笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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第八章 冒険編 狂乱の王子ヴァルベルト

対峙する脅威

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 捕まってしまったハナコを助けるべく、真緒達はヴァルベルトの城を走り回っていた。



 「それで、マオ」



 「何ですか?」



 「お前、ハナコが何処に捕らえられているのか分かっているのか?」



 「あっ…………」



 ハッとした様子で、動きを止める真緒。



 「はぁー、またか…………」



 「前にも似た様な事がありましたよね」



 「ご、ごめん…………」



 考えるよりも先に、体が動いてしまう。とても頼りになるが、それはちゃんと目的の場所を分かっている時だけに限る。



 「取り敢えず、外に出て見るか……外から見てみれば何か分かるかもしれない」



 「そうですね、まずはそこを目指しましょう」



 目的の場所が分からない以上、どうする事も出来ない。そこで真緒達は、一旦外へと出る事とした。







***







 「さて……外に出たは良いが、霧が濃くて何も見えない」



 真緒達は城の外へと出て、ハナコが何処に捕まっているのか確かめ様とするが、霧が濃くて中々見れなかった。



 「いったいどの部屋にいるんだ?」



 「しかし……改めて見るとやっぱり大きいですね……」



 リーマは、城を眺めながら呟く。



 「ああ……こんな城を建てるのには、相当な人手が必要の筈だ」



 ヴァルベルトの城は、端から見てもその大きさがどれ程の物かが見受けられた。



 「でも、城の中にはヴァルベルトさんとエルさんの二人しかいませんでしたよね?」



 「ああ……いったいどうやって……」



 「……いいぞ、閉めろ」



 その瞬間、先程まで開いていた城の扉が勝手に閉じてしまった。



 「な、何!?」



 「あ、開きません!!」



 「そんな、閉め出されたって事!?」



 リーマが必死に扉を開けようとするが、ビクともしなかった。



 「やぁ、君達……」



 「「「!!?」」」



 「ヴァルベルトさん……」



 突如、後ろから声が聞こえ振り返る真緒達。その目線の先には、ヴァルベルトがいた。しかしその目は初めて会った時のものでは無く、暗く冷たい殺意を持った目であった。



 「お帰りはあちらだぞ……」



 ヴァルベルトが城とは反対の方に指を指すと、奥の方の深かった霧が徐々に晴れて行き、明るい外の景色が見えて来た。



 「私達は、ハナちゃんを返して貰うまで帰りません!!」



 「あんたが拐ったのは分かっている。今すぐ、解放して欲しい」



 「…………悪いがそれは出来ない」



 予想通りの返答。しかし、真緒達には切り札がある。



 「エルさんの為ですよね……?」



 「!!……気付いていたのか…………」



 「はい、ヴァルベルトさん……これ以上、エルさんを悲しませないで下さい!エルさんは……」



 「黙れ!!!」



 真緒が説明しようとするが、ヴァルベルトがそれを怒鳴り声で遮る。顔に掌を押さえ付け、心を落ち着かせる。



 「どうせ、エルはそんな事を望んでないと言いたいのだろう!?だがこれは我が勝手にやっている事だ、彼女と一緒に居られる。それだけで幸せなのだ、放っておいてくれ!!」



 「違うんです、ヴァルベルトさん!!話を聞いて下さい!!」



 「貴様らの話など聞く価値は無い!!我の邪魔立てをしようと言うのなら、ここで始末してくれる!!!」



 そう言うとヴァルベルトは、飛び上がり城の上へと姿を消した。それが合図だったのか、途端に辺りがざわめき始めた。



 「な、何の音!?」



 まるで、何百人という人がいるみたいに騒がしくなって来た。



 「貴様らは罠に掛かったのだよ……我の眷属達に八つ裂きにされるがいい」



 濃い霧の中、ヴァルベルトの声が響く。すると段々視界が慣れて来たのか、周りが見える様になる。



 「囲まれているな…………」



 「「こ、これは……!!?」」



 見渡す限り、生気を失い赤い目をした者達が真緒達を取り囲んでいた。



 「あー……あー……」



 「「ゾ、ゾンビーーー!!?」」



 目は虚ろ、口からは涎を出し、よろよろとこちらに近づいて来た。



 「そいつらは、エルの生け贄として死んでいった者達だ。それを我が眷属化の力を使い、ゾンビとして甦らせた。まぁ、元々死んでいた関係もあり知性には乏しく簡単な命令しか聞けないがな……」



 「こんなに沢山……いったいどの位の数を生け贄にしたんですか……?」



 「…………軽く見積もっても、約百人位だな」



 「「「!!!」」」



 百人。それは真緒達にとって途方も無い数だった。今までの個人では無い団体での戦闘、真緒達の体に緊張が走る。



 「これも貴様らが下した決断だ。身を持って味わうがいい……ラミー、トサリ、そろそろ生け贄の準備に取り掛かる。玉座の間へと急ぐぞ」



 「かしこまりました」



 「はいはーい、かしこまりました」



 バタン、という扉の閉まる音が上からすると、ヴァルベルトの気配がしなくなった。



 「……二人供、聞いた?」



 「ああ、勿論だ」



 「バッチリです!」



 百人のゾンビに囲まれている真緒達だが、その顔は希望に満ち溢れていた。



 「さて……約百人のゾンビ……勝てると思う?」



 「勝てると思うじゃなくて……“勝つ”だろ?」



 「ふふふ、そうだね」



 当たり前の事を言われ、思わず笑みを見せる真緒。



 「マオさん、そろそろ行きましょうか」



 「うん!!」



 マオ、リーマ、フォルスはそれぞれ武器を構える。



 「あー……あー……」



 「それじゃあ、さっさと片付けてハナちゃんを助けに行くよ!!」



 「「了解!!」」



 真緒パーティーVS百体ゾンビの戦いの幕が切って落とされた。
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