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第2章 相思
2 ローカス卿の一生の頼み
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私の言葉に、ローカス卿は完全に照れている。
「世の中って…好きになった人が、必ず自分を好きになってくれるとは限らない。
だから…マギーにとってはいい思い出になったろうな…と」
「お、思い出?」
頭に?浮かすな!!
「あの子は…もうすぐ貴族身分ではなくなります…。
ローカス卿は生まれながらの貴族なのですから、この意味が分かるでしょう?」
ローカス卿の顔が、一気にかげる。
「ハンカチは…良かったら大事にしてあげてください。
アナタに…特定の方が来るまででいいですから」
するとローカス卿が、何やら頭を掻きつつ、
「う…えっと…あのハンカチ…なくしちまったんだ…」
「あらまぁ…、マギーには黙っていますよ」
「ありがとう…。
あ~、自室の机の引き出しに、確かに入れといたはずなのに…」
ここで私はピクリときた。
「……自室でなくされたのですか?
仕事場や庭ではなく?」
「そーなんだよぉ…そもそも…なくしたくないから、大切にしまっておいたはずなのに~」
ローカス卿…かなりしょげてるな…。
……どーすっかな、言うかな…。
でも…私の憶測だしな~。
「あ、そうだ!!オルフィリア公爵夫人!!」
「何でしょう?」
私の考えがまとまらぬうちに、
「マギーをファルメニウス公爵家に引き取ったら…一度連絡をくれ!!」
と言われたから、
「いいですよ」
と。
まあ、急展開すぎるだろうから、今日はこのくらいにしよか。
---------------------------------------------------------------------------------------
数日後…。
ギリアムがマギー父にしっかり話をつけてくれたおかげで…、マギーは無事実家を抜け出せた。
マギー父は結局…後妻と二女の言葉を信じ、マギーが役立たずだと思っていたようだから、
かなり簡単だったそう。
「マギー!!ひとまず良かったね!!」
「ありがとう、フィリー…」
「これからどうするかは…ゆっくり考えな。
別人になって、生きていくのも結構楽しいと、私は思うからさ」
これ、人生二度目だから余計思う。
私とマギーはしばし雑談に花を咲かせていたのだが…、
「奥様…ローカス様がいらっしゃいました」
「あら、早いこと。
お通しして」
やって来たローカス卿は…なぜかギリアムと一緒だった。
「?どうしたんですか?」
ギリアムに聞けば、
「いや…ローカス卿が一緒にいてくれと言うから…」
ローカス卿…ガチ正装…ヤなよかーん…。
マギーの前で跪いたローカス卿は…、
「マーガレット・ギャザクシル侯爵令嬢…オレと結婚してくれ!!」
…………………………………。
やっぱりかよぉぉぉ―――――――――――――――――――――――っ!!
私は一気に頭痛がピークに。
「え、え、ええ…」
マギーは何が起こったのか、わからないよう…。
まあ、私ですらギリアムに突然求婚された時、フリーズしたからなぁ。
「結婚してくれますか?」
再度言われたマギーは…ようやっと状況を理解したようで、
「わ…私で…いいんでしょうか…?」
ホントそれ。
「マギーじゃなきゃ、オレは嫌だ!!」
ローカス卿…眼が完全に真剣だ…。
それ自体は…いい事なんだがなぁ…。
「わかり…ました…」
マギーは泣きながら、オッケーした…。
抱き合って喜ぶ2人を、ギリアムがどう思っていたかは知らんが…。
私はこめかみを抑えつつ、考えを巡らす。
「…ひとまず、おめでとう」
ギリアムが…かなり静かなトーンで言う。
「おお!!ありがとう!!」
ローカス卿は嬉しそうなのだが…、
「しかしよく、ローエン卿(ローカスの祖父)が許したな」
という、ギリアムの言葉でフリーズした…かと思ったら、ギリアムの肩をがっしりとつかみ、
「ギリアム…親友として一生の頼みがある!!」
汗かきながら…真剣というより、もう必死…という感じだ。
「……私とローカス卿は、いつ親友になったんだ?」
うん…。
私から見ても、あなた方二人は、腐れ縁と言ったほうが正しいと思う…。
「親友の結婚祝いとして…」
ローカス卿…構わず話を続けている…。
ホントに必死やな。
「お前とオルフィリア公爵夫人で…おじい様を説得してくれぇぇっ!!」
…………………………………。
なんじゃ、そりゃ?
