笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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第四章 冒険編 オークと子供達

クレバの荒野

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「うーん、いい天気」



 早朝、真緒は日の光で目を覚ました。大きく背伸びをして、血流を良くする。



 「ん~、マオさんおはようございます……」



 「おはよう、リーマ」



 リーマは眠たい目を擦りながら、体を起こした。するとどうだろう、リーマの頭に寝癖がついていた。しかも一ヶ所だけしか立っておらず、まるでアホ毛のようだった。



 「リ、リーマ、それ……プフゥ!」



 「何ですか?何笑っているんですか?」



 アホ毛のように立っていただけでも面白いのだが、リーマが喋る度にアホ毛が上下に揺れて、生きてるみたいだった。



 「リーマ、寝癖がついてるよ……プフゥ!」



 「え……“ウォーター”」



 リーマは魔導書を開き、水の塊を作り反射させて鏡代わりにした。



 「…………!!」



 寝癖の存在に気づき、慌てて押し戻そうとする。しかし、頑固な寝癖もといアホ毛はなかなか直らない。



 「……ああ、もう!」



 痺れを切らしたリーマは、作り出した“ウォーター”を自分の頭の上で落とした。



        バシャー!!!

 「リーマ!?」



 当然無事ではあるが、いきなり頭から水を被ったので、真緒は驚いた。



 「リーマ、大丈夫?」



 「はい、寧むしろスッキリしました!」



 「なら良かったけど……」



 びしょ濡れのリーマを他所に、真緒よりも早く起きたフォルスがやって来た。



 「お、二人とも起きたか……何でリーマはずぶ濡れなんだ?」



 「あー、色々あってね」



 「はい……」



 フォルスの問いにお茶を濁す二人。



 「……まぁ、別に深くは聞かないけどよ。それより、もうすぐ朝御飯が出来るから、ハナコを起こしといてくれ」



 「分かりました」



 「任せてください」



 「頼んだぞ」



 そう言うと、フォルスは調理しているエジタスの下へと、戻って行った。



 「……それじゃあ、ハナちゃんを起こそうか」



 「そうですね」



 二人が寝ているハナコの方を見ると……。



 「ハナちゃん、これは……」



 「何と無防備な……」



 胸がはだけており、おへそは丸出しで、あられもない姿で寝ていた。



 「取り敢えず、服を着せてから起こそうか……」



 「その方が良さそうですね……」



 真緒達は、ハナコのはだけた服を着せて、丸出しのおへそを隠し、起こそうとする。



 「ハナちゃん!起きて!もう朝だよ!」



 「ハナコさん、起きてください!」



 「へへへ……まだまだ食べられるだよ……」



 どんな夢を見ているのか、大体想像がつく寝言を発する。



 「もう~ハナちゃん、起きて!もうすぐ朝御飯の時間だよ!」



 「そうですよ、エジタスさんの美味しいご飯ですよ!」



 食いしん坊には、ご飯ですよ作戦を試みる二人。



 「んふふ、朝御飯を食べるのなんで朝飯前だぁ……」



 だが起きない。既に夢の中で、朝御飯を済ませるハナコ。



 「うーん、全然起きないね」



 「どうしましょうか……」



 「は~い、お待たせしました。朝御飯が出来ましたよ~」



 二人がハナコを起こすのに手こずっていると、エジタスが料理を作り終えて、運んで来てしまった。



 「あ、師匠すみません。実はハナちゃんがまだ……」



 「やっど来だだぁ、オラ腹ペコペコだよー!」



 「「!!?」」



 気がつくと、つい先程まで寝ていた筈のハナコが、いつの間にか石のテーブルの前に座っていた。



 「マオさん……」



 「た、食べ物への執着が凄いね……」



 あまりに突然の出来事で、恐怖すら抱く。



 「ほら、二人ども早ぐ座っで座っで!」



 ハナコは二人に早く座るように、手招きして催促する。



 「う、うん……」



 「分かりました……」



 二人は戸惑いながらも座った。



 「さぁ、今日の朝御飯は、ボアフォースの肉を使ったサンドイッチですよ」



