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第10章 目覚め そして 英雄となる
103話 私の決断 迷い
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20XX/12/22 0948
ツクヨミの居場所の特定は一筋縄ではいかない。旗艦が仕掛けた戦いを逆に利用するという豪胆な決断を下したのだから相応以上に慎重で、抜かりない。場所の特定など簡単にさせないだろう。
私の方も酷く心許ない。残った武器は少なく、戦力的に最低レベルだった。が、開戦後に清雅市周辺のカグツチ濃度に助けられた。身体の調子も大分良くなった。この分ならば、少しはマシな抵抗も出来るだろう。肉体の痛みに耐えれば、だが。
ただ、運が良い――と手放しで喜べない自分がいる。ツクヨミの確保と恫喝、無理ならば破壊。その為には何としてもあの巨大な本社内部に潜入しなければならないのに、超えなければいけない障害が幾つもある。
最大の問題は市内のほぼ全域を監視するカメラ。上空まで余すところなく、死角など一切ない。なのに何の問題もなく清雅市に侵入し、更に清雅本社から幾分か離れた場所までやってこれた。しかも、おあつらえ向きに本社と戦場の様子を窺うのに絶好の場所。
戦闘が始まった影響もあると思う。監視カメラは戦闘区域を注視する様に動きを変えた。結果、比較的容易に本社近辺まで近づけた。映像が映る範囲を全て避けたから見つかっていない――なんて風には考えられない。羽島の言葉が脳裏を過る。
「情報戦において全てを圧倒する清雅が地球に張り巡らした情報の網から私達だけが漏れてる」
乱暴に要約すればこんな内容だった。情けない事だが半信半疑の言葉を頼りに動いた。今日この日、この瞬間までの結果から判断するに真実らしいとの確信を得た。ただ、どうしても釈然としない。心の奥に大きな何かが引っかかる。あの男の言葉が全て正しいならば、私達はこの星全域を完璧に監視するツクヨミシステムとやらに何故か探知されないらしい。
事実、私達が一時の潜伏場所として選んだ巨大複合商業施設への襲撃はゼロどころか近寄った形跡すらなかった。今この時もそうだ。如何に戦闘が始まったとはいえ、監視カメラが無数に蠢く清雅市内、そのビル屋上を飛び移る異物を全く探知できない訳がない。なのに、実際は何らの問題もなく本社を一望できる程度の位置まで接近出来て、挙句に誰一人として排除に来ない。
何故、これといった理由もないのに私達だけがシステムの監視から逃げられるのか?
どうでも良い地域ならばいざ知らず、清雅市は地球全域の通信を一手に制御するツクヨミシステムがあるのだから監視も警備も厳重。だから、そもそも私は地球に降り立ったあの日に死んでいてもおかしくなかった。だけど現実には生きている。しかもナギまで一緒に。止めようと考えても、ふとした切っ掛けで浮かび上がってくる。
何故、私達なのか?
百歩譲って異物である私がツクヨミシステムの探知から漏れるのは納得出来ても――あるいはナギが特別とか?しかし、こう考えるのは酷だが、どう考えても人とは違う特別な何かを持った人物には見えない。なら、結論は一つしかない。信じる事が到底できずにいて、一旦は心の奥底にしまいこんだ答え。私達は何らかの意図でツクヨミシステムに生かされているか、あるいは見逃されている。だが、そう仮定しても結局は同じ疑問に舞い戻る。
何故、私達なのか?
