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第二十六話 再会
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バトルを終えて家に帰ると、テーブルの上にはゼリー状の物が2つ並べられていた。お椀型で色は白に近い肌色、大きさは人の頭ほどあり、その頂には赤い実がトッピングされている。
「これ、何……?」
「マユタンが選んだ今日のご飯」
チガヤにご飯と言われても、伊吹には別のものに見えていた。バトルで見たくても見られなかったそれに、形が酷似していたからだ。
「プルンプルンしてて、美味しそうなのだ!」
「オイラ、早く食べたいんだな」
マユタンとブリオが席に着く。
「どうぞ、召し上がれ~」
チガヤのOKが出るとマユタンとブリオが手づかみで食べ始めた。そこにワニックとシオリンも加わる。サーヤは赤い実を1つ持ち上げると、ハンモックの方に持っていった。
「僕も……」
伊吹も席に着き、食事に手をつけた。手に掴んだ感じとしては硬めのゼリーだったが、味の方は酸味が効いていて思わず顔をしかめた。
「マユタン、あのですねぇ~」
食べながら、シオリンがマユタンを呼ぶ。
「なぁ~に?」
「シオリン的には、アレを聴きたいんですねぇ~」
「アレ?」
「あの黒くて丸っこいのから音が出る……えっと、アビリティでぇ~……」
「了解なのです!」
シオリンが求めているものに気付いたマユタンは、テーブルを離れると両手を前に出し、手のひらからポコポコと黒い球体を浮き出させた。離れている場所の音を拾うアビリティ『遠隔受信』を発動させたのだ。
マユタンが球体の1つに触れると、その球体を通して音が聞こえてきた。
「次の試合は、ハイ掘削所VSスジイタチ野鍛冶事務所です」
大勢の人がざわついている音と先の声は、闘技場以外に考えられなかったが、今もバトルが行われているのは、伊吹としては意外だった。ギボウシの闘技場を出るときには、残り試合は少なかった気がする。
「これって闘技場?」
「会社名からすると、これはオルトドンティウムの闘技場かな」
チガヤに言われて、地方ごとに闘技場があることを思い出す。
「オルトドンティウムは人が多いからね。試合数も凄いんだって」
「へぇ~」
「試合時間を短縮するために、5対5から3対3に変わったって聴くよ」
そんなことを話している間にも笛が鳴っていた。心なしか、二度は鳴ったような気がする。
「始まったの?」
「もう終わったのだ」
「へ?」
あまりの試合時間の短さに呆気にとられる。終わったことを告げたマユタンも、納得いかなそうな顔をしている。
「一体、何が起こったの? まさか、とんでもない能力とかで……」
「しーっ!」
マユタンに静かにするように言われて黙り込むと、球体から幼い女の子の声が聞こえてきた。
「先の発言を審判に対する暴言とみなし、ハイ掘削所の反則負けとします」
バトルが短時間で終わった理由が反則負け、それも審判への暴言だと知って、食事をしていた者も手を止める。何を言ったら暴言とみなされるのか、そこに皆の関心は集まっていた。
「暴言だと!? 俺はただ、幼女キターッて喜んだだけだろ?」
「それです。私は幼女ではありません、撤回してください」
幼女を否定する声は、幼い女の子の声にしか思えなかった。『遠隔受信』のアビリティで出された黒い球体を通しての声だとはいえ、声質が変わるなんてことは聴いていないし、実際そんなことはないのだろう。もしそうだったら、能力を使用したマユタンが得意げに解説しているはず。彼女の性格からして、そう思えた。
伊吹は審判への発言は注意しなくてはと肝に銘じた。
「口は災いの元ですねぇ~。他のを聴きましょう」
「えいっ!」
シオリンの提案を受け、マユタンが別の球体に触れると、今度は男女の声が流れてきた。
「ちょっと、このキスマークは何!? どこの女に付けられたの!?」
「君が付けたんじゃ……」
「私とは、ご無沙汰でしょうに!」
ヒステリックな女性の声が家じゅうに響く。伊吹としては闘技場の方が気になったが、シオリンはこっちを聴きたいのか、目の輝きが明らかに違っていた。
「修羅場ですねぇ~。キスマークだなんて、やっぱり浮気?」
浮気を疑うシオリンとは違い、伊吹はキスマークと聞いて『遠隔受信』の発動条件が脳裏をかすめた。『遠隔受信』で拾える音は、キスマークが付いている人の周りだけ。つまり、マユタンが付けたキスマークを通してのみ、遠くにある音が聞こえることになる。
