35 / 59
第四章 裁判
3 マガルタの失態
しおりを挟む
「言うに事を欠いて何を言っておるかぁ――――――――――――――――――――――――っ!!
この知れ者がぁ―――――――――――――――――――――――――――――っ!!」
うん…耳栓してても、鼓膜が…揺れるぅ…。
グレンフォ卿が…マガルタのすぐ後ろまで来て、怒鳴ったんです…はい。
「ローエン閣下は、先代ファルメニウス公爵が、非道な行いをするたびに!!!
一歩も引かずに戦ったんだ!!どんな脅しにも、甘言にも…決して屈することは無かった!!
それを貴様は、侮辱したんだぁ―――――――――――――――――――っ!!
恥を知れぇ―――――――――――――――――――――――――っ!!」
うっわ…。
これは私も想定外…。
気分を悪くして、乗り出してきてくれれば…程度に考えていたけど…。
マジで…スゴイ…。
マガルタを…殴り殺しそうな勢いだよ。
ギリアムもそう思ったらしく、グレンフォ卿を後ろから抑えた。
良かったぁ~。
「裁判長!!一時休廷をお願いします!!」
そしてどこまでも、冷静な対処…助かるぅ~。
もちろん裁判長はそれに従う。
「ヒューバート卿!!マガルタ弁護士を連れて、さっさと控室に行け!!」
ギリアムは…グレンフォ卿を抑えつつ、命令する。
この時ばかりは…ヒューバートだけじゃなく、他の人間も…黙って従ってた…。
法廷は…色んな意味で、騒然となったよ…うん。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
「全く…なんて真似を、してしまったのですか!!」
ダリアが声を荒げている。
「ご主人様は、ご自分の事より、ローエン閣下を侮辱される方が、よっぽどお怒りになるというのに…」
ルイスも…信じられないと言いたげに、首を振っている。
「し、しかし…これは立派な作戦なのです!!
証言台に立たせる者は…こちらに有利な証言をしてくれる人でないと…。
相手はただでさえ、あのファルメニウス公爵家なのですから…」
「だったらその事を、なぜ事前に旦那様にお伝えしなかったのですか?
伝えたところで許可が出たとは思いませんが…、何の話もなく、いきなりローエン閣下を侮辱するなど…」
ダリアは…青い顔をして、呟いている。
「な、何とか、グレンフォ卿を説得してください!!ダリア夫人!!
ローエン閣下では、真実を話すだけで、こちらに有利な事など、一切…」
まあ無理もあるまい。
フィリーがローエンを指名するなど、想定外だったのだろう。
王家のパーティーだって、身分の高い者は遅く来るのが、暗黙の了解。
まさか、ローエンがしょっぱなから来ているなど…それも想定の範囲外だ。
「しかし…旦那様がああなっては、もう誰も…」
ダリアは連れ添って長いからこそ、グレンフォの性格はよくわかっている。
そんな時…扉がノックされる音が…。
「後にしてください!!」
ダリアが叫ぶが、
「あの…グレンフォ卿より、伝言を預かって来たのですが…」
「え?」
ダリアは短い言葉と共に、直ぐに入るよう言った。
入ってきた、裁判所の職員と思われる若い男は、
「ヒルダ夫人の屋敷から、火急の使いが来まして…。急ぎそちらに行かねばならなくなったゆえ、
しばし開ける…とのことでした。すぐに戻るとは仰っていましたが…」
端的に告げる。
「わ、分かりました」
「い、一体何があったのですか!!」
ダリアよりむしろ…ヒューバートやルイスの方が、食いついてきたが、
「わ、私はそれ以上は知りません。申し訳ございません」
あまりその場にいたくなかったようで、職員は直ぐに…去ってしまった。
「あの…裁判は一時中断するよう、願い出ては…」
「何を言っているのですか!!この裁判は千歳一隅のチャンスなんです!!
