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第二章 乱宴
8 傍系の考え方
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「訂正してください…ジェルフ卿…」
フォルトが…マグマのような怒りを、ウチに秘めている事…わかった人間はいないようだった。
ポーカーフェイスが…下手な社交界の重鎮より、よっぽど上手いからだ。
「ダイヤは今…ファルメニウス公爵家の家臣であり、ファルメニウス公爵家に籍を置いています。
つまり…アナタの今の言葉は、完全にファルメニウス公爵家に対する、侮辱に当たります」
「それは言い過ぎでは?
ファルメニウス公爵家を侮辱するつもりは、ございませんよ」
フォルトの言葉が…かなり静かであったことで、立場上…言わざるを得ないから、言っている…と、
思ったのかもしれない。
言葉とは裏腹に、ジェルフの挑発的な態度が、消える事はなかった。
「だったら…逃げたという言葉は、訂正していただきたい」
フォルトは…本当に静かだった。
静かすぎるくらいに…。
「でしたら、ご説明頂きたい。逃げたのでないなら、どこに行っているのか…を」
もっともらしい笑いを顔に張りつけ、完全に小馬鹿にしているようだ。
「極秘任務ゆえ、説明は不可能です」
フォルトは…表情に本当に変化がない。言葉にも抑揚がない。
事務的説明のようだ。
目の前の…取るに足らない人物に、怒りを露にしたところで、しょうがないとも思っているの
だろう。
「だったら…逃げたと思われても、致し方ないのでは?」
ジェルフだけでなく…傍系の同世代たちも、クスクスと笑っている。
実は…グレッドの時代は、一応グレッドに剣術の才能があったため、剣術の事で、他からの揶揄は
あまりなかったのだ。
しかし…グレリオの世代になり、あきらかに剣術オンチな人間が、次期当主になるかも…。
そして、グレンフォ時代の盟約が重なり、孫世代が…余計野心を持ってしまったのだ。
「……ジェルフ卿…そのお言葉に…責任は持てるのですか?」
「なに?」
「ギリアム様も…奥様も…自分よりむしろ、家族と同等と見る、家臣を侮辱される方が
怒りを露にするタチです…。
今…言を訂正されるなら、私の胸の内だけで、収めておきましょう…。
しかし…訂正されないなら、ギリアム様と奥様に…ご報告いたします」
「どうぞ…ご自由に…」
「……これが最終忠告です。ジェルフ卿」
静かな…でも、ハッキリした声。
「ですから!!ご自由にと言っているでしょう?」
「…わかりました」
フォルトは短い言だけで、その場を終わらせ…、
「このバカもんがぁ―――――――――っ!!」
…て、くれなかったのは、グレダルだ。
「すぐに訂正して、お詫びしろ!!当代のファルメニウス公爵夫妻に喧嘩を売るなど、何を
考えているのだ!!正気の沙汰じゃない!!」
普通だったら…絶対にやらないだろう、孫の頭をぶん殴り、唾を吐きながら叫ぶ。
祖父に…思い切り殴られた頭を抑えつつ、
「おじい様は、平気なのですか!!」
涙目になりながらも、キツく睨む。
「な、なにがだ?」
グレダルが…流石にワケわからんと言う目をすると、
「ダイヤと言う男は、犯罪者なのでしょう?
そんな男に…ラスタフォルス侯爵家を継がせるなど…。
相応しい人間が、他に沢山いるでしょう!!」
必死に叫ぶ。
実際、ジェルフがどうかはさておいて、剣術の腕がいい人間は、グレダルの息子にも孫にも
複数いる。
「口を慎みなさい!!ダイヤは恩赦兵となり、立派に活躍しているのです!!」
ダリアがすかさず出てきたが…やはり、この問題は根が深い。
「どんなに活躍しようが、犯罪者は犯罪者です!!
そもそも…アナタだって、よくこんなパーティーに、平気な顔して出られますよね。
オルフィリア公爵夫人に怪我を負わせておいて…。
まあでも、当然か…」
ここでジェルフは…少し含み笑い的な笑みをこぼし、
「アンタが散々、自慢していたグレッド卿は…結婚式に婚約者の妹と駆け落ちなんて…。
馬鹿な事しでかしたんですから!!
立派な騎士…立派な跡取りを育てるって、おじい様やおばあ様と約束しておいて…。
結局そんな、出来損ないしか育てられなかった!!
