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第一章 観劇
1 どこだ~~~~~、解毒剤~~~~~~!!
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「どこだ――――――――!!解毒剤ぃいいぃ――――――――――!!」
絶叫と共に、己の脱ぎ捨てたドレスを、力の限り伸ばしている私…。
スッパダカではないけれど、完全下着姿よ。
あ、因みに言っとくけど、毒盛られたの私じゃない。
レイチェル・ホッランバック伯爵夫人…デイビス卿の奥様だ。
そんな私とレイチェル夫人の周りには、異様な出で立ちをした人が4人いる。
ここはルベンディン小侯爵主催の仮面舞踏会会場…。
己の身分や地位を明かすことなく、楽しむための場所ゆえ、正体が一切わからない
衣装を身にまとうことになっている。
にしても、しくじった!!
完全に敵地であると認識してきた場所だが、まさかこんなことになるとはね。
因みに4人以外にも、遠巻きに大勢の異様ないでたちの人々が見ている。
口々に嘲笑う声が聞こえるが、構うものか!!
「ちょっとそこのアンタ!!
それ貸して!!」
私は近場にいた4人のうち、一番大柄な人間が短刀を持っていることに気づき、
有無を言わせず奪う。
そして己のドレスを瞬く間にビリビリに切り裂く。
あ~、多分周りの連中は、私を珍獣を見るような目で見てんだろうなぁ。
けど、構うもんか!!
人の命がかかっている時、なりふり構わず助けようとしている人間を笑う
奴なんか、こっちから願い下げだっての!!
解毒剤は私のドレスに縫い付けてあるって、言われた。
だから、私はそれっぽいふくらみのある部分を、後先構わず切り裂いているのだ。
頼むから、間に合ってくれよぉ…。
----------------------------------------------------------------------------
時は戻ってルイザーク伯爵家の揉め事を、片付けた一週間ほどあと。
私はかなり困り果てていた。
と言うのも、ギリアムからお茶会にも、舞踏会にも、私単体では一切出席するなと
言う指令が、出てしまったから。
しかもお誘いの手紙は、ギリアムの指示で私の手元には届いていない。
フォルトとエマがコッソリ口頭で教えてくれてるから、筒抜けだけどね。
本当に二人には感謝感謝。
そーゆーわけにはいかんと、何度言ってもきかない。
ギリアムが今の所許可したのは、ママンと一緒に行くことになった、ヴァッヘン卿の
お母様のお茶会だけ。
それ以外は、クレア嬢の時のように、必ず自分の眼が届く状態でなければダメだと。
いや…ああいう状態を作れる方が、めっちゃ少ないよ。
それに、バカじゃなければ、同じ手を使われているかもしれないと、思うから余計ね。
私はその日とりあえず、フィリアム商会の新商品が出来上がったので、王立騎士団
へと赴いた。
「わあ!!これなんですか、オルフィリア嬢!!」
以前の物が好評だったので、団員たちが瞬く間に寄ってきた。
「えっと…こちらがポテトチップス、ジャガイモを薄く切って油で揚げたもの。
こちらが、フライドポテト、やっぱりジャガイモを切って油で揚げたものです」
味付けは塩だけだったんだけど、すっごい美味しそうに食べてくれた。
やっぱりこの世界でも、鉄板商品になりそうで何より(特許取得済み)。
「邪魔するぜ~」
おお、ちょうど良い所にローカス卿も。
早速新商品に気付いたので、いまと同じ説明をする。
「へー、油で揚げたものにしちゃ、すごく軽くて食べやすいなぁ…」
「ええ、実は油も新商品(特許取得済み)なんです」
すると食べながらのレオニール卿が、
「ジャガイモと塩だけだから、平民でも手が出せる値段設定で…。
オルフィリア嬢は本当に、平民に優しいですよね」
何だか目が輝いているよ…ちょっとこそばゆい。
「ふふ…明日から試験的に、フィリアム商会の飲食店で売り出すので…、
宣伝していただけると、ありがたいです」
「もっちろん!!」
レオニール卿やる気ね、ありがたし。
「あ、レオニール卿、火消しごくろーさま」
ローカス卿が言えば、
「いやー、オルフィリア嬢が打ってくれた布石が、思った以上に
功を奏しましたから~」
「だよな~、オルフィリア嬢もありがとう!!
