取って見てみると、それは見覚えのあるガチャのチラシだった。
「おはよう」
 チガヤが起きてくる。ちょうどよかったと、伊吹はチラシを持っていく。
「これ、何て書いてるの?」
「ん~っと、美女ユニット限定ガチャ、好評につき、開催期間延長だって」
「延長って……」
「よくあることだよ」
 延長するなら、何も急いで稼ぐ必要はなかった。バトルに踏み切らなくてもと思うと、体から力が抜けていく。
「また、回したいの?」
「いや、もういいかな……」
 “美女は何人いてもいい”というのは変わらないが、猫顔の美人も出る美女ガチャを回すのは割に合わない気がした。そのうち、人間の美女限定ガチャが開催されることもあるかもしれないし……。そんなことを考えているとアクビが出た。
「イブキ、なんだか眠そうだね」
「うん、ちょっと寝れなくて……」
「そうなんだ。もし寝られそうなら、少し寝た方がいいんじゃない?」
「でも、仕事があるんでしょ?」
「今日はお休みの日だよ」
 こっちの世界の会社にも休日があるんだな、曜日もあるのかなと気になったが、頭がボーっとしてるので訊くのをやめる。
「じゃ、もう少し部屋で横になってるよ」
 トボトボ歩いて部屋に戻り、藁のベッドに倒れ込んだ。
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