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過去編 二千年前
サイトウ コウスケ
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「いや~、家に泊めて下さるだけで無く、濡れた体を暖めさせて頂けるとは感謝感激ですよ~」
「いえいえ、嵐の中で困っているこんな時こそ、助け合いの精神で手と手を取り合わないといけませんからね」
「そう言って頂けると、私達も変に緊張しなくて済むので、とても助かりますよ~」
ローブを着ていた時とは打って変わって、喋りまくるエジタス。
「今すぐ火を起こすので、しばらくの間待っていて下さい」
そう言うと父は、物置から持って来た薪を暖炉に焼べると、薪と一緒に持って来た火を起こす為の棒と板を取り出した。
「あっ、大丈夫ですよ。火なら俺が起こしますから……“ファイア”」
するとその瞬間、コウスケの手から赤々と燃え上がる火の玉が生成され、そしてそのまま暖炉の中に放り込んだ。
「「「!!!」」」
私達はその光景に、開いた口が塞がら無かった。何故なら…………。
「あ、あんた……それって“魔法”なのか…………?」
「えっ……あっ!!しまった……」
「もぉ~、コウスケさん。いつも言っているでしょ~?人前で魔法を多用するべきでは無いって…………」
「す、すみません……つい……」
二千年前の当時、魔法は今と比べてかなり珍しい存在だった。魔法を扱える者は少なく、その中でも唯一扱える者達の殆どが宮廷魔導士として、国に仕えている。
「も、もしかしてあなた達……いえ、あなた方は宮廷魔導士“様”なのですか!?」
「あっ、えっと……その……」
コウスケが魔法を扱えると知って、両親の態度が急に変わった。だけど無理もない、その当時宮廷魔導士は国に仕える最高位の役職。それこそ、機嫌を損ねれば死刑は免れない。
「ち、違うんです!!俺はその……そんな大層な者では無くて…………」
両親の問い掛けに、コウスケは何と答えれば良いか分からず、助けを求める様にエジタスへ目線を送る。
「はぁ~、コウスケさん……こうなっては仕方ありません……見た所、この家族は口は固そうです。話しても他に漏らしたりはしないと思いますよ?」
「エジタスさんが言うのなら……実は……俺は魔王を討伐する為に異世界から転移して来た者なんです……」
「い、異世界…………?」
「転移…………?」
「??」
初めて聞く言葉に、私達三人は酷く混乱していた。
「えっと……簡単に説明しますと、こことは異なる次元に存在する別の世界から、呼び出されたという訳です…………」
「因みに私は、こちらのコウスケさんのお供として国から派遣された宮廷道化師なので~す」
宮廷道化師。それは最高権力者である王に唯一、タメ口で話せる存在。王や国民に笑いを提供するのが主な仕事。
「…………にわかには信じられないが、もしその話が本当だとするならば……あなた方は、この世界を救う為に降り立った救世主なのですね!!」
「そ、そんな!!救世主だなんて大袈裟ですよ!!俺なんかまだまだ未熟で、世界を救うだなんて……規模が大き過ぎて、よく分からないです……」
「「「…………」」」
父の救世主という言葉に、コウスケは暗く落ち込んでしまった。
「そうか……そうだよな……いきなり救世主と言われたって、いまいちピンと来ないよな……」
「安心して、あなた達の事は絶対誰にも言わないわ」
そんなコウスケを見かねて、両親は態度を元に戻して優しく接した。
「……ありがとうございます」
「…………」
そんな様子を見て私は部屋を後にすると、無言でコウスケに歩み寄った。
「ん?君は…………」
「あら、アーメイデったらまだ起きていたの?」
「あぁ、紹介します。娘のアーメイデです」
「そっか俺はサイトウ コウスケ。嵐が過ぎるまでの間だけど、これからよろしくね」
「私はエジタスと申します」
「…………」
私は歩み寄ると、コウスケの顔をじっと見つめる。その時、私はある決意を胸にしていた。それは…………。
「…………ねぇ」
「ん、何だい?」