自分が付けたわけではないのに、伊吹は問い詰められている男性に対して、申し訳ない気持ちになったが、相手がいるだけいいよなと思い直した。
見知らぬカップルを羨ましく思いながら、形状がアレなゼリーをパクつく。
翌日、職場で渡された仕事チケットは2枚あった。そのチケットを見て、チガヤが自分のユニットに説明する。
「今日のお仕事は2つあるんだけど、1つはギボウシでの除湿作業だから、こっちは私とワニックで行くね。ワニックの『水分蒸発』があれば、すぐに終わると思う」
「ギボウシか、闘技場がある街だな」
今日もバトルに出られそうだと知り、ワニックがにんまりとする。
「もう1つはユニット交換会の準備だよ。会場の掃除と飾りつけが主な作業みたい。場所はね、アンフィテアトルムっていう私営の闘技場だって。知ってる?」
サーヤとマユタン以外が頷く。
「前にモデルの仕事をした場所の近くですねぇ~」
「そうなんだ」
シオリンが答えるのを見て、貰った招待券のことを思い出す。同じ日に召喚されたカリスタから、浮遊島で会った際に受け取ったものだ。
「あのさ、そのユニット交換会の招待券があるんだけど」
ポケットから取り出してチガヤに見せる。招待券の文字が読めないので、バトルイベントがあることくらいしか知らなかった。
「ユニット交換会、特別無料招待券。開催日は明日だから、行けるね。会社、お休みだし。当招待券をお持ちの方は、バトルイベントに無料で参加できます……だって」
「ほかに何か書いてない?」
「バトルイベントで賞金をゲット。目指せ、夢の金貨100枚。最初の1勝で金貨1枚、ダブルアップも可能。バトル内容は、当日になってのお楽しみ」
ダブルアップということは、勝ち続ければ賞金がどんどん増えていくから、夢の金貨100枚なんだなと一人納得する。
金貨100枚と言えば、ケイモが『次元転移』を発動させる対価として要求する謝礼の額に等しい。もしも、運よく金貨100枚が手に入ったら、『次元転移』で元の世界に戻れるが、そうはならないだろうなと自分の中で結論を出す。
手に入ったとしても、みんなで分け合うことになりそうだし、そもそもバトル内容が不明では何とも言えない。もし、普段やっているようなバトルだったとしても、勝ち続けるのは容易ではない。運がよくても幾らか貯められるくらいが関の山だろう。
「ふぅ~ん、バトルかぁ……」
と言って、チガヤが招待券を返してくる。彼女の顔からは“止めても、出るんでしょ”という諦めが見て取れた。
「勿論、今日のバトルにもエントリーするが、いいんだな?」
「うん……」
了承しか求めていないワニックの問いにチガヤが頷く。
「では、エントリーしてくるぞ」
意気揚々と受付に向かうワニックをチガヤは呼び止めようとしたが、大股で進む彼にかける言葉を見つけられないようだった。
「じゃ、僕らは仕事に行くね。ワニックには、こっちの仕事が終わっても間に合いそうなら、今日のバトルに出るって言っておいて」
「わかった」
仕方ないなといった感じで言い、チガヤは受付に向かったワニックの後を追う。
「行こっか」
伊吹は残った面子に声をかけ、アンフィテアトルムへと向かった。
アンフィテアトルムは、会社からガチャ神殿に向かう途中にある。神殿への大きな道から小道に逸れたところでヒューゴの家があり、その先にあるドーム型の屋根が特徴的な建物だ。
前に来たときは入り口にオスワルドが立っていたが、今は彼の代わりに樽体型の男性が立っていた。肌の色は褐色、頭に乗っかっている感じの黒髪が特徴的で、白いシャツに黒いベストを身に着けている。
「ユニット交換会の準備をしに来た者ですけど」
「どこの会社?」
「スコウレリア第三事務所です」
伊吹が会社名を言うと、門番は内ポケットからリストを出して確認した。
「ん~……あった、あった。さぁ、入って」
リストに社名を見つけたのか、中に入るよう指示される。カウンターに挟まれた細い通路を通って中に入ると、前に来た時と同じ丸いバトルフィールドと、階段状の観客席があった。
「あら、また会いましたね」
声がした方を見ると、カリスタが立っていた。彼女の後ろには何人か集まっている。
「昨日は、どうも」
「準備を手伝いに来てくれたの?」
「はい」
「それじゃ、こっちに来て。作業のことを説明するから」
近くにいた集団の中に伊吹たちが入り込むと、カリスタは作業の手順を説明し始めた。