旦那様はすぐに戻られると言っているのですから、続けますよ!!」
ダリアが高揚した声を出すと、
「では…私は準備のため、少し失礼します」
マガルタが…部屋を出ていく。
観衆の喧騒を避け、1人中庭に出たマガルタ。
心を…落ち着けるためだろう。
だが不意に…。
「随分とヒドイ体たらくだな」
その声に、思わず身構える。
「せっかく準備したキャストの出番が…ほぼなくなるところだったじゃないか。
オレが機転を利かせたから、良かったようなものの…。
この機会に…一気にオルフィリア公爵夫人の評判を、落とす作戦だろう!!
台無しにしたりしたら、ただじゃすまんぞ。
あれだけの下準備の時間があったのだから、言い訳は聞かん」
その声は…平坦で…かつ、抑揚が無く、それが不気味さを醸し出している。
マガルタは…唇を噛みしめつつ、
「あんなに御し難い怪物だなんて、聞いていないわよ…。
ローエンを少しでも否定する発言をしたら…本当に私を殺す気でいたわ。
一体どうしろって言うのよ…」
文句があるなら、お前がやれ!!…と言う感情を込めた声だった。
「あんなの本当に…枝葉にする気なの?無理よ…あれは…」
グレンフォは例え脅されても…屈するタイプではない。
「まあ…それについては、もう対処を始めているから、心配するな…。
ちょうどいい人員が、確保できたからな…。
すんなりいくと思う。
ただ…あれだけの大物だからこそ、一気には仕留められん。
お前は予定通り…オルフィリア公爵夫人の評判を落とすことと、私兵をはぎ取る事に集中しろ。
これ以上ミスはするなよ!!
失敗した人間がどうなるか…わかっているだろう」
「……もちろんよ」
マガルタの目が恐怖に染まる。
「なら、首尾よくやれ。オルフィリア公爵夫人の…評判をとにかく下げるんだ!!
オレは…見られるとマズいから、もう行く!!」
その声を最後に…中庭にはいつもと変わらぬ空気が…戻るのだった。
-------------------------------------------------------------------------------------------
さて…私は、一時休廷したので、遠慮なく休み…戻ってみれば…。
おりょ、グレンフォ卿がいない…。どうしたんだろう?
証人…どうなるんだ?
私が思っていると、マガルタが何やら、裁判長に書類を渡している。
書類を確認した裁判長が…一瞬驚いた表情をしたね…。
さて、どうなるか…。
「え~、マガルタ弁護士側から…ファルメニウス公爵家の歓待パーティーについて、証言して
くださる人間を募ったそうです。
今から順番にお呼びしますので、双方の弁護士は準備をお願いします」
おやおや…。出来レース感がものすごく出ているねぇ…。
集められた証人は…全部で4人。
クィリマ夫人…どう見ても40代だな。すごく落ち着いた感じの…高貴さがにじみ出てる。
チェリニ嬢…どう見ても10代だ。ぱっと見の印象は、活発そうだ。
メリア嬢…この子も10代だな。すごく静かそうに見える…まさに深窓のご令嬢ってかんじ。
んで…なんでジェルフがおるん?
ティタノ陛下に見逃してもらえたんだから、おとなしくしていた方がいいと思うんやけど…。
上記の順番で、証言台に立つようだ。
「ではクィリマ夫人…。パーティーの最中の事を、お話しいただけますか?」
マガルタの言葉を受けて、
「は…はい…。私がパーティーに来た時、ギリアム公爵閣下もオルフィリア公爵夫人も確かに
おりませんでした。
私は…どうしても訴えたいことがあったので、探したのですが…」
「訴えたいこととは?」
「例の…公開演武最終試合の事です…。
騎士同士の戦いであることは、説明を受けましたが…。
それを差し引いても、観客のヤジが酷く…とてもいたたまれない状態で…。
なのに、取り締まる気配もなく…」
なるほど…。そっち方向に持っていったか。
「仕方なく…いつも一緒にいる方々にお話したのですが…、取り合ってもらえず、白い目で
見られ…礼節を欠いたつもりは無かったのですが…」
……その時はどうであれ、今のアンタの言葉は、礼節のれの字もないぞ。
「異議あり!!本件とは全く関係がありません!!
