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過去編 二千年前
魔法使いアーメイデの誕生
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「きゃあああああ!!!」
「た、助け…………!!」
「死にたくねぇよ!!」
コウスケ達が村を出て行って三日目。突如として魔族の軍勢が、この村に襲い掛かって来た。
「いいかテメーら!!誰一人として、生きて帰すんじゃねぇぞ!!」
「「「「おぉーー!!!」」」」
先日の嵐の影響により、魔族を確認する為の監視台は破壊された為、魔族の軍勢の接近に気づく事が出来なかった。
「いやだぁあああ!!」
「助けてくれぇえええ!!」
「皆殺しだ!!苦痛を与えて殺せ!!」
一人、また一人と、昨日まで元気だった村人達は魔族の軍勢によって、その命を奪われて行った。
「くそっ!!このままじゃ、あっという間に村は全滅してしまう!!」
「三人で、出来る限り遠くまで逃げましょう!!」
そんな中で両親は、私を連れて村から逃げ出そうとしていた。
「パパ、ママ。安心して、あんな魔族の軍勢なんか、私の魔法で全員蹴散らしてやるわ!!」
だけど、その時の私は逃げ出さずに村を襲っている魔族の軍勢に立ち向かおうとしていた。
「ま、待ちなさいアーメイデ!!いくら魔法が扱える様になったからって、あの数相手に勝てる訳が無い!!」
「そうよ!!時には、逃げる事も大切なの!!」
「もう、そんなに心配しなくても大丈夫だって、何たって私は四種類の魔法を扱えるアーメイデ様なんだから!!」
「「アーメイデ!!」」
両親が必死に呼び止めるも、一切の聞く耳を持たず、私は今まさに村人の一人を殺そうとしている魔族へと駆け寄る。
「いや……死にたくない……」
「グフフ……泣いたって誰も助けてはくれないぞ……」
村人はあまりの恐怖に腰を抜かして、その場から動けなくなっていた。そして私は、魔族の注意がその村人に注がれている隙を突き、真後ろから魔族目掛けて右手を突き出して魔法を唱えた。
「“ファイア”!!」
「ぎゃあああああ!!?」
その瞬間、突き出した私の右手から赤々と燃え上がる火の玉が生成され、そのまま村人を殺そうとしている魔族目掛けて放たれた。そして、火の玉が命中した事で魔族の体は瞬く間に燃え上がり、何が起きたのか分からないまま、消し炭となってしまった。
「ふふふ、楽勝楽勝!!」
「な、何が起こった!?今、仲間があの女に焼き殺されたぞ!!」
「恐らく、あの女は魔法使いだ!!絶対に逃がすな!!今すぐ殺すんだ!!」
仲間の魔族が消し炭となった事で、それに気が付いた他の魔族達が、一斉に襲い掛かって来た。
「丁度良いわ、まとめて片付けてあげる!!“ファイア”!!」
迫り来る魔族達に対して私は、一人ずつ火の玉で消し炭にしていった。
「テメーら、何チンタラやっている!?一斉に襲い掛かるんだよ!!」
「「「うおぉーーー!!!」」」
「ちょ、一斉にだなんて卑怯よ!?」
三人同時に襲い掛かって来た魔族に対して、私は両手から火の玉を生成して放った。それにより、二人の魔族は消し炭にする事が出来た。だけど……。
「隙あり!!」
「し、しまっ…………!!」
魔法を扱える様になってから三日目、さすがに多人数の相手は厳しかった。生き残った一人の魔族は、隙だらけの私目掛けて武器を振り下ろした。死んだと思った。しかし、その時起こった出来事は今でも忘れられない。
「……パパ……?」
「…………ぐふっ!!」
私を庇う様に、父が魔族の攻撃を身代わりとして受けていたのだ。体から血を流し、吐血した父はゆっくりと仰向けになって倒れた。その様子を見て、私は一瞬何が起こったのか分からなかった。
「アナタ!!」
血相を変えて、大声を出しながら倒れた父に駆け寄る。
「パパ……パパ……どうして……どうして…………?」
「嫌よ、嫌よ!!アナタお願い!!死なないで!!」
「…………げろ……」
「「!!!」」
血まみれになった父は、虫の息になりながらも私達に、最後の力を振り絞って声を掛けて来た。
「逃げろ……逃げるんだ……お前達……二人だけでも……生き残るんだ!!」
「そんな!?パパを置いてなんか行けないよ!!」
「…………」
「頼む…………」
すると母は、私の手を無理矢理引っ張ってその場から駆け出した。
