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第二章 黒幕
3 黒幕の狙い
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「思い出していただきたいのは…群衆自身が毒を盛られた…と勘違いするまで、
舞台にあまり、近づいていなかったでしょう?」
「ええ、だから服を調達するためには、場を離れねばならなかったので…、
出来ませんでした」
ベンズ卿…過去の話でも、口惜しそうやね。
「おそらく…ターゲット以外の人間には、舞台演出で結構派手なことをやり、
色々飛び出して危険だから…あまり近づかないようにと、前もってお触れが
出ていたのでは…と思います」
私がそこまで言うと、皆シーンとなってしまった。
「…実行犯は…とてつもなく頭が良いようですね、やはり…」
ギリアムが、怒気をはらんだ声でつぶやく。
「私もそう思います。
だから最前列はまだしも、後方に行けば行くほど、ブライト小侯爵の声が
聞こえなかったと思われます。
そんな状態でベンズ卿が…私の服を一部とはいえはぎ取ったり、切り離している
のを目撃したら…どう思うのでしょうね…」
波が引くように、皆の顔が青ざめる。
察しのいい人たちは、楽でいいわ。
「間違いなく、主人を貶めたい人間達の、格好のエサになりますね」
さすがジュリアは、社交界のことがよくわかっているな。
「ええ、その通りです。
近衛騎士団の副団長として、相応しくないとか、秩序を守る騎士の行動ではないとか…
他にも色々言われてしまうでしょうね」
「ベンズ卿以上に、相応しい奴なんかいないぜ!!
事実、オレの前任者が団長を辞める時、ベンズ卿を団長にって声は、かなりあったん
だからな!!
だいたい、オルフィリア嬢が了承していたこと、言えば済む話だろ!!」
ローカス卿、かなり怒ってる…。
「そうですね…しかし…」
私は少し間をおいて、
「あんな目にあったご令嬢が、果たしてすぐに人前に出て、自分の意志でやってもらったと
理路整然と言えるでしょうか?」
「!?」
「実際、レイチェル伯爵夫人、フェイラ嬢、ルイーズ嬢は今もふさぎ込んで、人前に
出れる状態ではありません。
そして頑張って出たとしても、最初から傷つけようとしている人間達は、自分の意志と言えば、
ふしだらだなんだと、揶揄するに決まっています」
「そして、ベンズ卿は…。
傷ついたご令嬢を、そんな人間達の前に、保身のため出すような人物ではありません」
「おそらくその辺まで、黒幕(実行犯)は計算しています」
…皆静まり返る。
「あと、付け加えるなら…」
「ま…まだ、何か?」
ベンズ卿、少々ぎょっとしてる…。
「えっと…大変いいにくいのですが…」
「いえ、そういうことはむしろ伺いたいです」
「ベンズ卿、一部のご令嬢から、怖くて近づけないと言われているらしくて…」
「らしくて…ではなく、真実です。
実際、私が何度もフォローしておりますので」
恐ろしくキッパリと、ジュリアが答える。
私とベンズ卿が、一瞬固まるぐらい…。
「そのため、私が仮に自分の意志で、ベンズ卿に頼んだと言っても、そういった事を
ネタにして、信用できないという人間もいるでしょう。
ベンズ卿が脅しているのだと…」
「そして何より…」
「私を傷付ければ、ギリアム様が黙っておりません。
ベンズ卿を制裁するために、ギリアム様が乗り出す…。
こう言ったことが、黒幕のブライト小侯爵への誘い文句でしょうね…。
ファルメニウス公爵家にも、コウドリグス侯爵家にも恨みがあったブライト小侯爵は
この誘い文句に喜んで乗っかってしまった…。
自分が駒の一つとして、殺される予定であるとも知らずにね…」
何だかみんな、本当に静かになっちゃったな…。
「しかし…」
お、一番手ベンズ卿。
「そこまで恨まれているとは、驚きましたよ…。
深い付き合いはなかったし、仲良くしたくなかったので、干渉しないようにしていた
のですが…」
「う~ん、それは気にしなくていいです。
完全な逆恨みですから」
「オルフィリア嬢は、何かしらの情報があって、おっしゃっているように聞こえますが…」
お、さすがジュリア。
鋭い!
「ええ、フィリアム商会にはファルメニウス公爵家とはまた別の、情報収集能力があります
ので…そちらでも調べた結果なんですけど…。
発端は、レイチェル伯爵夫人とデイビス卿の結婚にまつわるいざこざ…です」
「やだ、まだあの事、根に持ってたの?
