ひとまず一回ヤりましょう、公爵様3

木野 キノ子

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第二章 黒幕

4 私の悪評?悪評も何もまんまやん

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「私がレオニール卿にお願いしたいことは…現在私の事で市勢に出回っている、
私に対する噂を、消すのではなく、正しく修正するに留めてください」

「なぜですか!!」

いきなりギリアムが怒鳴る。
……やっぱり、ギリアムの指示か…。
う~ん、でも…。
レオニール卿もあんまり、私のお願い聞きたくなさそうね。

「オルフィリア嬢…今あなたが、市勢でどう言われているか、ご存じですか…?」

「フィリーに言う必要はない!!レオニール卿!!」

ギリアム必死やね、まあ、気持ちは少しわかるけど。
レオニール卿も同じような感じなんだね。

…………………………………。

ありがたいね。

けど…、

「市勢の噂ですか?
え~と、人前…男の前であっても、平気で下着になって、隠そうともしない
色ボケ女。
女のくせに、髪をバッサリ切って、大の男相手に下着姿で暴れまわる、破廉恥
極まりない暴力女。
下着姿になって、威風堂々と男と張り合う、男女。
目的の為なら簡単にドレスを脱ぎ捨てる、淑女の風上にも置けない、娼婦女。
私がざっと聞いた限りでは、こんなとこか…」

あっさりと答える、わたくし。
あ、ギリアムとレオニール卿の顎が外れた…。
因みに他のみんなは、困惑と激怒が同時に来たような、顔した…。

「……レオニール?」

怒気をはらんだ、ギリアムの声。

「ちっ、違いますよ!!
オレはオルフィリア嬢に何も言ってませんって!!」

「オレも初耳だぞ、レオニール卿!!(ガイツ)」

「私も一切報告を受けていません!!(デイビス)」

「そーゆーのって、よくないと思う!!(ヴァッヘン)」

「酷いぞ!!レオニール卿(リグルド)」

「けしからーん!!(テオルド)」

ああみんな…ありがとう…。
でも…、ちょっとまったぁ~!!

私は皆とレオニール卿の間に入り、

「皆さん落ち着いてください!!
レオニール卿が何も言わなかったのは、おそらくギリアム様の指示です!!
そうですよね?ギリアム様!!」

これ以上はないぐらい、ぶすっとしても無駄や!!

「そうですよね?」

だから、ぶすっとすんな。

「そ・う・で・す・よ・ね?」

「あなたの…」

ギリアムにしちゃ、小さい声やな。

「あなたの情報源を教えてくれたら、言います」

「あのですねぇ…ギリアム様…」

青筋立てるぞ、いい加減。

「オレですよ」

そんな時、ジェードが

「オレが奥様にお話ししました。
オレの見舞いに来てくださった時、市勢の状態を知りたがってらしたのでね。
オレは動けないんで、オレの伝手を使って調べたことを、昨日奥様にご報告
しました」

臆面もなく言う。

「何を勝手な…」

ギリアムは怒り心頭だが、

「だって、ご当主様がおっしゃったじゃないですか」

「なに?」

「奥様の命令には、絶対服従するように…と」

ジェードって…世渡り上手やね。

ギリアムは、しばらくジェードを睨んでいたが、大きなため息をつき、

「その件に関しては、また話そう」

と言うので私は、

「言っときますけど、ジェードを責めないでくださいね!!
私が知りたいって言ったんですから!!」

念を押すと、

「…あなたを…これ以上傷つけたくなかったのに…」

やっぱりぼそぼそ言っている。

「あのなギリアム!!」

ここでローカス卿登場。

「気持ちはわかるが、ここにいるみんなは、少なくともオルフィリア嬢に好感を
持っているし、お前と同じように傷ついてほしくないと、思っているんだぜ?」

かなり怒ってる…。

「そんなひどい言われ方をしているんだったら…それこそみんなで一丸となって
対処するべきじゃねーのか!!」

ローカス卿だけではなく、みんながその通りだと言う目で、ギリアムを見ている。

まあでも、これじゃギリアム一人が悪者みたいだから…どーれ、ここらで調整に
入るか…。

「ギリアム様…」

私はギリアムの前に立ち、

「ギリアム様が私を愛してくださるゆえの行動であると、私には良くわかっており
ます。
ですが、あなたがそうであるように、好感を持っている人間が、困っていたり
苦しんでいたりすれば、助けたいと思うのは、当然の感情。
ここにいる皆さまのお怒りも…ご理解ください」