「行け…………行けぇえええええええええええええええ!!!!!」
「ママ!!?待って、まだパパが…………!!」
母は何も言わずに、泣きながら私の手を引っ張り只ひたすらに走っていた。そんな母の様子に、私は何も言う事が出来なかった。
「…………生きるんだぞ……」
「逃がすな!!追いかけるんだ!!」
「!!…………テメー……!!」
生き残った魔族の一人が、命令通りアーメイデ達を追い掛け様とするが、その足をアーメイデの父親が掴んでいた。
「追わせは……しない……!!」
「この……死に損ないが!!!」
魔族は、足を掴むアーメイデの父親目掛けて、武器を振り下ろした。
***
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ママ……パパ……大丈夫だよね……」
私は母に手を引っ張られながら、只ひたすらに走り続けていた。そんな中で私は、母に父の安否を確かめた。
「…………」
「ねぇ!!」
「!!!」
母の無言に対して、私が強く声を掛けたその瞬間、村の方から飛んで来た一本の矢が母の右の太股に突き刺さった。
「あ……ああ……!!!」
「ママ!!?」
母はそのあまりの痛みから、その場に倒れてしまった。矢が突き刺さった太股からは、大量の血が流れて出ていた。
「そんな……だ、大丈夫……こんな傷……魔法で直ぐに…………!!」
その時、私は自身が犯してしまった過ちに漸く気がついた。
「私…………回復魔法……扱えない…………」
その時私の脳裏では、あの時のコウスケとのやり取りを思い出していた。
“それじゃあまず、回復魔法について…………”
“えー、嫌よ。回復魔法なんて地味で目立たないじゃない”
“いやでも、回復魔法は本当に重要で…………”
“そんなのより、もっと分かりやすい魔法を教わりたいのよ。コウスケが昨日、暖炉に火を点けた時みたいな”
「…………」
何故、あの時素直に回復魔法について教えて貰わなかった…………何故、回復魔法を地味で目立たないなんて言った…………回復魔法こそ最も役に立つ魔法なのに、何故それに気づかなかった…………。
「アーメイデ……逃げなさい……」
「!!…………そんな……嫌だ……嫌だよ!!」
母を置いて行ける訳が無かった。私の目から、いつの間にか大粒の涙が止めどなく流れていた。
「我が儘言わないで……お願い……私達の分まで……生きて……」
「嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!パパとママと一緒にいられないのなら、私も一緒に死ぬ!!」
パン!!!
「えっ…………!?」
その時、乾いた音が響き渡った。母が私の頬をひっぱたいたのだ。私の頬は次第に赤く腫れ上がり、痛みが伝わって来た。
「マ、ママ…………?」
「この馬鹿娘が!!ママの言う事が聞けないの!!?早く行かないと、次はもっと強くひっぱたくからね!!!」
「!!!」
母の顔はまるで鬼の様な形相、とても恐ろしいものだった。そんな母の顔に恐怖を感じた私は、思わずその場から逃げ出してしまった。
「…………ごめんね……ごめんね……アーメイデ……ごめんね……悪いママでごめんね…………」
アーメイデの母親は、自分の娘をひっぱたいた手を握り締め、アーメイデ本人に聞こえない様、泣きながらずっと謝り続けた。それから数分後、追い掛けて来た魔族達の武器がアーメイデの母親目掛けて振り下ろされた。
***
「う……うう……!!」
私は泣きながら、無我夢中で走っていた。母に頬をひっぱたかれたから泣いているのでは無い。自身のあまりの愚かさに涙が止まらないのだ。
「魔法なんか……教えて貰わなければよかった…………」
何が四種類の魔法を扱えるだ。何が才能の塊だ。その慢心が私を付け上がらせて、この最悪な結末を招いた。あの時、両親の言う通り逃げ出していれば、こんな事にはならなかった。
「パパ……ママ……ごめんなさい……ごめんなさい……」
その時だった。またしても村の方から矢が飛んで来て、母と同じ様に右の太股に突き刺さった。
「ああああ!!!」
痛い。痛い。太股が焼ける様に痛い。私はそのあまりの痛さから、その場に倒れてしまった。
「…………回復魔法が扱えたら…………」
ここに来て、再び私は回復魔法を教えて貰わなかった事を後悔した。
「へへへ……やっと追い付いたぜ…………」
痛みに耐えていると、魔族達に追い付かれてしまった。
