ひとまず一回ヤりましょう、公爵様12

木野 キノ子

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第3章 誘拐

1 消えた…

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「メイリン嬢が消えたぁ?」

旅行の為の準備に勤しんでいる日の夜…。
私とギリアムの元に、青い顔したツァリオ閣下と、アイリン夫人、ヴィネラェが…。

急いでその場に、ドロテアを呼ぶ。

「どうして、そんな事に?」

すっかり仕事顔のギリアムの問いに、

「実は…父上の知り合いが、以前からメイリンの欲しがっていたアクセサリーを、手に入れたと
一報が入って…。父と一緒に、見に行ったらしいのですが…。
帰宅時間になっても帰ってこないから、その知り合いの所に連絡を入れたら。
アクセサリーなど知らないし、来訪予定もなかったと…」

うわっちゃー。

「じゃあ、ツァルガ閣下も一緒に?」

「ええ。まあ、そっちはいいんですがね。とにかくメイリンを…」

……いいの?
ってかさ。父親のこと言った時、めっちゃ平常心に戻ったみたいだけど…。

「ギリアム公爵閣下…。何卒…何卒…」

ヴィネラェも真っ青で、震えが止まらないようだ。
アイリン夫人より、むしろ酷そう。

「心中お察しします、ヴィネラェ夫人…。メイリン嬢とツァルガ閣下は必ず…」

落ち着かせる意味で、私は言ったんだが…。

「あ、旦那はどうでもいいので。とにかくメイリンを…お願いします!」

……いいの?
ってかさ。旦那の事を言った時、めっちゃ顔色フツーになったけど…。

「護衛は付いていなかったのか?」

ギリアムは…そこが重要と、顔に書く。

「それが…モントリアともう1人だけだったのです…。
その1人は…ガルドベンダから急遽…帰るようにとの指示を受け、帰ってきてしまって…」

「実際そんな指示は、出ていなかった…と」

よくある手だと、言いたげなギリアム。

「ギリアム様…今しがた、この手紙が…」

そんな時、フォルトが持ってきたのは…。
アンナマリー嬢誘拐の時と同じ、真っ黒なしつらえの封筒…。

「配達したのは?」

「民間の業者で…。王立騎士団にて、取り調べに協力してもらっていますが、頼んできたのは
子供らしく…。その子も、使いを頼まれたと…」

「……かなり入念な事だ」

ギリアムが…ペーパーナイフを手紙に入れる。

中に書かれていたのは…。

「ふざけるな!!」

ギリアムが手紙を…床にたたきつけた。

内容は…。
メイリンとツァルガ爺さんを返して欲しくば、私とドロテアだけで…指定する場所に来いとさ。
それ以外を連れてきたら…人質を殺す…と。

「絶対に…なにか良からぬ計画をしていますね…」

マダム・エリュートのあの変態パーティーの装いからして…その仲間なら、絶対下種な事をして
くるはずだ…。

「フィリーを行かせるわけには、いかん!!」

すっげー息巻いてるけどさ…。

「それじゃ、人質が危ないでしょう」

ギリアムをなだめつつ、

「フォルト…。シルスを呼んでちょうだい」

一礼だけして去るフォルト。

「指定の場所って、どこですか?」

「それは地図が…」

少し冷静になったギリアムが、見ると…。

「これは…ノッツェリジィ宮殿じゃないか…」

「ええ?!!」

これには…ツァリオ閣下が本当に驚いたようで、

「バドセット!!今すぐアルフレッドに確認を取れ!!」

今日も付いてきていたバドセットに、さっさと指示する。

ギリアムはその一方…王立騎士団にも指示を出し…。

その結果、わかったこと。

まず…アルフレッドはノッツェリジィ宮殿を即売りに出す決断はできず、ひとまず貸すことを
検討して打診したそうな。
そしたら…かなり高額で、借りたいとの申し出に、即座に貸した。
だが…その貸した人間は、なんと名義を貸しただけ。
名義を貸した人間は、お金に困っていたらしく、そこを付け込まれた。
借主は他にいて…その人間が多額の資金を出していた。
しかし…借主と名義を貸した人間を合わせると、お互いを全く知らない…と。
何重にも重なると…なりすましがわからなくなるんだよね。

「やれやれ…。一杯食わされたな。
貸し借りする時は、その本人が、自分自身で使う時に限り貸す…などの証文を取ることを
お勧めする。フィリアム商会では全てそうしているからな」