そして…オルフィリア公爵夫人がいらっしゃる前の話は、する必要のないものです!!」
まあ…当然そうだよね、ハイネンス…。
「異議を認めます」
「では…オルフィリア公爵夫人がいらした後は、どうでしたか?」
「い、いらした直後…ティタノ陛下が大層喜ばれて…暫く笑顔でお話されていて…。
その後…皆の挨拶を受けている時に、蝋燭が落ちて…その後は…もう、火の手が所々で上がって、
逃げまどって…。
オルフィリア公爵夫人がドレスを脱ぎ捨てて…、下着姿どころか…裸で走り回っていらして…。
何が何やら…」
なるほど、上手いね。
あの場で冷静でいられる方が、難しいからな…。
その時見たままの状況を言ったとしても…嘘にはならん。
子供を助けたことは…まだ公式発表されていないからな。
私の体と…どこから来た子だか、検証する必要があるし…。
後の2人の証言も…クィリマ夫人と似たようなものだったが、違う点と言えば、
「オルフィリア公爵夫人を探して回っている時、子供の泣き声を聞いた…」
だった。
倉庫から聞こえてくるようで、確認したかったが、鍵がかかっていた…と。
ハイネンスが、だったらなぜ、使用人にその旨伝えなかった?
という問いかけをすれば、気のせいだと思った…。他の人間に呼ばれた…などとまごつきつつ
言っていた。
「全く…茶番もいい所だな」
「ギリアム?」
私だけに聞こえる小声だった。
「あの3人は…こちらの調べで分かっているが、ドロシー嬢の小説のファンで、ドロテアの熱狂的な
信者だ。
おそらく…フィリーに抗議するために探したのは、本当でしょう。
そのあとは…フィリーを貶めるために、頼まれて…だったのだろうな」
あらま…。でもおかげで、合点がいった。
「でもこの3人…嘘は言っていない…で、通せますよね?」
「まあな…。きわどい所だが、罪に問えるほどではない」
でも…聞いた人間は、私が少なくとも裸になったのは、本当だとわかる。
噂好きの人間なら、それを…面白おかしく揶揄するだろう。
まあ、そんな奴の対処は後でいいんだが…問題は。
……レファイラが私を貶めたいなら、こんな生温い状態で済ますわきゃない…。
ってことは、真打は…。
この知れ者がぁ―――――――――――――――――――――――――――――っ!!」
うん…耳栓してても、鼓膜が…揺れるぅ…。
グレンフォ卿が…マガルタのすぐ後ろまで来て、怒鳴ったんです…はい。
「ローエン閣下は、先代ファルメニウス公爵が、非道な行いをするたびに!!!
一歩も引かずに戦ったんだ!!どんな脅しにも、甘言にも…決して屈することは無かった!!
それを貴様は、侮辱したんだぁ―――――――――――――――――――っ!!
恥を知れぇ―――――――――――――――――――――――――っ!!」
うっわ…。
これは私も想定外…。
気分を悪くして、乗り出してきてくれれば…程度に考えていたけど…。
マジで…スゴイ…。
マガルタを…殴り殺しそうな勢いだよ。
ギリアムもそう思ったらしく、グレンフォ卿を後ろから抑えた。
良かったぁ~。
「裁判長!!一時休廷をお願いします!!」
そしてどこまでも、冷静な対処…助かるぅ~。
もちろん裁判長はそれに従う。
「ヒューバート卿!!マガルタ弁護士を連れて、さっさと控室に行け!!」
ギリアムは…グレンフォ卿を抑えつつ、命令する。
この時ばかりは…ヒューバートだけじゃなく、他の人間も…黙って従ってた…。
法廷は…色んな意味で、騒然となったよ…うん。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
「全く…なんて真似を、してしまったのですか!!」
ダリアが声を荒げている。
「ご主人様は、ご自分の事より、ローエン閣下を侮辱される方が、よっぽどお怒りになるというのに…」
ルイスも…信じられないと言いたげに、首を振っている。
「し、しかし…これは立派な作戦なのです!!
証言台に立たせる者は…こちらに有利な証言をしてくれる人でないと…。
相手はただでさえ、あのファルメニウス公爵家なのですから…」
「だったらその事を、なぜ事前に旦那様にお伝えしなかったのですか?