最初に、棒の先に麻布が付いた道具でゴミを集め、一箇所にまとめたところで炎のスキルで焼却。次に座席を水拭き。最後に、交換会用の垂れ幕を設置するというのが観客席側の作業だった。
バトルフィールドでは、イベントに使うアイテムを造る作業が行われており、伊吹はこちらを担当することになった。とは言っても、何か作業するというのではなく、任せた人たちが遊んでるから仕事をさせてというものだった。
カリスタに言われてバトルフィールドに降りると、二人の女性が鉄製の簡易カマドを取り囲んでいた。二人ともキャミソールにホットパンツという格好で、何やら楽しげにお喋りをしている。
「あの……」
この人たちに仕事をさせないと、そう思って声をかけた相手は見覚えがあった。
「あっ、いつぞやのセクハラ男」
ショートカットでスレンダーな女性が言う。口元のホクロが印象的で、それを闘技場で見た覚えがあった。
「あのときは、よくもやってくれたわね」
隣にいた長身の女性はウェーブがかった髪をかきあげ、しかめっ面で眉を上下させる。彼女の顔も記憶にあるが、いまいち思い出せなかった。
「何なのよ、その“忘れました”的な顔は!?」
「落ち着いて、マリーナ。これは、私たちを怒らせて、平常心を失わせようとする作戦かもしれないわ」
「そうね、シモンヌ。作戦でなければ、きっと誰かの陰謀よ」
彼女たちが名前を言ったことで、ようやく前に戦った相手だということを思い出す。だが、思い出したことを伝える前に、彼女たちが再び喋り始める。
「忘れてるのなら、思い出させてあげるわ。私はSレアのマリーナ! スキルは自分より軽い物を動かす『物体移動』、アビリティは感度を上げる『敏感革命』よ!」
「そして、私はシモンヌ! スキルは球体を作り出す『球体錬成』、アビリティは卑猥な単語に音をかぶせる『淫語消滅』なの!」
ご丁寧にも能力紹介までされたことで、自分が初めて『快感誘導』を使って倒した女性だということに気づく。しかも、対戦時にはマリーナの『敏感革命』で過敏になった二人に対して『快感誘導』を放っている。
「あの、思い出しました……」
「思い出したって何を? 顔? 名前? まさか、私たちに上げさせた“あはぁ~ん”な声のこと!?」
「それとも、アヘ顔の方かしら!?」
間髪入れずに予想外の返しがくるので、呆然と立ち尽くす。
「本当に卑猥な攻撃だったわね。お陰で、あれからというもの、夜中の依頼ばかりになって大変なんだから! 毎夜毎夜、リア充の家に行って『敏感革命』を使わされてるのよ!」
「こっちもね、下ネタを言って喜ぶお年頃の子に呼び出されて、『淫語消滅』を使わされてるの! 音がかぶせられた卑猥な単語を当てようクイズを目の前でやられてみなさいよ、聴いてるこっちの方が恥ずかしくなるわ!」
「お仕事があるのは、いいことです……」
なんて言いつつも、少しは仕事を選んだらどうだ……という気持ちもあった。
「で、何をしに来たの?」
「仕事をさせて来いって言われて……」
マリーナの問いに答えると、二人は一斉に身構えた。
「仕事ですって!? まさか、貴様もリア充かっ!? 私に『敏感革命』を使わせて何をする気だ!?」
「待って、マリーナ! もしかしたら、卑猥な単語を当てようクイズが目的かもしれないわ!」
「いやいやいや、そっちじゃなくて……交換会の準備のことで」
そこまで言うと、二人は「なぁ~んだ」と気の抜けた顔をした。
「準備なら、やってるわよ。ほらっ」
シモンヌが避けると、簡易カマドの近くに、丸い形の揚げ物が複数置かれているのが見えた。揚げたてだからか、香ばしい匂いが漂ってくる。
「何ですか、これ?」
「明日のバトルイベントで使うそうよ。これを頭に乗せて戦って、先に相手のを壊した方が勝ちらしいわ」
「へぇ~……。これって、どうやって作ってるんですか?」
「知りたい? そうよね、知りたいわよね。どうしてもというなら、教えてあげてもいいわ」
もったいぶるマリーナにお願いする前に、彼女の説明は始まっていた。
「まずは、シモンヌが『球体錬成』で20cmほどの球体を作成。次に、その球体を特製の溶き汁に付けて、それを油でカラッと揚げるの。『球体錬成』で生み出した球体は30秒で消滅するから、これで中が空洞になってる揚げ物の完成よ」
天ぷらみたいなものか、という感想を言おうとしたが、伝わりそうにないのでやめる。
「マリーナ、実際に見せた方が早いんじゃない? 準備はよくて?」
