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第十章 冒険編 魔王と勇者
真緒パーティー VS 四天王エジタス
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「し、師匠…………な、何を言っているんですか……?」
真緒達は、エジタスの突然の告白に理解が追い付いていなかった。
「エジタスさんが……四天王……?」
「ぞ、ぞんな…………」
「じょ、冗談ですよね……いつもの様に私達を、笑わせようとしているだけですよね?」
真緒達は信じられなかった。いや、信じたくなかった。今まで、一緒に旅をしていたエジタスが自分達を騙していたという事を、素直に受け入れられる訳が無いのだ。
「……残念ながら本当の事ですよ~。私こそが、皆さんの捜そうとしていた新しく着任した四天王なので~す」
「……本当に……師匠が…………」
エジタスが突き付けた現実は、真緒達にとってあまりにも重たく受け止められる物では無かった。
「この際です、全てをお話ししましょう…………元々私は、勇者を監視する為に魔王城から派遣されて来たのです」
「!!……そんな……それじゃあ、師匠が私に声を掛けたのは……」
「後々、私達の脅威になるかもしれないと感じたからです」
「そんな……そんなのって…………」
残酷な真実に、真緒は何も考えられなくなり思わず俯いてしまった。
「さて、こうして全てを話終えたという事で……そろそろ始めましょうか?」
「えっ……な、何を…………?」
「決まっているじゃないですか~。私と皆さんの本気の殺し合いですよ~」
「「「「!!!」」」」
殺し合いと聞いて、真緒達は驚きの表情を隠せなかった。
「で、出来ません!!」
「??」
「師匠と殺し合う事なんて出来ません!!」
「俺も、エジタスさんと殺し合う事は出来ない」
「オラも…………エジタスざんど殺じ合うのは嫌だぁ……」
「ずっと一緒に旅して来た人と、殺し合う事なんて……私には出来ません!!」
真緒達の想いは一つだった。苦楽を共にして来たエジタスと、殺し合う事など出来る筈も無かった。
「う~ん、そうは言いますけどね……私自身、戦って貰わないと困るのですよ~。この光景を魔王様がご覧になっていますからね~」
「「「「!!?」」」」
その時、真緒達は聞き捨てならない言葉を聞いた。
「えぇ、声は聞こえていませんが私達の今の姿を玉座の間でご覧になっている筈ですよ~」
***
魔王城玉座の間。エジタスの言う通り、サタニア達は真緒達とエジタスの様子をスキル“千里眼”で確認していた。
「……あれが、エジタスの話していた勇者マオ…………」
「見た目は、只の子供にしか見えませんね」
「でも、内から湧き出る強さはここからでも伝わるわ」
「アレガユウシャ……マオウサマノテキ……」
「エジタス……あんたの戦い、見届けさせて貰うよ」
サタニア達は真緒達とエジタスの戦いを、食い入る様に観戦する。
「エジタス、頑張れー!」
音声が聞こえなければ、当然応援する声も届かないのだが、それでもサタニアは応援しなければ気が済まなかった。
***
「そう言う訳ですので、戦いましょうか」
「……それは出来ません!」
「強情ですね~。私は皆さんを騙していたんですよ~?ここは、怒りに身を任せて私と戦うのが普通ですよ~?」
頑として、エジタスと戦うのを拒む真緒達。何故そこまでして戦わないのか、エジタスは不思議で堪らなかった。
「確かに……師匠が私達を騙していたのは、とても悲しいです……ですが、例え騙していたとしても師匠が取った行動は、結果的に私達を成長させてくれました。師匠が意図していなかったとしても、私達は師匠に感謝しています……だから……そんな大切な人と戦う事は出来ません!」
「…………他の皆さんも同じ気持ちなのですか…………?」
エジタスの問いに、他の三人も静かに頷いた。
「そうですか……それなら……」
そう言うとエジタスはパチンと指を鳴らした。その瞬間、エジタスの姿が一瞬で消え真緒の背後に現れた。
「こちらが、一方的に攻撃させて頂きましょう……」
「「「「!!?」」」」
完全に不意を突かれた。真緒が振り返るよりも早く、エジタスの持つ食事用ナイフが真緒の首筋に目掛けて斬り掛かった。
「マオーーー!!!」