 エジタスは、サンドイッチを各人に手渡していく。



 「パンですか、よくありましたね」



 「ええ、マオさん達が買ってきた食料を、少し使わせて貰いました」



 「成る程……ん、美味しい」



 真緒は手渡されたサンドイッチを食べると、思わず声に出た。



 「そうでしょう~、我ながら上手く出来たと思っていますよ」



 それから、朝御飯を食べ終わった真緒達は焚き火の後始末を済ませ、出発の準備をする。



 「では、行きましょうか。クレバの荒地へ!」



 「「「「おおーー!!」」」」



 真緒の号令と共にやる気を見せる仲間達。真緒達の旅は始まったばかりだ……。







***







 「ここが、クレバの荒地……」



 あれから三日間歩き続けた真緒達は、カルド王国草原地帯を抜けて、クレバの荒地へと辿り着いた。



 「草原地帯とは偉い違いだな……」



 クレバの荒地はその名の通り、草木は一本も生えておらず、地面は乾ききってひび割れている。



 「これじゃあ、作物も育ちませんね……」



 「そもそも生物がいるんでしょうか?」



 リーマが疑問に思っていると、一匹の生物が近づいてきた。灰茶色の体色に、尾の先は黒色、立ち上がると二メートルにもなりそうな“カンガルー”だった。



 「あれってカンガルーですか……?」



 無論、異世界なのだから普通のカンガルーの訳が無い。最も特徴的なのは、はち切れんばかりに膨れ上がった、右腕。左腕と比べるとその差は五倍近くあった。



 「“ライトマッスルアーム”右腕だけが異常に発達した魔物。その一撃は城壁に穴を空ける程だという……」



 「城壁って、本当ですか!?」



 フォルスの説明に、驚きの表情を見せる真緒。



 「ヴェー!!」



 突如、“ライトマッスルアーム”が鳴いた。



 「えぇ!!、カンガルーってあんな鳴き声だったの!?」



 真緒が驚いていると、ライトマッスルアームが、噂の右腕で真緒達目掛けて空を切る。すると、“ブオン”という風を切るような音が聞こえ、衝撃波が飛んできた。



 「きゃあ!」



 「マオぢゃん!」



 「マオさん!」



 「大丈夫か!!」



 「お怪我はありませんか~?」



 真緒は、衝撃波で尻餅をついてしまった。



 「私は大丈夫……離れているのにあの威力だなんて……まともに喰らっていたらと思うと、恐ろしいです」



 すると、ライトマッスルアームは尻餅をついた真緒を見て、鼻で笑うとその場を去っていった。



 「あ、あいつ……!」



 「馬鹿にざれだだよ!」



 「許せません!」



 「間違いなく、ハイゴブリンよりも強者だな」



 「そうですね~」







***







 ライトマッスルアームの出来事から一時間後、真緒達は荒地を歩いていた。



 「それにしても、本当に何もないですね」



 「確がにそうだなぁ……」



 「見渡す限りひび割れた地面……何だか、寂しい場所ですね」



 「仕方もあるまい、綺麗な場所があれば、どうしたってこういう場所もある。それを見てどう感じるのかも、旅の醍醐味なのさ」



 フォルスは自慢げに語る。



 「成る程、フォルスさんは旅慣れていますね」



 「まぁ、全部エジタスさんに聞いたんだけどな」



 「今朝早くに教えていました~」



 「なぁんだ、そうだったんですかー」



 そんな会話をしていると……。



 「ん?ねぇ皆、何が見えるだぁ」



 「「「「え?」」」」



 ハナコが指差す方向に、簡易的な小屋が、いくつか立っているのが見えた。



 「あれは……村……でしょうか?」



 「オオラカ村とはだいぶ雰囲気が違いますね……」



 「とにかく、行って確かめてみよう」



 真緒達が、村と思わしき場所に近づくと……。



 「おお!!旅のお方、丁度いいときに来てくださった!」



 「どうか、我々を助けて頂けないだろうか?」



 村の入り口には、みすぼらしい男二人が立っており、真緒達を見た途端助けを求めて来た。



 「ちょ、ちょっと落ち着いてください。何があったんですか?」



 真緒が慌てる二人を落ち着かせた。



 「……じつは、子供達が“オーク”に拐われてしまったのです!」
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