「いいわよ、シモンヌ」
二人は目を合わせると、シモンヌが『球体錬成』で球体を生み出し、それをマリーナが『物体移動』のスキルで溶き汁が入ったボールに入れ、そのまま火にかけられた油鍋へと叩き込んだ。
勢いよく入れたせいで油が跳ね、彼女たちにかかった。
「熱っ! 熱いわ、マリーナ……もっと、そっと入れて……激しくしないで」
「か、加減が難しいのよ、シモンヌ」
飛び跳ねた油が体にかかって熱がっている様は、踊りを踊っているようだった。はた目から見れば、遊んでいるように見えても不思議はない。
「そろそろ出すわよ、シモンヌ」
「マリーナ、今度は気を付けてね。そっとよ」
『物体移動』のスキルで油鍋から球体を取り出すと、こんがりと良い具合に揚がっていた。ゆっくりと移動できたので、入れた時のような騒ぎにはならなかった。
揚げた球体は油きりバットに落とされ、マリーナはホッと一息ついたかと思うと、くわっと目を見開いた。
「どうだ!」
マリーナが得意げに言うので、思わず「おぉ!」と言ってしまう。だが、やっていることは単なる揚げ物だ。
「で、何をしに来たって?」
シモンヌが話を元に戻す。
「遊んでるから、仕事をさせて来いって言われて……」
「遊んでないわよ! 失礼ね!」
憤慨するシモンヌをなだめるように、まぁまぁと開いた手を上下させる。
「たぶん、跳ねた油を熱がってるのが、遠くからは遊んでるように見えたんですよ」
「私だって、好きで跳ねさせてるんじゃないわよ!」
今度はスキルを使っているマリーナが憤慨する。
「まぁ、そうですよね……。要は跳ねなきゃいいわけで」
「だから、『物体移動』は加減が難しいって言ってるでしょ!?」
「う~ん……」
と唸り込んで、何か打開策は無いものかと辺りを見回す。壁にはチャレンジバトルで使用される武器が並べられていて、その中のひとつが目に留まる。弓だ。
「ちょっと待っててください」
二人に断わって弓が置いてある場所へと移動する。武器として使われるものだけあって、傍には矢も用意されていた。
伊吹は矢を2本だけ取ると二人の場所に戻り、矢尻を抜き取ってマリーナに渡した。
「何なのよ、これは?」
「これを箸代わりにすれば、油が跳ねることもないと思います」
「ハシ? ハシぃ~?」
マリーナは初めて聞く単語を繰り返した。
「えっと、ものを摘まむ道具ですよ。その2本で揚げるものを挟むんです」
「こうか!」
箸代わりの矢を右手に1本、左手に1本持ったマリーナが、既に揚げた球体を掴もうとする。挟んだかに思われた球体は、サクッと割れてカスがこぼれた。
「あぁっ! せっかく作ったのにぃ~! おのれ、はかったな! 貴様、本当は私たちの作業を妨害しに来たんだろ?」
「いやいやいや、違いますって……。僕がやるんで、球体を出してください」
申し訳なさそうな目をシモンヌに向けると、彼女は一瞬だけ疑わしげな目を向けた後に『球体錬成』で球体を生み出した。それを右手に持った2本の矢で挟み、溶き汁が入ったボールに入れ、充分に汁を付けてから油鍋に入れた。
ジュワッという音ともに、一度沈んだ球体が浮かび上がる。油は一切、跳ねなかった。
「ほら、こうすれば大丈夫じゃないですか」
「確かに……。それにしても、ずいぶん器用に細い棒を使うのね。よし、貴様に細い棒使いの称号を与えよう! それとも、細い棒マスターがいいか?」
「どっちも結構です……」
マリーナは褒めているつもりらしかったが、彼女に棒使いと言われても、卑猥な単語にしか思えなかった。棒を武器にしている武芸者だっているというのに。
「しかし、これでは私の出番がなくなってしまう……」
「それじゃ僕が入れる方を担当するんで、取り出す方をお願いします」
「仕方ない。貴様の提案をのんでやる」
仕方ないと言いつつも、自分の作業があることに、マリーナは満足げだった。
「マリーナ、『物体移動』で取り出したら、油を抜いてから置いてね」
「わかったわ、シモンヌ。しっかり抜くわ」
どうにも部分部分で彼女の単語が卑猥なものに思えたが、伊吹は気にせずに作業をすることにした。
作業は約1時間ほどで終わって集計に入った。程なくして、頼まれた個数を達成していたことを確認する。
「言われた数は揃えたわ、マリーナ」
「そうね、シモンヌ。終わったって、報告に行ってくるわ」
「それじゃ、私は片づけでもしてるわね」