やっと子供に泣かれることも、陰でひそひそされることもなくなった~」
ローカス卿、嬉しそうね。
よかった、よかった。
そんな和気あいあいとした雰囲気の中、
「みんな、長く休んで申し訳なかった。
今日からまた、よろしく頼む」
と言う声と共に……死んだような顔したテオルド卿とリグルド卿が
食堂へと入ってきて…。
うん、皆みごとに引いた。
実はテオルド卿とリグルド卿は、ギリアムの指示で一週間休みを取っていた。
家族と本気で話し合えるように…と。
そして今日の午後から、出てくることになっていたので、私も来た…と。
「えっと…ヴァッヘン卿がオレの師団の面倒見てくれていたって…。
どうもありがとう…」
と、リグルド卿に話しかけられたヴァッヘン卿は、
「えっと…気にしなくていいよ…。
それより、もう少し休んでもいいよ、うん…」
ヴァッヘン卿が思わずそう言ってしまうぐらい、リグルド卿の顔色は悪かった。
「あ、オルフィリア嬢~」
私を見つけたリグルド卿が、即、私の前に来て
「弟子にしてください~」
「は?」
いやいや、キミ、アカデミーの成績、常に学年で10位以内だったって
聞いたよ、うん。
剣の腕も、統率力もすごくあるよね。
そんな君に私が君に教えてあげられるのは、エッチで女を喜ばすテクぐらいの
もんやけど…それはギリアムが許さんと思うし…。
などと脳内で葛藤しとったら、
「こりゃ、バカ息子!!
これ以上オルフィリア嬢に迷惑をかけるなと、あれほど…」
そう言うテオルド卿の言葉にも、いつもの元気がない。
まあ、私は予想してたけどね。
男と女の脳みそって、構造上ですでに違いがあるって言われているくらい、
考え方に差異があるって話だし。
男女の間に入って調和がとれる人間は、その差異をよくよく知っているのさ。
…………………………………。
そう考えると…。
私の前世の経験って、役に立たないって思ってたけど、案外役立っとる。
複雑やな。
フレイヤ夫人が、いなくなっちゃったのが痛いね。
エマとフォルトの話では、相当できる人だったみたいだから、きっとテオルド卿と
子供たちの、緩衝材になってたんだろうなぁ。
「父上、そうは言いますけどぉ…。
せっかく団長がお暇をくださったのに、話が平行線で一向に進んでいないじゃ
ないですか~。
結局、昨日も怒鳴るしぃ」
リグルド卿涙目やね…。
「やかましいわぁ!!
わしだって怒鳴らんようにしとったわ!!
しかし、二人があまりに自分のしたことを棚に上げるから!!」
死にそうな顔して叫んでも、あんまり迫力ないなぁ。
「テオルド卿、リグルド卿!!」
私は仕方なしに声を上げる。
まあ、アフターケアーの一環だと思おう。
「そもそも私は、一週間で片が付くようなものだとは、思っていませんよ。
ギリアム様だって、話し合うようにとは言いましたが、解決しろとは言って
いないでしょう?」
まあこれは、私からギリアムによーく言ってきかせたんやけど。
「だからどうか、長い目で見て、必要なら時間をかけて、助言を求めるのも
良いと思いますよ」
「ありがとうございます~」
リグルド卿、余計泣いちゃったよ。
「オレとしては、本人たちが望む舞踏会やお茶会には、出た方がいいと思うん
ですよぉ…。
社会勉強や、いろんな人の意見を聞いた方がいいと思うからぁ」
「やめんか!!
もしまたオルフィリア嬢を悪く言ったら、どうするんじゃ!!
