ひとまず一回ヤりましょう、公爵様

木野 キノ子

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第10章 信念

7 3年前に起きた、クレアとの確執2

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いよっしゃぁ~~~、作戦成功!!
6人からも話聞きたかったけど、一番はギリアムからの話を
聞きたいってのもあったのよね。
これでわかる。
3年前の件が…一般人にどう受け止められているのか…。

ギリアムの考え方や感覚は、一般世間の人間とは大きくずれる
ことがある。
これは、ギリアムが不世出の天才と言っていい能力を生まれ持った
ことによる弊害と言っていいだろう。
無人島で暮らすなら、気にしなくていいことなんだけどね。

人間が作り上げた社会という枠組みで暮らすなら…すり合わせは
必須…。
特に私は年取ってるからわかるのさ。
ギリアムの考え方は、社会一般の人間からすると、猛毒になりえる
ってね。
その猛毒に侵されたら…自分の首絞めることになりかねないから。

でもその猛毒が、時として私を守る盾になりえることも、また事実。

だからめんどくさいけど、やってやるよ。
私が一般世間の常識とあなたの猛毒…うまい具合に消化して中和
する役割をね。
だって…。

ギリアムとのエッチ、最高なんだもん!!

もっとも単純で大切な…私・ヘドネの行動原理にして生きる意味!!

「では、お願いできますか?
皆さん…」

「わかりました…えっと…どこから話そうかな…」

リグルド卿が悩んでいると、テオルド卿が出てきて

「まず前提として…ギリアム公爵閣下は、戦争が終わってから、
割とよく、我が家に食事に来ていました」

うん、それは知ってる。
もともと、テオルド卿のことを師として慕っていたことと…
家族の愛に飢えていたんだろうな…。
戦争での疲れと、重責…さらに私の情報が何も出てこないことで
かなり疲弊してたって、本人から聞いてる。

「そのころはまだ、フレイア…私の妻もまだ健在だったので、
クレアもうちの食事会に、参加していたのです」

うんうん、いい調子。

「ギリアム公爵閣下も、皆と仲良くしてくださり、かなり雰囲気は
良かったのです」

「仲良くはしたが、勘違いさせるようなことは一切言っていないし
やっていない」

いや、わかってるから!
ちょ、黙っとき。

「まあ…そうなのですが…ギリアム公爵閣下はそもそもあまり
お誘いには乗らない方であるにも関わらず、うちにはよく遊びに
来ていた…そのことだけでも世間の目は違って見えてしまいます」

リグルド卿がちょっと話ずらそうやね。
まあ、そうだろうなぁ。

「だから、その…世間一般の人たちは、ギリアム公爵閣下は…その
うちの妹たちとクレア…3人のうちの誰かが、お目当てなんだろう
…と」

わ、ギリアムすっごい眼ぇして睨んでる。
しょーがないなぁ。
私はギリアムの方に歩み寄ると、

「わ・た・く・し・は!!
違うってわかってますから!!
世間一般がどうだろうと、わかってますから!!
だから睨まないでください。
私が!!話を聞かせてくださいと言ったのです」

そしたら少しは緩和された。

「続きをお願いします」

微笑むと、皆さまから感謝的な目が向けられた。
…普段苦労してるんですね、皆さま…。

「だからよく聞かれました。
ギリアム公爵閣下は、誰がお目当てなのか…とね。
妻が生きている時は、私もそれなりに舞踏会などには出席して、
他の貴族との交流をしていましたから」

「なるほど…。
テオルド卿はそんな事実はないと、きっぱり否定なさったの
ですね」

「もちろんです。
ギリアム公爵閣下はあくまでお食事を楽しみにきていらした
だけですし、そんな話は本当に一度も出ませんでしたし、その
素振りさえもなかったですから」

「テオルド卿はそういうところはしっかりしてくれるから、
私も安心して食事しに行けたんだ」

ギリアム、本当にテオルド卿のこと、信頼してるよね。
まあ、性格が合うからねぇ。

ああここで補足しておくが、ギリアムは本当にテオルド卿だけ
しか付き合いがなかったわけではない。
食事会などはデイビス卿やヴァッヘン卿の家族とも行っていた。
もっと言うと、レオニール卿やガイツ卿なんかの家にも遊びに
行ったことがある。
ギリアムは信頼している人間なら、身分なんて気にしないから。

しかしまず、レオニール卿・ガイツ卿は平民なのでほぼこの手の
話には関係なくなる。
そしてデイビス卿・ヴァッヘン卿の家族には当時、適齢期の女性
はいなかったのだ。
それもまた一つ、誤解を生む要因となった。

「ただ…クレアに関しては…その…かなり積極的にギリアム公爵
閣下に迫ってはいました。
けれど閣下は…すべてキッパリと断っていたので…まさか、
あんなことになろうとは…」

リグルド卿が下を向いてしまった。

「ん~、実は…」

レオニール卿が話し出す。

「クレア嬢って、王立騎士団にもよく顔を出してたんですよね…」

「え?そうなんですか?なんで?」

うんこれは、聞きたいの。
フォルトとエマも騎士団に顔を出していることは知ってたけど、
細かいことはギリアムが話したがらなかったらしいから。

「ん~、差入れ…って言って…色んなもの持ってきましたね。
もちろん団員の分もありましたけど、明らかに団長に特別に
渡したいって感じで…」

「もちろんすべて断った!!」

でしょうね…。

「でも、何度も来ましたね…美味しいもの持って(ヴァッヘン)」

「差入れ自体はうまかったから、いいんだが…(ガイツ)」

二人がギリアムに睨まれたので、再度調整…。
…感謝の眼を向けられた。

「だから団員達も、世間で言われているように娘が目当てじゃ
ないってことは、わかってました。
テオルド卿とリグルド卿からも、そう聞いていたし…。
それに実際、その…冗談交じりに冷やかした奴が…その…」