「泊めて貰う代わりとして、私に魔法の扱い方を教えてよ」
「「「「!!!!」」」」
私の言葉に、その場にいる四人全員が驚きの表情を見せた。
「ア、アーメイデ!!何を言っているんだ!!?」
「そうよ!!急にどうしちゃったのよ!!?」
「…………私が魔法を扱う事が出来れば、さっきの火を起こすみたいに、生活の手助けが簡単になるんじゃないかなって……それに万が一、魔物や魔族が攻め込んできても二人を守る事が出来ると思うの…………」
「「アーメイデ…………」」
私の言葉に嘘は無い。魔法を扱える様になったら、生活の手助けは簡単にはなるし、万が一魔物や魔族が攻め込んで来たとしても、二人を守り通せると思った。だが本音は、魔法を扱ってみたいという単純明確な理由である。
「えっと、ごめん。悪いけど……君には教えられない…………」
「どうして!?」
「だって……その……君はまだ子供だから…………危険もあるだろうし……」
「ふざけないで!!確かに他の人と比べると身長は低いかもしれないけれど、こう見えても私は十歳!!もう立派な大人の女性よ!!」
私は堂々と胸を張って、自身が十歳の大人の女性であるとコウスケに公言した。
「いや……十歳って普通に子供じゃ……」
「…………コウスケさん、コウスケさん。こちらの世界では、十歳から成人として認められているのですよ…………」
「……えぇ!?そ、そうなんですか!?……そう考えると、世界って……広いんですね…………」
何か言いそうになるコウスケに、エジタスが耳打ちをし始めた。その時の会話はよく聞こえなかったけど、私は無視されているのが気に食わず、コウスケに強い口調で声を掛けた。
「ちょっと!ちゃんと話を聞いてるの!?」
「あぁ、ごめんごめん……君が大人なのは分かったよ。でもごめん……それでも君に、魔法を教える事は出来ないんだ……」
「何でよ!!!」
「こらこら、そんな怒鳴ってはいけないだろう?すみません、ウチの娘が失礼な態度を取ってしまって……」
魔法の扱い方について教えるのを渋るコウスケに、私が怒鳴ると父が宥めて来た。
「いえ、いいんですよ。非は理由を説明しないこちらにあります。俺実は…………人に教える程、上手く魔法を扱えないんですよ……」
「「「えっ…………!?」」」
コウスケの口から話される衝撃の事実に、私達三人は驚きの声を上げた。
「何で……魔王を討伐する為に、異世界から転移して来たんでしょ?それなら、相当強くなかったらおかしいじゃない!?」
「アーメイデ!!そう言う言い方は…………」
「いいですよ。当然の疑問だと思います…………俺は、剣術も魔法も全てが平均的なんです。だから……他人に教えられる程の実力は持ち合わせていないんですよ…………ごめんなさい……」
「…………」
そんな分かりやすく落ち込むコウスケに、私は更に近くまで歩み寄った。
「??」
「別に……平均的でもいいから、教えなさいよ……魔法を扱えない私からしたら、あんたは凄い存在なんだから…………」
その時何故か私は、コウスケから魔法の扱い方を教わりたいと、心の底から感じた。運命とか信じない方なんだけど、その時は不思議とそう感じ取った。
「でも……俺何かが……「いいじゃないですか、教えてあげれば」……エジタスさん……」
「平均的だと告白したあなたに、それでも教えを請うのですから、教えてあげても良いんじゃないですか?」
未熟な自分が、他人に教えられるのだろうか。そんな不安に駆られていたコウスケは、エジタスの言葉で落ち着きを取り戻した。
「…………そうですね、君さえ良ければ魔法の扱い方を……「アーメイデ」……えっ?」
「アーメイデ……“君”じゃない」
「そ、そっか……それじゃあアーメイデ、嵐が過ぎ去ったら魔法の扱い方について教えるよ」
「ほんと!?やったぁあああ!!!」
そのあまりの嬉しさに、家中を駆け回った。
「あらあら、あの子ったら普段は大人しいのに、あんなに喜んで……」
「コウスケさん……娘を……よろしくお願いします」
「は、はい!未熟者ではありますが、精一杯頑張らせて頂きます!!」
あまりの嬉しさにはしゃぐ私を、暖かい目で見守る母とエジタス。そして、教える側のコウスケに深々と頭を下げる父と、そんな父に緊張しながらも同じ様に頭を下げるコウスケ。
