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4.編入
しおりを挟む職員室についた僕達はあまりの大きさにしばらく固まっていて
はっと我に返えりどっちが声をかけるかというあまりにも子供っぽい議論となっていた。
「おい、声かけろよ」
「なんで僕が?そ~いうのは言い出しっぺがやるべきだと思うなー」
「いやいや、俺はサポートで来ただけだから。本命はお前だろ!」
「それを言うなら、紅がサポートなんだからそういう雑用みたいのは紅がやってよ」
「それじゃおれはただのパシリみたいだろ!」
「え?…ちがうの?」
「は?……おまっ当たり前だろ!なに!パシリだと思ってたのか?!」
「っっふ…っふふ…本気にしすぎ。冗談だよ。」
「ッ!……おまっ!このやろー」
ちょっとからかっただけなのに、本気にしてる反応がかわいくて任務中だというのに思わず、素で笑ってしまった。
「っふふ、ふふ!ごめんごめん!」
そのとき私は嫌いな相手だということも忘れて、楽しい気分で満面の笑顔になっていた。
「………あーもう!ずるいよなー」
「ん?なにが?」
ずるいと言われるような覚えもなく、首を少し傾げながらなぜかと聞くと 何でもない とはぐらかされてしまった。
「ちょっと君たち!」
「生徒じゃないよね。制服は誰かに借りたのかな?部外者は学園には入っちゃダメだよ。どこの高校だい?」
突然そう言って話しかけてきたのは、細身で身長は見た感じ175cm前後の20代前半くらいの男性だった。
おそらくこの学園の先生なのだろう。僕達が他校の高校生だと思って注意しに来たようだ。
「えーとすみません。今日からこちらの高校に編入する清水珀久と申します。」
「……え、あ、ごめんね。編入生だったんだ。今確認してくるね。」
そういって少し慌てたように男の先生は職員室へ入っていった。
そういえば私達、ここが職員室の前ってこと忘れてた。
……うるさかったかな?
申し訳ないな……
「あ、ごめんね。確認取れて、理事長室に案内してって事だったから今連れて行くね。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
おそらく、ボスが事前に連絡してくれていたんだろう。着いて早々私達は理事長に会うこととなってしまった。
職員室から広い廊下を通って理事長室へ行く途中、何人かこの学校の生徒らしき人にあったがみんな、お嬢様、お坊ちゃんって感じがあり歩き方とかが全然違ってこの学園での生活が少し不安になった。
場違い感すごいなー…
以前も、豪華客船での暗殺任務があったがそれはせいぜい一週間ほどだった。
今回はどのくらいかかるかが分からない。
私は早く終わるといいなと思いながら、先生が ここが理事長室です。というのを聞き、中へと入っていった。
✽ ✽
紅玉side
職員室の前で琥珀の冗談に本気で返してしまったおれは、はじめこそイラッときたものの、そのあとの琥珀の笑みに思わず見惚れてしまった。
琥珀のことが嫌いなはずなのに、あいつの笑みを見るとドキッと胸が鳴り、もっと笑ってほしいと思う。
この感情の名をおれはまだ知らない…
いや、ホントはただ認めたくなかっただけなのかもしれない…
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