「あ、何があったかわかりました。
飛ばしていいです」

「ありがとうございます」

素直にお礼言われちゃったよ…。

「しかしこう言っては何ですが…」

デイビス卿が初めて口を開いた。

「クレア嬢も、あそこまで拒否されているのに、よく何度も
来れるものだと思いましたね。
まあ、その時は実害はなかったので、誰も何も言わなかったの
ですが…」

「デイビス卿がそうおっしゃるということは…後に実害が出た
ということですか?」

すると全員が、一様に難しい顔になる。
うん…だいたいフォルトから聞いて知ってるんだけど…当事者の
口から聞きたいのよ、違った言葉が出てくるかもしれんし。

一つの事象に対し、多方面から意見が聞けるなら…絶対聞いた
ほうがいいからさ~。

なんて思っていたら…。

「私も悪かったのだ…」

おりょ、ギリアム突然の参戦。

「私は私個人に対しての好意には、キッパリと否定していたの
だが、皆での食事会においては…クレア嬢やルイーズ嬢、
フェイラ嬢とも笑顔で歓談した。
話しかけられても無視では、その場の雰囲気が悪くなるだけ
だからな」

ああ、ギリアムなりに気を使ったし、頑張ったのね。
えらいえらい。
後でほめたげよ。

「それで…何があったのですか?」

するとテオルド卿が重苦しく口を開いた。

「3年前のことですが、私の妻とタニア侯爵夫人が共同主催で
社交パーティーを企画したのです…。
クレアの18歳の誕生パーティーも兼ねていたため、場所は
オペロント侯爵邸、結構な人数が集まる予定でした」

「私と家族は当然参加するのですが、妻からギリアム公爵閣下を
呼べないかと相談されました」

「私は無理だと言い、一蹴したのですが…」

テオルド卿の横から、リグルド卿がおずおずと、

「すみません…母に頼まれて私がギリアム公爵閣下に話を
しました…。
クレアがすごく、団長を呼びたがっているのだと…。
当時、差入れをだいぶ受け取っていた団員達も巻き込んで、
団長にお願いに行ったんです」

「まあ…私も差し入れを食べていたので、無下には出来ずらく
(デイビス)」

「テオルド卿にはお世話になってるし、リグルド卿も困ってた
みたいだったから…ね(ヴァッヘン)」

「オレはまあ…うまいもの持ってきてくれる人間を嫌いに
なれなくて(ガイツ)」

「オレもクレア嬢はちょっとアレだな~とは思ってましたけど、
この時点では無下にできなかったし…(レオニール)」

あ、ギリアムまた睨んでる。
いー加減頭にきたので、ギリアムのおでこをぺしーんと
叩いた。

ギリアムもみんなも何が起こったかわからないと言った顔だった
が、

「だ・か・ら、睨まないでくださいギリアム様。
あんまり言うこと聞いてくれないと、私、皆さんと一緒にお部屋を
出ますよ」

かなーり優しく…でも笑わない目で静かにのたまう。
ギリアムは少しバツが悪そうに、縮んだ。

……………………………………。
あのー、皆さま。
私は別にツワモノではございませんので、尊敬の眼差しを向け
ないでくださいませ。
ふつーの人間でございますよ、わたくし。

「ギリアム様は結局、行くという選択をご自身でなさったの
でしょう?
だったら皆さまを睨むのは、筋違いですよ」

「わかっている。
団員に押される形とはいえ、パーティーに出席すると決めたのは
私ですから」

そういう潔い所は、ホント好き。

「あ、ちなみに僕とデイビス副団長も出席したんですよ。
騎士団を代表して(ヴァッヘン)」

「そうだったんですね」

「あ~、でもオレとガイツ卿もいましたよ。
当時のオペロント侯爵邸に(レオニール)」

「え?そうなのですか?」

うん、知ってる。

「警備の人員として、駆り出されただけだがな(ガイツ)」

そう、騎士団の師団長にはあの場に参加して欲しかったのよ。
クレア…もといオペロント侯爵家はね。
ただマズいことに、二人は平民。
表立って招待なんざできないから、警備を担当して欲しいと
テオルド卿にお願いしたんだってさ。
師団長クラスが普通はそんなことしないんだけど、なんか
脅迫の手紙が届いたとか言って、強引に頼んだらしい。
あとで虚言とわかった。
しょーもな。

「いいパーティーでしたよ。最初は。
料理はおいしかったし、和気あいあいとしてたし(ヴァッヘン)」

「特に問題があるようには思えませんでしたよね(デイビス)」

うん、実際何も問題はなかったのだろう。
ギリアムが来るまでは。

前にも話したけど、主催者を除けば爵位の序列の高いものほど
会場には後に入る。
だからギリアムは、一番後に会場入りした。

そして社交辞令として、クレア嬢に挨拶に行った。
クレア嬢のためのパーティーやし。

さてそれでは…この後は実際の3年前の実況としゃれこみましょう
かね。
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