笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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第四章 冒険編 オークと子供達

野宿

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 「ですが、先ずは今晩の食料を集めないといけませんよ~」



 カルド王国草原地帯。クレバの荒地に行こうとする真緒達だったが、エジタスが食料について物申した。



 「え、食料なら買った物があるじゃありませんか?」



 そう言って真緒は、袋の中にある食料を見せる。



 「それはあくまで、万が一の時を備えての食料だ。その日の食料は現地調達が基本なんだ。そうだろ、エジタスさん?」



 エジタスの代わりにフォルスが旅の基本を説明した。その答えが合っているかどうか、確認する。



 「ええ、その通りです。流石ですね~フォルスさん」



 「いや、俺も一人でいることが多かったから、自然に覚えただけさ」



 はにかんだ笑顔をするフォルス。



 「でも、食料と言ってもどんなのがいいんですか?」



 食料という幅広い選択肢の中、悩んでしまう真緒。



 「一番いいのは肉なのですが……あ、丁度良いところに、ボアフォースがいますね~」



 エジタスの目線の先には、美味しそうにその辺の草花を食している、ボアフォースがいた。



 「猪って草とか食べるんですね?」



 「猪は雑食系だからな。特にボアフォースは食べられそうなものなら、なんでも食べてしまうんだ」



 「へぇー……」



 フォルスの意外な知識に感心する真緒達。



 「それじゃあ早速、狩「エジタスさん」……はい?」



 エジタスがボアフォースを狩ろうとすると、リーマが立ち塞がる。



 「リーマさん、どうしましたか?」



 「私に、殺らせて頂けないでしょうか?」



 リーマの目には、真剣という文字が浮かび上がるほど真っ直ぐだった。



 「……いいでしょう。あなたの好きなようにしてください」



 「!……ありがとうございます!!」



 エジタスの許しを貰い、食事中のボアフォースと向き合う。



 「“アーメイデの魔導書”の新たなる力、見せてあげます!」



 リーマは魔導書に追加された新しいページを開く。



 「食らいなさい!“ウォーターキャノン”!!」



 リーマの目の前に大きな水の塊が形成され、その塊はボアフォース目掛けて飛んでいった。



 「プギィィィ!!?」



 突然、水の塊が飛んできたことにより、水圧で骨が砕け、その骨が肺に刺さって呼吸不全になり死んでしまった。



 「す、凄いよリーマ!」



 「意図も簡単にボアフォースを倒じでじまうんだから、オラびっくりしだだよ……」



 「それが、リーマの新しい力か……」



 「凄いですね~」



 「えへへ、まぁ凄いのは私ではなく、この魔導書なんですけどね……」



 リーマは照れながら、真緒達に魔導書を見せる。



 「そんなことないよ。その魔導書を扱える、リーマの方が凄いんだよ!」



 「マオさん……」



 お世辞ではない素直な気持ち。真緒の思いに、心が暖かくなったリーマ。



 「そういえば、“ウォーターキャノン”と言っていたが、つまり……」



 「はい、魔導書に加わった力は、水属性魔法です!」



 「これで、魔法使いとしての素質が一つ上がったな」



 「皆さんのおかげです!ありがとうございます」



 リーマは頭を深々と下げる。



 「この調子で、他のページも集まるといいね」



 「はい!」



 その時のリーマの笑顔はとても、無邪気なものだった。







***







 その日の夜。真緒達は焚き火をして、野宿することにした。



 「私、外で寝るなんて初めてです!」



 真緒は野宿初体験で、興奮していた。



 「腹減っだだなあ……」



 「私も……」



 「それにしても、エジタスさんが料理が出来て、本当によかったな」



 エジタスは、リーマが狩ったボアフォースの肉を切り分け、肉を柔らかくする為に、リズムよく叩いていた。



 「もうすぐ出来ますからね~」



 ある程度叩き終わると、焚き火近くの熱くなった石の上に置いて、焼き始めた。



 「うわぁ~」