しかしここで、フォルスが捨て身の覚悟で真緒を突き飛ばし、代わりに自分が斬られた。
「ぐぁあああ!!!」
「フォルスさん!!」
真緒との身長に差があったお陰で、フォルスは首筋を斬られずに胸を斬られた。だがそれでも出血量はかなりの物だった。
「おやおや、仲間を身を挺して守るとは……フォルスさん、あなたは人助けの鏡ですね~」
「フォルスさん、大丈夫ですか!?」
「き、気にするな……この位……かすり傷さ……」
「フォルスさん、ポーションを用意しました!」
「す、すまないリーマ…………」
リーマからポーションを受け取ったフォルスは、一気に飲み干した。するとみるみる内に斬られた傷が癒えていった。
「さぁ、マオさん。これであなたも戦う気が起きましたでしょ?これ以上、仲間が傷つくのは見てられませんよね?なら戦いましょう!」
「師匠も……仲間です」
「…………」
仲間が傷つけば、さすがの真緒でも戦う気になるであろうとエジタスは思っていたのだが、それは失敗だった。真緒はフォルスを傷つけたエジタスに対して、仲間だと主張した。
「どうやら……“おかわり”が欲しい様ですね」
そう言うとエジタスは、パチンと指を鳴らした。再びエジタスの姿が一瞬で消え、今度は真緒の真横に現れた。エジタスはそのまま真緒の首筋を狙って、食事用ナイフで斬り掛かった。
「マオぢゃん!!」
すると今度はハナコが、捨て身の覚悟でエジタスの前に飛び出した。ハナコは不壊のガントレットでエジタスの攻撃を弾いた。
「何どが間に合っ………!!?」
しかし、弾いたと同時にエジタスの鋭い蹴りが、ハナコの腹部に叩き込まれる。
「ハナちゃん!!」
「ハナコさん!大丈夫ですか!?」
「あ……ああ……!!」
真緒達がハナコの安否を心配する。ハナコは蹴られた腹部を押さえて、必死に痛みに耐えていたが蹴りがあまりに強かったのか、内出血を起こして赤く変色していた。
「ハナコさん、ポーションを用意しました!」
「あ、ありがどうだぁ……」
リーマからポーションを受け取ったハナコは、一気に飲み干した。すると内出血で赤くなっていた腹部が瞬く間に治った。
「ほらほら~、マオさんが戦わないから仲間がどんどん傷ついてしまっていますよ~?」
「皆……ごめん……」
「……何言っているんだマオ、俺達はお前が戦わない事を望んでいるんだ」
「ぞうだよぉ……マオぢゃんの悲じい顔は見だぐ無いがら、戦わなぐでいいだぁ……」
「私達も、エジタスさんと戦う事は出来ません……」
真緒が戦わない事で、仲間達が傷ついてしまったが当の本人達は気にしていなかった。寧ろ戦わない事に同意すらしている。
「…………そうですか……そこまでして、私と戦う事を拒みますか……どうやら……どなたか一人殺さないと戦う気にならない様ですね」
「「「「!!!」」」」
エジタスが“殺す”と言うと、指をパチンと鳴らして一瞬で姿を消した。そして次の瞬間、リーマの目の前に現れた。
「!!“ウォーター……”がぁあ!!?」
突然目の前に現れたエジタスに対して、リーマは魔法を唱えようとするがエジタスの左手が喉元を掴んで締め上げて来た。息が出来ず、苦しみもがく。
「さようなら……魔法使いさん」
そう言うとエジタスは、右手に持った食事用ナイフを振り上げて、そのまま突き刺そうと振り下ろした。
「スキル“ロストブレイク”!!」
「!!!」
しかし、食事用ナイフがリーマに突き刺さる瞬間、真緒の放った渾身の一撃がエジタスに叩き込まれる。強烈な一撃を受けたエジタスは勢い良く吹き飛び、壁に激突して破壊した。
「ゲホッ!!ゲホッ!!ゲホッ!!」
「リーマ!大丈夫!!?」
真緒はリーマの安否を心配して駆け寄る。リーマは、空気を取り込もうと咳をしていた。
「た、助けてくれて……あ、ありがとう……ごさいます……」
「無事で良かった…………」
命に別状は無いと分かり、真緒はホッと一安心した。しかし、仲間達が傷つき動けなくなった事で、実質真緒一人だけになってしまった。すると崩れた壁の瓦礫が動き、中から無傷のエジタスが出て来た。
「マオさ~ん!素晴らしい、素晴らしいですよ~!!それで良いのです!あなたは只、仲間の命を脅かす目の前の存在を倒せば良いのです!!」
「師匠…………」
エジタスは、真緒が攻撃した事で嬉しそうに喜び、両手を広げて近づいて来る。
「私が……私が師匠を止めます!これ以上、師匠に命を奪わせはしません!!」