「あぁー、早く嵐が過ぎないかなー」
私は、嵐が過ぎ去るのを楽しみにしながら、窓を見つめていた。
「いえいえ、嵐の中で困っているこんな時こそ、助け合いの精神で手と手を取り合わないといけませんからね」
「そう言って頂けると、私達も変に緊張しなくて済むので、とても助かりますよ~」
ローブを着ていた時とは打って変わって、喋りまくるエジタス。
「今すぐ火を起こすので、しばらくの間待っていて下さい」
そう言うと父は、物置から持って来た薪を暖炉に焼べると、薪と一緒に持って来た火を起こす為の棒と板を取り出した。
「あっ、大丈夫ですよ。火なら俺が起こしますから……“ファイア”」
するとその瞬間、コウスケの手から赤々と燃え上がる火の玉が生成され、そしてそのまま暖炉の中に放り込んだ。
「「「!!!」」」
私達はその光景に、開いた口が塞がら無かった。何故なら…………。
「あ、あんた……それって“魔法”なのか…………?」
「えっ……あっ!!しまった……」
「もぉ~、コウスケさん。いつも言っているでしょ~?人前で魔法を多用するべきでは無いって…………」
「す、すみません……つい……」
二千年前の当時、魔法は今と比べてかなり珍しい存在だった。魔法を扱える者は少なく、その中でも唯一扱える者達の殆どが宮廷魔導士として、国に仕えている。
「も、もしかしてあなた達……いえ、あなた方は宮廷魔導士“様”なのですか!?」
「あっ、えっと……その……」
コウスケが魔法を扱えると知って、両親の態度が急に変わった。だけど無理もない、その当時宮廷魔導士は国に仕える最高位の役職。それこそ、機嫌を損ねれば死刑は免れない。
「ち、違うんです!!俺はその……そんな大層な者では無くて…………」
両親の問い掛けに、コウスケは何と答えれば良いか分からず、助けを求める様にエジタスへ目線を送る。
「はぁ~、コウスケさん……こうなっては仕方ありません……見た所、この家族は口は固そうです。話しても他に漏らしたりはしないと思いますよ?」
「エジタスさんが言うのなら……実は……俺は魔王を討伐する為に異世界から転移して来た者なんです……」
「い、異世界…………?」
「転移…………?」
「??」
初めて聞く言葉に、私達三人は酷く混乱していた。
「えっと……簡単に説明しますと、こことは異なる次元に存在する別の世界から、呼び出されたという訳です…………」
「因みに私は、こちらのコウスケさんのお供として国から派遣された宮廷道化師なので~す」
宮廷道化師。それは最高権力者である王に唯一、タメ口で話せる存在。王や国民に笑いを提供するのが主な仕事。
「…………にわかには信じられないが、もしその話が本当だとするならば……あなた方は、この世界を救う為に降り立った救世主なのですね!!」
「そ、そんな!!救世主だなんて大袈裟ですよ!!俺なんかまだまだ未熟で、世界を救うだなんて……規模が大き過ぎて、よく分からないです……」
「「「…………」」」
父の救世主という言葉に、コウスケは暗く落ち込んでしまった。
「そうか……そうだよな……いきなり救世主と言われたって、いまいちピンと来ないよな……」
「安心して、あなた達の事は絶対誰にも言わないわ」
そんなコウスケを見かねて、両親は態度を元に戻して優しく接した。
「……ありがとうございます」
「…………」
そんな様子を見て私は部屋を後にすると、無言でコウスケに歩み寄った。
「ん?君は…………」
「あら、アーメイデったらまだ起きていたの?」
「あぁ、紹介します。娘のアーメイデです」
「そっか俺はサイトウ コウスケ。嵐が過ぎるまでの間だけど、これからよろしくね」
「私はエジタスと申します」
「…………」
私は歩み寄ると、コウスケの顔をじっと見つめる。その時、私はある決意を胸にしていた。それは…………。
「…………ねぇ」
「ん、何だい?」
「泊めて貰う代わりとして、私に魔法の扱い方を教えてよ」
「「「「!!!!」」」」
私の言葉に、その場にいる四人全員が驚きの表情を見せた。
「ア、アーメイデ!!何を言っているんだ!!?」