アンタには、犯罪者の孫がお似合いかもな!!」
「ふざけるなぁ―――――――――――っ!!
決闘しなさい!!ジェルフ!!」
ダリアの叫びは…ホール中に響き渡っているんじゃ…と、思われるくらいだった。
「もう本当に、おやめください!!」
ここで初めて…フォルトの声に、怒気が乗る。
「そういった事は、パーティーではなく、家でお願いしますと、申し上げました。
あと…ジェルフ卿は言を訂正する気が無いようですので、報告させていただきます」
「そして!!これ以上騒ぐなら、他の皆様にご迷惑です!!
さすがにご退出願いますが?」
すると…全員が途端に静かになった。
ファルメニウス公爵家のパーティーは実際、質が良い…。
そこを追い出されたなどと言ったら、それだけで悪評になりかねない。
皆が静かになったことを、確認したフォルトは、
「騒がないなら、追い出すまでは致しませんが…。
もう少しご自身の立場を、よくよくお考え下さい」
ため息交じりに、その場を離れ…
「お、お待ちください!!フォルト卿!!」
させてくれない、グレダル。
「ま、孫の申したことは、酒の上でのことです!!必ず詫びさせますので…何卒…」
報告はしないでくれと言う事なのだろうが、フォルトはそんなグレダルを一瞥すると、
「酒が入っていたから、侮辱が許されるような歳ではございますまい。
成人してだいぶ経つ…。責任はしっかりと、取ることをお勧めしますよ」
そしてダリアの方を見ると、
「ダリア夫人とてそうですよ。孫ほど歳の離れた人間と…取っ組み合いの喧嘩をする勢いでは
もう帰られた方がよろしいかと…」
あくまで…静かな声で、諭すように言ったのだが、
「悪いのは、ジェルフです!!そして…そんなジェルフを抑えられない、グレダルです!!
グレダル!!アナタの息子と孫が、ウチに迷惑をかけてきていると、散々言ったのに、全く
反省した素振りがない!!どう説明する気ですか!!」
「それについては…。申し訳ございません、義姉上…。私も注意はしているのですが…」
「注意だなどと、生温い事を言っているから、止まらないのです!!!
さっさと厳罰に処しなさい!!」
「ですから!!そう言った事は、家でやってください!!」
さすがのフォルトも、口調が強くなる。
護衛騎士に命じ、ひとまず2家族に暫く、個室に入って落ち着くよう指示。
従わなければ、強制的に追い出すとも。
さすがに追い出されるわけにはいかないと、思ったようで、2家族ともフォルトの指示に従った。
そして…。
「このバカもんが――――――――――っ!!」
個室にて、第二幕が開幕した。
「ファルメニウス公爵家などに盾突けば…我が家なんぞ、簡単に吹き飛ばされると、なぜわからん!!
本当にどうかしているぞ!!お前は!!」
「そうですよ…。
ラスタフォルス侯爵家の事は、お義兄様がお決めになる事だと、言ったでしょう?」
横から出てきた夫人は…世代的に祖母だろう。
「ま、まあまあ、父上、母上…。こいつには、よく言って聞かせますから…。
パーティーを楽しんできてくださいよ…」
小太りの…いつからいたの?…と、聞きたくなる男…どうやらグレダルの息子で、ジェルフの父親の
ようだ。
「パーティーどころではなくなってしまったわ!!バカもん!!
もう全員揃って、引き上げる!!」
全員…は、傍系全員という、事だろうな…。
グレダルは…非常にご立腹だが、
「しかし…。ギリアム公爵閣下とオルフィリア公爵夫人が…途中参加されるやも、知れませんし…」
息子の言葉で、はたとして、
「確かに…その可能性もあるな…」
「ええ…ですから、残った方が、よろしいかと…。
ジェルフに関しては、これ以降酒を飲ませなければ、多少は正気に戻ると思いますし…」
しばし悩んだグレダルだったが、
「わかった!!その代わり、ジェルフから、眼を離すなよ!!」
「わかっております、父上…」
息子の言葉を聞き…夫人と一緒にパーティー会場に戻る、グレダルだった。
それを見届けると、父親は早速息子の頭を叩く。
「な、何するんだよ!!」
「もっとうまくやれと、言ったはずだ!!お前は兎に角、剣術の腕を上げるだけでいいと!!