覚悟を決めて、真緒は尊敬する人に……愛する人に……剣を構えた。
「良いですね~!それでは始めましょうか!師匠と弟子の戦いを!!」
師匠と弟子、二人の本気の殺し合いが幕を上げた。
真緒達は、エジタスの突然の告白に理解が追い付いていなかった。
「エジタスさんが……四天王……?」
「ぞ、ぞんな…………」
「じょ、冗談ですよね……いつもの様に私達を、笑わせようとしているだけですよね?」
真緒達は信じられなかった。いや、信じたくなかった。今まで、一緒に旅をしていたエジタスが自分達を騙していたという事を、素直に受け入れられる訳が無いのだ。
「……残念ながら本当の事ですよ~。私こそが、皆さんの捜そうとしていた新しく着任した四天王なので~す」
「……本当に……師匠が…………」
エジタスが突き付けた現実は、真緒達にとってあまりにも重たく受け止められる物では無かった。
「この際です、全てをお話ししましょう…………元々私は、勇者を監視する為に魔王城から派遣されて来たのです」
「!!……そんな……それじゃあ、師匠が私に声を掛けたのは……」
「後々、私達の脅威になるかもしれないと感じたからです」
「そんな……そんなのって…………」
残酷な真実に、真緒は何も考えられなくなり思わず俯いてしまった。
「さて、こうして全てを話終えたという事で……そろそろ始めましょうか?」
「えっ……な、何を…………?」
「決まっているじゃないですか~。私と皆さんの本気の殺し合いですよ~」
「「「「!!!」」」」
殺し合いと聞いて、真緒達は驚きの表情を隠せなかった。
「で、出来ません!!」
「??」
「師匠と殺し合う事なんて出来ません!!」
「俺も、エジタスさんと殺し合う事は出来ない」
「オラも…………エジタスざんど殺じ合うのは嫌だぁ……」
「ずっと一緒に旅して来た人と、殺し合う事なんて……私には出来ません!!」
真緒達の想いは一つだった。苦楽を共にして来たエジタスと、殺し合う事など出来る筈も無かった。
「う~ん、そうは言いますけどね……私自身、戦って貰わないと困るのですよ~。この光景を魔王様がご覧になっていますからね~」
「「「「!!?」」」」
その時、真緒達は聞き捨てならない言葉を聞いた。
「えぇ、声は聞こえていませんが私達の今の姿を玉座の間でご覧になっている筈ですよ~」
***
魔王城玉座の間。エジタスの言う通り、サタニア達は真緒達とエジタスの様子をスキル“千里眼”で確認していた。
「……あれが、エジタスの話していた勇者マオ…………」
「見た目は、只の子供にしか見えませんね」
「でも、内から湧き出る強さはここからでも伝わるわ」
「アレガユウシャ……マオウサマノテキ……」
「エジタス……あんたの戦い、見届けさせて貰うよ」
サタニア達は真緒達とエジタスの戦いを、食い入る様に観戦する。
「エジタス、頑張れー!」
音声が聞こえなければ、当然応援する声も届かないのだが、それでもサタニアは応援しなければ気が済まなかった。
***
「そう言う訳ですので、戦いましょうか」
「……それは出来ません!」
「強情ですね~。私は皆さんを騙していたんですよ~?ここは、怒りに身を任せて私と戦うのが普通ですよ~?」
頑として、エジタスと戦うのを拒む真緒達。何故そこまでして戦わないのか、エジタスは不思議で堪らなかった。
「確かに……師匠が私達を騙していたのは、とても悲しいです……ですが、例え騙していたとしても師匠が取った行動は、結果的に私達を成長させてくれました。師匠が意図していなかったとしても、私達は師匠に感謝しています……だから……そんな大切な人と戦う事は出来ません!」
「…………他の皆さんも同じ気持ちなのですか…………?」
エジタスの問いに、他の三人も静かに頷いた。
「そうですか……それなら……」
そう言うとエジタスはパチンと指を鳴らした。その瞬間、エジタスの姿が一瞬で消え真緒の背後に現れた。
「こちらが、一方的に攻撃させて頂きましょう……」
「「「「!!?」」」」
完全に不意を突かれた。真緒が振り返るよりも早く、エジタスの持つ食事用ナイフが真緒の首筋に目掛けて斬り掛かった。
「マオーーー!!!」
しかしここで、フォルスが捨て身の覚悟で真緒を突き飛ばし、代わりに自分が斬られた。
「ぐぁあああ!!!」
「フォルスさん!!」
真緒との身長に差があったお陰で、フォルスは首筋を斬られずに胸を斬られた。だがそれでも出血量はかなりの物だった。
