ひとまず一回ヤりましょう、公爵様12

木野 キノ子

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第3章 誘拐

5 ギリアム大暴れ

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迫りくる男3人に…思いっきり女のナヨを作っているシルスだったが…。

「そんなに仰るなら…。アナタ方にお見せしてもいいですが…」

「おおおおおっ!!我々は、アナタの味方です!!」

「でも…驚かれると思いますよ…」

「何を仰るか!!我々は!!ありのままのアナタの全てを!!
受け入れる準備は、できております!!」

私は…この茶番劇に、ちょっとシラケる。
シルスって…本当に上手なんだよなぁ…。
もっと金貰ってもいいと思うんだが…本人が貰いたがらないからなぁ…。

「ならば…お見せいたしましょう!!」

何だか…ここだけショーめいた声だね…。

私がちょっと…冷めた目で見つめていると、シルスは己の足をぱっかりと開いた。
見事なM字開脚だ。うん。

そしてそれを見た男たちの股間のモノが…みるみるうちに縮む…。

まあ…ね。うん。
恋焦がれた女性のアソコに、自分らと同じ、よく見慣れたモノが付いてたら、そりゃぁね…。
でも、自分らが悪いんやから同情はせんよ。

「フィリーいいいいいっぃぃぃぃっ!!」

そんな最中、聞きなれた声が、私の耳に!!
私は思わず、男どもの椅子から、駆け下りる。

「ギリアムぅ!!」

怖かったぁ~、みたいな言葉を顔にかきかきしつつ、ギリアムに抱きつく。

「フィリー!!怪我はないですか!!」

「ええ!!大丈夫です…でも…」

私はギリアムの腕の中で、震える。
あ、もちろん芝居よ。
その方が…この場じゃ効果的だろうから。

ギリアムは光に照らされた会場をぐるっと見渡し…。

「なるほどな…」

静かに…どす黒いオーラを放つ。

「シルス!!」

服を殆ど剥がされたシルスに、自分の上着を投げつける。

「フィリーを守れ!!いいな!!」

「承知いたしました、ギリアム様…」

シルスは…上着を羽織って、静かにお辞儀。

ギリアムがロックオンしたのは…やっぱり中心で縮こまった、全裸の男3人。

「貴様らは…私のフィリーの前で、なんという格好をしているんだ。
覚悟はできているんだろうな…」

ぽきぽきと両手の指の関節を鳴らす。

「ギ、ギ、ギ、ギリアム公爵閣下…。こ…これは…違うんです…」

何が違うんじゃい。
さっきは…私も襲うとか言っていたろうが。

「やかましいぃぃ――――――――――――――――っ!!」

声と同時に…3人の体が一気に拭き取んだ。
あ~あ、だから…言わんこっちゃない。

そして次に…私が座っていた、台座共に焦点を当て、

「貴様らも何て格好をしているんだぁ――――――――――――――っ!!」

ちぎっては投げ、ちぎっては投げ…もう、男どもは…本気で泣きながら、

「いや~、男に痛めつけられるのはいや~!!」

だとさ。
全くねぇ…。
こうなる覚悟くらいしとけっての。

ギリアムは次に、床ガラスの下にいる…殆ど全裸の男どもにロックオン。

ガラスを紙のように破り…下へと移動。
瞬く間に制圧し…。

下の連中は、別な意味で阿鼻叫喚の悲鳴の渦となった。

ほほほ。いい気味だ事。

こうして…狂宴は終わりを告げたのだが…。
やっぱり、首謀者と思しき連中は…気が付いたら消えていた。
司会の奴…。
ギリアムが現れた時には、姿が無かった。

だがひとまず…誰も傷つかずに済んだから良かった…。

メイリン嬢は…ノッツェリジィ宮殿の程近く、ケイシロン公爵家の建物で待っていた、
家族の元へ。

「メイリン!!」

ヴィネラェがまず…真っ先にかけてきて、抱きしめた。

「おばあ様!!」

メイリンはまた…涙腺が崩壊したようで、大泣きしている。
その後ろから、ひとまず良かった…と、アイリン夫人とツァリオ閣下が…。

アルフレッドとステファンは…その後ろで、やっぱり安堵の表情を浮かべている。

モントリアは…王立騎士団に引き渡され、とっととこの場を離れた。

そして…ツァリオ閣下たちが、少々落ち着いた所で…。

「あの~、こちらも…」

ドルグスト卿が何だかみょーに、言いずらそうな声を発していた。
その指し示す先にいたのは…。

パンツいっちょの、ツァルガ爺さんだった。
少し遠目から見てもわかるくらい、泥酔している…。

「お~う、皆来たのかぁ?楽しんどるかぁ?ん?」

……どうやら、酒を飲まされ…いい気分にさせられていたようだ。
まあ…一応、能力はどうあれ前ガルドベンダ公爵閣下だからなぁ…。
無下に乱暴も出来んかったんやろが…。

