21 / 43
第3章 対応
3 テオルド卿の状態が、ヤバイ
しおりを挟む
テオルド卿は少し驚きつつも、
「それは構いませんが…なぜ…?」
困惑しとるね。
でも、少し安堵もしているよう。
「今後、このようなことが無いよう、少しお話がしたいのです」
話したい内容は違うがね。
リグルド卿もいるし。
「わかりました」
私の言葉を素直に聞いてくれるテオルド卿。
こういう所は、本当にギリアムにそっくりやね。
肩を落としたリグルド卿にお帰り頂き、部屋にはテオルド卿と
私とフォルトの3人が残った。
「もう本当に…」
テオルド卿は、膝の上で組んだ手に視線を落とし、
「何と言ってお詫びすればよいのか…言葉が見つかりません…」
大分うなだれて、背中が小さくなってる…。
本人の豪快さからは、想像もできないくらいに…。
……やっぱり残ってもらって、正解やな。
さっき私が感じたものは、思い過ごしじゃない。
できればギリアムに、話を通したかったけど…私の独断でやる
しかない!!
「気落ちしないでください…と言っても無理かとは思いますが、
私がテオルド卿に残っていただいたのは、少なくともあなたを
責めるためではありません」
するとテオルド卿は、自嘲するように
「オルフィリア嬢は…お優しいですね…」
この人、ホントぶきっちょなんやな~。
「ですがテオルド卿が、何かわたくしに償いたいということなら…
お願いしたいことがあります」
「なんなりと!!」
あ~、乗り出してきた…。
うん。
何を置いても償いたいんだよね…私に…。
「二日後…、テオルド卿お仕事お休みですよね?
その日朝から、私の手伝いをして頂きたいのです。
一日がかりになりますし、だいぶ汚れますし、平民に交じって
やる作業となりますが…」
「そのようなこと!!
一切気にいたしません!!」
うん、だろーね。
テオルド卿、身分で人を差別しない人やからね。
「では…よろしくお願いいたします」
「はい!!」
そんなこんなで、私とテオルド卿との話は終わった。
――――――――――その夜。
帰ってきたギリアムに、今日あったことを伝える。
エマとフォルトも同席してもらった。
「そうですか。
伝書鳩が来た時は、私も雇用か迷ったのですが…。
リグルド卿は暴れるような人間ではないですし、テオルド卿も
自分に一任して欲しいと言いましたからね」
「そうですね。
むしろ私は感謝していますよ。
欲しかった情報が、リグルド卿が訪ねてきたおかげで、一気に
入りましたから」
「ほう」
「だから、あまり叱らないであげでください」
「それはその情報とやらを聞いてから、判断します」
私の前じゃのほほんしてるが、ギリアムは抜け目ねぇな、やっぱ。
「まず、フェイラ嬢とルイーズ嬢の状態。
やはりどうなっているか、気にはしていました」
「それで?」
「食事はとっているそうなので、ひとまず放置です」
「それでよいでしょう」
3人とも頷いている。
「一番の収穫は、テオルド卿に会えたことです。
実はお会いしたかったのですが、市勢のこともあり、どうすべきか
思案しておりました」
「そうだったのですね」
「ですが今日、非常に自然に会えてお話しできましたので…
よかったです」
「なるほど」
「フィリー様のお手伝いをする約束をして、喜んでいらっしゃい
ました」
フォルトが明るい顔で言えば、
「それは良かった…。
最近やはり、沈んでいたから…」
と、ギリアムも笑顔になる。
「ええ本当に良かったです」
私も笑顔だが、他の人間とは異質のものだ。
だってさぁ…。
「手遅れになる前で」
三人がぎょっとしたような顔を私に向ける。
ああやっぱり。
誰もわかってなかったのね。
「私の見立てでは…このままだとテオルド卿、あと10日…いえ
一週間以内には倒れますよ」
驚いてんな~、すごく。
「な、なぜそんなことがわかるのですか!!」
ギリアムが珍しく声を荒げた。
「私が薬草学を学ぶため、逃げる先々で医師や薬局の手伝いを
していたことは…ご存じですよね」
「え、ええ」
「ゆえにわかってしまうのですよ」
「な…何が…」
「テオルド卿は高い確率で…食事をほぼ吐き出しています」
一同、驚愕…だよね、やっぱ。
「こ、根拠は!!」
「まず肌つやと血色がかなり悪かった…栄養をうまく取れていない
人の典型…そして…」
私が自分の考えを決定したのは…。
「テオルド卿の手…です」
「手?」
「テオルド卿にお茶会前にお会いした時、テオルド卿の手には
歯形がついていなかった。
でも、今日お会いした時には、少し離れてもわかるぐらいハッキリと
歯形がついていたのです…それも複数」
「一体それがなんだと…」
「食べること=生きること。
食べた物を吐く…これは人間…いえ、生物の生きる本能に逆らう
行為です。
ゆえに体が無意識にそれを止めようと…口を閉じようとするのです」
「……」
「それを手で抑えるから…吐いてばかりの人の手には…歯形が
つきやすいのです」
3人ともぼーぜんとしとる。
そりゃそーだ。
テオルド卿は誰がどう見ても、芯がしっかりした人やから。
けどね…。
強さと生き残れるかどうかは、一見比例しているように見えて、
関係ないときもあんのよ。
私のこの診断は、確かに今世で医者や薬草師(この世界の薬剤師)
の所で、患者を診る手伝いをして得たものだ。
でも…。
それだけじゃ無理だっただろう。
底支えになったのは、やはり前世の娼婦としての経験。
私は医療なんてものを学んだことは無かったが、こと人間の肉体を
見て触れることは、医者並みにやってきた。
そうして体を見て、体を重ねるうちに、見るだけで分かるように
なったんだよね。
最初は一見で、元気のあるなしを見分けられるようになった。
そんな中で、身体的に明らかに?と思うものが出てきた。
それを自ら尋ねることはしなかったが、自分から話す人もいた。
そう言う場合は、黙って聞いた。
そうして蓄積していった、私の記憶と感覚は…今世で自分の欲を
満たすために片足突っ込んだ、医の世界の裏付け…その底力と
なった。
「なぜ…」
ギリアムが悲壮な目をして、私の肩を掴み、
「どうしてそれがわかった時点で、私を呼び戻してくれなかった
のですか!!」
私はそんなギリアムの眼を真っすぐ見つめ、
「呼び戻してお話したら、どうされましたか?」
「すぐにでもテオルド卿に、家に帰って休むように伝え…」
「だからですよ」
私は目一杯の大きな声で、ギリアムの言葉を遮る。
「え…」
呆けるギリアム。
「今のテオルド卿を休ませるのは…逆効果です!!」
「それはどういうことです?」
ギリアムは悲壮感を漂わせ、訳が分からないという目を私に向けて
来る。
慌てないでって言っても無理だろーけど。
一呼吸置かせてもらうよ。
話す内容は、まだまだあるからね。
私はエマが用意してくれたお茶に口をつける。
少し冷めてはいたが、これからの話をするのにはちょうどいい感じ
だった…。
「それは構いませんが…なぜ…?」
困惑しとるね。
でも、少し安堵もしているよう。
「今後、このようなことが無いよう、少しお話がしたいのです」
話したい内容は違うがね。
リグルド卿もいるし。
「わかりました」
私の言葉を素直に聞いてくれるテオルド卿。
こういう所は、本当にギリアムにそっくりやね。
肩を落としたリグルド卿にお帰り頂き、部屋にはテオルド卿と
私とフォルトの3人が残った。
「もう本当に…」
テオルド卿は、膝の上で組んだ手に視線を落とし、
「何と言ってお詫びすればよいのか…言葉が見つかりません…」
大分うなだれて、背中が小さくなってる…。
本人の豪快さからは、想像もできないくらいに…。
……やっぱり残ってもらって、正解やな。
さっき私が感じたものは、思い過ごしじゃない。
できればギリアムに、話を通したかったけど…私の独断でやる
しかない!!
「気落ちしないでください…と言っても無理かとは思いますが、
私がテオルド卿に残っていただいたのは、少なくともあなたを
責めるためではありません」
するとテオルド卿は、自嘲するように
「オルフィリア嬢は…お優しいですね…」
この人、ホントぶきっちょなんやな~。
「ですがテオルド卿が、何かわたくしに償いたいということなら…
お願いしたいことがあります」
「なんなりと!!」
あ~、乗り出してきた…。
うん。
何を置いても償いたいんだよね…私に…。
「二日後…、テオルド卿お仕事お休みですよね?
その日朝から、私の手伝いをして頂きたいのです。
一日がかりになりますし、だいぶ汚れますし、平民に交じって
やる作業となりますが…」
「そのようなこと!!