「こ、来ないで!!“ファイア”!!」
私は、魔族達目掛けて魔法を唱えて撃退しようとした。
「おっと、危ない危ない…………盾を用意していて助かったぜ……」
「そんな…………」
私が放った渾身の魔法は、魔族の一人が用意した盾であっさりと防がれてしまった。
「さぁーて、今度はこっちの番だぜ……」
「手こずらせやがって…………」
「嫌……嫌……来ないで……」
魔族の一人が私の目の前まで来ると、持っていた武器を振り上げた。
「先にあの世でお前の両親も待ってる。だから安心して死ぬんだな」
「パパ……ママ……」
その時私は、既にこの世を去ってしまった両親の顔を思い浮かべた。そして無慈悲にも振り上げられた武器は、そのまま私目掛けて勢い良く振り下ろされた。
「パパ……ママ……いやぁああああああああああああああああああああああああ!!!」
「な、何だこれは!!?」
その時の事は、よく覚えていないのだけれど私は悲鳴を発した瞬間、私の体から鋭く尖った結晶体が生成され、武器を振り下ろした魔族の首に突き刺さったらしい。
「がぁあああ!!!」
鋭く尖った結晶体が突き刺さった魔族は、そのまま絶命した。
「あっ…………」
そして私は、そのまま気を失ってしまった。
「な、何だったんだ今のは!?」
「わ、分からねぇ!!でも取り敢えず、今の内にこの危険な女を片付けてやる!!」
突然、仲間が謎の魔法によって殺され戸惑いを見せるが、目的遂行の為に魔族がアーメイデに近づき、持っていた武器を振り上げる。
「死ねぇええええ!!!」
そしてそのまま勢い良く、アーメイデ目掛けて武器を振り下ろした。
「な、何!?」
しかしその武器は、突然目の前に現れた男に片手で受け止められてしまった。
「お、お前いったい何…………!!」
武器を振り下ろした魔族は、驚く暇も無く首を切り落とされた。
「う、嘘だろ……剣筋が見えなかった…………」
その男こそ、エジタスの転移によって現れたコウスケだった。しかし、今のコウスケはいつもと違う雰囲気だった。
「に、逃げ…………あれ?」
命の危険を感じた魔族は、急いでその場から逃げ出そうとするが、足を踏み出した途端に首から頭が落ちてしまった。
「いつの……間…………に……」
既に殺されているとも気付いていなかった。魔族はそのまま息を引き取った。
「…………」
「いつもながら、恐ろしい腕前ですね~。それで、どうしますか?」
「……連れて帰ります……」
「…………分かりました」
そう言うとコウスケは、気を失ったアーメイデを抱き抱えて、エジタスと供にその場から転移した。そしてこの日、アーメイデの住んでいた村は全滅し、地図から抹消される事となった。
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「いやだぁあああ!!」
「助けてくれぇえええ!!」
「皆殺しだ!!苦痛を与えて殺せ!!」
一人、また一人と、昨日まで元気だった村人達は魔族の軍勢によって、その命を奪われて行った。
「くそっ!!このままじゃ、あっという間に村は全滅してしまう!!」
「三人で、出来る限り遠くまで逃げましょう!!」
そんな中で両親は、私を連れて村から逃げ出そうとしていた。
「パパ、ママ。安心して、あんな魔族の軍勢なんか、私の魔法で全員蹴散らしてやるわ!!」
だけど、その時の私は逃げ出さずに村を襲っている魔族の軍勢に立ち向かおうとしていた。
「ま、待ちなさいアーメイデ!!いくら魔法が扱える様になったからって、あの数相手に勝てる訳が無い!!」
「そうよ!!時には、逃げる事も大切なの!!」
「もう、そんなに心配しなくても大丈夫だって、何たって私は四種類の魔法を扱えるアーメイデ様なんだから!!」
「「アーメイデ!!」」
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「いや……死にたくない……」
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「ぎゃあああああ!!?」
その瞬間、突き出した私の右手から赤々と燃え上がる火の玉が生成され、そのまま村人を殺そうとしている魔族目掛けて放たれた。そして、火の玉が命中した事で魔族の体は瞬く間に燃え上がり、何が起きたのか分からないまま、消し炭となってしまった。