ここでギリアムが話してくれた。
ローカス卿は幼いころに父母を亡くし、ずっと祖父母に面倒を見られてきた。
まあ、ケイシロンだから使用人もたくさんいたろうし、問題は無かったろう。
しかしこういう構図だと、いかにも孫はドラになりそうなんだが…。
「あのおじい様に育てられて…ドラになれたら、オレはそいつに平伏してやる…」
と、本気でローカス卿に言わせるだけあるそうだ。
まず近衛騎士団の団長を長きにわたり勤め上げ、今は引退しているようだが…。
まあ、ギリアムと同レベルで品行方正、曲がったことが大嫌い。
子供のころ、ギリアムとローカス卿が喧嘩をすると…、理由が何であれ両成敗。
2人とも顔を腫らすことになったそうな。
そして礼儀を大変重んじ、人を身分や外見で差別しようものなら、ローカス卿はすぐに
鉄拳制裁を喰らったらしい。
口も大変達者な人だが、とにかく手も速いそうな…。
「まあだから…正式な手順も踏まずに結婚なんてしたら…間違いなく激怒する人間なんだ。
そして…カッとなりやすいように見えるのだが、とても知的な方だから、しっかり下調べして、
物事を判断する。
誤魔化しがきかない分、ごり押ししたことについては、かなりマズかったと言える」
「いや~、よくわかってるなぁ、我が親友よ!!
そう言うわけだから、よろしく頼む!!」
「だから、私とローカス卿はいつ親友になったんだ?」
ギリアムが珍しく、首傾げとる。
私はと言えば…別の事で頭を痛めている。
「あのさ…マギー。
これからすっごく大変になるけど、本当にわかってる?」
私は男二人は置いといて、マギーに話しかける。
「え…?」
「マギーの実家は、マギーを外に出す気は無かった…。
だから…ケイシロンに嫁ぐなら、かなりしっかり…しかも膨大な勉強をしなきゃだよ?
多岐にわたることを…」
マギーって…社交界の事、レイチェルレベルで何も教え込まれてないのよね…。
家の2人分の仕事を1人でやっていたわけだから、事務処理能力は高いし、勉強頭は間違いなくいい
んだろうけど、それだけじゃねぇ…。
「そ、それはうちでもサポートするよ!!
家庭教師の伝手なんて、いくらでもあるし!!」
ローカス卿…そう言ってくれるのは、ありがたいんだけどさ…。
本当に…わかっているのかなぁ…。
この人…間違いなく優秀なんだけど、どこか…抜けているんだよなぁ…。
ただそれは…ギリアムさえわかっていなかったことだから、しょうがないのかなぁ…。
ただ、2人とも…いい大人だからなぁ…。
そこまで私が、手取り足取りってのも、ハッキリ言って違うんだよなぁ…。
でもなぁ…マギーは…友達だしなぁ…。
ああ…。
何が正しいのかわからないなら…、2人の意志を尊重するしかないかな…うん。
幸せなんて、所詮他人が決める事じゃないし。
でも一つ…確認しなきゃならないことがある。
「…ローカス卿は、本当にマギーを妻にしたいのですか?
本当にそれでよいのですか?」
私はかなり真剣な目をして、問うた。
「オレは…マギーじゃなきゃ、嫌だ!!」
…なら、私が言う事じゃねぇ。
「ギリアム…ローカス卿が結婚祝いと言うくらいだから、よほどなのでしょう。
ここは一肌脱いで差し上げたらどうでしょうか?
お二人には幸せになって欲しいですし」
「オルフィリア公爵夫人~、やっぱりあなたがいないと駄目だぁ~」
すっげぇ、嬉しそう…。
そんな怖いじい様なのか…。
ギリアムから詳しい話、聞かなきゃな…。
「では、ローカス卿…。
私が現在抱いている…ケイシロンに対する懸念事項をお話させてください」
「懸念事項?」
私は…ハンカチが無くなったことで予想した、私の考えを簡潔に述べた。
「そんなこと…でも…」
「だって…おかしいでしょう?
自室の引き出しに入れておいたものが、無くなるなんて…」
ローカス卿がしばし考えこんだが、やがて…
「炙り出す方法は、あるのか?」
「ええ…、完全ではありませんが、いくつか…」
「なら、教えてくれ…。
すぐに実行する」
「わかりました…ですが…、ローカス卿も私の言葉とは別にして…周囲をよく観察してください」
「了解した」
こうして…話し合いが終わると、マギーとローカス卿は帰路に就くのだった…。
「世の中って…好きになった人が、必ず自分を好きになってくれるとは限らない。
だから…マギーにとってはいい思い出になったろうな…と」
「お、思い出?」
頭に?浮かすな!!