腰を振りつつ、踊っているツァルガ爺さんに…最初に近づいたのは、ヴィネラェ。

「お~う、誰かと思えば、我が妻ではないかぁっ!!辛気臭い顔しとると、皺が増えるぞぉ~。
ガハハハッ!!」

……酔っ払いに空気を読むことを、望む自体が間違いだろうが…。
ヴィネラェは黙って…。

扇子の柄で、ツァルガ爺さんをぶん殴り…。

「ドルグスト…」

後ろにぶっ倒れたツァルガ爺さんには、眼もやらず、

「なんでこんなゴミを、拾ってくるの…。さっさと元の場所に、戻してらっしゃい!!」

笑顔だけど…有無を言わせない口調だ…。

「い、いえ…あの…」

ドルグスト卿は…敵と対峙している時より、よっぽど冷や汗が出ているよう…。

「ごみとは何じゃ、ごみとはぁっ!!」

扇子でぶん殴られたことにより、少しは酔いがさめたらしいツァルガ爺さん。

「ごみをゴミと言って、何が悪いの!!」

ヴィネラェも…今回のメイリンの誘拐は、ツァルガ爺さんの迂闊さもあるから…。
収まらない様子。

「大体ねぇ!!仕事も満足にできないくせに、公式の場じゃいっちょ前に偉そうに振舞って!!
少しぐらい、しっかりしろと言えば、返事だけ!!同じ失敗は何度も繰り返す!!
結婚した時から、何一つ成長しない!!ツァリオがしっかりしてたから、良かったようなものの…。
アンタの血を引いてたら、ガルドベンダはとっくに滅んでいたわよ!!」

まるで堰を切るって、こういう事だな…うん。
政略結婚って、上手くいくこともあるけれど、ダメダメになることも多いからなぁ…。

「そこまで言うなら、言わせてもらうが…」

ありゃ…いっつも空気の、ツァルガ爺さんが出てきたよ。

「お前は…いつもわしと兄上を比べては…わしの至らなさを責めていただろうが!!
兄上なら、兄上なら、兄上なら…。耳にタコができるくらい、聞かされたわしの身に、なった
事があるのか!!」

補足するが…。
ツァルガ・ヴィネラェ夫妻の結婚は少々複雑だ…。
というより、まさしく政略結婚という所だろう。
もともと…ツァルガは3兄弟。だが…長男は夭折してしまったため、実質2人兄弟のようなもの。
ヴィネラェは元々、ツァルガの兄と婚約していたのだ。名をツェキオ。
大変仲睦まじく、ヴィネラェはツェキオを本当に慕っており、支えるために相当な
勉強をしたらしい。
だが…結婚式を間近に控えた時、何の前触れもなく、ツェキオは失踪してしまった。
女の影は無かったから…当時本当に、誰も理由がわからなかった。
捜索するも、全く行方はつかめず…。
実は…結婚式と同時に、ガルドベンダの正式な嫡子の発表をすると言う事で、諸外国からも
大使だの、王族などが出席することになっていたから、まさか中止にはできない。
沽券にかかわる…。
どうしたか?
単純に…ヴィネラェの相手を、ツァルガに変えた。
しかも…パワーバランスが当然、ガルドベンダの方が上だったもんだから、ツェキオの失踪は
ヴィネラェにも家族にも、結婚式当日まで伏せられたそうな…。
そしてヴィネラェは…慕っていたツェキオではなく、むしろ優柔不断さをバカにしていた
ツァルガと結婚することになってしまったそうな…。

……不幸フラグ、これだけ聞いても立ちまくり…。

あと…ヴィネラェがダリアの肩もちまくるのも、改めてよくわかる…。

「そもそも私が必死に勉強したのは!!アンタみたいな、下半身緩みまくりの、女ったらしの
優柔不断男と結婚するためじゃない!!全部ツェキオ様を支えるためよ!!!」

「わしだって、いっつもわしをバカにしてた、お前みたいな女と結婚なんぞ、したくなかったわ!!
だいたいお前は、硬すぎるんじゃ!!
そんなんじゃから、兄上にも見限られたんじゃろ!!」

「何言ってんのよ!!最初から家族に期待されてなかった、アンタが言うなぁ―っ!!」

あ~あ、売り言葉に買い言葉…って、まさにこのこと…。
後は…積年のつもりに積もった、お互いの悪口を、ここぞとばかりに言い合ってる…。

「フィリー」

そんな折、ギリアムが私に耳打ち…。

「う~ん、そうした方がいいですかね?」

「まあ…この際ですからね。ツァリオ閣下には、いずれ話を通そうと思ってましたし」

まあ…ね。
あまり黙ってるのも、良くないと思ってたし。

「ツァリオ閣下…」

ギリアムが話してくれるみたいだから、お任せ、お任せ。

「ツェキオ殿の行方…知りたいですか?」

「は?」

「いや…今更かとも思いますし…」

一を聞いて十を知る人ゆえ、この時点でピンと来たようで、

「ツェキオ伯父上の行方…まさか、分かったのですか?」

つぶやきであっても、ツァリオ閣下の声は通りが良かった。
後で聞いたんだけど、ガルドベンダでは…未だに捜索しているそうなのよ…。
やっぱり…嫡長子が失踪となると…ね。

おや、ヴィネラェとツァルガ爺さんのいがみ合いが…ぴたりと止まりおった。

「ええ。本当に偶然なのですがね…」

ギリアムの方に、皆さまの視線が、一点集中…。
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