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仲間の魔族が消し炭となった事で、それに気が付いた他の魔族達が、一斉に襲い掛かって来た。
「丁度良いわ、まとめて片付けてあげる!!“ファイア”!!」
迫り来る魔族達に対して私は、一人ずつ火の玉で消し炭にしていった。
「テメーら、何チンタラやっている!?一斉に襲い掛かるんだよ!!」
「「「うおぉーーー!!!」」」
「ちょ、一斉にだなんて卑怯よ!?」
三人同時に襲い掛かって来た魔族に対して、私は両手から火の玉を生成して放った。それにより、二人の魔族は消し炭にする事が出来た。だけど……。
「隙あり!!」
「し、しまっ…………!!」
魔法を扱える様になってから三日目、さすがに多人数の相手は厳しかった。生き残った一人の魔族は、隙だらけの私目掛けて武器を振り下ろした。死んだと思った。しかし、その時起こった出来事は今でも忘れられない。
「……パパ……?」
「…………ぐふっ!!」
私を庇う様に、父が魔族の攻撃を身代わりとして受けていたのだ。体から血を流し、吐血した父はゆっくりと仰向けになって倒れた。その様子を見て、私は一瞬何が起こったのか分からなかった。
「アナタ!!」
血相を変えて、大声を出しながら倒れた父に駆け寄る。
「パパ……パパ……どうして……どうして…………?」
「嫌よ、嫌よ!!アナタお願い!!死なないで!!」
「…………げろ……」
「「!!!」」
血まみれになった父は、虫の息になりながらも私達に、最後の力を振り絞って声を掛けて来た。
「逃げろ……逃げるんだ……お前達……二人だけでも……生き残るんだ!!」
「そんな!?パパを置いてなんか行けないよ!!」
「…………」
「頼む…………」
すると母は、私の手を無理矢理引っ張ってその場から駆け出した。
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「…………生きるんだぞ……」
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「!!…………テメー……!!」
生き残った魔族の一人が、命令通りアーメイデ達を追い掛け様とするが、その足をアーメイデの父親が掴んでいた。
「追わせは……しない……!!」
「この……死に損ないが!!!」
魔族は、足を掴むアーメイデの父親目掛けて、武器を振り下ろした。
***
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ママ……パパ……大丈夫だよね……」
私は母に手を引っ張られながら、只ひたすらに走り続けていた。そんな中で私は、母に父の安否を確かめた。
「…………」
「ねぇ!!」
「!!!」
母の無言に対して、私が強く声を掛けたその瞬間、村の方から飛んで来た一本の矢が母の右の太股に突き刺さった。
「あ……ああ……!!!」
「ママ!!?」
母はそのあまりの痛みから、その場に倒れてしまった。矢が突き刺さった太股からは、大量の血が流れて出ていた。
「そんな……だ、大丈夫……こんな傷……魔法で直ぐに…………!!」
その時、私は自身が犯してしまった過ちに漸く気がついた。
「私…………回復魔法……扱えない…………」
その時私の脳裏では、あの時のコウスケとのやり取りを思い出していた。
“それじゃあまず、回復魔法について…………”
“えー、嫌よ。回復魔法なんて地味で目立たないじゃない”
“いやでも、回復魔法は本当に重要で…………”
“そんなのより、もっと分かりやすい魔法を教わりたいのよ。コウスケが昨日、暖炉に火を点けた時みたいな”
「…………」
何故、あの時素直に回復魔法について教えて貰わなかった…………何故、回復魔法を地味で目立たないなんて言った…………回復魔法こそ最も役に立つ魔法なのに、何故それに気づかなかった…………。
「アーメイデ……逃げなさい……」
「!!…………そんな……嫌だ……嫌だよ!!」
母を置いて行ける訳が無かった。私の目から、いつの間にか大粒の涙が止めどなく流れていた。
「我が儘言わないで……お願い……私達の分まで……生きて……」
「嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!パパとママと一緒にいられないのなら、私も一緒に死ぬ!!」
パン!!!
「えっ…………!?」
その時、乾いた音が響き渡った。母が私の頬をひっぱたいたのだ。私の頬は次第に赤く腫れ上がり、痛みが伝わって来た。
「マ、ママ…………?」
「この馬鹿娘が!!ママの言う事が聞けないの!!?早く行かないと、次はもっと強くひっぱたくからね!!!」
「!!!」
母の顔はまるで鬼の様な形相、とても恐ろしいものだった。そんな母の顔に恐怖を感じた私は、思わずその場から逃げ出してしまった。
「…………ごめんね……ごめんね……アーメイデ……ごめんね……悪いママでごめんね…………」
アーメイデの母親は、自分の娘をひっぱたいた手を握り締め、アーメイデ本人に聞こえない様、泣きながらずっと謝り続けた。それから数分後、追い掛けて来た魔族達の武器がアーメイデの母親目掛けて振り下ろされた。
***
「う……うう……!!」
私は泣きながら、無我夢中で走っていた。母に頬をひっぱたかれたから泣いているのでは無い。自身のあまりの愚かさに涙が止まらないのだ。
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「パパ……ママ……ごめんなさい……ごめんなさい……」
その時だった。またしても村の方から矢が飛んで来て、母と同じ様に右の太股に突き刺さった。
「ああああ!!!」
痛い。痛い。太股が焼ける様に痛い。私はそのあまりの痛さから、その場に倒れてしまった。
「…………回復魔法が扱えたら…………」
ここに来て、再び私は回復魔法を教えて貰わなかった事を後悔した。
「へへへ……やっと追い付いたぜ…………」
痛みに耐えていると、魔族達に追い付かれてしまった。
「こ、来ないで!!“ファイア”!!」
私は、魔族達目掛けて魔法を唱えて撃退しようとした。
「おっと、危ない危ない…………盾を用意していて助かったぜ……」
「そんな…………」
私が放った渾身の魔法は、魔族の一人が用意した盾であっさりと防がれてしまった。
「さぁーて、今度はこっちの番だぜ……」
「手こずらせやがって…………」
「嫌……嫌……来ないで……」
魔族の一人が私の目の前まで来ると、持っていた武器を振り上げた。
「先にあの世でお前の両親も待ってる。だから安心して死ぬんだな」
「パパ……ママ……」
その時私は、既にこの世を去ってしまった両親の顔を思い浮かべた。そして無慈悲にも振り上げられた武器は、そのまま私目掛けて勢い良く振り下ろされた。
「パパ……ママ……いやぁああああああああああああああああああああああああ!!!」
「な、何だこれは!!?」
その時の事は、よく覚えていないのだけれど私は悲鳴を発した瞬間、私の体から鋭く尖った結晶体が生成され、武器を振り下ろした魔族の首に突き刺さったらしい。
「がぁあああ!!!」
鋭く尖った結晶体が突き刺さった魔族は、そのまま絶命した。
「あっ…………」
そして私は、そのまま気を失ってしまった。
「な、何だったんだ今のは!?」
「わ、分からねぇ!!でも取り敢えず、今の内にこの危険な女を片付けてやる!!」
突然、仲間が謎の魔法によって殺され戸惑いを見せるが、目的遂行の為に魔族がアーメイデに近づき、持っていた武器を振り上げる。
「死ねぇええええ!!!」
そしてそのまま勢い良く、アーメイデ目掛けて武器を振り下ろした。
「な、何!?」
しかしその武器は、突然目の前に現れた男に片手で受け止められてしまった。
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「う、嘘だろ……剣筋が見えなかった…………」
その男こそ、エジタスの転移によって現れたコウスケだった。しかし、今のコウスケはいつもと違う雰囲気だった。
「に、逃げ…………あれ?」
命の危険を感じた魔族は、急いでその場から逃げ出そうとするが、足を踏み出した途端に首から頭が落ちてしまった。
「いつの……間…………に……」
既に殺されているとも気付いていなかった。魔族はそのまま息を引き取った。
「…………」
「いつもながら、恐ろしい腕前ですね~。それで、どうしますか?」
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「…………分かりました」
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