「あの子は…もうすぐ貴族身分ではなくなります…。
ローカス卿は生まれながらの貴族なのですから、この意味が分かるでしょう?」
ローカス卿の顔が、一気にかげる。
「ハンカチは…良かったら大事にしてあげてください。
アナタに…特定の方が来るまででいいですから」
するとローカス卿が、何やら頭を掻きつつ、
「う…えっと…あのハンカチ…なくしちまったんだ…」
「あらまぁ…、マギーには黙っていますよ」
「ありがとう…。
あ~、自室の机の引き出しに、確かに入れといたはずなのに…」
ここで私はピクリときた。
「……自室でなくされたのですか?
仕事場や庭ではなく?」
「そーなんだよぉ…そもそも…なくしたくないから、大切にしまっておいたはずなのに~」
ローカス卿…かなりしょげてるな…。
……どーすっかな、言うかな…。
でも…私の憶測だしな~。
「あ、そうだ!!オルフィリア公爵夫人!!」
「何でしょう?」
私の考えがまとまらぬうちに、
「マギーをファルメニウス公爵家に引き取ったら…一度連絡をくれ!!」
と言われたから、
「いいですよ」
と。
まあ、急展開すぎるだろうから、今日はこのくらいにしよか。
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数日後…。
ギリアムがマギー父にしっかり話をつけてくれたおかげで…、マギーは無事実家を抜け出せた。
マギー父は結局…後妻と二女の言葉を信じ、マギーが役立たずだと思っていたようだから、
かなり簡単だったそう。
「マギー!!ひとまず良かったね!!」
「ありがとう、フィリー…」
「これからどうするかは…ゆっくり考えな。
別人になって、生きていくのも結構楽しいと、私は思うからさ」
これ、人生二度目だから余計思う。
私とマギーはしばし雑談に花を咲かせていたのだが…、
「奥様…ローカス様がいらっしゃいました」
「あら、早いこと。
お通しして」
やって来たローカス卿は…なぜかギリアムと一緒だった。
「?どうしたんですか?」
ギリアムに聞けば、
「いや…ローカス卿が一緒にいてくれと言うから…」
ローカス卿…ガチ正装…ヤなよかーん…。
マギーの前で跪いたローカス卿は…、
「マーガレット・ギャザクシル侯爵令嬢…オレと結婚してくれ!!」
…………………………………。
やっぱりかよぉぉぉ―――――――――――――――――――――――っ!!
私は一気に頭痛がピークに。
「え、え、ええ…」
マギーは何が起こったのか、わからないよう…。
まあ、私ですらギリアムに突然求婚された時、フリーズしたからなぁ。
「結婚してくれますか?」
再度言われたマギーは…ようやっと状況を理解したようで、
「わ…私で…いいんでしょうか…?」
ホントそれ。
「マギーじゃなきゃ、オレは嫌だ!!」
ローカス卿…眼が完全に真剣だ…。
それ自体は…いい事なんだがなぁ…。
「わかり…ました…」
マギーは泣きながら、オッケーした…。
抱き合って喜ぶ2人を、ギリアムがどう思っていたかは知らんが…。
私はこめかみを抑えつつ、考えを巡らす。
「…ひとまず、おめでとう」
ギリアムが…かなり静かなトーンで言う。
「おお!!ありがとう!!」
ローカス卿は嬉しそうなのだが…、
「しかしよく、ローエン卿(ローカスの祖父)が許したな」
という、ギリアムの言葉でフリーズした…かと思ったら、ギリアムの肩をがっしりとつかみ、
「ギリアム…親友として一生の頼みがある!!」
汗かきながら…真剣というより、もう必死…という感じだ。
「……私とローカス卿は、いつ親友になったんだ?」
うん…。
私から見ても、あなた方二人は、腐れ縁と言ったほうが正しいと思う…。
「親友の結婚祝いとして…」
ローカス卿…構わず話を続けている…。
ホントに必死やな。
「お前とオルフィリア公爵夫人で…おじい様を説得してくれぇぇっ!!」
…………………………………。
なんじゃ、そりゃ?