しっかり反省して、もう二度とお二人に迷惑をかけない状態にならん限り、
絶対に家から出さん!!」
あ~、あ~、あ~。
そんな殺伐とした食堂に、デイビス卿がこれまた暗い顔で入ってきた。
「あ、副団長!!
オルフィリア嬢が、また新商品を持ってきてくれましたよ!!
おひとつどうですか!!」
という、レオニール卿には目もくれず、
「オルフィリア嬢…少しお時間いただきたい!!
お話ししたいことが…」
おりょ、いつになく真剣なうえ、切羽詰まったカンジやね。
いつもクールなデイビス卿にしちゃ、本当に珍しい。
「待たないか!!デイビス卿!!
直接フィリーに話すなど、絶対に…」
おりょ、これまた切羽詰まったギリアムも登場したよ。
って、ガイツ卿が後ろからギリアムを羽交い絞めの形でおさえてる。
それをモノともしないって…ギリアムやっぱ凄いねぇ…。
ガイツ卿って、ギリアムより体格良いし、背も高いのに…。
「一体どうしたのですか?」
「フィリーは気にしなくていいことです!!
行くぞデイビス卿!!」
デイビス卿の答えを聞かず、無理やり腕を掴んで引っ張っていこうとする。
「わかりました。
じゃあガイツ卿に聞きます」
「へ?」
いきなり振られたガイツ卿。
すまんね。
「ガイツ卿、聞いていらしたんですよね?」
「あ、はい…。
団長に報告していたら、血相変えたデイビス卿が入ってきて…。
退席しようとしたのですが、一緒にいてくれと言われて…」
おお、デイビス卿もできる男やね。
「ああ、わかった!!
ガイツ卿も来るんだ!!」
う~ん、さすがのギリアムと言えど、師団長クラスを二人一緒に引っ張って
行くことは難しいよう…。
ガイツ卿はまだしも、デイビス卿は必至に抵抗しとるし。
私は思い切り息を吸い込み、
「いい加減にしてくださ――――――――――い!!」
ギリアムの耳元で叫んだ。
場の空気が、いろんな意味で…凍った。
絶叫と共に、己の脱ぎ捨てたドレスを、力の限り伸ばしている私…。
スッパダカではないけれど、完全下着姿よ。
あ、因みに言っとくけど、毒盛られたの私じゃない。
レイチェル・ホッランバック伯爵夫人…デイビス卿の奥様だ。
そんな私とレイチェル夫人の周りには、異様な出で立ちをした人が4人いる。
ここはルベンディン小侯爵主催の仮面舞踏会会場…。
己の身分や地位を明かすことなく、楽しむための場所ゆえ、正体が一切わからない
衣装を身にまとうことになっている。
にしても、しくじった!!
完全に敵地であると認識してきた場所だが、まさかこんなことになるとはね。
因みに4人以外にも、遠巻きに大勢の異様ないでたちの人々が見ている。
口々に嘲笑う声が聞こえるが、構うものか!!
「ちょっとそこのアンタ!!
それ貸して!!」
私は近場にいた4人のうち、一番大柄な人間が短刀を持っていることに気づき、
有無を言わせず奪う。
そして己のドレスを瞬く間にビリビリに切り裂く。
あ~、多分周りの連中は、私を珍獣を見るような目で見てんだろうなぁ。
けど、構うもんか!!
人の命がかかっている時、なりふり構わず助けようとしている人間を笑う
奴なんか、こっちから願い下げだっての!!