伝えたところで許可が出たとは思いませんが…、何の話もなく、いきなりローエン閣下を侮辱するなど…」
ダリアは…青い顔をして、呟いている。
「な、何とか、グレンフォ卿を説得してください!!ダリア夫人!!
ローエン閣下では、真実を話すだけで、こちらに有利な事など、一切…」
まあ無理もあるまい。
フィリーがローエンを指名するなど、想定外だったのだろう。
王家のパーティーだって、身分の高い者は遅く来るのが、暗黙の了解。
まさか、ローエンがしょっぱなから来ているなど…それも想定の範囲外だ。
「しかし…旦那様がああなっては、もう誰も…」
ダリアは連れ添って長いからこそ、グレンフォの性格はよくわかっている。
そんな時…扉がノックされる音が…。
「後にしてください!!」
ダリアが叫ぶが、
「あの…グレンフォ卿より、伝言を預かって来たのですが…」
「え?」
ダリアは短い言葉と共に、直ぐに入るよう言った。
入ってきた、裁判所の職員と思われる若い男は、
「ヒルダ夫人の屋敷から、火急の使いが来まして…。急ぎそちらに行かねばならなくなったゆえ、
しばし開ける…とのことでした。すぐに戻るとは仰っていましたが…」
端的に告げる。
「わ、分かりました」
「い、一体何があったのですか!!」
ダリアよりむしろ…ヒューバートやルイスの方が、食いついてきたが、
「わ、私はそれ以上は知りません。申し訳ございません」
あまりその場にいたくなかったようで、職員は直ぐに…去ってしまった。
「あの…裁判は一時中断するよう、願い出ては…」
「何を言っているのですか!!この裁判は千歳一隅のチャンスなんです!!
旦那様はすぐに戻られると言っているのですから、続けますよ!!」
ダリアが高揚した声を出すと、
「では…私は準備のため、少し失礼します」
マガルタが…部屋を出ていく。
観衆の喧騒を避け、1人中庭に出たマガルタ。
心を…落ち着けるためだろう。
だが不意に…。
「随分とヒドイ体たらくだな」
その声に、思わず身構える。
「せっかく準備したキャストの出番が…ほぼなくなるところだったじゃないか。
オレが機転を利かせたから、良かったようなものの…。
この機会に…一気にオルフィリア公爵夫人の評判を、落とす作戦だろう!!
台無しにしたりしたら、ただじゃすまんぞ。
あれだけの下準備の時間があったのだから、言い訳は聞かん」
その声は…平坦で…かつ、抑揚が無く、それが不気味さを醸し出している。
マガルタは…唇を噛みしめつつ、
「あんなに御し難い怪物だなんて、聞いていないわよ…。
ローエンを少しでも否定する発言をしたら…本当に私を殺す気でいたわ。
一体どうしろって言うのよ…」
文句があるなら、お前がやれ!!…と言う感情を込めた声だった。
「あんなの本当に…枝葉にする気なの?無理よ…あれは…」
グレンフォは例え脅されても…屈するタイプではない。
「まあ…それについては、もう対処を始めているから、心配するな…。
ちょうどいい人員が、確保できたからな…。
すんなりいくと思う。
ただ…あれだけの大物だからこそ、一気には仕留められん。
お前は予定通り…オルフィリア公爵夫人の評判を落とすことと、私兵をはぎ取る事に集中しろ。
これ以上ミスはするなよ!!
失敗した人間がどうなるか…わかっているだろう」
「……もちろんよ」
マガルタの目が恐怖に染まる。
「なら、首尾よくやれ。オルフィリア公爵夫人の…評判をとにかく下げるんだ!!
オレは…見られるとマズいから、もう行く!!」
その声を最後に…中庭にはいつもと変わらぬ空気が…戻るのだった。
-------------------------------------------------------------------------------------------
さて…私は、一時休廷したので、遠慮なく休み…戻ってみれば…。
おりょ、グレンフォ卿がいない…。どうしたんだろう?
証人…どうなるんだ?