ここでギリアムが話してくれた。
ローカス卿は幼いころに父母を亡くし、ずっと祖父母に面倒を見られてきた。
まあ、ケイシロンだから使用人もたくさんいたろうし、問題は無かったろう。
しかしこういう構図だと、いかにも孫はドラになりそうなんだが…。
「あのおじい様に育てられて…ドラになれたら、オレはそいつに平伏してやる…」
と、本気でローカス卿に言わせるだけあるそうだ。
まず近衛騎士団の団長を長きにわたり勤め上げ、今は引退しているようだが…。
まあ、ギリアムと同レベルで品行方正、曲がったことが大嫌い。
子供のころ、ギリアムとローカス卿が喧嘩をすると…、理由が何であれ両成敗。
2人とも顔を腫らすことになったそうな。
そして礼儀を大変重んじ、人を身分や外見で差別しようものなら、ローカス卿はすぐに
鉄拳制裁を喰らったらしい。
口も大変達者な人だが、とにかく手も速いそうな…。
「まあだから…正式な手順も踏まずに結婚なんてしたら…間違いなく激怒する人間なんだ。
そして…カッとなりやすいように見えるのだが、とても知的な方だから、しっかり下調べして、
物事を判断する。
誤魔化しがきかない分、ごり押ししたことについては、かなりマズかったと言える」
「いや~、よくわかってるなぁ、我が親友よ!!
そう言うわけだから、よろしく頼む!!」
「だから、私とローカス卿はいつ親友になったんだ?」
ギリアムが珍しく、首傾げとる。
私はと言えば…別の事で頭を痛めている。
「あのさ…マギー。
これからすっごく大変になるけど、本当にわかってる?」
私は男二人は置いといて、マギーに話しかける。
「え…?」
「マギーの実家は、マギーを外に出す気は無かった…。
だから…ケイシロンに嫁ぐなら、かなりしっかり…しかも膨大な勉強をしなきゃだよ?
多岐にわたることを…」
マギーって…社交界の事、レイチェルレベルで何も教え込まれてないのよね…。
家の2人分の仕事を1人でやっていたわけだから、事務処理能力は高いし、勉強頭は間違いなくいい
んだろうけど、それだけじゃねぇ…。
「そ、それはうちでもサポートするよ!!
家庭教師の伝手なんて、いくらでもあるし!!」
ローカス卿…そう言ってくれるのは、ありがたいんだけどさ…。
本当に…わかっているのかなぁ…。
この人…間違いなく優秀なんだけど、どこか…抜けているんだよなぁ…。
ただそれは…ギリアムさえわかっていなかったことだから、しょうがないのかなぁ…。
ただ、2人とも…いい大人だからなぁ…。
そこまで私が、手取り足取りってのも、ハッキリ言って違うんだよなぁ…。
でもなぁ…マギーは…友達だしなぁ…。
ああ…。
何が正しいのかわからないなら…、2人の意志を尊重するしかないかな…うん。
幸せなんて、所詮他人が決める事じゃないし。
でも一つ…確認しなきゃならないことがある。
「…ローカス卿は、本当にマギーを妻にしたいのですか?
本当にそれでよいのですか?」
私はかなり真剣な目をして、問うた。
「オレは…マギーじゃなきゃ、嫌だ!!」
…なら、私が言う事じゃねぇ。
「ギリアム…ローカス卿が結婚祝いと言うくらいだから、よほどなのでしょう。
ここは一肌脱いで差し上げたらどうでしょうか?
お二人には幸せになって欲しいですし」
「オルフィリア公爵夫人~、やっぱりあなたがいないと駄目だぁ~」
すっげぇ、嬉しそう…。
そんな怖いじい様なのか…。
ギリアムから詳しい話、聞かなきゃな…。
「では、ローカス卿…。
私が現在抱いている…ケイシロンに対する懸念事項をお話させてください」
「懸念事項?」
私は…ハンカチが無くなったことで予想した、私の考えを簡潔に述べた。
「そんなこと…でも…」
「だって…おかしいでしょう?
自室の引き出しに入れておいたものが、無くなるなんて…」
ローカス卿がしばし考えこんだが、やがて…
「炙り出す方法は、あるのか?」
「ええ…、完全ではありませんが、いくつか…」
「なら、教えてくれ…。
すぐに実行する」
「わかりました…ですが…、ローカス卿も私の言葉とは別にして…周囲をよく観察してください」
「了解した」
こうして…話し合いが終わると、マギーとローカス卿は帰路に就くのだった…。
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