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番外編 魔王城のとある一日
料理対決 (調理編)
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「どうしてこんな事に…………」
サタニアは独り言を呟いた。外では天候が荒れており、時々雷が落ちて来る。
「シーラ…………!」
「…………」
「ゴルガ…………!」
「…………」
「アルシア…………!」
「…………」
「エジタス…………!」
「…………」
電気が切れているのか部屋は薄暗く、雷が落ちて来る度に一瞬明るくなり、現状を確認できる。しかしそれはあまりにも悲惨な光景であった。シーラ、ゴルガ、アルシア、エジタスの四人が倒れていた。サタニアが必死に声を掛けるも、気絶しているのかピクリとも動かない。
「皆…………お願い目を覚まして!」
「サタニア様ー…………」
「ひゃ!!?」
すると遠くの方から、クロウトの声が聞こえて来る。だがその声はいつものクロウトらしくなかった。
「見つけましたよー!!」
「クロウト…………」
服は乱れ、あられもない姿で常に左右に揺れる動作をして、近づいて来た。何故このような事になってしまったか、それはシーラが言ったある一言が、事件の発端である。
***
「料理がしたい!!」
「「「「「えっ?」」」」」
ある日の事、サタニア達がいつもの様に食事を楽しんでいると何を思い立ったかシーラは、料理がしたいと声を張り上げた。
「シーラちゃん……今何て?」
「私も料理をしてみたいんだ!」
「どうしてですか?」
「この前、魔王様が初めて料理する姿を拝見して、私も誰かの為に料理を作ってみたいと思ったんだ!」
純粋な思い。誰かの為に料理を振る舞いたいというシーラの願いに、サタニア達の顔が綻ぶ。
「だ、駄目でしょうか魔王様…………」
「ううん、そんな風に誰かの為に何かをしたいっていう気持ち、凄く分かるよ。…………あ、それなら折角だし、明日皆で料理対決しない?」
「「「「「料理対決?」」」」」
突然、料理対決を提案するサタニアに疑問が頭から離れない。
「僕達六人それぞれが、料理に挑戦して誰の料理が一番美味しいのか決めるんだ!料理の腕も上がるし、もしかしたら意外な発見があるかもしれないよ!皆はどう思う?」
「あら、面白そうねぇ…………久し振りに腕を振るっちゃおうかしら?」
「仕方ないですね~、人肌脱ぐとしましょうか」
「マオウサマノ、メイレイハゼッタイ…………」
「では私は、食材の準備に取り掛からせて頂きます」
「よーし、それじゃあ明日全員調理室に集合ね!」
「「「「「はい!」」」」」
そうして第一回、魔王城料理対決が開催される事となった。
***
「さて…………皆あつまったかな?」
魔王城調理室。サタニアとの約束通り、四天王全員が料理の腕を競い合う為に集まった。
「準備万端よ!」
「いつでも大丈夫ですよ~」
「リョウリ、ハカイスル」
「初めての料理だ…………!」
各々が自信を胸に掲げ、気合い十分になっていた。
「そうだ、始める前に皆にお知らせしておくね。今回の料理対決、一番は誰にするか決める人がいないと成立しないから、急遽クロウトに審査員をしてもらう事になったよ!」
「…………サタニア様であろうと、平等な審査をさせて頂きます」
クロウトが審査員であるならば、安心して任せられる。そう思った四人はサタニアの方を向き直した。
「それでは、料理対決を始めようか」
「ちょっと待って、魔王ちゃん」
「ん、どうしたの?」
気持ちよく、料理対決開始の合図を出そうと右手を挙げるサタニアに、アルシアが待ったを掛ける。
「作る料理のテーマは決まっているの?卵料理とか、肉料理とか、魚料理とか…………」
「ああ、それなら“自由”がテーマだよ」
「“自由”…………これまた難題ね」
「他に質問したい人はいる?」
「「「「…………」」」」
「いないね。それじゃあ改めて…………」
サタニアが再び右手を挙げる。そして、勢いよく振り下ろし開始の合図を送る。
「第一回魔王城料理対決……始め!!」
その言葉を機にそれぞれが一斉に、調理を開始した。
「華麗なる料理捌きをお見せするわ!」
「~~~♪~~♪~~~♪」
「タタイテツブス、タタイテツブス!」
「え、ええっと、最初に何をすればいいんだっけ?」
黙々と料理を始める者は大丈夫だろうが、何から初めて良いのかさえ分からない者などは、苦労しそうだなとクロウトは思った。
「よし、皆順調に作っているみたいだね…………そろそろ僕も調理に取りかからないと」
開始を宣言したサタニア自身も、調理を始めるのであった。
「うーん、やっぱり“自由”って言うのが今回の料理を作る上でのキーポイントよね…………それなら“あれ”を作ろうかしら?」
「~~~♪~~♪~~~♪、料理に大切なのはそれを楽しむ事、調理が楽しければ自然と料理も美味しくなるでしょう~」
アルシアは、サタニアが提示したテーマである“自由”という言葉を下に、料理を作り上げていく。エジタスは、心のままに自分自身の感性で作り上げていく。
「ナゲル、ソシテナゲル!!」
「サラダ油?オリーブオイル?どっちも同じ油だろ?」
ゴルガは何やら肉の塊を左右の手を使って、投げ合っていた。手でキャッチする度に肉の塊は、物凄い強さで押し潰されていた。そして料理をしてみたいと言っていたシーラは、油が二種類ある事に困惑していた。
「えっと、ここで味噌を入れて…………茸は…………」
サタニアは慣れた手捌きで、淡々と料理を作っていく。それぞれが悪戦苦闘しながらも、料理に情熱を注いでいた。
