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後日談

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1ヵ月が過ぎました…。
今日は、王子とエラの結婚式。
城下の人々も自由に城へ出入りして、2人を祝福します。

「お妃様。
本日は御結婚の儀、おめでとうございます。」

エレオノーラが、他人行儀に挨拶します。

「あなたが、お互い呼び捨てでって決めましたよね。
お妃様なんて呼び方は許しませんよ!
良いですね、エラ。」

エラは、笑顔で頬を膨らませます。

「ふふふっ…。」

2人は、楽しそうに笑います。


結婚式までの間、エラはエレオノーラの家で、お妃としての礼儀作法を学ぶことになりました。
2人は1番の友達になりました。
一緒のお風呂が苦手だったエラも、今はエレオノーラやその妹達と一緒にお風呂で歌を歌ったり、洗いっこしたりと大好きになりました。

エレオノーラの妹達は、“優しいエラ姉ちゃん”と“怖いエラ姉ちゃん”で、2人を呼び分けしていましたので、エレオノーラは「なんでよー!」と怒り心頭の日々でしたが、笑いの絶えない楽しい毎日でした。


今日、誰でも自由に城へ出入りできることを提案したのは、エレオノーラです。
エラがお妃としてやっていくには、この先、エラの家族が障害になるのでは?と、父親である大臣と相談していました。
しかし、虐待していたとはいえ、家族に違いありません。

話し合った結果、エラに対して愛情ある行動が見られた場合、王家の親族として迎え入れる事としました。

【最低10年間、何が有ろうと家へ帰る事は許されない。】

自由な城への出入りは、この条件でメイドとして働くことになった、エラに会うことができる、数少ない機会です。
家族であれば、エラの身を心配して、城へ来るはずだと考えました。


エラの家族が城へやって来ました。

「お母様。
シンデレラは、お城の仕事をちゃんとやっているのかしら?」

「いえ、お姉さま。
いくらあの子が健康だと言っても数倍過酷な仕事でしょ。
きっと力尽きて倒れている頃よ。」

「これ、お前達。
シンデレラには、毎年金貨50枚稼いで貰うのだから、そんな事を言ってはいけませんよ。」

継母と2人の姉…。
3人は、結婚のお祝いをするで無く、エラの心配をするで無く、疲れ果てているであろうエラの様子を見に来たのでした。

「あの~、すいません。
こちらで、エラと言う名の娘が働いているはずなのですが、取り次いで頂けませんか?」

城内に入り、メイドを見つけた3人は、エラの呼び出しを頼みます。


しばらくして、エラが遣って来ました…。
エレオノーラが…。

「はい。
私がエラですけど、どのような御用件でしょうか?」

3人は、思っていたエラと違うエラの登場に驚きました。

「申し訳ございません!
私どもが呼び出したのは、愛称がエラのシンデレラと申す者で、あなた様ではございません。」

継母は、慌てて訂正します。

「シンデレラさんですか…。
あぁ、ちょうど良いところに。
メイド長!
シンデレラと言う者が、この城で働いていますか?」

エレオノーラは、通りがかったメイド長に尋ねます。

「…シンデレラ…。
私は、ここで働く全ての人の名を憶えていますが、その様な名前の者は、この城におりません。」

「シンデレラは、いない…。」

エレオノーラは、3人を不審な目でにらみます。

「あっ! 申し訳ございません!
シンデレラと言うのは、家中での呼び名です。
こちらでも、そう名乗るよう、きつく言い付けて置いたのですが…。
本当の名は…。」

「…」

「何だっけ?」

「エラだから“ガブリエラ”?」

「いいえ、違うわ。
もっと生意気な名前よ!」

「じゃあ“エレオノーラ”とか…。」

3人は、シンデレラの本当の名前を思い出すことが出来ませんでした。

「衛兵!
この怪しい3人を投獄しなさい!!」

エレオノーラの命令で、衛兵が3人を取り押さえます。

「お待ちください!
シンデレラと言う者は、居るはずです!
どうか、お調べ下さい!!」

「栗色の髪の娘です!
年の頃は、あなた様と同じぐらいです!!」

「メイドとして働いています!
普通のメイドより、数倍過酷な仕事をしている筈です!!」

3人は、抗議の声を上げながら、牢獄へと連れて行かれました。

「うふふっ…。」

エレオノーラは、思わず笑ってしまいます。

(栗色の髪で、メイドの仕事をしているシンデレラなんて、もう何処にもいないのに…。)

そこへ、大臣が遣って来ました。

「やはり、駄目だったか…。」

「はい。
まさか、娘の名前すら思い出せないとは…。
もう縁を切ったほうが、良いと思います。」

「ならば、どうする?」

「しばらく牢で暮らしてもらって、国外追放すれば良いと考えますが…。」

「ふむ…。
では、その様に手配しよう。
それで、お妃様にお知らせしなくても良いのか?」

「私が、折を見て話しておきます。
姉2人が隣国へ嫁ぐ事になって、母親も一緒について行ったと嘘をつくことになりますが…。」

エレオノーラは、辛そうな顔を見せます。

「すまんな、お前に嫌な役回りをさせてしまって…。」

「気にしないで下さい。
だって、私は怖いエラ姉ちゃんだから…。」

そう言って、エレオノーラは、優しい微笑を浮かべるのでした……。
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みんなの感想(1件)

かゆ
2018.05.30 かゆ

すっごくクリエイティブで面白かったです!

つなざきえいじ
2018.05.30 つなざきえいじ

感想ありがとうございます。シンデレラ物語ありきの話なので、クリエイティブって言われると気恥ずかしいです。

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