マリーナはバトルフィールドの階段を駆け上がり、観客席へと向かった。シモンヌは簡易カマドの火に砂をかけて消し、溶き汁の入ったボールを持って階段を上がっていく。一人残された伊吹も、抜き取った矢尻をはめ込み、元あった場所に矢を戻しに行った。
「これ、何……?」
「マユタンが選んだ今日のご飯」
チガヤにご飯と言われても、伊吹には別のものに見えていた。バトルで見たくても見られなかったそれに、形が酷似していたからだ。
「プルンプルンしてて、美味しそうなのだ!」
「オイラ、早く食べたいんだな」
マユタンとブリオが席に着く。
「どうぞ、召し上がれ~」
チガヤのOKが出るとマユタンとブリオが手づかみで食べ始めた。そこにワニックとシオリンも加わる。サーヤは赤い実を1つ持ち上げると、ハンモックの方に持っていった。
「僕も……」
伊吹も席に着き、食事に手をつけた。手に掴んだ感じとしては硬めのゼリーだったが、味の方は酸味が効いていて思わず顔をしかめた。
「マユタン、あのですねぇ~」
食べながら、シオリンがマユタンを呼ぶ。
「なぁ~に?」
「シオリン的には、アレを聴きたいんですねぇ~」
「アレ?」
「あの黒くて丸っこいのから音が出る……えっと、アビリティでぇ~……」
「了解なのです!」
シオリンが求めているものに気付いたマユタンは、テーブルを離れると両手を前に出し、手のひらからポコポコと黒い球体を浮き出させた。離れている場所の音を拾うアビリティ『遠隔受信』を発動させたのだ。
マユタンが球体の1つに触れると、その球体を通して音が聞こえてきた。
「次の試合は、ハイ掘削所VSスジイタチ野鍛冶事務所です」
大勢の人がざわついている音と先の声は、闘技場以外に考えられなかったが、今もバトルが行われているのは、伊吹としては意外だった。ギボウシの闘技場を出るときには、残り試合は少なかった気がする。
「これって闘技場?」
「会社名からすると、これはオルトドンティウムの闘技場かな」
チガヤに言われて、地方ごとに闘技場があることを思い出す。
「オルトドンティウムは人が多いからね。試合数も凄いんだって」
「へぇ~」
「試合時間を短縮するために、5対5から3対3に変わったって聴くよ」
そんなことを話している間にも笛が鳴っていた。心なしか、二度は鳴ったような気がする。
「始まったの?」
「もう終わったのだ」
「へ?」
あまりの試合時間の短さに呆気にとられる。終わったことを告げたマユタンも、納得いかなそうな顔をしている。
「一体、何が起こったの? まさか、とんでもない能力とかで……」
「しーっ!」
マユタンに静かにするように言われて黙り込むと、球体から幼い女の子の声が聞こえてきた。
「先の発言を審判に対する暴言とみなし、ハイ掘削所の反則負けとします」
バトルが短時間で終わった理由が反則負け、それも審判への暴言だと知って、食事をしていた者も手を止める。何を言ったら暴言とみなされるのか、そこに皆の関心は集まっていた。
「暴言だと!? 俺はただ、幼女キターッて喜んだだけだろ?」
「それです。私は幼女ではありません、撤回してください」
幼女を否定する声は、幼い女の子の声にしか思えなかった。『遠隔受信』のアビリティで出された黒い球体を通しての声だとはいえ、声質が変わるなんてことは聴いていないし、実際そんなことはないのだろう。もしそうだったら、能力を使用したマユタンが得意げに解説しているはず。彼女の性格からして、そう思えた。
伊吹は審判への発言は注意しなくてはと肝に銘じた。
「口は災いの元ですねぇ~。他のを聴きましょう」
「えいっ!」
シオリンの提案を受け、マユタンが別の球体に触れると、今度は男女の声が流れてきた。
「ちょっと、このキスマークは何!? どこの女に付けられたの!?」
「君が付けたんじゃ……」
「私とは、ご無沙汰でしょうに!」
ヒステリックな女性の声が家じゅうに響く。伊吹としては闘技場の方が気になったが、シオリンはこっちを聴きたいのか、目の輝きが明らかに違っていた。
「修羅場ですねぇ~。キスマークだなんて、やっぱり浮気?」
浮気を疑うシオリンとは違い、伊吹はキスマークと聞いて『遠隔受信』の発動条件が脳裏をかすめた。『遠隔受信』で拾える音は、キスマークが付いている人の周りだけ。つまり、マユタンが付けたキスマークを通してのみ、遠くにある音が聞こえることになる。
自分が付けたわけではないのに、伊吹は問い詰められている男性に対して、申し訳ない気持ちになったが、相手がいるだけいいよなと思い直した。
見知らぬカップルを羨ましく思いながら、形状がアレなゼリーをパクつく。
翌日、職場で渡された仕事チケットは2枚あった。そのチケットを見て、チガヤが自分のユニットに説明する。
「今日のお仕事は2つあるんだけど、1つはギボウシでの除湿作業だから、こっちは私とワニックで行くね。ワニックの『水分蒸発』があれば、すぐに終わると思う」
「ギボウシか、闘技場がある街だな」
今日もバトルに出られそうだと知り、ワニックがにんまりとする。
「もう1つはユニット交換会の準備だよ。会場の掃除と飾りつけが主な作業みたい。場所はね、アンフィテアトルムっていう私営の闘技場だって。知ってる?」
サーヤとマユタン以外が頷く。
「前にモデルの仕事をした場所の近くですねぇ~」
「そうなんだ」
シオリンが答えるのを見て、貰った招待券のことを思い出す。同じ日に召喚されたカリスタから、浮遊島で会った際に受け取ったものだ。
「あのさ、そのユニット交換会の招待券があるんだけど」
ポケットから取り出してチガヤに見せる。招待券の文字が読めないので、バトルイベントがあることくらいしか知らなかった。
「ユニット交換会、特別無料招待券。開催日は明日だから、行けるね。会社、お休みだし。当招待券をお持ちの方は、バトルイベントに無料で参加できます……だって」
「ほかに何か書いてない?」
「バトルイベントで賞金をゲット。目指せ、夢の金貨100枚。最初の1勝で金貨1枚、ダブルアップも可能。バトル内容は、当日になってのお楽しみ」
ダブルアップということは、勝ち続ければ賞金がどんどん増えていくから、夢の金貨100枚なんだなと一人納得する。
金貨100枚と言えば、ケイモが『次元転移』を発動させる対価として要求する謝礼の額に等しい。もしも、運よく金貨100枚が手に入ったら、『次元転移』で元の世界に戻れるが、そうはならないだろうなと自分の中で結論を出す。
手に入ったとしても、みんなで分け合うことになりそうだし、そもそもバトル内容が不明では何とも言えない。もし、普段やっているようなバトルだったとしても、勝ち続けるのは容易ではない。運がよくても幾らか貯められるくらいが関の山だろう。
「ふぅ~ん、バトルかぁ……」
と言って、チガヤが招待券を返してくる。彼女の顔からは“止めても、出るんでしょ”という諦めが見て取れた。
「勿論、今日のバトルにもエントリーするが、いいんだな?」
「うん……」
了承しか求めていないワニックの問いにチガヤが頷く。
「では、エントリーしてくるぞ」
意気揚々と受付に向かうワニックをチガヤは呼び止めようとしたが、大股で進む彼にかける言葉を見つけられないようだった。
「じゃ、僕らは仕事に行くね。ワニックには、こっちの仕事が終わっても間に合いそうなら、今日のバトルに出るって言っておいて」
「わかった」
仕方ないなといった感じで言い、チガヤは受付に向かったワニックの後を追う。
「行こっか」
伊吹は残った面子に声をかけ、アンフィテアトルムへと向かった。
アンフィテアトルムは、会社からガチャ神殿に向かう途中にある。神殿への大きな道から小道に逸れたところでヒューゴの家があり、その先にあるドーム型の屋根が特徴的な建物だ。
前に来たときは入り口にオスワルドが立っていたが、今は彼の代わりに樽体型の男性が立っていた。肌の色は褐色、頭に乗っかっている感じの黒髪が特徴的で、白いシャツに黒いベストを身に着けている。
「ユニット交換会の準備をしに来た者ですけど」
「どこの会社?」
「スコウレリア第三事務所です」
伊吹が会社名を言うと、門番は内ポケットからリストを出して確認した。
「ん~……あった、あった。さぁ、入って」
リストに社名を見つけたのか、中に入るよう指示される。カウンターに挟まれた細い通路を通って中に入ると、前に来た時と同じ丸いバトルフィールドと、階段状の観客席があった。
「あら、また会いましたね」
声がした方を見ると、カリスタが立っていた。彼女の後ろには何人か集まっている。
「昨日は、どうも」
「準備を手伝いに来てくれたの?」
「はい」
「それじゃ、こっちに来て。作業のことを説明するから」
近くにいた集団の中に伊吹たちが入り込むと、カリスタは作業の手順を説明し始めた。
最初に、棒の先に麻布が付いた道具でゴミを集め、一箇所にまとめたところで炎のスキルで焼却。次に座席を水拭き。最後に、交換会用の垂れ幕を設置するというのが観客席側の作業だった。
