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第一章 邂逅

5 ヘドネの喜び

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ベッドに横になる私に、覆い被さる公爵様。

私の顔と公爵様の顔が一直線上で並び、目線があう。

「フィリー…」

「この世界でただ一人の」

「あなたが…欲しい!!」

熱く潤んだ瞳でまっすぐに見つめられ

「はい…、公爵様…」

思わず返事をした。

とは言え、まだまだきつい。
私は再度公爵様を、おねだりの形でたきつけ
指の数を増やして入れてもらった。

公爵様の指が私の膣内を縦横無尽に動き回る。

その動きは勿論まだまだ荒々しく、意図をもって感じさせようと
させてはいないが、それでも先ほどよりかなりマシだ。

「フィリー…すみません…もう…」

息遣いが荒い。公爵様も限界が近いようだ。

厳しいことに変わりはないが…なんとか行けそう…。

「ん…きてください…公爵様…」

私の声を合図とするかのように、私の膣内から指が引き抜かれ、
公爵様の怒張したモノが私の秘部にあてがわれる。

モノにぐっと力がこめられ、秘部の入り口の肉を無理やり
押し広げ、侵入してくる。

予想はしてたけど、すごい質量…。

シーツを両手に巻き付け、出来るだけ腰が引けない様に踏ん張る。
そしてそれとは正反対に、膣内は力がこもらないよう出来るだけ緩める。

「くっ…」

きっつっ…!!

予想してても痛いもんは痛い!
顔の筋肉も出来るだけ緩めるようにはしているが、やはりどうしても
歪む。

「フィ、フィリー…」

私が苦しそうなことに気付き、公爵様の動きが止まる。
だいぶんきついが、ここまで来たら一気にやった方が、損傷が
少なくてすむ、うん。

「だい…じょぶ…です(大丈夫じゃねーけど)。
やめ…ないで…くださ…い」

私の声に押されるように、公爵様は私の腰をしっかり固定し
さらに力を込める。

うん。
この辺の筋はいいようだ。

私は出来るだけ膣内の力を緩めるため、呼吸を深くするよう努める。
やがて何かが裂ける音と共に、公爵様のモノが私のお腹の奥まで
一気に入り込む。

「かっ…はっ…」

それを合図とするように、私は己の腕を公爵様の背中に回し、
しっかりと固定する。

「こ…公爵様…暫く…そのままで…」

公爵様からの返事はなかったが、ひとまず動かずにいてくれて
いるので良かった。
私はより一層深い呼吸をし、痛みに耐えながら力が入らない様にする。
それにしても…。

痛いっつの!!!!

前世の破瓜より、倍はいてぇよ、絶対!!
流石に涙目だ。

だがまあ、少し経つと経験値の高さからか痛いは痛いが
さてやるか…となるんだからなぁ…。
プロ根性も勿論だが、単純に私が淫乱なだけか?

まずはやっぱり…。
出来るだけ濡らしたとはいえ、やはり公爵様の質量はハンパない。
というわけで…。

きゅうぅっ…。

膣内を思い切り締める。

「うぅっ…!」

絞り出すようなうめき声とともに、私のお腹が温かいもので満たされる。
私に覆い被さっている公爵様の、荒い息遣いだけが私の耳に響く。

「フィリー…すみ…」

「ストップ!公爵様」

お腹を満たす温かいものが、全体に広がっていくのを感じつつ

「さっきも言いましたけど!
謝ること無い時に謝らなくていいです!」

「え…えっと…」

「公爵様は今幸せですか?!」

「へ?」

「私はすごく幸せです!大好きな公爵様と肌を合わせられて!
公爵様はどうですか?」

すると公爵様はどこか遠くを見るような眼で私を見つめ、

「幸せに…決まっています…」

笑った。

「だったら…」

公爵様に囁く。

「公爵様がもっと幸せになれると思うことを、どんどんしてください」

「え…」

「公爵様はこの後どうしたいですか?」

答えはなく、代わりに公爵様の唇が私の唇に重ねられた。
緩急をつけ、時に激しく、時に優しく…。

……………………筋良いな、オイ。

慣れてる私に言わせればまだまだだが、初めてでここまで出来れば
上出来だ。

公爵様が名残惜し気に唇を離したときには、私のお腹の中にいる公爵様の
モノはすっかり元気を取り戻している。

「動かします…」

「はい、公爵様」

私の了承が得られると、公爵様はぐっと腰に力を入れ、一度モノを
半分ほど引き抜き、さらに深く突き入れた。

「はぁっ…は、はっ…」

息遣いと共に、激しい動きをする腰がずんずんと私の体を
刺激する。

流石に処女の体は、快楽よりも痛みを感じてしまうのだけれど、

今回は公爵様に気持ちよくなってもらうのが優先だからしゃーない。
それでも体が擦れ合うたびに恍惚とした表情を浮かべる公爵様は
見ていて楽しい。

「うっ…くっ…はぁっ…」

私の中に己のモノを入れ、擦り付けるたびに与えられる快感で、
公爵様の内なる欲望が、どんどん燃え上がるのを感じる。

ん…そろそろか…。

公爵様のモノを刺激している膣内壁の力を、徐々に強めていく。
それに合わせるように、公爵様の腰の動きも早くなり、
より強く、より奥をつき上げてくる。
その突き上げが一番奥に達した時、私はより一層強く膣内壁を
締め上げた。