 「いい臭いだなぁ……」



 「早く食べたいです……」



 「おい、ハナコ。涎を垂らすな、料理に掛かるだろ」



 徐々に焼き色が付き、肉汁が飛び跳ねる。



 「さぁ、出来ましたよ~、ボアフォースのステーキです」



 人数分の料理が出来上がると、各人の目の前に置いていく。無論、皿などは無いため、しっかりと熱で火炎滅菌した石の上にである。



 「それじゃあ、食べましょうか」



 「いだだぎまず!」



 「頂きます!」



 「頂きます」



 「慌てなくても、おかわりは沢山ありますからね~」



 エジタスの武器である食事用ナイフとフォークを真緒達が受けとると、目の前に出された料理にかぶり付くハナコとリーマ。それに続くように真緒とフォルスも食べる。しかし、ハナコだけは、フォークやナイフが使えないため手掴みであるが、熱さをもろともしなかった。



 「美味しい!」



 「美味じいなぁ!」



 「本当ですね!」



 「素晴らしい腕前だな」



 「そんなに褒めないで下さいよ~」



 褒められたエジタスは、少し照れくさそうに体を揺らす。



 「おがわり!」



 「もう、ですか!?ハナコさんは食べるのが早いですね~、すぐ用意しますね」



 「ハナちゃんは食いしん坊だからね」



 「ハナコさんのおかげで金欠になりかけたんですよね」



 「そうそう!」



 「なんだ、その話は聞いたことがないな」



 「それはですね……」



 「ぢょっど、ぞの話はじないで欲じいだよー!」



 「何の話ですか~」



 話を聞きつけ、エジタスが戻ってきた。



 「いやー、実はですね……」



 「もぉー!ぞの話はじないで欲じいだぁー!」



 「「あはははははは」」



 事情を知っている真緒とリーマが笑い、事情を知らないフォルス達は、キョトンとしていた。







***







 食事を済ませた後、真緒達は男女に分かれて寝ることにした。もちろん見張り役として、フォルスとエジタスは交代しながらである。



 「まずは、俺が見張りをしよう」



 「ありがとうございます。それでは、皆さんお休みなさ~い」



 「師匠、お休みなさい」



 「お休みなざい」



 「お休みなさい」



 フォルスを除いた四人は眠りについた──筈だった。



 「ねぇねぇ、二人って好きな人とかいないの?」



 興奮して眠れない真緒が、二人に話し掛けてきた。それも、恋愛絡みの話をしてきた、真緒も年頃の乙女である。



 「ぞんなの居らんよ、ごの間まで奴隷だっだんだから……」



 「私も、おじさんとおばさんの下で働いていましたから、好きな人と言われても……」



 「え~、誰かいるでしょ?」



 「そういうマオぢゃんはどうなのさ?」



 「え?」



 「そうですよ、エジタスさんと随分仲が良いようですね」



 質問していた筈の真緒が、逆に質問される立場になってしまった。



 「そ、そ、そんな師匠とはあくまでも師弟関係で、疚しい気持ちなんてこれっぽっちも無いよ!」



 「じゃあ、嫌いなんだが?」



 「そんな訳無いじゃないですか!師匠の事は大好きですよ!」



 「やっぱり好きなんですね」



 「だからそうじゃなくて……あれ?大好きだけど好きじゃなくて、嫌いでもなくて……ああー!もう分からなくなっちゃった!もう寝る!お休み!!」



 頭の中がごっちゃになり、訳が分からなくなってしまった真緒は、無理矢理会話を終わらせ寝てしまう。



 「あれ~マオぢゃん?どうじだのがな~?」



 「自分から聞いておいて、ズルいですよ~」



 二人の弄りはしばらく続いた。その様子を見ていたフォルスは、少し笑った。



 「愛されてるんだな、エジタスさん」



 「…………」



 寝てしまったのか、フォルスの言葉に反応を示さないエジタス。これが、真緒達の初めての野宿であった。

























 荒地のとある場所。二人の男が頭を抱えていた。



 「はぁー、いったいどうすればいいんだ?まさか、こんなことになるなんて……」



 「……何処かに俺達を救ってくれる救世主はいないだろうか?」



 男達の助けを求める声は虚しくも、誰にも届かなかった。
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