私が思っていると、マガルタが何やら、裁判長に書類を渡している。
書類を確認した裁判長が…一瞬驚いた表情をしたね…。
さて、どうなるか…。
「え~、マガルタ弁護士側から…ファルメニウス公爵家の歓待パーティーについて、証言して
くださる人間を募ったそうです。
今から順番にお呼びしますので、双方の弁護士は準備をお願いします」
おやおや…。出来レース感がものすごく出ているねぇ…。
集められた証人は…全部で4人。
クィリマ夫人…どう見ても40代だな。すごく落ち着いた感じの…高貴さがにじみ出てる。
チェリニ嬢…どう見ても10代だ。ぱっと見の印象は、活発そうだ。
メリア嬢…この子も10代だな。すごく静かそうに見える…まさに深窓のご令嬢ってかんじ。
んで…なんでジェルフがおるん?
ティタノ陛下に見逃してもらえたんだから、おとなしくしていた方がいいと思うんやけど…。
上記の順番で、証言台に立つようだ。
「ではクィリマ夫人…。パーティーの最中の事を、お話しいただけますか?」
マガルタの言葉を受けて、
「は…はい…。私がパーティーに来た時、ギリアム公爵閣下もオルフィリア公爵夫人も確かに
おりませんでした。
私は…どうしても訴えたいことがあったので、探したのですが…」
「訴えたいこととは?」
「例の…公開演武最終試合の事です…。
騎士同士の戦いであることは、説明を受けましたが…。
それを差し引いても、観客のヤジが酷く…とてもいたたまれない状態で…。
なのに、取り締まる気配もなく…」
なるほど…。そっち方向に持っていったか。
「仕方なく…いつも一緒にいる方々にお話したのですが…、取り合ってもらえず、白い目で
見られ…礼節を欠いたつもりは無かったのですが…」
……その時はどうであれ、今のアンタの言葉は、礼節のれの字もないぞ。
「異議あり!!本件とは全く関係がありません!!
そして…オルフィリア公爵夫人がいらっしゃる前の話は、する必要のないものです!!」
まあ…当然そうだよね、ハイネンス…。
「異議を認めます」
「では…オルフィリア公爵夫人がいらした後は、どうでしたか?」
「い、いらした直後…ティタノ陛下が大層喜ばれて…暫く笑顔でお話されていて…。
その後…皆の挨拶を受けている時に、蝋燭が落ちて…その後は…もう、火の手が所々で上がって、
逃げまどって…。
オルフィリア公爵夫人がドレスを脱ぎ捨てて…、下着姿どころか…裸で走り回っていらして…。
何が何やら…」
なるほど、上手いね。
あの場で冷静でいられる方が、難しいからな…。
その時見たままの状況を言ったとしても…嘘にはならん。
子供を助けたことは…まだ公式発表されていないからな。
私の体と…どこから来た子だか、検証する必要があるし…。
後の2人の証言も…クィリマ夫人と似たようなものだったが、違う点と言えば、
「オルフィリア公爵夫人を探して回っている時、子供の泣き声を聞いた…」
だった。
倉庫から聞こえてくるようで、確認したかったが、鍵がかかっていた…と。
ハイネンスが、だったらなぜ、使用人にその旨伝えなかった?
という問いかけをすれば、気のせいだと思った…。他の人間に呼ばれた…などとまごつきつつ
言っていた。
「全く…茶番もいい所だな」
「ギリアム?」
私だけに聞こえる小声だった。
「あの3人は…こちらの調べで分かっているが、ドロシー嬢の小説のファンで、ドロテアの熱狂的な
信者だ。
おそらく…フィリーに抗議するために探したのは、本当でしょう。
そのあとは…フィリーを貶めるために、頼まれて…だったのだろうな」
あらま…。でもおかげで、合点がいった。
「でもこの3人…嘘は言っていない…で、通せますよね?」
「まあな…。きわどい所だが、罪に問えるほどではない」
でも…聞いた人間は、私が少なくとも裸になったのは、本当だとわかる。
噂好きの人間なら、それを…面白おかしく揶揄するだろう。
まあ、そんな奴の対処は後でいいんだが…問題は。
……レファイラが私を貶めたいなら、こんな生温い状態で済ますわきゃない…。
ってことは、真打は…。
38
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない
櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。
手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。
大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。
成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで?
歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった!
出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。
騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる?
5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。
ハッピーエンドです。
完結しています。
小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる