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第十章 冒険編 魔王と勇者
勇者 VS 勇者(中編)
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「同時詠唱!!?」
真緒達の戦いを見届けていたリーマが聖一の魔法を見た途端、驚きの声をあげた。
「あ、あり得ません!!」
「リーマ……あの魔法はそんなに凄い魔法なのか?形状を変化させるのなんて、いつもやっているじゃないか?」
リーマの異常な驚きに、フォルスはいまいち理解出来ておらず、思わず問い掛けた。
「魔法自体は……そこまでは凄くはありません。しかし、問題なのは魔法を唱えた時の状況です」
「状況…………?」
「本来……魔法は一種類しか唱える事が出来ません。それは魔力を魔法に変換するという情報量から脳が耐えきれなくなってしまうからです。私の様に一回間を空けてから、次の魔法を唱えるのであれば話は別ですが…………あの人はたった今その常識を覆したんです!」
人間は二つの行動を一度に行う事は出来ない。行おうとすれば、必ずどちらか一方が疎かになってしまう。しかし聖一はそれを凌駕し、二つの異なる魔法を一度に唱えたのだ。
「あぁ……君は確か魔法使いだったね。この位の芸当、僕なら余裕なんだよ」
「あ、あなたは本当に人間なのですか?」
「人間だよ。只、君達と違いがあるとすれば僕は完璧な人間なのさ」
あくまで完璧を強調する聖一に、リーマは恐怖を感じた。
「おっと、無駄話が過ぎてしまったね。それじゃあ再開しようか……」
そう言うと聖一はフレイムショーテル、アクアグラディウス、二つの剣を握り締めて真緒に顔を向ける。
「スキル“パーフェクト”」
「!!」
その瞬間、聖一の全身が黄金色に輝き始めた。それに対して真緒は、純白の剣を縦に構える。
「“純白の剣”!!」
すると真緒の剣が真っ白に光輝き始め、聖一の全身を包んでいた黄金色が徐々にその光を失った。
「油断も隙もありませんね……」
「ははは、やっぱり駄目か。その剣がある限り僕は素のステータスで、君と戦わないといけない様だね」
聖一は自慢のパーフェクトが使えない事を確認すると、改めて真緒に剣を構える。
「それじゃあ今度こそ……行くよ!」
聖一は真緒との距離を一瞬で詰め、アクアグラディウスで斬り掛かって来た。
「はぁあああ!!」
しかしそこは、幾度の戦いを掻い潜って来た真緒。斬り掛かる聖一のアクアグラディウスを盾で防いだ。
「…………ふっ」
「!?」
しかし、聖一は不適な笑みを浮かべてもう片方のフレイムショーテルで盾をかわして、直接真緒に命中させた。
「ああああ!!!」
炎で形成された武器で斬られた為、肉の焼け焦げる臭いがする。元々ショーテルは盾をかわして攻撃を行う為の形状をしており、聖一はわざとアクアグラディウスで防がせてから、本命のフレイムショーテルで真緒を直接狙った。
「こ、この!!」
真緒は痛みに耐えながら、純白の剣でフレイムショーテルを弾いた。
「隙ありです!!」
フレイムショーテルを弾いた事により、聖一の体制が崩れた。絶好のチャンスと真緒は聖一に目掛けて、剣を突き刺した。
「いや、残念だが……僕に隙なんて無いよ」
「!!!」
しかしその剣は、聖一に届く事は無かった。聖一はアクアグラディウスの刀身を丸い盾に変形させて、真緒の攻撃を包み込んでいた。
「そ、そんな…………」
「悪いね、これが現実だよ!!」
「がぁ!!?」
攻撃を防がれた事により、動揺して隙を見せてしまった真緒。聖一はその一瞬の隙を突いて、真緒の腹に重たい蹴りを叩き込んだ。
「う……うぅ……」
重たい一撃を貰い、真緒は思わずその場に踞ってしまう。
「まぁ、僕が本気を出したから結果は分かりきっていたけどね」
そんな真緒を見下ろしながら、聖一はフレイムショーテルを真緒に突き立てる。
「僕の勝ちだ」
「!!!」
踞っていた真緒だったが、顔を上げて聖一を睨むと純白の剣でフレイムショーテルを弾き、背後に跳んで聖一から離れた。
「ま、まだ私は……負けていません!!」
「真緒さん……往生際が悪いよ……いい加減諦めてくれないか……」
「聖一さん、言いましたよね?勝ったら……って……勝負の勝ち負けを決めるのは私達ではありません……それを見ている人達です!!」
そう言うと真緒は、終始戦いを見届けていた者達に目線を向ける。
「マオさん、まだまだ行けますよ!!」
「勝てる可能性は十分に残されているぞ!!」
「マオぢゃん、頑張るだよぉ!!」
「マオさ~ん、あなたの力はその程度では無い筈ですよ~」
リーマ、フォルス、ハナコ、エジタスの四人はマオが勝つ事を信じて疑わない。
「さっさと負けを認めろ!!」
「真緒……これ以上あんたの辛そうな顔は見たくないんだ……」
「セイイチ様なら、簡単に倒せますよ」
反対に愛子、舞子、シーリャの三人は真緒が負ける事を信じて疑わない。
「四対三…………数的にも私はまだ負けていません!!」
「…………」
この時初めて、聖一の顔から笑みが消えて表情が暗くなった。
「真緒さん、ふざけるのもいい加減にしてくれ…………君が言ってるのは単なる子供の我が儘だ……他の皆が認めていないから負けを認めない?それなら、そう考えるのが馬鹿馬鹿しくなる位、完璧な敗北を味わわせてあげるよ!!」
そう言うと聖一は、アクアグラディウスを構えながら真緒に斬り掛かる。
「…………」
迫り来る聖一に対して真緒は、再び盾でアクアグラディウスの攻撃を防いだ。
「残念だったね真緒さん!何度やっても結局結果は同じなのさ!!」
聖一は再びフレイムショーテルで、盾をかわして直接真緒に攻撃しようとする。
「…………えっ?」
しかし、聖一のフレイムショーテルは盾をかわせず弾かれてしまった。
「今度こそ隙ありです!!」
「ぐっ…………!!」
弾かれてしまった事に驚いていると、その隙を突いた真緒の斬撃が聖一に見事命中した。
「な、何故……盾はかわした筈なのに……!?」
斬られて出血した箇所を押さえ、聖一は何故弾かれたのか原因を探る。すると、真緒の持っていた盾が鈍いながらも銀色に輝いていた。
「そ、その盾は…………?」
「実はこの盾は少し特殊なんです……自分のステータスを捧げた分だけその防御力が増す仕組みなんです。先程の聖一さんの攻撃も、私に触れるより先にこの盾が少し触れた事で弾きました。防御力が増すだけでここまで違うだなんて……正直私も驚きました」
生け贄の盾。真緒に残された最後の希望。メリットよりもデメリットが大きいこの盾に真緒は全てを賭けた。そして、見事その賭けに打ち勝った。
「ステータスを捧げる事による防御力上昇…………因みに何を捧げたんだい…………?」
「“AGI”……俊敏性を全て捧げました……」
「!!……正気かい!?それじゃあ君は…………」
「しばらくの間は、一歩動くのも一苦労でしょうね…………」
「…………」
ステータスは、その人の身体能力に関わる。その一部を全て捧げるなど常識では考えられない。
「でも関係ありません……これからは私と聖一さんの斬る斬られるの泥仕合です……女だからって手加減しないで下さいよ……」
「君って奴は…………正真正銘の大馬鹿者だよ…………」
真緒と聖一の戦いは最終局面を迎える事となった。
真緒達の戦いを見届けていたリーマが聖一の魔法を見た途端、驚きの声をあげた。
「あ、あり得ません!!」
「リーマ……あの魔法はそんなに凄い魔法なのか?形状を変化させるのなんて、いつもやっているじゃないか?」
リーマの異常な驚きに、フォルスはいまいち理解出来ておらず、思わず問い掛けた。
「魔法自体は……そこまでは凄くはありません。しかし、問題なのは魔法を唱えた時の状況です」
「状況…………?」
「本来……魔法は一種類しか唱える事が出来ません。それは魔力を魔法に変換するという情報量から脳が耐えきれなくなってしまうからです。私の様に一回間を空けてから、次の魔法を唱えるのであれば話は別ですが…………あの人はたった今その常識を覆したんです!」
人間は二つの行動を一度に行う事は出来ない。行おうとすれば、必ずどちらか一方が疎かになってしまう。しかし聖一はそれを凌駕し、二つの異なる魔法を一度に唱えたのだ。
「あぁ……君は確か魔法使いだったね。この位の芸当、僕なら余裕なんだよ」
「あ、あなたは本当に人間なのですか?」
「人間だよ。只、君達と違いがあるとすれば僕は完璧な人間なのさ」
あくまで完璧を強調する聖一に、リーマは恐怖を感じた。
「おっと、無駄話が過ぎてしまったね。それじゃあ再開しようか……」
そう言うと聖一はフレイムショーテル、アクアグラディウス、二つの剣を握り締めて真緒に顔を向ける。
「スキル“パーフェクト”」
「!!」
その瞬間、聖一の全身が黄金色に輝き始めた。それに対して真緒は、純白の剣を縦に構える。
「“純白の剣”!!」
すると真緒の剣が真っ白に光輝き始め、聖一の全身を包んでいた黄金色が徐々にその光を失った。
「油断も隙もありませんね……」
「ははは、やっぱり駄目か。その剣がある限り僕は素のステータスで、君と戦わないといけない様だね」
聖一は自慢のパーフェクトが使えない事を確認すると、改めて真緒に剣を構える。
「それじゃあ今度こそ……行くよ!」
聖一は真緒との距離を一瞬で詰め、アクアグラディウスで斬り掛かって来た。
「はぁあああ!!」
しかしそこは、幾度の戦いを掻い潜って来た真緒。斬り掛かる聖一のアクアグラディウスを盾で防いだ。
「…………ふっ」
「!?」
しかし、聖一は不適な笑みを浮かべてもう片方のフレイムショーテルで盾をかわして、直接真緒に命中させた。
「ああああ!!!」
炎で形成された武器で斬られた為、肉の焼け焦げる臭いがする。元々ショーテルは盾をかわして攻撃を行う為の形状をしており、聖一はわざとアクアグラディウスで防がせてから、本命のフレイムショーテルで真緒を直接狙った。
「こ、この!!」
真緒は痛みに耐えながら、純白の剣でフレイムショーテルを弾いた。
「隙ありです!!」
フレイムショーテルを弾いた事により、聖一の体制が崩れた。絶好のチャンスと真緒は聖一に目掛けて、剣を突き刺した。
「いや、残念だが……僕に隙なんて無いよ」
「!!!」
しかしその剣は、聖一に届く事は無かった。聖一はアクアグラディウスの刀身を丸い盾に変形させて、真緒の攻撃を包み込んでいた。
「そ、そんな…………」
「悪いね、これが現実だよ!!」
「がぁ!!?」
攻撃を防がれた事により、動揺して隙を見せてしまった真緒。聖一はその一瞬の隙を突いて、真緒の腹に重たい蹴りを叩き込んだ。
「う……うぅ……」
重たい一撃を貰い、真緒は思わずその場に踞ってしまう。
「まぁ、僕が本気を出したから結果は分かりきっていたけどね」
そんな真緒を見下ろしながら、聖一はフレイムショーテルを真緒に突き立てる。
「僕の勝ちだ」
「!!!」
踞っていた真緒だったが、顔を上げて聖一を睨むと純白の剣でフレイムショーテルを弾き、背後に跳んで聖一から離れた。
「ま、まだ私は……負けていません!!」
「真緒さん……往生際が悪いよ……いい加減諦めてくれないか……」
「聖一さん、言いましたよね?勝ったら……って……勝負の勝ち負けを決めるのは私達ではありません……それを見ている人達です!!」
そう言うと真緒は、終始戦いを見届けていた者達に目線を向ける。
「マオさん、まだまだ行けますよ!!」
「勝てる可能性は十分に残されているぞ!!」
「マオぢゃん、頑張るだよぉ!!」
「マオさ~ん、あなたの力はその程度では無い筈ですよ~」
リーマ、フォルス、ハナコ、エジタスの四人はマオが勝つ事を信じて疑わない。
「さっさと負けを認めろ!!」
「真緒……これ以上あんたの辛そうな顔は見たくないんだ……」
「セイイチ様なら、簡単に倒せますよ」
反対に愛子、舞子、シーリャの三人は真緒が負ける事を信じて疑わない。
「四対三…………数的にも私はまだ負けていません!!」
「…………」
この時初めて、聖一の顔から笑みが消えて表情が暗くなった。
「真緒さん、ふざけるのもいい加減にしてくれ…………君が言ってるのは単なる子供の我が儘だ……他の皆が認めていないから負けを認めない?それなら、そう考えるのが馬鹿馬鹿しくなる位、完璧な敗北を味わわせてあげるよ!!」
そう言うと聖一は、アクアグラディウスを構えながら真緒に斬り掛かる。
「…………」
迫り来る聖一に対して真緒は、再び盾でアクアグラディウスの攻撃を防いだ。
「残念だったね真緒さん!何度やっても結局結果は同じなのさ!!」
聖一は再びフレイムショーテルで、盾をかわして直接真緒に攻撃しようとする。
「…………えっ?」
しかし、聖一のフレイムショーテルは盾をかわせず弾かれてしまった。
「今度こそ隙ありです!!」
「ぐっ…………!!」
弾かれてしまった事に驚いていると、その隙を突いた真緒の斬撃が聖一に見事命中した。
「な、何故……盾はかわした筈なのに……!?」
斬られて出血した箇所を押さえ、聖一は何故弾かれたのか原因を探る。すると、真緒の持っていた盾が鈍いながらも銀色に輝いていた。
「そ、その盾は…………?」
「実はこの盾は少し特殊なんです……自分のステータスを捧げた分だけその防御力が増す仕組みなんです。先程の聖一さんの攻撃も、私に触れるより先にこの盾が少し触れた事で弾きました。防御力が増すだけでここまで違うだなんて……正直私も驚きました」
生け贄の盾。真緒に残された最後の希望。メリットよりもデメリットが大きいこの盾に真緒は全てを賭けた。そして、見事その賭けに打ち勝った。
「ステータスを捧げる事による防御力上昇…………因みに何を捧げたんだい…………?」
「“AGI”……俊敏性を全て捧げました……」
「!!……正気かい!?それじゃあ君は…………」
「しばらくの間は、一歩動くのも一苦労でしょうね…………」
「…………」
ステータスは、その人の身体能力に関わる。その一部を全て捧げるなど常識では考えられない。
「でも関係ありません……これからは私と聖一さんの斬る斬られるの泥仕合です……女だからって手加減しないで下さいよ……」
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