グレリオとダリナを…黙らせる肝は握っているのだから、そもそもグレンフォ伯父様が亡くなった
あとでも、動きは取れる!!」
「ダ、ダリア夫人の事は、とにかく騒ぎを起こす為だったんだ!!」
「だったらなぜ、ファルメニウス公爵家を侮辱した!!愚の骨頂だ、馬鹿もん!!」
そこら辺は、グレダルと同意見のようだ。
「だ、だって…」
ジェルフは途端に…悔しそうな涙目になり、
「あ、あいつ等…ドロテアちゃんに恥をかかせたんだ!!だから…」
実はジェルフは…流星騎士団に出向いた際…ドロテアに一目惚れしている。
全く相手にされていないが、本人はドロテアがシャイなせいだと思っている…。
……どこかで見たような、構図だ。
「付き合ってられん…。とにかく部屋を出るなよ!!」
父親は…ちょっと呆れ顔で、ため息をつくと、商談があると言って、さっさと部屋を出る。
暫くして…同じ傍系男子が2人…入ってきた。
「おい!!仕込みは完了したぞ?」
「本当か?」
ジェルフの鼻息が荒くなる。
「でもお前、本当に凄いな!!
ドロテアちゃんの為とはいえ、ファルメニウス公爵家に喧嘩を売るなんて…」
「当たり前だろう!!オレは…ドロテアちゃんの為なら、たとえ火の中水の中だ!!」
誇らしげに胸を張るジェルフ。
「ドロテアちゃんに酷いことをして、そのままで済むと思うな!!」
これ見よがしに、握りこぶしを作り、悦に入っている…。
「ああ!!ドロテアちゃんに、衆人環視の前で、恥をかかせたこと…たっぷり後悔させて
やろうぜ!!」
「そうだそうだ!!」
他2人も…同調するように、イケイケの姿勢だ。
ちなみにこの傍系男子2人も、ドロテアに惚れている。
強大な敵に会うと、いがみ合う者たちが一つになる…という、構図だろう。
「でも…運が良かったよ。
ギリアム公爵閣下とオルフィリア公爵夫人が不在だから、仕込みがしやすかった」
「よし!!ドロテアちゃんを泣かせた奴に…目にモノ見せてやろう!!」
こうして…勘違い三馬鹿コンビが結成されたこと…、まだ知る者はいない…。
フォルトが…マグマのような怒りを、ウチに秘めている事…わかった人間はいないようだった。
ポーカーフェイスが…下手な社交界の重鎮より、よっぽど上手いからだ。
「ダイヤは今…ファルメニウス公爵家の家臣であり、ファルメニウス公爵家に籍を置いています。
つまり…アナタの今の言葉は、完全にファルメニウス公爵家に対する、侮辱に当たります」
「それは言い過ぎでは?
ファルメニウス公爵家を侮辱するつもりは、ございませんよ」
フォルトの言葉が…かなり静かであったことで、立場上…言わざるを得ないから、言っている…と、
思ったのかもしれない。
言葉とは裏腹に、ジェルフの挑発的な態度が、消える事はなかった。
「だったら…逃げたという言葉は、訂正していただきたい」
フォルトは…本当に静かだった。
静かすぎるくらいに…。
「でしたら、ご説明頂きたい。逃げたのでないなら、どこに行っているのか…を」
もっともらしい笑いを顔に張りつけ、完全に小馬鹿にしているようだ。
「極秘任務ゆえ、説明は不可能です」
フォルトは…表情に本当に変化がない。言葉にも抑揚がない。
事務的説明のようだ。
目の前の…取るに足らない人物に、怒りを露にしたところで、しょうがないとも思っているの
だろう。
「だったら…逃げたと思われても、致し方ないのでは?」
ジェルフだけでなく…傍系の同世代たちも、クスクスと笑っている。
実は…グレッドの時代は、一応グレッドに剣術の才能があったため、剣術の事で、他からの揶揄は
あまりなかったのだ。
しかし…グレリオの世代になり、あきらかに剣術オンチな人間が、次期当主になるかも…。
そして、グレンフォ時代の盟約が重なり、孫世代が…余計野心を持ってしまったのだ。
「……ジェルフ卿…そのお言葉に…責任は持てるのですか?」
「なに?」
「ギリアム様も…奥様も…自分よりむしろ、家族と同等と見る、家臣を侮辱される方が
怒りを露にするタチです…。
今…言を訂正されるなら、私の胸の内だけで、収めておきましょう…。
しかし…訂正されないなら、ギリアム様と奥様に…ご報告いたします」
「どうぞ…ご自由に…」
「……これが最終忠告です。ジェルフ卿」
静かな…でも、ハッキリした声。
「ですから!!ご自由にと言っているでしょう?」
「…わかりました」
フォルトは短い言だけで、その場を終わらせ…、
「このバカもんがぁ―――――――――っ!!」
…て、くれなかったのは、グレダルだ。
「すぐに訂正して、お詫びしろ!!当代のファルメニウス公爵夫妻に喧嘩を売るなど、何を
考えているのだ!!正気の沙汰じゃない!!」
普通だったら…絶対にやらないだろう、孫の頭をぶん殴り、唾を吐きながら叫ぶ。
祖父に…思い切り殴られた頭を抑えつつ、
「おじい様は、平気なのですか!!」
涙目になりながらも、キツく睨む。
「な、なにがだ?」
グレダルが…流石にワケわからんと言う目をすると、
「ダイヤと言う男は、犯罪者なのでしょう?