とは言え、これ以上は考えても無駄だ。システムを解析するか、インターフェイス越しに直接問いかけねば答えは出そうにない。その核心、本社は目と鼻の先。手元に残された武器へのカグツチの充填も十分で、更に周囲の濃度も理想的。この不自然な上昇率からするに、恐らくヤタノカガミが使用されている。となれば、危険を冒して旗艦に戻る必要もなくなった。
だから、後はツクヨミを見つけるだけなのだが――開戦の混乱に乗じて周囲を捜索してみたが、当然ながら本社への侵入通路は粗方塞がれていた。本社ビルまで跳躍しようにも距離が離れすぎているし、流石に目立つ。
地上から向かうとなると本社前を護る清雅の社員達の存在が邪魔になる。全員がそれぞれが適度な距離を保ちながら、本社敷地内から一歩も出ようとしないのに、そんな連中が確認範囲に10人以上もいる。私達はこれまで2人を退けているが、明らかに実力以上の幸運に恵まれた結果。真面にかち合えば全く歯が立たない。
それに、そもそもの問題として、実際に見つけたところで恫喝できるかも怪しいのだけど。恐らく相応以上の侵入者迎撃システムが作動しているだろうし、それを抜けた先にも清雅の社員達が使用する以上の防壁で自身を守っている可能性もある。
あと一歩。だが、そのあと一歩が遠い。途轍もなく――
ナギを頼るべきだったか。不安に駆られた頭が無意識に彼の名を呼び起こし、慌てて否定した。もう彼には十分助けられた。これ以上関われば元の生活に戻れない。それだけは、私と同じ選択のしようがない未来へと進む不幸だけは阻止しなければならない。こんな――こんな生き方は、私だけで十分だ。
ただ、強がったところで有効な手立ては見つからない。無謀だったか?あるいは無謀を承知で旗艦に戻って、仲間にこれまでの情報を教えた方が良かったか?ココまで来て諦めざるを得ないのか?何か手立てを求め、視線は戦場を彷徨い――
「……清雅源蔵。何が目的だ?ツクヨミシステムの防衛にしたってここまで過剰な攻撃いるのかい?もう止めた方が賢明だ、犠牲が増えれば増える程に戦いは止められなくなるぞ!!」
誰かの声に意識が釘付けとなった。視線が声の出処を探し、本社の巨大ディスプレイで止まった。老年の男が映っている。確か建前上この国で一番偉い首相、名前は確か関宗太郎。
清雅源蔵を見た。竜の形をした兵器を意のままに操る男、地球側の戦いを主導する清雅の頂点が危険を顧みず前線に出向いている。力への圧倒的な自信。少なくとも、山県大地やゲイルなどとは比較にならない程に強い。となれば、真面に話など聞くつもりはないだろう。
が――それでも。私の中の何かが大きく揺れ動き、一つの目的を描き出した。清雅源蔵を葬る。
今回の戦い、少なくとも神の先導は確実。羽島の言葉から旗艦側の情報は完全に筒抜けと判明した。となれば、クズリュウの完全敗北は必至。ヤゴウ達のツクヨミ確保を巡る作戦が確実に失敗すれば権威は失墜、その隙に停戦交渉でも持ち掛けるつもりだろう。幾ら強力な兵器を持つと言っても、戦力差が違い過ぎる。
但し、そうなる可能性は低い。権威の失墜程度でヤゴウは止まらないし、鎖で行動を強制する可能性も否定できない。清雅も鎖による強制介入を知りながら、それでも必勝を見込んで戦いを仕掛けた。となれば、勝つ為の切り札を用意している。しかも、圧倒的な。
挙句に散々に見て来た残虐性だ。その時が来れば、切り札を躊躇いなく切る。山県大地も「こっちから出向いて殺す」とか何とか言っていた。つまるところ、双方共に停戦を望まない可能性は高く、被害は際限なく増え続ける。
ならば、ツクヨミと縁深い清雅一族の長を止める事が出来たならば、このバカげた戦いを止める切っ掛けになる。もしそれが駄目なら――いや、その先を考えるのは止そう。
