ひとまず一回ヤりましょう、公爵様12

木野 キノ子

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第3章 誘拐

2 いざ、出陣!!

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「しかしオルフィリア様は…思い切ったことをなさいますね…」

ドロテアに扮したシルスが…馬車の中で話しかけてきた。

「通常は…私にアナタ様の役をやらせて、ドロテア嬢を伴わせるものなのに…」

確かに私の立場からすれば、それが正しかろうよ。
ただ…これは私の勘なんだ。
こうした方が良いって…私の中の何かが言っている。

今までも何回かあったけど…それに逆らう事が、いい結果になるとは思えない。
実際…かなり良かったし。

「まあ…ね。でも、私は無関係ではいたくないのよ!!」

これが答えさ。
すると…シルスは本当に楽しそうに、

「だから…アナタ様のそばにいたいんだ」

とだけ。

「まあ、ご安心ください。ギリアム様からもよーく申し付かりましたが…。
アナタ様の御身は、私がお守りいたします」

……余談だが。
シルスは…かなりの手練れだ。
ギリアムが私とシルスだけで行くことを許したの…それもデカい。
色んな役をこなすうちに…身に付けたと本人は言っているが…。
ギリアムは違うだろう…と。
実際にふりじゃなく…ジェードやトランペスト達と近い事を…してきているハズだ…と。

もっとも、本人が喋らない以上、聞く気はないんだけどね。

「わかっているけど、シルス」

私はシルスの目を真っすぐに見て、

「アナタは…アナタの身を一番に考えなさい。
アナタに何かあったら…私もギリアムも悲しいよ。
もちろん…総括部の皆もね」

そう言ってあげると…シルスはことのほか嬉しそうだった。

「それじゃいっちょう…行きますかね」

私達は…ノッツェリジィ宮殿へとやって来た。

門番は…明らかに堅気じゃないのが、立っている。
私が…封筒に入っていた招待状を出すと、それを確認した門番が、

「ようこそいらっしゃいました、オルフィリア公爵夫人。ドロテア嬢…」

そう言って…門を少しだけ開ける。

「どうぞ…お通り下さい」

中は…真っ暗。
でも、入るよ。じゃなきゃ始まらんし。

くらい暗い通路を…門番の持つ蝋燭だけを頼りに…。

そしてどのくらい歩いたか、どこを歩いたか…わからなくなったあたりで、

「では…。ここで少々お待ちください」

蝋燭だけおいて…門番が闇に消える。
さてさて…何が出るやら…。

私とドロテアに扮したシルスが…少しばかり構えていると…。

まるで証明のように強い光を放つ…巨大な松明が、一気に付けられた。
その光は…真っ暗闇を、一転して昼のような明るさになった。

その部屋は…ドームのような形になっており、床が…全面ガラス張り。
磨かれた透明なガラスの下には…沢山の男どもが。

「悪趣味の極みですねぇ…」

シルスが…ポソリと呟く。
まあ、わかるよ。

だってさ…。

男どもは全員…仮面をかぶって顔を隠している上…。
殆ど裸。
アソコだけ…お盆にひもを付けたようなものを、股間に吊るして隠している。
後ろから見たら、見えるな…あれ…。

そして…私もシルスもスカートだから…。下から丸見えだよ、当然ね。

「おおおおおっ!!公爵夫人様のパンツが丸見えだぁ!!」

「すげぇぞ、露出狂公爵夫人様ぁ!!」

「いいぞいいぞ、もっと見せろぉ~!!」

「乳出し尻出し騎士様もぉ!!もっともっと!!」

「脱げ脱げぇ~」

全く…男っちゅー生き物は、どこの世界でも相変わらずかい。
まあ、最も…。

女って生き物も、世界が変わったって、たいして変わらんがな。

私は…めっちゃ聞きなれた男のヤジを、物ともせずにいる。

っつーか、テメェら全員、とっ捕まえて金払わせてやるから、覚悟せい!!
序列第一位の公爵夫人様のパンツは、高ぇぞ!!