呆れた!!」
ジュリアがすっごい嫌そうな顔をしている。
実は、レイチェルがデイビス卿と結婚するとき、階級至上主義…と言うより自分たちに、
一番利益をもたらすところにレイチェルを嫁がせようとしていた、ルベンディン侯爵家は
猛反対した。
しかし話を持ってきたのが、ギリアムであったため、当然逆らう度胸はない。
だから、コウドリグス侯爵家とジュリアの実家にも、協力を要請した。
だが、ルベンディン侯爵家の酷さと、レイチェルへの不当な扱いを知っていた両家は
断固拒否。
結果、ルベンディン侯爵家はレイチェルを、ホッランバック伯爵家に嫁がせたのである。
「まあ、最後まで聞いてください…。
最初に、レイチェル侯爵令嬢の事で、内々に話がある…と、ギリアム様からルベンディン
侯爵家へ手紙を出したのですが…」
私はしょーもな…と言う顔を隠さず、
「向こうの完全な早とちりですが、ギリアム様がレイチェル伯爵夫人…その時は侯爵令嬢
ですが…に求婚するのだと、思い込んでしまったらしく…」
「事実無根です!!!」
いや、わかってるよ、ギリアム。
「だから、向こうの勝手な思い込みだと申し上げました。
その上…」
あかん。
イヤでも溜息出るわ。
「ファルメニウス公爵家と縁続きになれて、ファルメニウス公爵家のお金も、レイチェルを
通じて、好きなだけ手に入れられると思ったらしく…」
「はあ?」
「一生お金に困らなくなったと周りに吹聴して、家の財産をすぐに使い切ってしまった
そうです。
ブライト小侯爵だけでなく、父親も(母親はレイチェルが小さいころに死亡)」
皆さま…ですよね、呆れて言葉が出ませんよね。
「おまけに、それだけでは飽き足らず、借金してまで連日豪遊したらしくて…」
ああ、皆さま…実はまだあります。
「そして商会を急遽作って、自分たちはファルメニウス公爵家の縁戚になるのだから、
色々優遇しろ、商標をただで譲れ、特許など関係なく、自分たちが作る物を黙認しろ
など、無茶苦茶な要求を手当たり次第に突きつけたそうです。
ああ、これ、商会関係者つながりで得た情報なので、全部真実です」
開いた口が塞がらないと言いたげなギリアムが、
「あのころは戦後処理のせいで、忙しかったのは確かだが…。
私が手紙を出してから、ルベンディン侯爵家に行くまで…一ヵ月は空いていなかった
ハズ…。
そんな短期間に、本当にそれだけのことを?」
「ええ、その上…」
「まだあるの~?」
ジュリア…呆れ顔がさらにすごく…。
「蓋を開けてみれば…当てが外れたもいい所だったんだから、反省すればいいのに、
勝手に抱えた膨大な借金を返すために、禁止薬物を扱う闇業者に加担した」
「それで短期間のうちに、借金返せたはいいものの、結局闇業者に脅される羽目になり、
ルベンディン侯爵家の舞踏会は禁止薬物の取引所にされた挙句、最近では分け前を
貰うどころか、脅されて様々な出費を強要されていたらしく、借金は前より膨れ上がって
しまったようです」
「だからって、辞めれば罪を密告される恐れがある。
だからやめるにやめられず、自分たちがこんな惨めな思いをしているのは、全て…ってな
事になったようですよ…」
「……自業自得すぎて、何も言いたくない…」
ですよね…ベンズ卿。
一応…外戚とはいえ、縁続きだからなぁ…この前のケルツィ侯爵といいなぁ…。
「昔っから考えなしの上、父親共々バカだバカだとは思っていましたが、これほどとは…」
ジュリアも頭抱えちゃったよ…。
そしてしばしの沈黙ののち…。
「あの…」
最初に口を開いたのは、リグルド卿。
「結局フェイラは、何でターゲットに入れられたのでしょう…」
ああ、そう言えば…。
話はそこから始まったんだっけ…。
脱線しまくったな。
「クレア嬢のお茶会の最後で…口走ってはいけないことを、口走ってしまったから
でしょう?
オルフィリア嬢」
お、さすがジュリア、わかってる。
「ええ、フェイラ嬢にしてみれば、単純に自分の犯した罪の告白でしたが…、
それによって、王女殿下が…用意した駒である近衛騎士が、嘘をついていることが、
より確実になったのです」
「あ…」
「転じて、王女殿下が近衛騎士2名に命令して、嘘をつくように仕向けた…と言う話が
一気に信憑性を帯びてしまいました」
テオルド卿もリグルド卿も納得したようだ。
「まあ、だからルイーズ嬢はある意味、巻き添えですね、おそらく…」
哀れっちゃ、哀れだよな…うん。
今回は。
みんなとりあえず、納得してくれたようで、何より。
「あ、そうそう。
レオニール卿に頼みたいことが、あったんだった」
「なんですか?