そんな男に…ラスタフォルス侯爵家を継がせるなど…。
相応しい人間が、他に沢山いるでしょう!!」
必死に叫ぶ。
実際、ジェルフがどうかはさておいて、剣術の腕がいい人間は、グレダルの息子にも孫にも
複数いる。
「口を慎みなさい!!ダイヤは恩赦兵となり、立派に活躍しているのです!!」
ダリアがすかさず出てきたが…やはり、この問題は根が深い。
「どんなに活躍しようが、犯罪者は犯罪者です!!
そもそも…アナタだって、よくこんなパーティーに、平気な顔して出られますよね。
オルフィリア公爵夫人に怪我を負わせておいて…。
まあでも、当然か…」
ここでジェルフは…少し含み笑い的な笑みをこぼし、
「アンタが散々、自慢していたグレッド卿は…結婚式に婚約者の妹と駆け落ちなんて…。
馬鹿な事しでかしたんですから!!
立派な騎士…立派な跡取りを育てるって、おじい様やおばあ様と約束しておいて…。
結局そんな、出来損ないしか育てられなかった!!
アンタには、犯罪者の孫がお似合いかもな!!」
「ふざけるなぁ―――――――――――っ!!
決闘しなさい!!ジェルフ!!」
ダリアの叫びは…ホール中に響き渡っているんじゃ…と、思われるくらいだった。
「もう本当に、おやめください!!」
ここで初めて…フォルトの声に、怒気が乗る。
「そういった事は、パーティーではなく、家でお願いしますと、申し上げました。
あと…ジェルフ卿は言を訂正する気が無いようですので、報告させていただきます」
「そして!!これ以上騒ぐなら、他の皆様にご迷惑です!!
さすがにご退出願いますが?」
すると…全員が途端に静かになった。
ファルメニウス公爵家のパーティーは実際、質が良い…。
そこを追い出されたなどと言ったら、それだけで悪評になりかねない。
皆が静かになったことを、確認したフォルトは、
「騒がないなら、追い出すまでは致しませんが…。
もう少しご自身の立場を、よくよくお考え下さい」
ため息交じりに、その場を離れ…
「お、お待ちください!!フォルト卿!!」
させてくれない、グレダル。
「ま、孫の申したことは、酒の上でのことです!!必ず詫びさせますので…何卒…」
報告はしないでくれと言う事なのだろうが、フォルトはそんなグレダルを一瞥すると、
「酒が入っていたから、侮辱が許されるような歳ではございますまい。
成人してだいぶ経つ…。責任はしっかりと、取ることをお勧めしますよ」
そしてダリアの方を見ると、
「ダリア夫人とてそうですよ。孫ほど歳の離れた人間と…取っ組み合いの喧嘩をする勢いでは
もう帰られた方がよろしいかと…」
あくまで…静かな声で、諭すように言ったのだが、
「悪いのは、ジェルフです!!そして…そんなジェルフを抑えられない、グレダルです!!
グレダル!!アナタの息子と孫が、ウチに迷惑をかけてきていると、散々言ったのに、全く
反省した素振りがない!!どう説明する気ですか!!」
「それについては…。申し訳ございません、義姉上…。私も注意はしているのですが…」
「注意だなどと、生温い事を言っているから、止まらないのです!!!
