ひとまず一回ヤりましょう、公爵様

木野 キノ子

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第10章 信念

16 ヘドネの信念

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さて毎日は矢のように過ぎ去り、あっという間にお茶会当日。

私は朝から、準備に余念がない。

「フォルト…ギリアムは?」

「すべてフィリー様のご指示通りに」

「オッケー。
悪いけど、お茶会後にフォルトにやってもらうことが、かなり
増えると思う」

「もちろんそうだと思いましたので、急ぎの仕事はすべて
終わらせてあります」

「さすがフォルト!!パーフェクト」

「恐縮です」

招待状によれば、お茶会はPM3時から、ドレスコードは…灰色
だとさ。

「エマ…今日はよろしくお願いね」

「はい、フィリー様」

今日のお茶会は、エマを伴っていく。
まあ、建国記念パーティーでのこともあるから、ギリアムが
エマを連れて行かないなら、参加させないと言い切った。

…最初からそのつもりだったんだけどなぁ。
やってもらいたいことあるし。

「エマ…私の指示したこと、もう一回言ってくれる?」

「承知いたしました。
①マナーのことを何か言われたら、私はそれが正しいかどうか
口を出す
②マナーのこと以外は、フィリー様の指示がない限り黙っている
③①と②は他のご令嬢が、フィリー様に無礼を働くか働かない
かは関係ない」

「素晴らしいわ、エマ!!」

「恐縮です」

そしてすべての準備を整えて、馬車へ。

フォルトは見送りだけ。
エマはお茶会までついてくる。

「あのさ…2人に聞いておいてもらいたいんだけど…」

「なんでしょう?」

「私の予想では、今日のお茶会…1対9…ううん0対10で
敵しかいないと思う」

するとフォルトが

「やはり私も行きましょう…馬車に隠れていれば…」

「やめて。
相手もそのぐらい確認すると思うから。
言ったでしょ?
私はあえて、敵が多い所を選んだの」

「伺っております」

そう…何の後ろ盾も持たない私が、今後見方を増やす方法は
2つある。

一つは地道に趣味や慈善事業、害のなさそうなお茶会に参加して、
意気投合し、徐々に見方を増やす。
だが、この方法はうまくいかない可能性が大きい。
なぜなら王女を含めた上位貴族のご令嬢は、私を敵視してる者が
非常に多いから。
それに対して、この方法は時間がかかりすぎる。
まず間違いなく、仲良くなる前に潰される。

もう一つは…超速攻で敵視してくる者達に、大打撃を与えること。
これは日和見している者たちに、私自身に力があること、私を
敵に回すと怖いことを知らしめる方法だ。
あ、これ日和見者だけじゃなく、敵も含めてね…。
戦意は早めに喪失させとくに限るから。

私は今回当然、後者を選んだ。
できる仕込みはすべてしたし、後はまあ…行ってから考える。

私は馬車に乗り込んだ。
フォルトがずっと見送ってくれているのが見える。

ホントになぁ…。
ギリアムの周りにいる人達は…みんないい人たちだなぁ…。

エマが最高のマナー講師になったのは…ギリアムが私と出会い
私を妻にすると言った後だそうだ。
フォルトは兼任していた騎士団の仕事をキッパリやめた。
かなり惜しまれたらしい。
誰にも文句を言わせない、内政の力を身に着けるためだったん
だってさ。
無償でギリアムを助けた私の…助けになりたい一心だったって。

そして騎士団の人たち。
身分に関係なく、みんな仲が良くて、すごく素敵な場所を作って
いる人達…。
いつも私を暖かく迎え入れてくれている…。
でも時折、私に心配そうな目を向けてくる。
頭がいいから…わかってしまっているんだろう。
自分たちが、こと女の戦いでは、私の力になれないって…。

ああ、本当…。

優しい人たち…。

…………………………………。

大丈夫だよ。

私は…このヘドネはそんなに弱くない。

私は前世、46年で人生に幕を下ろした。
21世紀の日本では、早死にと言えるだろう…。
けどさぁ…。
ひとっつも後悔なんてなかったのよ。
親が死んでからは、本当に好きに生きてきた。
仕事が仕事だから、危険もあったし、歯を食いしばらなきゃ
いけない事も多かったけど…。
それでも自分の矜持を守り通し、好きに生き…死んだ。

だから二度目の人生が与えられた時…。

最初に思ったことは…。

なんで?