オルフィリア嬢のお願いなら、何でも聞いちゃいますよ~」
オイオイ…。
信用してくれて、嬉しいんだけどさぁ…。
舞台にあまり、近づいていなかったでしょう?」
「ええ、だから服を調達するためには、場を離れねばならなかったので…、
出来ませんでした」
ベンズ卿…過去の話でも、口惜しそうやね。
「おそらく…ターゲット以外の人間には、舞台演出で結構派手なことをやり、
色々飛び出して危険だから…あまり近づかないようにと、前もってお触れが
出ていたのでは…と思います」
私がそこまで言うと、皆シーンとなってしまった。
「…実行犯は…とてつもなく頭が良いようですね、やはり…」
ギリアムが、怒気をはらんだ声でつぶやく。
「私もそう思います。
だから最前列はまだしも、後方に行けば行くほど、ブライト小侯爵の声が
聞こえなかったと思われます。
そんな状態でベンズ卿が…私の服を一部とはいえはぎ取ったり、切り離している
のを目撃したら…どう思うのでしょうね…」
波が引くように、皆の顔が青ざめる。
察しのいい人たちは、楽でいいわ。
「間違いなく、主人を貶めたい人間達の、格好のエサになりますね」
さすがジュリアは、社交界のことがよくわかっているな。
「ええ、その通りです。
近衛騎士団の副団長として、相応しくないとか、秩序を守る騎士の行動ではないとか…
他にも色々言われてしまうでしょうね」
「ベンズ卿以上に、相応しい奴なんかいないぜ!!
事実、オレの前任者が団長を辞める時、ベンズ卿を団長にって声は、かなりあったん
だからな!!
だいたい、オルフィリア嬢が了承していたこと、言えば済む話だろ!!」
ローカス卿、かなり怒ってる…。
「そうですね…しかし…」
私は少し間をおいて、
「あんな目にあったご令嬢が、果たしてすぐに人前に出て、自分の意志でやってもらったと
理路整然と言えるでしょうか?」
「!?」
「実際、レイチェル伯爵夫人、フェイラ嬢、ルイーズ嬢は今もふさぎ込んで、人前に
出れる状態ではありません。
そして頑張って出たとしても、最初から傷つけようとしている人間達は、自分の意志と言えば、
ふしだらだなんだと、揶揄するに決まっています」
「そして、ベンズ卿は…。
傷ついたご令嬢を、そんな人間達の前に、保身のため出すような人物ではありません」
「おそらくその辺まで、黒幕(実行犯)は計算しています」
…皆静まり返る。
「あと、付け加えるなら…」
「ま…まだ、何か?」
ベンズ卿、少々ぎょっとしてる…。
「えっと…大変いいにくいのですが…」
「いえ、そういうことはむしろ伺いたいです」
「ベンズ卿、一部のご令嬢から、怖くて近づけないと言われているらしくて…」
「らしくて…ではなく、真実です。
実際、私が何度もフォローしておりますので」
恐ろしくキッパリと、ジュリアが答える。
私とベンズ卿が、一瞬固まるぐらい…。
「そのため、私が仮に自分の意志で、ベンズ卿に頼んだと言っても、そういった事を
ネタにして、信用できないという人間もいるでしょう。
ベンズ卿が脅しているのだと…」
「そして何より…」
「私を傷付ければ、ギリアム様が黙っておりません。
ベンズ卿を制裁するために、ギリアム様が乗り出す…。
こう言ったことが、黒幕のブライト小侯爵への誘い文句でしょうね…。
ファルメニウス公爵家にも、コウドリグス侯爵家にも恨みがあったブライト小侯爵は
この誘い文句に喜んで乗っかってしまった…。
自分が駒の一つとして、殺される予定であるとも知らずにね…」
何だかみんな、本当に静かになっちゃったな…。
「しかし…」
お、一番手ベンズ卿。
「そこまで恨まれているとは、驚きましたよ…。
深い付き合いはなかったし、仲良くしたくなかったので、干渉しないようにしていた
のですが…」
「う~ん、それは気にしなくていいです。
完全な逆恨みですから」
「オルフィリア嬢は、何かしらの情報があって、おっしゃっているように聞こえますが…」
お、さすがジュリア。
鋭い!
「ええ、フィリアム商会にはファルメニウス公爵家とはまた別の、情報収集能力があります
ので…そちらでも調べた結果なんですけど…。
発端は、レイチェル伯爵夫人とデイビス卿の結婚にまつわるいざこざ…です」
「やだ、まだあの事、根に持ってたの?