こちらに来て…青い顔で、事情を聞いているアルフレッドに言う。
傍には…ステファンもいた。

「しかし…モントリアはどうやら、強行策に出たようだな。
マダム・エリュートが捕まったことは…なるべくバレないようにしたんだがな…」

ギリアムがぽつっと言った言葉に、

「モ、モントリアは一緒に捕まったんじゃ…」

青い顔のアルフレッド。

「いいや。この誘拐事件…間違いなく共犯者だ。首謀者かどうかは…わからんがな」

「どう言う事ですか!!」

ヴィネラェも突っかかって来たから…。
ツァリオ閣下が一連の…モントリアのしたことを話して聞かせる。

「なんでそんな大事な事!!旦那はまだしも、私に言ってくれなかったの、ツァリオ!!
そうすれば…モントリアと一緒になど、外出させなかったのに!!」

息子に掴みかかっている。

「致し方ありませんでした…。確実な証拠をつかむためには、ある程度泳がせるしかなかった」

ツァリオ閣下も…口惜しそうだ。

「もうこの際、言うがな。
禁止薬物の売買から始まって…留学先でのいじめ…裏で大分暗躍したのは、モントリアだ」

「え…?」

これは…アルフレッドが呆ける。

「まず…キミとメイリン嬢双方に…都合のいい事を吹き込んで、話しを一切させないようにした。
その上で…アンナマリー嬢も含め、もっともらしい事を言って、味方であるように見せかけただろう
がな。その実…裏でアンナマリー嬢を虐めて、それを全部…ドロテア嬢がやったように報告していた。
例の狂言事件も…調べた結果、彼女がやったことだと判明したよ。
いじめになかなか乗ってこないドロテア嬢を…引き込むための手段だったらしい」

これは…マダム・エリュートが捕まったことで、わかったことさ。
マダム・エリュートは…私の攻めがあまりにもショックだったようで、かなり素直に色々な事を
吐いたそうな…。

……そんなに、きつかったんか?
悪人よりよっぽど怖い顔で、やってやったつもりはあったが…。

まあ、その中に…モントリアが自ら、アンナマリーの宝石を取り、戻した話を聞いた…というのが
あったのさ。

「そ、そんな…嘘だ…そんな…」

アルフレッドは二重のショックで、膝をついてしまった。

「とにかく…人質の安全確保が最優先だ!!」

ギリアムは…動くと決めたら、神速の人だ。
王立騎士団に連絡して、瞬く間に人員と配備を整えた。
だが…問題は中に入る人間だ。

「フィリーは行かせん」

やっぱりギリわんこが言い出すから、

「そんなわけにいきません。
それに…デオリード宮殿の時のように、ウリュジェとフューロットに別動隊を組ませれば
良いでしょう?」

「代わりに私が行く!!フィリーのドレスを身に纏って…」

「馬鹿は夢の中だけにしてください。
私とアナタの身長差と体格差…どのくらいあると思ってるんですか?
バレますよ。一瞬で!!」

私はギリアムの顎を掴み、青筋を立てながら笑う。
そんな時…。

「奥様…シルスが到着しました」

フォルトが告げてくれたのだが、

「そうか!!シルスにフィリーの役を…」

ギリアムの言葉を、

「いいえ。シルスには…ドロテアの役をやってもらいます」

否定する私。

「な、なぜ!!」

ギリアムも驚いたが、

「私、行きます!!メイリン様のお命がかかっているんですから…」

ドロテアも驚いて、声を上げる。

「別に行くなとは言ってないわ。
ドロテアには別動隊に入ってもらうつもり」

「別動隊?」

「ええ。こういうタイプはね。作戦が成功していると思わせて、脇から奇襲するのが一番
効果的なの。だから…その別動隊に加えるわ。
メイリン嬢がどこに捕まっているのか…探索も兼ねているから、ちょうどいい」

「……わかりました。ですが…相手は私を指名しているのでは…?」

「それはこちらに任せてちょうだい。今から…仕込みをするから」

そんなこんなで、話しがまとまった時、

「あの…私も加えてください」

手を挙げたのは、ビロッディだった。

「おお、ビロッディか?随分と立派になったな」

事態が事態ゆえ、来ていたドルグストが懐かしむように言ったが、

「その節はお世話になりました。ですが…事が済んだら、改めてご挨拶させていただきます」

こうして…全ての準備を整えたのち、私は戦闘態勢に入るのだった。
ああああああああ、もう!!次から次へとぉ~。

休みくれ!!ブラックまっつぁおになるぐらい、目まぐるしいぞオイ!!
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