「…………出来た!!」
そして早くも一人目の完成者が現れるのであった。
サタニアは独り言を呟いた。外では天候が荒れており、時々雷が落ちて来る。
「シーラ…………!」
「…………」
「ゴルガ…………!」
「…………」
「アルシア…………!」
「…………」
「エジタス…………!」
「…………」
電気が切れているのか部屋は薄暗く、雷が落ちて来る度に一瞬明るくなり、現状を確認できる。しかしそれはあまりにも悲惨な光景であった。シーラ、ゴルガ、アルシア、エジタスの四人が倒れていた。サタニアが必死に声を掛けるも、気絶しているのかピクリとも動かない。
「皆…………お願い目を覚まして!」
「サタニア様ー…………」
「ひゃ!!?」
すると遠くの方から、クロウトの声が聞こえて来る。だがその声はいつものクロウトらしくなかった。
「見つけましたよー!!」
「クロウト…………」
服は乱れ、あられもない姿で常に左右に揺れる動作をして、近づいて来た。何故このような事になってしまったか、それはシーラが言ったある一言が、事件の発端である。
***
「料理がしたい!!」
「「「「「えっ?」」」」」
ある日の事、サタニア達がいつもの様に食事を楽しんでいると何を思い立ったかシーラは、料理がしたいと声を張り上げた。
「シーラちゃん……今何て?」
「私も料理をしてみたいんだ!」
「どうしてですか?」
「この前、魔王様が初めて料理する姿を拝見して、私も誰かの為に料理を作ってみたいと思ったんだ!」
純粋な思い。誰かの為に料理を振る舞いたいというシーラの願いに、サタニア達の顔が綻ぶ。
「だ、駄目でしょうか魔王様…………」
「ううん、そんな風に誰かの為に何かをしたいっていう気持ち、凄く分かるよ。…………あ、それなら折角だし、明日皆で料理対決しない?」
「「「「「料理対決?」」」」」
突然、料理対決を提案するサタニアに疑問が頭から離れない。
「僕達六人それぞれが、料理に挑戦して誰の料理が一番美味しいのか決めるんだ!料理の腕も上がるし、もしかしたら意外な発見があるかもしれないよ!皆はどう思う?」
「あら、面白そうねぇ…………久し振りに腕を振るっちゃおうかしら?」
「仕方ないですね~、人肌脱ぐとしましょうか」
「マオウサマノ、メイレイハゼッタイ…………」
「では私は、食材の準備に取り掛からせて頂きます」
「よーし、それじゃあ明日全員調理室に集合ね!」
「「「「「はい!」」」」」
そうして第一回、魔王城料理対決が開催される事となった。
***
「さて…………皆あつまったかな?」
魔王城調理室。サタニアとの約束通り、四天王全員が料理の腕を競い合う為に集まった。
「準備万端よ!」
「いつでも大丈夫ですよ~」
「リョウリ、ハカイスル」
「初めての料理だ…………!」
各々が自信を胸に掲げ、気合い十分になっていた。
「そうだ、始める前に皆にお知らせしておくね。今回の料理対決、一番は誰にするか決める人がいないと成立しないから、急遽クロウトに審査員をしてもらう事になったよ!」
「…………サタニア様であろうと、平等な審査をさせて頂きます」
クロウトが審査員であるならば、安心して任せられる。そう思った四人はサタニアの方を向き直した。
「それでは、料理対決を始めようか」
「ちょっと待って、魔王ちゃん」
「ん、どうしたの?」
気持ちよく、料理対決開始の合図を出そうと右手を挙げるサタニアに、アルシアが待ったを掛ける。
「作る料理のテーマは決まっているの?卵料理とか、肉料理とか、魚料理とか…………」
「ああ、それなら“自由”がテーマだよ」
「“自由”…………これまた難題ね」
「他に質問したい人はいる?」
「「「「…………」」」」
「いないね。それじゃあ改めて…………」
サタニアが再び右手を挙げる。そして、勢いよく振り下ろし開始の合図を送る。
「第一回魔王城料理対決……始め!!」
その言葉を機にそれぞれが一斉に、調理を開始した。
「華麗なる料理捌きをお見せするわ!」
「~~~♪~~♪~~~♪」
「タタイテツブス、タタイテツブス!」
「え、ええっと、最初に何をすればいいんだっけ?」
黙々と料理を始める者は大丈夫だろうが、何から初めて良いのかさえ分からない者などは、苦労しそうだなとクロウトは思った。
「よし、皆順調に作っているみたいだね…………そろそろ僕も調理に取りかからないと」
開始を宣言したサタニア自身も、調理を始めるのであった。
「うーん、やっぱり“自由”って言うのが今回の料理を作る上でのキーポイントよね…………それなら“あれ”を作ろうかしら?」
「~~~♪~~♪~~~♪、料理に大切なのはそれを楽しむ事、調理が楽しければ自然と料理も美味しくなるでしょう~」
アルシアは、サタニアが提示したテーマである“自由”という言葉を下に、料理を作り上げていく。エジタスは、心のままに自分自身の感性で作り上げていく。
「ナゲル、ソシテナゲル!!」
「サラダ油?オリーブオイル?どっちも同じ油だろ?」
ゴルガは何やら肉の塊を左右の手を使って、投げ合っていた。手でキャッチする度に肉の塊は、物凄い強さで押し潰されていた。そして料理をしてみたいと言っていたシーラは、油が二種類ある事に困惑していた。
「えっと、ここで味噌を入れて…………茸は…………」
サタニアは慣れた手捌きで、淡々と料理を作っていく。それぞれが悪戦苦闘しながらも、料理に情熱を注いでいた。
「…………出来た!!」
そして早くも一人目の完成者が現れるのであった。
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