「っっ……………………っっ!!」

同時に公爵様の全身が震えた。
私は自身の中に熱いものが、先ほどよりずっと多く流れ込む
感覚に暫し酔いしれる。

荒い呼吸が整ってから、公爵様は改めて私の顔を見つめ
大きな手で頬を撫でる。

「フィリー…」

その眼にはまだまだ欲情が燻っていたが、それ以上に何とも
いえぬ虚無感も漂っている。

ああ…
まだ…

まあ、そりゃそうか。
長年蓄積されてきた精神的構造を、すぐに変えられるわきゃーない。
なら…。

私は体を離そうとする公爵様の首に手を回し、唇を奪った。
一瞬だけ眼を見開いた公爵様だったが、私のしたいようにとでも
言わんばかりに、体の力を抜いている。

柔らかく…甘く…口付ける。

舌と舌を絡めても、絶対に強くせず、とにかく優しく、でも確実に。
するとやがて…。

「フィ、フィリー」

公爵様が慌てて顔を離す。

「ああ、あの。嫌では絶対ないのですが…これ以上は…その…」

何とも歯切れが悪い。

「これ以上は何ですか?」

少しいたずらっぽく笑う。

「そ…その…」

「ハッキリ言葉にして頂かないとわかりません」

慌てる公爵様の眼をじっと見据える。

「うう……」

少し俯き加減になり、

「やっぱり私の事、おイヤでしたか…?」

「それは絶対にありえません!!!」

間髪入れずにとはまさにこのこと…という速さで否定する公爵様。

「ならどうして…?」

悲しそうに俯く。あ、勿論芝居だよ、うん。
すると公爵様は暫く、うー、あーと言葉にならないうめき声を
出していたが、意を決したようで

「その…逆…です…」

「逆?よくわかりません」

本当は大体予想ついてんだよ、わかってんだよ、うん。
けど、自分で答えに到達してもらうの大事。

「その…あの…これ以上…あなたに触れていると…
また…その…」

「また…何ですか?」

天然ぶりっ子キャラは便利。見抜かれなきゃかなり有効。

「また…あなたと…こういうことが…したくなる…」

ここまで言った公爵様は両手で顔を覆い、俯く。
顔どころか体全体まっかっかと言っていい状態だ。

「それが何で、いけないことのように言うのですか?
私には全く分かりません」

「え…いや…だって…」

「だって?何ですか?」

「うう…」

「答えてください」

ふくれっ面を作って迫る。

「だって…汚らわしいし…はしたない…」

「はあぁ?」

ちょっと大げさに怒るそぶりを見せる。
まあ、わかってたんだけどね。
公爵様は怒りを露にした私を見て、ただただ驚くだけ。
ここからは私のターンだ。

「私は先ほど言いましたよね?汚くなんかない。愛おしいって」

「それと同じです」

「私とっても嬉しいですよ?」

「……」

私の言っていることが理解できないようで、呆ける公爵様。

「だって公爵様が私と触れ合いたいって思ってくれるのは、
何より公爵様が私に好意を持っているってことなんですから」

「……」

「公爵様は私と触れ合った後、私が一瞬でもイヤとか
もういいって気持ちになりましたか?」

「そんなことは一瞬たりとも思っていません!」

この点だけはしっかり否定してくれる、よしよし。
話が持っていきやすい。

「だったらどうして…」

「私が好きだという気持ちを、ご自身で否定するのですか?」

「え…」

「だってそうでしょう?
私が最初、公爵様に触れて欲しいと思ったのは、なにより
公爵様が好きだという気持ちになったことが大前提です」

「……」

「それは触れ合った後も変わることはありません。
公爵様は違うのですか?」

「も、もちろん私も変わりません!!この先ずっと…」

「だったら私に触れたいと思う気持ちを恥じるのは
おかしくないですか?」

「……」

公爵様は黙りこくったままだ。
やっぱり根深いな…。
ん~、別の角度からも攻めてみるか…。

「確かにそう言った気持ちを露にしたり、行動に移したり
絶対にしてはいけない時もあることは認めます」

「!!」

「それは相互で思いあっているわけではなく、片方の一方的な思い
の時…それは相手にとって迷惑でしかありません」

「……」

「ま、あとは相思相愛であっても気分が乗らなかったり、
体調不良等の場合ですかね」

「……」

「けどそれぐらいだと思いますし、相手に対して配慮し、決して無理強い
しないなら、心の中でどう思ってても良いと思います」

公爵様はここまで来てようやっと

「なら…お聞きしますが…」

口を開いた。

「私は今…フィリーに触れたいです…。
フィリーはどうですか…」

「私は…」

真っすぐ公爵様の眼を見る。

「公爵様に触れてもらいたいです」

公爵様は少し戸惑ったようだが、すぐに私の体を自分の方に引き寄せ、

額、頬、唇の順に優しいキスを落としていく。

すごく自然に。

そして首筋にいくつもの後を付けたあたりで、私の体はまたベッドへと
横たえられた。

私を見つめるその眼に、今…暗い光は見えない。
ひとまずよかった。

公爵様…あなたの心についている傷は、すぐに癒えるようなものではない
のでしょう。

でも…。

どうか私を抱くこの刹那だけは…。
あなた様の心が、喜びに満ち溢れるよう、お導きいたします。

それこそがこの私…ヘドネの喜びでもあるのですから…。

私と公爵様はそれから言葉を発することは無く、ただ無心に睦み合った。


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やる気になってくれたようで、何よりやね

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