ひとまず一回ヤりましょう、公爵様12

木野 キノ子

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第3章 誘拐

4 別動隊はその頃…

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さて…少し時を戻し、ノッツェリジィ宮殿の側面へやって来た、別動隊はと言えば…。
メンバーとなったのは、ウリュジェとフューロット、フィリー軍団、ドロテアとビロッディ、
ドルグスト、そして…ギリアムだ。

王立騎士団は…いつでも乗り込めるよう、周囲に待機…。

そして…。

「ローエン閣下…。この度はありがとうございます」

ツァリオがローエンに礼を言っている理由は…。
偶然なのだが、このノッツェリジィ宮殿のすぐ近くに…ケイシロン所有の建物があったため。
潜伏先として…それを利用させてもらったのだ。

「構わんよ。お前とて心配じゃろう…」

ローエンとローカスとベンズも、その場にいる。

「しかし…随分と複雑な人間模様になっていたようですね」

ベンズとしては…ちょっと苦手な分野だけに、他人事とはいえ、ため息が出ているよう。

「わしとしても…もう少し注意深く、見るべきだったと反省していますよ…」

滅多にお目にかかれないくらい、しょげているツァリオ。

「致し方あるまいよ。大部分が…他国で起こっていることじゃしな。
今はひとまず…人質の安否確認が先じゃろう。話はそれからすればよい」

「はい…」

そんな話がされている時…別動隊は、ノッツェリジィ宮殿の秘密脱出通路から、中へと侵入していた。

「そこ、罠がありますので、注意してください。
そこは…多分落とし穴。あと、そこは…」

サクサクと指示するウリュジェとフューロット。

「人質は…今回は牢じゃないんですか?」

ビロッディは…前回のデオリード宮殿の事を言いたいのだろうが、

「今回はむしろ…人質に見せつけるのが目的だ。
恐らく観客席のどこかにいるだろう」

ギリアムの言葉に、

「そうですね…でも…」

ウリュジェとフューロットは…ちょっと言葉が詰まる。
何だかしっくりといっていないような顔だ。
地面をしきりに見ていたかと思えば、四つん這いになって、床石を丁寧に探っている。

「どうした?」

「多分ここで…二手に分かれてますよ、ギリアム様…」

「なに?」

ギリアムも…床に膝をつく。

「一方は地下に…。
もう一方は…上に行っているように、見えます」

ちょうど…目の前に現れた階段を指さす。

「どうします?」

ビロッディの言葉に、

「……メイリン嬢はおそらく…上だろうな」

「でしょうね」

「なら下は…ツァルガ閣下か…」

ギリアムは顎に手を当てて考えたのち、

「なら…我らも2手に別れよう」

と。

「メイリン嬢の方には、ドロテア譲、ビロッディ、ハート、スペード、ジェード、私」

「ツァルガ閣下の方には、残りが行ってくれ」

「御意!!」

こうして…それぞれが散っていく。

上は…シルスの予想通り、個室の観客席となっていた。
幸いにも…観客たちは、舞台のストリップに熱中していたため、扉が僅かに開いて…
自分たちの姿が、確認されたことなど、全く分からない。

ギリアムたちは…1つ1つの個室を確認し…お目当ての人物を探す。

やがて…。

「モントリア!!!」

お目当ての場所を探し出すと、ドロテアがその扉を勢いよく開け、飛び込んだ。

「ド、ドロテア???どうしてここに!!」

メイリンを観客席の最前方まで引っ張り出し、ドロテアの服が剥がされる様を見せつけていた
モントリアは…いきなりドロテアが現れたことに、困惑はしたが、

「動くな!!」

そこは…騎士団の精鋭の1人だけあって、

「動いたら…メイリン様を突き落とすわよ」

臨機応変に対応した。

「もうやめてちょうだい!!アナタがこんなことをして、何の意味があるの!!
どうしてそこまで狂う前に、言ってくれなかったのよ!!」

同僚として…昔から仲が良かっただけに、やりきれないのだろうが…。

「うるさい!!」

もはや…モントリアは昔の彼女とは程遠くなってしまっていた。

「アンタのせいよ…。アンタとメイリンのせいよ…。
私がこうなったのは…全てアンタらのせいよ!!だから…これは正当な報復なの!!
私をこうしたのは、全部アンタたち!!」

「それは違うな」

いつの間にやら…ドロテアの横にギリアムが。

「キミは…何度も止まる機会があったハズだ…。
メイリン嬢とて悪人ではないし、キミのことを好いていた。
ドロテア嬢とて…話しをして、わからない人間ではないよ。
なのにキミはそうなった…。
全てはキミが…自分でその道を選んだにすぎない。
他の選択肢を…キミが自ら捨てたに過ぎない」

「私はね…。
キミのような犯罪者に、随分と接したがな…。
周りをこうだと勝手に決めつけて…周りに何も話をせずに…決めた結果が今のキミだ。
もちろん話をしたって、そうなったかもしれんが…。
話しをしていればまた、違った結果があったかもしれん。
キミは最初から…その違った可能性を捨て去ったんだ。
今更、人のせいにするなど、許されんよ」

ギリアムもまた…刀を構える。

「大人しく…最後くらい神妙にしたまえ」

「うるさいうるさい、五月蠅いぃ!!
私は悪くない!!全部…メイリンとドロテアのせいだ!!せいなんだ!!
私は…私が惨めな思いをしたのは、こいつ等のせいなんだ!!」

モントリアはメイリンを縛り付けている椅子の背を掴み、

「ああああああっ!!」

絶叫と共に、はるか下の舞台に…落とそうとしたが…。
その椅子を、ビロッディがしっかりと抑えたため、その企みは露と消えた。

「離せぇぇっ!!」

モントリアは剣を振り下ろすも、その剣は…ビロッディの体に届く寸前で、ドロテアに
止められる。

「もう本当に…いい加減にしなさい!!!」

モントリアの一瞬のスキを突き…一気に剣をモントリアの肩口に叩きつける。
アーマーにあたったそれは…衝撃だけでもすごかったようで、モントリアは後ろに下がった。

ビロッディはその機を逃さず、メイリンを椅子ごと、ギリアムの後ろへ。

ドロテアとモントリアは…何度も剣激を繰り返すが、結局…。
最初の肩口への一撃が利いていたのか、モントリアの剣は…その手を離れ、床へと落ちた。

「確保ぉ!!!」

それと共に、ギリアムの声が響き…。
スペードとジェードが、モントリアをおさえる。

「ここは任せた!!私は…フィリーの所に行く」

ロープをテラスの手すりに引っかけたかと思ったら…。
それを使って、一気に急降下。

レンジャー部隊顔負けの、素早さと機敏さである。

「メイリン様!!」

ドロテアが…メイリンの縄を解いてやる。

「ドロテアぁ~」

泣きながら縋りつくメイリンの体を、さすってやりながら、

「もう大丈夫ですよ」

優しく語り掛ける。

「私…私、そんなつもりじゃなかった…。
ドロテアにも…モントリアにも…幸せになって欲しくて…それだけ…。
酷い事するつもり…無かった…」

「わかっています…。
とにかく今は…体と心を休めましょう…。
そして…回復したら、ゆっくりとお話しましょう…」

ドロテアの声に安心したのか…メイリンはそのまま倒れてしまった。

モントリアは…まだ騒ぎたりないと言いたげに、抑えつける両者を睨んでいたが…。
猿ぐつわをされているので、その言葉が聞こえる事は…無かった。


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