「そうよ!!急にどうしちゃったのよ!!?」
「…………私が魔法を扱う事が出来れば、さっきの火を起こすみたいに、生活の手助けが簡単になるんじゃないかなって……それに万が一、魔物や魔族が攻め込んできても二人を守る事が出来ると思うの…………」
「「アーメイデ…………」」
私の言葉に嘘は無い。魔法を扱える様になったら、生活の手助けは簡単にはなるし、万が一魔物や魔族が攻め込んで来たとしても、二人を守り通せると思った。だが本音は、魔法を扱ってみたいという単純明確な理由である。
「えっと、ごめん。悪いけど……君には教えられない…………」
「どうして!?」
「だって……その……君はまだ子供だから…………危険もあるだろうし……」
「ふざけないで!!確かに他の人と比べると身長は低いかもしれないけれど、こう見えても私は十歳!!もう立派な大人の女性よ!!」
私は堂々と胸を張って、自身が十歳の大人の女性であるとコウスケに公言した。
「いや……十歳って普通に子供じゃ……」
「…………コウスケさん、コウスケさん。こちらの世界では、十歳から成人として認められているのですよ…………」
「……えぇ!?そ、そうなんですか!?……そう考えると、世界って……広いんですね…………」
何か言いそうになるコウスケに、エジタスが耳打ちをし始めた。その時の会話はよく聞こえなかったけど、私は無視されているのが気に食わず、コウスケに強い口調で声を掛けた。
「ちょっと!ちゃんと話を聞いてるの!?」
「あぁ、ごめんごめん……君が大人なのは分かったよ。でもごめん……それでも君に、魔法を教える事は出来ないんだ……」
「何でよ!!!」
「こらこら、そんな怒鳴ってはいけないだろう?すみません、ウチの娘が失礼な態度を取ってしまって……」
魔法の扱い方について教えるのを渋るコウスケに、私が怒鳴ると父が宥めて来た。
「いえ、いいんですよ。非は理由を説明しないこちらにあります。俺実は…………人に教える程、上手く魔法を扱えないんですよ……」
「「「えっ…………!?」」」
コウスケの口から話される衝撃の事実に、私達三人は驚きの声を上げた。
「何で……魔王を討伐する為に、異世界から転移して来たんでしょ?それなら、相当強くなかったらおかしいじゃない!?」
「アーメイデ!!そう言う言い方は…………」
「いいですよ。当然の疑問だと思います…………俺は、剣術も魔法も全てが平均的なんです。だから……他人に教えられる程の実力は持ち合わせていないんですよ…………ごめんなさい……」
「…………」
そんな分かりやすく落ち込むコウスケに、私は更に近くまで歩み寄った。
「??」
「別に……平均的でもいいから、教えなさいよ……魔法を扱えない私からしたら、あんたは凄い存在なんだから…………」
その時何故か私は、コウスケから魔法の扱い方を教わりたいと、心の底から感じた。運命とか信じない方なんだけど、その時は不思議とそう感じ取った。
「でも……俺何かが……「いいじゃないですか、教えてあげれば」……エジタスさん……」
「平均的だと告白したあなたに、それでも教えを請うのですから、教えてあげても良いんじゃないですか?」
未熟な自分が、他人に教えられるのだろうか。そんな不安に駆られていたコウスケは、エジタスの言葉で落ち着きを取り戻した。
「…………そうですね、君さえ良ければ魔法の扱い方を……「アーメイデ」……えっ?」
「アーメイデ……“君”じゃない」
「そ、そっか……それじゃあアーメイデ、嵐が過ぎ去ったら魔法の扱い方について教えるよ」
「ほんと!?やったぁあああ!!!」
そのあまりの嬉しさに、家中を駆け回った。
「あらあら、あの子ったら普段は大人しいのに、あんなに喜んで……」
「コウスケさん……娘を……よろしくお願いします」
「は、はい!未熟者ではありますが、精一杯頑張らせて頂きます!!」
あまりの嬉しさにはしゃぐ私を、暖かい目で見守る母とエジタス。そして、教える側のコウスケに深々と頭を下げる父と、そんな父に緊張しながらも同じ様に頭を下げるコウスケ。
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