解毒剤は私のドレスに縫い付けてあるって、言われた。
だから、私はそれっぽいふくらみのある部分を、後先構わず切り裂いているのだ。
頼むから、間に合ってくれよぉ…。
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時は戻ってルイザーク伯爵家の揉め事を、片付けた一週間ほどあと。
私はかなり困り果てていた。
と言うのも、ギリアムからお茶会にも、舞踏会にも、私単体では一切出席するなと
言う指令が、出てしまったから。
しかもお誘いの手紙は、ギリアムの指示で私の手元には届いていない。
フォルトとエマがコッソリ口頭で教えてくれてるから、筒抜けだけどね。
本当に二人には感謝感謝。
そーゆーわけにはいかんと、何度言ってもきかない。
ギリアムが今の所許可したのは、ママンと一緒に行くことになった、ヴァッヘン卿の
お母様のお茶会だけ。
それ以外は、クレア嬢の時のように、必ず自分の眼が届く状態でなければダメだと。
いや…ああいう状態を作れる方が、めっちゃ少ないよ。
それに、バカじゃなければ、同じ手を使われているかもしれないと、思うから余計ね。
私はその日とりあえず、フィリアム商会の新商品が出来上がったので、王立騎士団
へと赴いた。
「わあ!!これなんですか、オルフィリア嬢!!」
以前の物が好評だったので、団員たちが瞬く間に寄ってきた。
「えっと…こちらがポテトチップス、ジャガイモを薄く切って油で揚げたもの。
こちらが、フライドポテト、やっぱりジャガイモを切って油で揚げたものです」
味付けは塩だけだったんだけど、すっごい美味しそうに食べてくれた。
やっぱりこの世界でも、鉄板商品になりそうで何より(特許取得済み)。
「邪魔するぜ~」
おお、ちょうど良い所にローカス卿も。
早速新商品に気付いたので、いまと同じ説明をする。
「へー、油で揚げたものにしちゃ、すごく軽くて食べやすいなぁ…」
「ええ、実は油も新商品(特許取得済み)なんです」
すると食べながらのレオニール卿が、
「ジャガイモと塩だけだから、平民でも手が出せる値段設定で…。
オルフィリア嬢は本当に、平民に優しいですよね」
何だか目が輝いているよ…ちょっとこそばゆい。
「ふふ…明日から試験的に、フィリアム商会の飲食店で売り出すので…、
宣伝していただけると、ありがたいです」
「もっちろん!!」
レオニール卿やる気ね、ありがたし。
「あ、レオニール卿、火消しごくろーさま」
ローカス卿が言えば、
「いやー、オルフィリア嬢が打ってくれた布石が、思った以上に
功を奏しましたから~」
「だよな~、オルフィリア嬢もありがとう!!
やっと子供に泣かれることも、陰でひそひそされることもなくなった~」
ローカス卿、嬉しそうね。
よかった、よかった。
そんな和気あいあいとした雰囲気の中、
「みんな、長く休んで申し訳なかった。
今日からまた、よろしく頼む」
と言う声と共に……死んだような顔したテオルド卿とリグルド卿が
食堂へと入ってきて…。
うん、皆みごとに引いた。
実はテオルド卿とリグルド卿は、ギリアムの指示で一週間休みを取っていた。
家族と本気で話し合えるように…と。
そして今日の午後から、出てくることになっていたので、私も来た…と。
「えっと…ヴァッヘン卿がオレの師団の面倒見てくれていたって…。
どうもありがとう…」
と、リグルド卿に話しかけられたヴァッヘン卿は、
「えっと…気にしなくていいよ…。
それより、もう少し休んでもいいよ、うん…」
ヴァッヘン卿が思わずそう言ってしまうぐらい、リグルド卿の顔色は悪かった。
「あ、オルフィリア嬢~」
私を見つけたリグルド卿が、即、私の前に来て
「弟子にしてください~」
「は?」
いやいや、キミ、アカデミーの成績、常に学年で10位以内だったって
聞いたよ、うん。
剣の腕も、統率力もすごくあるよね。
そんな君に私が君に教えてあげられるのは、エッチで女を喜ばすテクぐらいの
もんやけど…それはギリアムが許さんと思うし…。
などと脳内で葛藤しとったら、
「こりゃ、バカ息子!!