真っすぐ目を見る。

「嬉しいじゃないですか」

私が極上の笑顔を作ると、

「え?」

ギリアムが少し呆ける。

「あなたの大好きな人を、ここにいる皆さんは大切に思ってくださっているのです。
そういう人には、話してよかったと思いますよ」

「しかし…」

「わかります。
知る人が多くなればなるほど、私の耳にも入ってしまうと考えたんですよね。
レオニール卿もそれがよく、わかっているからあえて他の方々に何も言わなかった
のでしょう?」

「ええ…まあ…」

皆さんは、それにしたってって顔してるな…まあ、しかたなし。

「でももう、私の耳には入っているって、わかりましたよね。
だから改めて、ここにいる皆さんと対策を練っていきましょうよ」

ギリアムにもう一度笑いかけつつ、私は改めて皆に向き直り、

「皆様、私の事で怒ってくださり、本当にありがとうございます。
ギリアム様、レオニール卿、そして皆様全てのお気持ちがいい方向に向かう様、
これからこの件について、話し合おうと思います。
よろしいでしょうか?」

するとみんなは、ようやっと表情を柔らかくしてくれた。
良かった良かった。

「ですが、オルフィリア嬢はやはりすごいです。
体だってきついでしょうに、そんなに早くから黒幕の事や、市勢のことなど調べて
らっしゃったとは…」

ジュリアに感心された。

「まあ、体は…かすり傷でしたし(心の傷なんて、ないに等しかったし)。
それに黒幕の事や、目的その他、色々考えれば考えるほど、市勢を騒がせていない
わけがないと思いましたからね」

「やはり慧眼でいらっしゃる」

そんなに褒めんでくれ、こしょったい。

「あなたは全く…療養に専念してくれと言ったでしょう!!
ジェードの所になんか、行かせなきゃよかった…」

ぶつぶつ言うな~。
女々しいぞ、いいかげん。

「ご当主様…そう言いなさなんな。
奥様は最初、オレの体を気遣って、調べてくれなんて言いませんでしたよ。
オレが水を向けたんです」

そう、ジェードは目が見えない分、人の感情の機微を鋭く嗅ぎつける…まさに超能力の
如く…。
何を知りたいんですか?奥様―――って言われた時は、本当に驚いた。
ポーカーフェイス得意だったんだけど…まあ、ジェードには効かないか…。

「だからって、それに乗っかったのは私です。
それは忘れないでください、ギリアム様」

再度キッパリ言うと、ジェードは何ともおかしそうに笑って、

「それに奥様は、ご自分の事だけなら、怪我したオレに頼まなかっただろうな…」

「ちょっと、ジェード…」

私が制止する間もなく、

「ベンズ卿が悪く言われていないかだけ、確認して…と」

あ~、もう。
やっぱりみんなが、ざわざわしちゃったよ。

ジェード口軽い…ワケないから、ワザとか…まったく。
みんながみんな、私を好いてくれるのは嬉しいんだが、調整が大変になって来たなぁ…。

「オルフィリア嬢…」

なんだい、ベンズ卿。

「アナタが自分の事より人のことを気遣うのは、大変素晴らしいことと思いますが…。
私は今回の件、自分の意志ですべてやっておりますので、お気持ちだけ受け取って
おきます」

ベンズ卿らしいなぁ…、潔くて。
けど…。

「買い被らないでください。
別にアナタお一人の事であれば、私はここまでしませんよ」

ここはハッキリ言っとかんとね。
わたしゃそんなに、暇じゃない。
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