さっさと厳罰に処しなさい!!」
「ですから!!そう言った事は、家でやってください!!」
さすがのフォルトも、口調が強くなる。
護衛騎士に命じ、ひとまず2家族に暫く、個室に入って落ち着くよう指示。
従わなければ、強制的に追い出すとも。
さすがに追い出されるわけにはいかないと、思ったようで、2家族ともフォルトの指示に従った。
そして…。
「このバカもんが――――――――――っ!!」
個室にて、第二幕が開幕した。
「ファルメニウス公爵家などに盾突けば…我が家なんぞ、簡単に吹き飛ばされると、なぜわからん!!
本当にどうかしているぞ!!お前は!!」
「そうですよ…。
ラスタフォルス侯爵家の事は、お義兄様がお決めになる事だと、言ったでしょう?」
横から出てきた夫人は…世代的に祖母だろう。
「ま、まあまあ、父上、母上…。こいつには、よく言って聞かせますから…。
パーティーを楽しんできてくださいよ…」
小太りの…いつからいたの?…と、聞きたくなる男…どうやらグレダルの息子で、ジェルフの父親の
ようだ。
「パーティーどころではなくなってしまったわ!!バカもん!!
もう全員揃って、引き上げる!!」
全員…は、傍系全員という、事だろうな…。
グレダルは…非常にご立腹だが、
「しかし…。ギリアム公爵閣下とオルフィリア公爵夫人が…途中参加されるやも、知れませんし…」
息子の言葉で、はたとして、
「確かに…その可能性もあるな…」
「ええ…ですから、残った方が、よろしいかと…。
ジェルフに関しては、これ以降酒を飲ませなければ、多少は正気に戻ると思いますし…」
しばし悩んだグレダルだったが、
「わかった!!その代わり、ジェルフから、眼を離すなよ!!」
「わかっております、父上…」
息子の言葉を聞き…夫人と一緒にパーティー会場に戻る、グレダルだった。
それを見届けると、父親は早速息子の頭を叩く。
「な、何するんだよ!!」
「もっとうまくやれと、言ったはずだ!!お前は兎に角、剣術の腕を上げるだけでいいと!!
グレリオとダリナを…黙らせる肝は握っているのだから、そもそもグレンフォ伯父様が亡くなった
あとでも、動きは取れる!!」
「ダ、ダリア夫人の事は、とにかく騒ぎを起こす為だったんだ!!」
「だったらなぜ、ファルメニウス公爵家を侮辱した!!愚の骨頂だ、馬鹿もん!!」
そこら辺は、グレダルと同意見のようだ。
「だ、だって…」
ジェルフは途端に…悔しそうな涙目になり、
「あ、あいつ等…ドロテアちゃんに恥をかかせたんだ!!だから…」
実はジェルフは…流星騎士団に出向いた際…ドロテアに一目惚れしている。
全く相手にされていないが、本人はドロテアがシャイなせいだと思っている…。
……どこかで見たような、構図だ。
「付き合ってられん…。とにかく部屋を出るなよ!!」
父親は…ちょっと呆れ顔で、ため息をつくと、商談があると言って、さっさと部屋を出る。
暫くして…同じ傍系男子が2人…入ってきた。
「おい!!仕込みは完了したぞ?」
「本当か?」
ジェルフの鼻息が荒くなる。
「でもお前、本当に凄いな!!
ドロテアちゃんの為とはいえ、ファルメニウス公爵家に喧嘩を売るなんて…」
「当たり前だろう!!オレは…ドロテアちゃんの為なら、たとえ火の中水の中だ!!」
誇らしげに胸を張るジェルフ。
「ドロテアちゃんに酷いことをして、そのままで済むと思うな!!」
これ見よがしに、握りこぶしを作り、悦に入っている…。
「ああ!!ドロテアちゃんに、衆人環視の前で、恥をかかせたこと…たっぷり後悔させて
やろうぜ!!」
「そうだそうだ!!」
他2人も…同調するように、イケイケの姿勢だ。
ちなみにこの傍系男子2人も、ドロテアに惚れている。
強大な敵に会うと、いがみ合う者たちが一つになる…という、構図だろう。
「でも…運が良かったよ。
ギリアム公爵閣下とオルフィリア公爵夫人が不在だから、仕込みがしやすかった」
「よし!!ドロテアちゃんを泣かせた奴に…目にモノ見せてやろう!!」
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