これ以上オルフィリア嬢に迷惑をかけるなと、あれほど…」
そう言うテオルド卿の言葉にも、いつもの元気がない。
まあ、私は予想してたけどね。
男と女の脳みそって、構造上ですでに違いがあるって言われているくらい、
考え方に差異があるって話だし。
男女の間に入って調和がとれる人間は、その差異をよくよく知っているのさ。
…………………………………。
そう考えると…。
私の前世の経験って、役に立たないって思ってたけど、案外役立っとる。
複雑やな。
フレイヤ夫人が、いなくなっちゃったのが痛いね。
エマとフォルトの話では、相当できる人だったみたいだから、きっとテオルド卿と
子供たちの、緩衝材になってたんだろうなぁ。
「父上、そうは言いますけどぉ…。
せっかく団長がお暇をくださったのに、話が平行線で一向に進んでいないじゃ
ないですか~。
結局、昨日も怒鳴るしぃ」
リグルド卿涙目やね…。
「やかましいわぁ!!
わしだって怒鳴らんようにしとったわ!!
しかし、二人があまりに自分のしたことを棚に上げるから!!」
死にそうな顔して叫んでも、あんまり迫力ないなぁ。
「テオルド卿、リグルド卿!!」
私は仕方なしに声を上げる。
まあ、アフターケアーの一環だと思おう。
「そもそも私は、一週間で片が付くようなものだとは、思っていませんよ。
ギリアム様だって、話し合うようにとは言いましたが、解決しろとは言って
いないでしょう?」
まあこれは、私からギリアムによーく言ってきかせたんやけど。
「だからどうか、長い目で見て、必要なら時間をかけて、助言を求めるのも
良いと思いますよ」
「ありがとうございます~」
リグルド卿、余計泣いちゃったよ。
「オレとしては、本人たちが望む舞踏会やお茶会には、出た方がいいと思うん
ですよぉ…。
社会勉強や、いろんな人の意見を聞いた方がいいと思うからぁ」
「やめんか!!
もしまたオルフィリア嬢を悪く言ったら、どうするんじゃ!!
しっかり反省して、もう二度とお二人に迷惑をかけない状態にならん限り、
絶対に家から出さん!!」
あ~、あ~、あ~。
そんな殺伐とした食堂に、デイビス卿がこれまた暗い顔で入ってきた。
「あ、副団長!!
オルフィリア嬢が、また新商品を持ってきてくれましたよ!!
おひとつどうですか!!」
という、レオニール卿には目もくれず、
「オルフィリア嬢…少しお時間いただきたい!!
お話ししたいことが…」
おりょ、いつになく真剣なうえ、切羽詰まったカンジやね。
いつもクールなデイビス卿にしちゃ、本当に珍しい。
「待たないか!!デイビス卿!!
直接フィリーに話すなど、絶対に…」
おりょ、これまた切羽詰まったギリアムも登場したよ。
って、ガイツ卿が後ろからギリアムを羽交い絞めの形でおさえてる。
それをモノともしないって…ギリアムやっぱ凄いねぇ…。
ガイツ卿って、ギリアムより体格良いし、背も高いのに…。
「一体どうしたのですか?」
「フィリーは気にしなくていいことです!!
行くぞデイビス卿!!」
デイビス卿の答えを聞かず、無理やり腕を掴んで引っ張っていこうとする。
「わかりました。
じゃあガイツ卿に聞きます」
「へ?」
いきなり振られたガイツ卿。
すまんね。
「ガイツ卿、聞いていらしたんですよね?」
「あ、はい…。
団長に報告していたら、血相変えたデイビス卿が入ってきて…。
退席しようとしたのですが、一緒にいてくれと言われて…」
おお、デイビス卿もできる男やね。
「ああ、わかった!!
ガイツ卿も来るんだ!!」
う~ん、さすがのギリアムと言えど、師団長クラスを二人一緒に引っ張って
行くことは難しいよう…。
ガイツ卿はまだしも、デイビス卿は必至に抵抗しとるし。
私は思い切り息を吸い込み、
「いい加減にしてくださ――――――――――い!!」
ギリアムの耳元で叫んだ。
場の空気が、いろんな意味で…凍った。
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