武器を片付け、ビルの屋上へと向かう。部屋を出る直前、本社ビルから大きな爆発が二発、僅かに間をおいて一発響いた。本社も戦場となっているようだ。彼、きっと私の伝言を無視するだろうな。今頃は本社に向かっているか、もしかしたら既に潜り込んでいるかもしれない。
止めようと幾度となく考えても、油断するとすぐ頭を過る。不要と切り捨てたのに、その覚悟で臨んだのに。気が付けば私は彼の事を考えていた。
ツクヨミの居場所の特定は一筋縄ではいかない。旗艦が仕掛けた戦いを逆に利用するという豪胆な決断を下したのだから相応以上に慎重で、抜かりない。場所の特定など簡単にさせないだろう。
私の方も酷く心許ない。残った武器は少なく、戦力的に最低レベルだった。が、開戦後に清雅市周辺のカグツチ濃度に助けられた。身体の調子も大分良くなった。この分ならば、少しはマシな抵抗も出来るだろう。肉体の痛みに耐えれば、だが。
ただ、運が良い――と手放しで喜べない自分がいる。ツクヨミの確保と恫喝、無理ならば破壊。その為には何としてもあの巨大な本社内部に潜入しなければならないのに、超えなければいけない障害が幾つもある。
最大の問題は市内のほぼ全域を監視するカメラ。上空まで余すところなく、死角など一切ない。なのに何の問題もなく清雅市に侵入し、更に清雅本社から幾分か離れた場所までやってこれた。しかも、おあつらえ向きに本社と戦場の様子を窺うのに絶好の場所。
戦闘が始まった影響もあると思う。監視カメラは戦闘区域を注視する様に動きを変えた。結果、比較的容易に本社近辺まで近づけた。映像が映る範囲を全て避けたから見つかっていない――なんて風には考えられない。羽島の言葉が脳裏を過る。
「情報戦において全てを圧倒する清雅が地球に張り巡らした情報の網から私達だけが漏れてる」
乱暴に要約すればこんな内容だった。情けない事だが半信半疑の言葉を頼りに動いた。今日この日、この瞬間までの結果から判断するに真実らしいとの確信を得た。ただ、どうしても釈然としない。心の奥に大きな何かが引っかかる。あの男の言葉が全て正しいならば、私達はこの星全域を完璧に監視するツクヨミシステムとやらに何故か探知されないらしい。
事実、私達が一時の潜伏場所として選んだ巨大複合商業施設への襲撃はゼロどころか近寄った形跡すらなかった。今この時もそうだ。如何に戦闘が始まったとはいえ、監視カメラが無数に蠢く清雅市内、そのビル屋上を飛び移る異物を全く探知できない訳がない。なのに、実際は何らの問題もなく本社を一望できる程度の位置まで接近出来て、挙句に誰一人として排除に来ない。
何故、これといった理由もないのに私達だけがシステムの監視から逃げられるのか?
どうでも良い地域ならばいざ知らず、清雅市は地球全域の通信を一手に制御するツクヨミシステムがあるのだから監視も警備も厳重。だから、そもそも私は地球に降り立ったあの日に死んでいてもおかしくなかった。だけど現実には生きている。しかもナギまで一緒に。止めようと考えても、ふとした切っ掛けで浮かび上がってくる。
何故、私達なのか?
百歩譲って異物である私がツクヨミシステムの探知から漏れるのは納得出来ても――あるいはナギが特別とか?しかし、こう考えるのは酷だが、どう考えても人とは違う特別な何かを持った人物には見えない。なら、結論は一つしかない。信じる事が到底できずにいて、一旦は心の奥底にしまいこんだ答え。私達は何らかの意図でツクヨミシステムに生かされているか、あるいは見逃されている。だが、そう仮定しても結局は同じ疑問に舞い戻る。
何故、私達なのか?