バトルフィールドでは、イベントに使うアイテムを造る作業が行われており、伊吹はこちらを担当することになった。とは言っても、何か作業するというのではなく、任せた人たちが遊んでるから仕事をさせてというものだった。
カリスタに言われてバトルフィールドに降りると、二人の女性が鉄製の簡易カマドを取り囲んでいた。二人ともキャミソールにホットパンツという格好で、何やら楽しげにお喋りをしている。
「あの……」
この人たちに仕事をさせないと、そう思って声をかけた相手は見覚えがあった。
「あっ、いつぞやのセクハラ男」
ショートカットでスレンダーな女性が言う。口元のホクロが印象的で、それを闘技場で見た覚えがあった。
「あのときは、よくもやってくれたわね」
隣にいた長身の女性はウェーブがかった髪をかきあげ、しかめっ面で眉を上下させる。彼女の顔も記憶にあるが、いまいち思い出せなかった。
「何なのよ、その“忘れました”的な顔は!?」
「落ち着いて、マリーナ。これは、私たちを怒らせて、平常心を失わせようとする作戦かもしれないわ」
「そうね、シモンヌ。作戦でなければ、きっと誰かの陰謀よ」
彼女たちが名前を言ったことで、ようやく前に戦った相手だということを思い出す。だが、思い出したことを伝える前に、彼女たちが再び喋り始める。
「忘れてるのなら、思い出させてあげるわ。私はSレアのマリーナ! スキルは自分より軽い物を動かす『物体移動』、アビリティは感度を上げる『敏感革命』よ!」
「そして、私はシモンヌ! スキルは球体を作り出す『球体錬成』、アビリティは卑猥な単語に音をかぶせる『淫語消滅』なの!」
ご丁寧にも能力紹介までされたことで、自分が初めて『快感誘導』を使って倒した女性だということに気づく。しかも、対戦時にはマリーナの『敏感革命』で過敏になった二人に対して『快感誘導』を放っている。
「あの、思い出しました……」
「思い出したって何を? 顔? 名前? まさか、私たちに上げさせた“あはぁ~ん”な声のこと!?」
「それとも、アヘ顔の方かしら!?」
間髪入れずに予想外の返しがくるので、呆然と立ち尽くす。
「本当に卑猥な攻撃だったわね。お陰で、あれからというもの、夜中の依頼ばかりになって大変なんだから! 毎夜毎夜、リア充の家に行って『敏感革命』を使わされてるのよ!」
「こっちもね、下ネタを言って喜ぶお年頃の子に呼び出されて、『淫語消滅』を使わされてるの! 音がかぶせられた卑猥な単語を当てようクイズを目の前でやられてみなさいよ、聴いてるこっちの方が恥ずかしくなるわ!」
「お仕事があるのは、いいことです……」
なんて言いつつも、少しは仕事を選んだらどうだ……という気持ちもあった。
「で、何をしに来たの?」
「仕事をさせて来いって言われて……」
マリーナの問いに答えると、二人は一斉に身構えた。
「仕事ですって!? まさか、貴様もリア充かっ!? 私に『敏感革命』を使わせて何をする気だ!?」
「待って、マリーナ! もしかしたら、卑猥な単語を当てようクイズが目的かもしれないわ!」
「いやいやいや、そっちじゃなくて……交換会の準備のことで」
そこまで言うと、二人は「なぁ~んだ」と気の抜けた顔をした。
「準備なら、やってるわよ。ほらっ」
シモンヌが避けると、簡易カマドの近くに、丸い形の揚げ物が複数置かれているのが見えた。揚げたてだからか、香ばしい匂いが漂ってくる。
「何ですか、これ?」
「明日のバトルイベントで使うそうよ。これを頭に乗せて戦って、先に相手のを壊した方が勝ちらしいわ」
「へぇ~……。これって、どうやって作ってるんですか?」
「知りたい? そうよね、知りたいわよね。どうしてもというなら、教えてあげてもいいわ」
もったいぶるマリーナにお願いする前に、彼女の説明は始まっていた。
「まずは、シモンヌが『球体錬成』で20cmほどの球体を作成。次に、その球体を特製の溶き汁に付けて、それを油でカラッと揚げるの。『球体錬成』で生み出した球体は30秒で消滅するから、これで中が空洞になってる揚げ物の完成よ」
天ぷらみたいなものか、という感想を言おうとしたが、伝わりそうにないのでやめる。
「マリーナ、実際に見せた方が早いんじゃない? 準備はよくて?」
「いいわよ、シモンヌ」
二人は目を合わせると、シモンヌが『球体錬成』で球体を生み出し、それをマリーナが『物体移動』のスキルで溶き汁が入ったボールに入れ、そのまま火にかけられた油鍋へと叩き込んだ。
勢いよく入れたせいで油が跳ね、彼女たちにかかった。