一切気にいたしません!!」
うん、だろーね。
テオルド卿、身分で人を差別しない人やからね。
「では…よろしくお願いいたします」
「はい!!」
そんなこんなで、私とテオルド卿との話は終わった。
――――――――――その夜。
帰ってきたギリアムに、今日あったことを伝える。
エマとフォルトも同席してもらった。
「そうですか。
伝書鳩が来た時は、私も雇用か迷ったのですが…。
リグルド卿は暴れるような人間ではないですし、テオルド卿も
自分に一任して欲しいと言いましたからね」
「そうですね。
むしろ私は感謝していますよ。
欲しかった情報が、リグルド卿が訪ねてきたおかげで、一気に
入りましたから」
「ほう」
「だから、あまり叱らないであげでください」
「それはその情報とやらを聞いてから、判断します」
私の前じゃのほほんしてるが、ギリアムは抜け目ねぇな、やっぱ。
「まず、フェイラ嬢とルイーズ嬢の状態。
やはりどうなっているか、気にはしていました」
「それで?」
「食事はとっているそうなので、ひとまず放置です」
「それでよいでしょう」
3人とも頷いている。
「一番の収穫は、テオルド卿に会えたことです。
実はお会いしたかったのですが、市勢のこともあり、どうすべきか
思案しておりました」
「そうだったのですね」
「ですが今日、非常に自然に会えてお話しできましたので…
よかったです」
「なるほど」
「フィリー様のお手伝いをする約束をして、喜んでいらっしゃい
ました」
フォルトが明るい顔で言えば、
「それは良かった…。
最近やはり、沈んでいたから…」
と、ギリアムも笑顔になる。
「ええ本当に良かったです」
私も笑顔だが、他の人間とは異質のものだ。
だってさぁ…。
「手遅れになる前で」
三人がぎょっとしたような顔を私に向ける。
ああやっぱり。
誰もわかってなかったのね。
「私の見立てでは…このままだとテオルド卿、あと10日…いえ
一週間以内には倒れますよ」
驚いてんな~、すごく。
「な、なぜそんなことがわかるのですか!!」
ギリアムが珍しく声を荒げた。
「私が薬草学を学ぶため、逃げる先々で医師や薬局の手伝いを
していたことは…ご存じですよね」
「え、ええ」
「ゆえにわかってしまうのですよ」
「な…何が…」
「テオルド卿は高い確率で…食事をほぼ吐き出しています」
一同、驚愕…だよね、やっぱ。
「こ、根拠は!!」
「まず肌つやと血色がかなり悪かった…栄養をうまく取れていない
人の典型…そして…」
私が自分の考えを決定したのは…。
「テオルド卿の手…です」
「手?」
「テオルド卿にお茶会前にお会いした時、テオルド卿の手には
歯形がついていなかった。
でも、今日お会いした時には、少し離れてもわかるぐらいハッキリと
歯形がついていたのです…それも複数」
「一体それがなんだと…」
「食べること=生きること。
食べた物を吐く…これは人間…いえ、生物の生きる本能に逆らう
行為です。
ゆえに体が無意識にそれを止めようと…口を閉じようとするのです」
「……」
「それを手で抑えるから…吐いてばかりの人の手には…歯形が
つきやすいのです」
3人ともぼーぜんとしとる。
そりゃそーだ。
テオルド卿は誰がどう見ても、芯がしっかりした人やから。
けどね…。
強さと生き残れるかどうかは、一見比例しているように見えて、
関係ないときもあんのよ。
私のこの診断は、確かに今世で医者や薬草師(この世界の薬剤師)
の所で、患者を診る手伝いをして得たものだ。
でも…。
それだけじゃ無理だっただろう。
底支えになったのは、やはり前世の娼婦としての経験。
私は医療なんてものを学んだことは無かったが、こと人間の肉体を
見て触れることは、医者並みにやってきた。
そうして体を見て、体を重ねるうちに、見るだけで分かるように
なったんだよね。
最初は一見で、元気のあるなしを見分けられるようになった。
そんな中で、身体的に明らかに?と思うものが出てきた。
それを自ら尋ねることはしなかったが、自分から話す人もいた。
そう言う場合は、黙って聞いた。
そうして蓄積していった、私の記憶と感覚は…今世で自分の欲を
満たすために片足突っ込んだ、医の世界の裏付け…その底力と
なった。
「なぜ…」
ギリアムが悲壮な目をして、私の肩を掴み、
「どうしてそれがわかった時点で、私を呼び戻してくれなかった
のですか!!」
私はそんなギリアムの眼を真っすぐ見つめ、
「呼び戻してお話したら、どうされましたか?」
「すぐにでもテオルド卿に、家に帰って休むように伝え…」
「だからですよ」
私は目一杯の大きな声で、ギリアムの言葉を遮る。
「え…」
呆けるギリアム。
「今のテオルド卿を休ませるのは…逆効果です!!」
「それはどういうことです?」
ギリアムは悲壮感を漂わせ、訳が分からないという目を私に向けて
来る。
慌てないでって言っても無理だろーけど。
一呼吸置かせてもらうよ。
話す内容は、まだまだあるからね。
私はエマが用意してくれたお茶に口をつける。
少し冷めてはいたが、これからの話をするのにはちょうどいい感じ
だった…。
105
あなたにおすすめの小説
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる