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第二章 勇者
リーマ
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「仲間集めですか?」
真緒とハナコは草原でリーマという魔法使いの少女に出会い、供に旅する仲間になった。しかし、すぐに出掛けようと催促するリーマに対して真緒はまだ行けないと言う。ハナコを含めた二人は何故行けないのかその理由を聞いた。
「うん、師匠に卒業試験として仲間を三人集めて来るように言われているの。私師匠に認めてもらいたい。だからまだ旅に出掛けることは出来ない。ごめんね、話すのが遅れちゃって……」
「何言っでるだ。マオちゃんがオラ達を仲間に誘ってぐれたんだぁ、マオちゃんの意見を尊重ずるのも仲間の務めなんだよぉ」
「ハナコさんの言う通りですよ。そういう理由であれば、いつまでも待ちますよ」
嬉しい。仲間達の優しさが伝わってくる。
「ありがとう二人とも、実はそんな二人に頼みたいことがあるの」
「何だ?何でも言っでぐれぇ」
「私に出来ることであれば大丈夫ですよ」
「…………お願い、お金貸して!」
「「えっ!?」」
あまりに予想外の頼みに戸惑いを隠すことの出来ないハナコとリーマの二人。
「マ、マオぢゃん……いっだいどういうごとだぁ?」
「マオさん、ちゃんと理由を聞かせてください」
「そうだよね……実は、もうほとんどお金が残っていないんです!」
そう言った真緒から差し出された手には銅貨が三枚しかなかった。
「え、ごれだけ…………」
「いったい、何に使ったんですか?」
「それは、その…………」
真緒はチラチラとハナコの方を見る。
「もじがじで、オラ!?」
「あ、うん。ここに来る前に食事したでしょ」
「そういえば…………」
ハナコはその時の事を思い出した。
うわぁ~ごんなに沢山、本当にいいんだがぁ?
うん、これはハナちゃんが仲間になった記念だから遠慮せずに食べてね。
そんじゃあ、お言葉に甘えていだだきまーず!
ガツガツ、ムシャムシャ、ングング。
美味しそうに食べるね。見てるこっちも気持ちがいい食べっぷりだよ。
ングング……オラ、食べるのが好ぎなんだ。食べている時が一番幸せだわぁ。
そんなに慌てて食べなくても料理は逃げはしないよ。すみませーん、おかわりお願いしまーす。
はーい、今伺いまーす。
***
ふぅー食っだ、食っだ。
まさか、全部完食しちゃうだなんてね……。あ、先に外で待ってて。
分がっだぁ。
お会計お願いします。
はい、合計で銀貨十九枚、銅貨が九千九百九十七枚のお会計でございます。
えっ、あ、これで足りますか?
え~はい、銀貨二十枚お預かり致しましたので、お釣りが銅貨三枚でごさいます。またのご来店心よりお待ちしております。
ど、どうしよう…………。
「ぞんなまざが…………」
ハナコは一連の出来事を思い出してショックを受けていた。
「成る程、それでお金がないと……マオさん、こうなったら方法は一つです」
「な、何?」
真緒とリーマの間に緊張が走る。
「働きましょう!!」
***
「マオぢゃん、ごめんな。オラのせいでごんなごとになっちゃっで……」
「ううん、ハナちゃんのせいじゃないよ。満足するまで食べていいよと見栄を張った私が悪いんだよ」
二人はリーマの後について城下町を歩く形になった。
「ここです」
リーマがある一つの店の前で止まった。
「ここは?」
「私が先程、クビになった店です。もしかしたら、働かせてくれるかもしれません」
そう言い終わると、扉をノックする。すると勢いよく駆けてくる足音が聞こえて、すぐ扉が開く。
そこには、少し老けた感じの中年の男の人が立っていた。男はリーマをじっと見つめる。
「…………何だ、お前か。何しに来た?」
「おじさん、さっきはごめんなさい。実は、友達がどうしてもお金が必要で、ここで働かせて頂けませんか?」
「友達?」
おじさんは心底驚いた表情をしながら、真緒とハナコの顔を見る。
「お願いします」
「お、お願いじまずだぁ」
「…………入れ」
おじさんは扉を全開にして招き入れる。
「ありがとう、おじさん!」