「オルフィリア様…。この場から動きますか?」

シルスの方が心配になって来たみたいだが…。

「あら?必要ないわよ。こんなヤジなんて、気にするだけ損よ。
それより…他に観客はいそうかしら?」

「そうですね…。
私の勘では…この舞台の構造からして…。上から見やすいようになっていると思われます。
上に行くほど暗くなっておりますので、姿を隠せると思いますから」

「なるほどね…。
モントリアとメイリン嬢は…そのどこかにいるのかしら?」

「恐らく…」

「根拠は?」

「……相手の目的は、我々を辱める事でしょう?
だったら…この場を見ていないとは、思えません」

「よね~」

シルスもよくわかってらぁ。
でも…こんな見世物だけで、終わらせるとは思えない。

他に何を…。

「レディースアンドジェントルマン!!」

会場中に響き渡る司会の声…。

「今夜のこの会に…お集まりいただき、大変ありがとうざいます!!
これより皆様に!!
楽しいショーをご披露いたしますので、どうぞお楽しみ下さい!!」

やれやれ…何が始まるにせよ、イカガワシイもんだよなぁ…。
私の思考を遮るように、

「オルフィリア公爵夫人はこちらへ…」

いつの間にか…舞台の黒子らしき、仮面をかぶった男が…。

「あら…。私は参加しないのかしら?」

「はい…。此度の舞台のメインは、ドロテア嬢でございます。
オルフィリア公爵夫人には…ぜひとも近くでご見分を…と」

へぇ…。でも、私にちょっかい出さないとは、思えないんだが…。

「こちらに…特製の台座と椅子を準備いたしました…。
どうぞ、お座りになって、ごゆるりと御鑑賞ください」

私は…そう言われて椅子の方を見ると…。

はっ!!こりゃ、何とも…。
マダム・エリュートの仲間らしい、趣向だ事。

私がそう思ったのは…まず台座も椅子も…全部人が、組体操したように、絡み合って
できていたから。
それも…全員男で、全裸でやがる。

「あら…随分と、面白い椅子ですこと」

もちろん私の心が、こんなもんで揺れるわきゃーない。

「公爵夫人様の為に、特注いたしました」

私が強がってるとでも思ってるのかね…。

「あらそう…。それじゃ」

私は…台座になっている男の尻を、ふつーに踏んでやる。

「遠慮なく、使わせてもらいますわ」

台座を上って…椅子にドスンと腰かけてやった。
足を組んで…ね。

「ところで一つ、よろしいかしら?」

「な、なんでしょう?」

私が全く動じない事に、内心冷や汗かいてるのか…。
ちょっと動揺が見える。

「この椅子…。座り心地が悪ければ…調節してよろしいかしら?」

「それは…公爵夫人様の良いように…」

「じゃあ、遠慮なく」

私は…こいつ等に触ったからわかった。
こいつ等も…豚男様と同様の、マゾ男どもだ。
だったら…。

「ちょっと!!もぞもぞ動かないでちょうだいな!!
椅子って言うのは、動かないものでしょ」

靴のかかとで、もぞもぞしている野郎の体を踏んでやる。

「も、申し訳ございません~。公爵夫人様ぁ~」

嬉しそうやな。よしよし。

「あとアンタは!!もう少し体を起こしなさいな!!その位置で固定!!」

「そこのアンタは…もう少し下がりなさい!!そうそう!!いいわよ!!
ご褒美に、しっかりと足で踏んだげるから、ありがたく思いなさい!!」

まあそんな感じで…アヘアへ喜ぶ椅子男どもを調整する。
司会の男が…そんな私をどう思ったかは、心から知らん。

さて…舞台に1人残されたシルスはと言えば…。

やっぱり舞台の黒子らしき男が、剣を差し出す。

「こちらをどうぞ…。ドロテア嬢…」

「あら…わざわざ、武器を下さるの?」

「刃は付いておりません…。これからの余興に必要でございますので…」

「……わかりました」

黙って受け取るシルス。

それと同時に…向こう側の扉が開き、舞台の上に、3人の男どもが、入って来た。
……こいつ等、見覚えがある。
確か…。
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