だった。

死にたくない、もっと生きたいって死んでいく人間は山ほど
いるってのにさ~、なんで人生まあまあ満足して死んだ私に
二度目の人生が?ってね。

でも今は…少しわかる。
たくさんたくさんいいことしてるのに、周りに傷つけられて
ちっとも幸せになれない人を…幸せにしてやれってことだった
のかもしれないな…って。

一度目の人生で私は…二十数年の娼婦生活の中…十年以上、
№1の座についていた。

羨望も受けたが、それの何倍も…嫉妬と嘲りをこの身に受けて
来た…受けてきたんだ!!

その時の私には…後ろ盾なんてもの、一切なかった。
けど…はじいた!!はじきつづけたんだよ!!

己の体一つでな!!

そして今世…暮らしは最底辺だったが、幸い恵まれたものも
たくさんあったよ。
だからそれを大切にして…穏やかに暮らしていこうと思った…
思ってたんだけどなぁ…。

何の因果か、この国で一番面倒くさいことしなきゃいけない男に
嫁いじまった。

人生ままならねぇってのは…わかってたんだけどね、うん。

まあでも仕方ねぇ。
やれるところまでやるしかねぇだろ。

幸い前世の記憶と…今世の最底辺の人生のおかげで心の底から
分かっちまった。

人間ってやつぁよぉ…どこまでいっても、とことん同じ生き物
なんだなって。

ホンットめんどくせぇ。
めんどくせぇよぉ…。

けど…。

私は自分でヤるって決めたからね。

そしてヤるからにゃー、とことん楽しむのが、この私…。

ヘドネの流儀!!!

楽しみだねぇ…。
育ちの超よろしいお嬢様方が…果たしてこのヘドネとまともに
戦うことが…できるのかい?

ああ本当に…。

楽しみ~。


-----------------------------------------------------------------

第一部 完

あとがき

皆様、ここまでお読みいただきありがとうございました。
そもそも長編予定でしたが、思いのほか長くなってしまったので、
ここらでいったん、切ることにいたしました。

続きは

ひとまず一回ヤりましょう、公爵様 2

にて、ご披露いたします。

まだまだ書きたいエピソードも、キャラクターも沢山おりますので、
引き続き楽しんでいただけたら、幸いです。
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感想 5

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みんなの感想(5件)

沙吉紫苑
2024.06.01 沙吉紫苑

うん、王子と王女やっぱり盛りましたか。
でも「媚薬」じゃないんだと思った私はヨコシマですかね(笑)。

解除
まいたぬき
2024.05.07 まいたぬき

はじめまして。

毎日、更新を楽しみにしています。
そして、かなりの頻度で一から読み直し。。。で楽しんでいます。
何回読んでも飽きません!

素敵な作品に出会えてすごく嬉しいです。

これからもよろしくお願いします🙇

2024.05.09 木野 キノ子

何度も読み返していただけるなんて、本当に嬉しいです。
どうもありがとうございます。

作品自体は、かなり長くなる予定なので、今後とも楽しんでいただけるよう、執筆頑張ります。

温かいお言葉、大変励みになります。

解除
hiro
2024.04.28 hiro

今までとちょっと違う転生系で面白いですね。
続きが気になります!

2024.04.28 木野 キノ子

ありがとうございます😭

最近流行りの異世界転生モノを、読み漁るうちに、自分ならこういうのを読みたい‼️
となって描き始めたものなので、そう言っていただけると、素直に嬉しいです。

今後もお楽しみいただけるよう、がんばって書いていきます。

解除

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