「だが、これが最後のチャンスだからな。分かったな!」
「はい!」
三人が店の中に入るとそこは、多種多様な瓶に中身が緑や青色の液体が入っていた。
「このお店って……」
「“ポーション”だよ。回復職の奴がいない時や、急な回復を迫られた時なんかに非常に役に立つ代物だ」
因みに緑がHP、青がMPの回復が出来る。
「おい、母さん。母さん」
「どうしましたか。あら、リーマちゃん帰って来てくれたんだね」
奥の方から少しふくよかな女性が現れた。
「おばさん、またお世話になります」
「こっちは大歓迎だよ。この人なんか自分から追い出した癖に心配で探しに行こうとしてたんだから」
「え?」
「で、デタラメ言ってんじゃねぇ!」
おじさんは耳を真っ赤にしながら奥の方へと姿を消した。
「おじさん…………」
「許してあげてね」
おばさんが声を掛けてきた。
「あの人、加減ってものを知らないからいつも全力で取り組んで空回りしちゃうんだよ」
おばさんが話してくれたおじさんの意外な性格。リーマの中で“何か”が渦巻く。しばらくするとおじさんがやって来た。
「ほら、これがこの店の制服だ。金が欲しけりゃ死ぬ気で働きな」
「「「よろしくお願いします!」」」
三人は頭を下げた。
***
「違う違う、何度言わせりゃ気が済むんだ!」
叱る
「そうじゃねぇだろ!ポーションは瓶ごとに並べるんだろ!?」
叱る
「だから、さっきも言っただろ!ポーションの調合は一定のリズムでかき混ぜるんだよ!」
叱りまくる
「はぁ、はぁ、働くって大変なんだね」
「リーマぢゃんがいづもごんなごとしてたかと思うとオラ、尊敬しちまうだなぁ」
「おい!無駄口叩いてねぇで手を動かせ手を!」
「「はい!」」
再び、仕事に戻る二人。その時……。
パリン!
「きゃあ!」
リーマがポーションを割ってしまった。
「おい、どうした?」
「ああごめんなさい。すぐ片付けます」
リーマが割れた破片を拾おうとすると……。
「触んじゃねぇ!」
おじさんの怒鳴り声が響いた。
「割れた破片を素手で触る馬鹿がどこにいる!おい母さん、母さん」
「はいはい、分かっていますよ。箒と塵取り持ってきましたよ」
おばさんは慣れた手つきで破片を片付けていく。
「ここはもういい。あっちでポーションの整理でもしてこい!」
「はい…………」
落ち込みながら向かうリーマ。
「おい!」
おじさんの呼ぶ声にリーマが振り返ると。
「怪我はしてないか」
「え、は、はい」
「ならいい。ささっと仕事しろ」
おじさんが怪我の心配をしてくれたことで、またリーマの中で“何か”が渦巻く。
***
「今日はよく働いた。ご苦労だった」
仕事終了。外はすっかり夜になっていた。
「ほら、これが今日働いた給料だ。受けとれ」
おじさんは三人それぞれに革袋を渡した。
「こ、こんなにいいんですか?」
「オラ、こげな大金貰っだの初めてだぁ」
真緒とハナコの袋には銀貨が五百枚入っていた。そして、リーマの方には……。
「え……」
困惑。中身を確認してリーマは目を疑った。袋の中には金貨一枚と銀貨五百枚が入っていた。
「おじさん、これ……」
「聞いたぞ、お前旅に出るんだって?」
「どうしてそれを?」
「商売してると耳が良くなってきやがる。そこの二人が楽しみだ、楽しみだって話していたのを聞いていたんだよ」
「おじさん、でも……」
「受け取ってやんな」
おばさんが奥から出てきて言う。
「この人は不器用なんだよ、別れの言葉もまともに言えないほどにね。そのお金はこの人の思いの丈なんだよ」
「余計なこと言ってんじゃねぇよ!バカ野郎!」
「おじさん……ありがとう!」
リーマは嬉しさのあまり、おじさんに抱きつく。
「こら、離れろ。服がシワになるだろうが……」
そう言いながらおじさんはリーマの頭を撫でていた。この時リーマは分かった。自分の中で渦巻く“何か”それは、“喜び”。今までずっとおじさんに見捨てられていると思っていたが、そうじゃなかった。その事がリーマの中で複雑に入り交じっていた。
「はいはい、皆今日はもう遅いからウチに泊まりなさい。美味しい夕食もあるからね」
「やっだー、ご飯だ、ご飯だ!」
「お世話になります」
おばさんと二人は店の奥へと入っていった。
「…………ほら、俺達も行くぞ」
「うん……」
リーマとおじさんも寄り添いながら奥へと入った。
真緒とハナコは草原でリーマという魔法使いの少女に出会い、供に旅する仲間になった。しかし、すぐに出掛けようと催促するリーマに対して真緒はまだ行けないと言う。ハナコを含めた二人は何故行けないのかその理由を聞いた。
「うん、師匠に卒業試験として仲間を三人集めて来るように言われているの。私師匠に認めてもらいたい。だからまだ旅に出掛けることは出来ない。ごめんね、話すのが遅れちゃって……」
「何言っでるだ。マオちゃんがオラ達を仲間に誘ってぐれたんだぁ、マオちゃんの意見を尊重ずるのも仲間の務めなんだよぉ」
「ハナコさんの言う通りですよ。そういう理由であれば、いつまでも待ちますよ」
嬉しい。仲間達の優しさが伝わってくる。
「ありがとう二人とも、実はそんな二人に頼みたいことがあるの」
「何だ?何でも言っでぐれぇ」
「私に出来ることであれば大丈夫ですよ」
「…………お願い、お金貸して!」
「「えっ!?」」
あまりに予想外の頼みに戸惑いを隠すことの出来ないハナコとリーマの二人。
「マ、マオぢゃん……いっだいどういうごとだぁ?」
「マオさん、ちゃんと理由を聞かせてください」
「そうだよね……実は、もうほとんどお金が残っていないんです!」
そう言った真緒から差し出された手には銅貨が三枚しかなかった。
「え、ごれだけ…………」
「いったい、何に使ったんですか?」
「それは、その…………」
真緒はチラチラとハナコの方を見る。
「もじがじで、オラ!?」
「あ、うん。ここに来る前に食事したでしょ」
「そういえば…………」
ハナコはその時の事を思い出した。
うわぁ~ごんなに沢山、本当にいいんだがぁ?
うん、これはハナちゃんが仲間になった記念だから遠慮せずに食べてね。
そんじゃあ、お言葉に甘えていだだきまーず!
ガツガツ、ムシャムシャ、ングング。
美味しそうに食べるね。見てるこっちも気持ちがいい食べっぷりだよ。
ングング……オラ、食べるのが好ぎなんだ。食べている時が一番幸せだわぁ。
そんなに慌てて食べなくても料理は逃げはしないよ。すみませーん、おかわりお願いしまーす。
はーい、今伺いまーす。
***
ふぅー食っだ、食っだ。
まさか、全部完食しちゃうだなんてね……。あ、先に外で待ってて。
分がっだぁ。
お会計お願いします。
はい、合計で銀貨十九枚、銅貨が九千九百九十七枚のお会計でございます。
えっ、あ、これで足りますか?
え~はい、銀貨二十枚お預かり致しましたので、お釣りが銅貨三枚でごさいます。またのご来店心よりお待ちしております。
ど、どうしよう…………。
「ぞんなまざが…………」
ハナコは一連の出来事を思い出してショックを受けていた。
「成る程、それでお金がないと……マオさん、こうなったら方法は一つです」
「な、何?」
真緒とリーマの間に緊張が走る。
「働きましょう!!」
***
「マオぢゃん、ごめんな。オラのせいでごんなごとになっちゃっで……」
「ううん、ハナちゃんのせいじゃないよ。満足するまで食べていいよと見栄を張った私が悪いんだよ」
二人はリーマの後について城下町を歩く形になった。
「ここです」
リーマがある一つの店の前で止まった。
「ここは?」
「私が先程、クビになった店です。もしかしたら、働かせてくれるかもしれません」
そう言い終わると、扉をノックする。すると勢いよく駆けてくる足音が聞こえて、すぐ扉が開く。
そこには、少し老けた感じの中年の男の人が立っていた。男はリーマをじっと見つめる。
「…………何だ、お前か。何しに来た?」
「おじさん、さっきはごめんなさい。実は、友達がどうしてもお金が必要で、ここで働かせて頂けませんか?」
「友達?」
おじさんは心底驚いた表情をしながら、真緒とハナコの顔を見る。
「お願いします」
「お、お願いじまずだぁ」
「…………入れ」
おじさんは扉を全開にして招き入れる。
「ありがとう、おじさん!」
「だが、これが最後のチャンスだからな。分かったな!」
「はい!」
三人が店の中に入るとそこは、多種多様な瓶に中身が緑や青色の液体が入っていた。
「このお店って……」
「“ポーション”だよ。回復職の奴がいない時や、急な回復を迫られた時なんかに非常に役に立つ代物だ」
因みに緑がHP、青がMPの回復が出来る。
「おい、母さん。母さん」
「どうしましたか。あら、リーマちゃん帰って来てくれたんだね」
奥の方から少しふくよかな女性が現れた。
「おばさん、またお世話になります」
「こっちは大歓迎だよ。この人なんか自分から追い出した癖に心配で探しに行こうとしてたんだから」
「え?」
「で、デタラメ言ってんじゃねぇ!」
おじさんは耳を真っ赤にしながら奥の方へと姿を消した。
「おじさん…………」
「許してあげてね」
おばさんが声を掛けてきた。
「あの人、加減ってものを知らないからいつも全力で取り組んで空回りしちゃうんだよ」
おばさんが話してくれたおじさんの意外な性格。リーマの中で“何か”が渦巻く。しばらくするとおじさんがやって来た。
「ほら、これがこの店の制服だ。金が欲しけりゃ死ぬ気で働きな」
「「「よろしくお願いします!」」」
三人は頭を下げた。
***
「違う違う、何度言わせりゃ気が済むんだ!」
叱る
「そうじゃねぇだろ!ポーションは瓶ごとに並べるんだろ!?」
叱る
「だから、さっきも言っただろ!ポーションの調合は一定のリズムでかき混ぜるんだよ!」
叱りまくる
「はぁ、はぁ、働くって大変なんだね」
「リーマぢゃんがいづもごんなごとしてたかと思うとオラ、尊敬しちまうだなぁ」
「おい!無駄口叩いてねぇで手を動かせ手を!」
「「はい!」」
再び、仕事に戻る二人。その時……。
パリン!
「きゃあ!」
リーマがポーションを割ってしまった。
「おい、どうした?」
「ああごめんなさい。すぐ片付けます」
リーマが割れた破片を拾おうとすると……。
「触んじゃねぇ!」
おじさんの怒鳴り声が響いた。
「割れた破片を素手で触る馬鹿がどこにいる!おい母さん、母さん」
「はいはい、分かっていますよ。箒と塵取り持ってきましたよ」
おばさんは慣れた手つきで破片を片付けていく。
「ここはもういい。あっちでポーションの整理でもしてこい!」
「はい…………」
落ち込みながら向かうリーマ。
「おい!」
おじさんの呼ぶ声にリーマが振り返ると。
「怪我はしてないか」
「え、は、はい」
「ならいい。ささっと仕事しろ」
おじさんが怪我の心配をしてくれたことで、またリーマの中で“何か”が渦巻く。
***
「今日はよく働いた。ご苦労だった」
仕事終了。外はすっかり夜になっていた。
「ほら、これが今日働いた給料だ。受けとれ」
おじさんは三人それぞれに革袋を渡した。
「こ、こんなにいいんですか?」
「オラ、こげな大金貰っだの初めてだぁ」
真緒とハナコの袋には銀貨が五百枚入っていた。そして、リーマの方には……。
「え……」
困惑。中身を確認してリーマは目を疑った。袋の中には金貨一枚と銀貨五百枚が入っていた。
「おじさん、これ……」
「聞いたぞ、お前旅に出るんだって?」
「どうしてそれを?」
「商売してると耳が良くなってきやがる。そこの二人が楽しみだ、楽しみだって話していたのを聞いていたんだよ」
「おじさん、でも……」
「受け取ってやんな」
おばさんが奥から出てきて言う。
「この人は不器用なんだよ、別れの言葉もまともに言えないほどにね。そのお金はこの人の思いの丈なんだよ」
「余計なこと言ってんじゃねぇよ!バカ野郎!」
「おじさん……ありがとう!」
リーマは嬉しさのあまり、おじさんに抱きつく。
「こら、離れろ。服がシワになるだろうが……」
そう言いながらおじさんはリーマの頭を撫でていた。この時リーマは分かった。自分の中で渦巻く“何か”それは、“喜び”。今までずっとおじさんに見捨てられていると思っていたが、そうじゃなかった。その事がリーマの中で複雑に入り交じっていた。
「はいはい、皆今日はもう遅いからウチに泊まりなさい。美味しい夕食もあるからね」
「やっだー、ご飯だ、ご飯だ!」
「お世話になります」
おばさんと二人は店の奥へと入っていった。
「…………ほら、俺達も行くぞ」
「うん……」
リーマとおじさんも寄り添いながら奥へと入った。
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