「おやおや、仲間を身を挺して守るとは……フォルスさん、あなたは人助けの鏡ですね~」
「フォルスさん、大丈夫ですか!?」
「き、気にするな……この位……かすり傷さ……」
「フォルスさん、ポーションを用意しました!」
「す、すまないリーマ…………」
リーマからポーションを受け取ったフォルスは、一気に飲み干した。するとみるみる内に斬られた傷が癒えていった。
「さぁ、マオさん。これであなたも戦う気が起きましたでしょ?これ以上、仲間が傷つくのは見てられませんよね?なら戦いましょう!」
「師匠も……仲間です」
「…………」
仲間が傷つけば、さすがの真緒でも戦う気になるであろうとエジタスは思っていたのだが、それは失敗だった。真緒はフォルスを傷つけたエジタスに対して、仲間だと主張した。
「どうやら……“おかわり”が欲しい様ですね」
そう言うとエジタスは、パチンと指を鳴らした。再びエジタスの姿が一瞬で消え、今度は真緒の真横に現れた。エジタスはそのまま真緒の首筋を狙って、食事用ナイフで斬り掛かった。
「マオぢゃん!!」
すると今度はハナコが、捨て身の覚悟でエジタスの前に飛び出した。ハナコは不壊のガントレットでエジタスの攻撃を弾いた。
「何どが間に合っ………!!?」
しかし、弾いたと同時にエジタスの鋭い蹴りが、ハナコの腹部に叩き込まれる。
「ハナちゃん!!」
「ハナコさん!大丈夫ですか!?」
「あ……ああ……!!」
真緒達がハナコの安否を心配する。ハナコは蹴られた腹部を押さえて、必死に痛みに耐えていたが蹴りがあまりに強かったのか、内出血を起こして赤く変色していた。
「ハナコさん、ポーションを用意しました!」
「あ、ありがどうだぁ……」
リーマからポーションを受け取ったハナコは、一気に飲み干した。すると内出血で赤くなっていた腹部が瞬く間に治った。
「ほらほら~、マオさんが戦わないから仲間がどんどん傷ついてしまっていますよ~?」
「皆……ごめん……」
「……何言っているんだマオ、俺達はお前が戦わない事を望んでいるんだ」
「ぞうだよぉ……マオぢゃんの悲じい顔は見だぐ無いがら、戦わなぐでいいだぁ……」
「私達も、エジタスさんと戦う事は出来ません……」
真緒が戦わない事で、仲間達が傷ついてしまったが当の本人達は気にしていなかった。寧ろ戦わない事に同意すらしている。
「…………そうですか……そこまでして、私と戦う事を拒みますか……どうやら……どなたか一人殺さないと戦う気にならない様ですね」
「「「「!!!」」」」
エジタスが“殺す”と言うと、指をパチンと鳴らして一瞬で姿を消した。そして次の瞬間、リーマの目の前に現れた。
「!!“ウォーター……”がぁあ!!?」
突然目の前に現れたエジタスに対して、リーマは魔法を唱えようとするがエジタスの左手が喉元を掴んで締め上げて来た。息が出来ず、苦しみもがく。
「さようなら……魔法使いさん」
そう言うとエジタスは、右手に持った食事用ナイフを振り上げて、そのまま突き刺そうと振り下ろした。
「スキル“ロストブレイク”!!」
「!!!」
しかし、食事用ナイフがリーマに突き刺さる瞬間、真緒の放った渾身の一撃がエジタスに叩き込まれる。強烈な一撃を受けたエジタスは勢い良く吹き飛び、壁に激突して破壊した。
「ゲホッ!!ゲホッ!!ゲホッ!!」
「リーマ!大丈夫!!?」
真緒はリーマの安否を心配して駆け寄る。リーマは、空気を取り込もうと咳をしていた。
「た、助けてくれて……あ、ありがとう……ごさいます……」
「無事で良かった…………」
命に別状は無いと分かり、真緒はホッと一安心した。しかし、仲間達が傷つき動けなくなった事で、実質真緒一人だけになってしまった。すると崩れた壁の瓦礫が動き、中から無傷のエジタスが出て来た。
「マオさ~ん!素晴らしい、素晴らしいですよ~!!それで良いのです!あなたは只、仲間の命を脅かす目の前の存在を倒せば良いのです!!」
「師匠…………」
エジタスは、真緒が攻撃した事で嬉しそうに喜び、両手を広げて近づいて来る。
「私が……私が師匠を止めます!これ以上、師匠に命を奪わせはしません!!」
覚悟を決めて、真緒は尊敬する人に……愛する人に……剣を構えた。
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