呆れた!!」
ジュリアがすっごい嫌そうな顔をしている。
実は、レイチェルがデイビス卿と結婚するとき、階級至上主義…と言うより自分たちに、
一番利益をもたらすところにレイチェルを嫁がせようとしていた、ルベンディン侯爵家は
猛反対した。
しかし話を持ってきたのが、ギリアムであったため、当然逆らう度胸はない。
だから、コウドリグス侯爵家とジュリアの実家にも、協力を要請した。
だが、ルベンディン侯爵家の酷さと、レイチェルへの不当な扱いを知っていた両家は
断固拒否。
結果、ルベンディン侯爵家はレイチェルを、ホッランバック伯爵家に嫁がせたのである。
「まあ、最後まで聞いてください…。
最初に、レイチェル侯爵令嬢の事で、内々に話がある…と、ギリアム様からルベンディン
侯爵家へ手紙を出したのですが…」
私はしょーもな…と言う顔を隠さず、
「向こうの完全な早とちりですが、ギリアム様がレイチェル伯爵夫人…その時は侯爵令嬢
ですが…に求婚するのだと、思い込んでしまったらしく…」
「事実無根です!!!」
いや、わかってるよ、ギリアム。
「だから、向こうの勝手な思い込みだと申し上げました。
その上…」
あかん。
イヤでも溜息出るわ。
「ファルメニウス公爵家と縁続きになれて、ファルメニウス公爵家のお金も、レイチェルを
通じて、好きなだけ手に入れられると思ったらしく…」
「はあ?」
「一生お金に困らなくなったと周りに吹聴して、家の財産をすぐに使い切ってしまった
そうです。
ブライト小侯爵だけでなく、父親も(母親はレイチェルが小さいころに死亡)」
皆さま…ですよね、呆れて言葉が出ませんよね。
「おまけに、それだけでは飽き足らず、借金してまで連日豪遊したらしくて…」
ああ、皆さま…実はまだあります。
「そして商会を急遽作って、自分たちはファルメニウス公爵家の縁戚になるのだから、
色々優遇しろ、商標をただで譲れ、特許など関係なく、自分たちが作る物を黙認しろ
など、無茶苦茶な要求を手当たり次第に突きつけたそうです。
ああ、これ、商会関係者つながりで得た情報なので、全部真実です」
開いた口が塞がらないと言いたげなギリアムが、
「あのころは戦後処理のせいで、忙しかったのは確かだが…。
私が手紙を出してから、ルベンディン侯爵家に行くまで…一ヵ月は空いていなかった
ハズ…。
そんな短期間に、本当にそれだけのことを?」
「ええ、その上…」
「まだあるの~?」
ジュリア…呆れ顔がさらにすごく…。
「蓋を開けてみれば…当てが外れたもいい所だったんだから、反省すればいいのに、
勝手に抱えた膨大な借金を返すために、禁止薬物を扱う闇業者に加担した」
「それで短期間のうちに、借金返せたはいいものの、結局闇業者に脅される羽目になり、
ルベンディン侯爵家の舞踏会は禁止薬物の取引所にされた挙句、最近では分け前を
貰うどころか、脅されて様々な出費を強要されていたらしく、借金は前より膨れ上がって
しまったようです」
「だからって、辞めれば罪を密告される恐れがある。
だからやめるにやめられず、自分たちがこんな惨めな思いをしているのは、全て…ってな
事になったようですよ…」
「……自業自得すぎて、何も言いたくない…」
ですよね…ベンズ卿。
一応…外戚とはいえ、縁続きだからなぁ…この前のケルツィ侯爵といいなぁ…。
「昔っから考えなしの上、父親共々バカだバカだとは思っていましたが、これほどとは…」
ジュリアも頭抱えちゃったよ…。
そしてしばしの沈黙ののち…。
「あの…」
最初に口を開いたのは、リグルド卿。
「結局フェイラは、何でターゲットに入れられたのでしょう…」
ああ、そう言えば…。
話はそこから始まったんだっけ…。
脱線しまくったな。
「クレア嬢のお茶会の最後で…口走ってはいけないことを、口走ってしまったから
でしょう?
オルフィリア嬢」
お、さすがジュリア、わかってる。
「ええ、フェイラ嬢にしてみれば、単純に自分の犯した罪の告白でしたが…、
それによって、王女殿下が…用意した駒である近衛騎士が、嘘をついていることが、
より確実になったのです」
「あ…」
「転じて、王女殿下が近衛騎士2名に命令して、嘘をつくように仕向けた…と言う話が
一気に信憑性を帯びてしまいました」
テオルド卿もリグルド卿も納得したようだ。
「まあ、だからルイーズ嬢はある意味、巻き添えですね、おそらく…」
哀れっちゃ、哀れだよな…うん。
今回は。
みんなとりあえず、納得してくれたようで、何より。
「あ、そうそう。
レオニール卿に頼みたいことが、あったんだった」
「なんですか?
オルフィリア嬢のお願いなら、何でも聞いちゃいますよ~」
オイオイ…。
信用してくれて、嬉しいんだけどさぁ…。
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