「熱っ! 熱いわ、マリーナ……もっと、そっと入れて……激しくしないで」
「か、加減が難しいのよ、シモンヌ」
飛び跳ねた油が体にかかって熱がっている様は、踊りを踊っているようだった。はた目から見れば、遊んでいるように見えても不思議はない。
「そろそろ出すわよ、シモンヌ」
「マリーナ、今度は気を付けてね。そっとよ」
『物体移動』のスキルで油鍋から球体を取り出すと、こんがりと良い具合に揚がっていた。ゆっくりと移動できたので、入れた時のような騒ぎにはならなかった。
揚げた球体は油きりバットに落とされ、マリーナはホッと一息ついたかと思うと、くわっと目を見開いた。
「どうだ!」
マリーナが得意げに言うので、思わず「おぉ!」と言ってしまう。だが、やっていることは単なる揚げ物だ。
「で、何をしに来たって?」
シモンヌが話を元に戻す。
「遊んでるから、仕事をさせて来いって言われて……」
「遊んでないわよ! 失礼ね!」
憤慨するシモンヌをなだめるように、まぁまぁと開いた手を上下させる。
「たぶん、跳ねた油を熱がってるのが、遠くからは遊んでるように見えたんですよ」
「私だって、好きで跳ねさせてるんじゃないわよ!」
今度はスキルを使っているマリーナが憤慨する。
「まぁ、そうですよね……。要は跳ねなきゃいいわけで」
「だから、『物体移動』は加減が難しいって言ってるでしょ!?」
「う~ん……」
と唸り込んで、何か打開策は無いものかと辺りを見回す。壁にはチャレンジバトルで使用される武器が並べられていて、その中のひとつが目に留まる。弓だ。
「ちょっと待っててください」
二人に断わって弓が置いてある場所へと移動する。武器として使われるものだけあって、傍には矢も用意されていた。
伊吹は矢を2本だけ取ると二人の場所に戻り、矢尻を抜き取ってマリーナに渡した。
「何なのよ、これは?」
「これを箸代わりにすれば、油が跳ねることもないと思います」
「ハシ? ハシぃ~?」
マリーナは初めて聞く単語を繰り返した。
「えっと、ものを摘まむ道具ですよ。その2本で揚げるものを挟むんです」
「こうか!」
箸代わりの矢を右手に1本、左手に1本持ったマリーナが、既に揚げた球体を掴もうとする。挟んだかに思われた球体は、サクッと割れてカスがこぼれた。
「あぁっ! せっかく作ったのにぃ~! おのれ、はかったな! 貴様、本当は私たちの作業を妨害しに来たんだろ?」
「いやいやいや、違いますって……。僕がやるんで、球体を出してください」
申し訳なさそうな目をシモンヌに向けると、彼女は一瞬だけ疑わしげな目を向けた後に『球体錬成』で球体を生み出した。それを右手に持った2本の矢で挟み、溶き汁が入ったボールに入れ、充分に汁を付けてから油鍋に入れた。
ジュワッという音ともに、一度沈んだ球体が浮かび上がる。油は一切、跳ねなかった。
「ほら、こうすれば大丈夫じゃないですか」
「確かに……。それにしても、ずいぶん器用に細い棒を使うのね。よし、貴様に細い棒使いの称号を与えよう! それとも、細い棒マスターがいいか?」
「どっちも結構です……」
マリーナは褒めているつもりらしかったが、彼女に棒使いと言われても、卑猥な単語にしか思えなかった。棒を武器にしている武芸者だっているというのに。
「しかし、これでは私の出番がなくなってしまう……」
「それじゃ僕が入れる方を担当するんで、取り出す方をお願いします」
「仕方ない。貴様の提案をのんでやる」
仕方ないと言いつつも、自分の作業があることに、マリーナは満足げだった。
「マリーナ、『物体移動』で取り出したら、油を抜いてから置いてね」
「わかったわ、シモンヌ。しっかり抜くわ」
どうにも部分部分で彼女の単語が卑猥なものに思えたが、伊吹は気にせずに作業をすることにした。
作業は約1時間ほどで終わって集計に入った。程なくして、頼まれた個数を達成していたことを確認する。
「言われた数は揃えたわ、マリーナ」
「そうね、シモンヌ。終わったって、報告に行ってくるわ」
「それじゃ、私は片づけでもしてるわね」
マリーナはバトルフィールドの階段を駆け上がり、観客席へと向かった。シモンヌは簡易カマドの火に砂をかけて消し、溶き汁の入ったボールを持って階段を上がっていく。一人残された伊吹も、抜き取った矢尻をはめ込み、元あった場所に矢を戻しに行った。
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