とは言え、これ以上は考えても無駄だ。システムを解析するか、インターフェイス越しに直接問いかけねば答えは出そうにない。その核心、本社は目と鼻の先。手元に残された武器へのカグツチの充填も十分で、更に周囲の濃度も理想的。この不自然な上昇率からするに、恐らくヤタノカガミが使用されている。となれば、危険を冒して旗艦に戻る必要もなくなった。
だから、後はツクヨミを見つけるだけなのだが――開戦の混乱に乗じて周囲を捜索してみたが、当然ながら本社への侵入通路は粗方塞がれていた。本社ビルまで跳躍しようにも距離が離れすぎているし、流石に目立つ。
地上から向かうとなると本社前を護る清雅の社員達の存在が邪魔になる。全員がそれぞれが適度な距離を保ちながら、本社敷地内から一歩も出ようとしないのに、そんな連中が確認範囲に10人以上もいる。私達はこれまで2人を退けているが、明らかに実力以上の幸運に恵まれた結果。真面にかち合えば全く歯が立たない。
それに、そもそもの問題として、実際に見つけたところで恫喝できるかも怪しいのだけど。恐らく相応以上の侵入者迎撃システムが作動しているだろうし、それを抜けた先にも清雅の社員達が使用する以上の防壁で自身を守っている可能性もある。
あと一歩。だが、そのあと一歩が遠い。途轍もなく――
ナギを頼るべきだったか。不安に駆られた頭が無意識に彼の名を呼び起こし、慌てて否定した。もう彼には十分助けられた。これ以上関われば元の生活に戻れない。それだけは、私と同じ選択のしようがない未来へと進む不幸だけは阻止しなければならない。こんな――こんな生き方は、私だけで十分だ。
ただ、強がったところで有効な手立ては見つからない。無謀だったか?あるいは無謀を承知で旗艦に戻って、仲間にこれまでの情報を教えた方が良かったか?ココまで来て諦めざるを得ないのか?何か手立てを求め、視線は戦場を彷徨い――
「……清雅源蔵。何が目的だ?ツクヨミシステムの防衛にしたってここまで過剰な攻撃いるのかい?もう止めた方が賢明だ、犠牲が増えれば増える程に戦いは止められなくなるぞ!!」
誰かの声に意識が釘付けとなった。視線が声の出処を探し、本社の巨大ディスプレイで止まった。老年の男が映っている。確か建前上この国で一番偉い首相、名前は確か関宗太郎。
清雅源蔵を見た。竜の形をした兵器を意のままに操る男、地球側の戦いを主導する清雅の頂点が危険を顧みず前線に出向いている。力への圧倒的な自信。少なくとも、山県大地やゲイルなどとは比較にならない程に強い。となれば、真面に話など聞くつもりはないだろう。
が――それでも。私の中の何かが大きく揺れ動き、一つの目的を描き出した。清雅源蔵を葬る。
今回の戦い、少なくとも神の先導は確実。羽島の言葉から旗艦側の情報は完全に筒抜けと判明した。となれば、クズリュウの完全敗北は必至。ヤゴウ達のツクヨミ確保を巡る作戦が確実に失敗すれば権威は失墜、その隙に停戦交渉でも持ち掛けるつもりだろう。幾ら強力な兵器を持つと言っても、戦力差が違い過ぎる。
但し、そうなる可能性は低い。権威の失墜程度でヤゴウは止まらないし、鎖で行動を強制する可能性も否定できない。清雅も鎖による強制介入を知りながら、それでも必勝を見込んで戦いを仕掛けた。となれば、勝つ為の切り札を用意している。しかも、圧倒的な。
挙句に散々に見て来た残虐性だ。その時が来れば、切り札を躊躇いなく切る。山県大地も「こっちから出向いて殺す」とか何とか言っていた。つまるところ、双方共に停戦を望まない可能性は高く、被害は際限なく増え続ける。
ならば、ツクヨミと縁深い清雅一族の長を止める事が出来たならば、このバカげた戦いを止める切っ掛けになる。もしそれが駄目なら――いや、その先を考えるのは止そう。
武器を片付け、ビルの屋上へと向かう。部屋を出る直前、本社ビルから大きな爆発が二発、僅かに間をおいて一発響いた。本社も戦場となっているようだ。彼、きっと私の伝言を無視するだろうな。今頃は本社に向かっているか、もしかしたら既に潜り込んでいるかもしれない。
止めようと幾度となく考えても、油断するとすぐ頭を過る。不要と切り捨てたのに、その覚悟で臨んだのに。気が付けば私は彼の事を考えていた。
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