笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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最終章 笑顔の絶えない世界

エジタスの謎

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 「…………そして私は、真相を確かめる為に再び魔王城へと足を運んだ…………だけど、そこには既に魔王城は跡形も無く崩れ去っていた……」



 「く、崩れ去っていたって……そんなアーメイデさんが魔王城を後にしてから、一晩しか経っていないんですよね!?」



 今の魔王城の大きさからして、とても一晩では崩す事が出来ないと確信しているリーマは、思わず問い掛けてしまった。



 「えぇ、だからこそ信じられなかった。あんなに巨大だった魔王城を、たった一晩で崩壊させていただなんて……いったいどれ程、激しい戦いを繰り広げていたのか…………」



 一晩で魔王城が崩壊してしまう程の戦い、いったいどんな戦いが繰り広げられていたのか。この場にいる全員、想像もつかなかった。



 「崩れ去っていた魔王城の残骸を掻き分けながら、必死でコウスケを捜した…………そして何とか見つける事が出来た……けど、その時に見つけたコウスケは無惨にも変わり果てた姿だった……」



 「「「「!!!」」」」



 「…………その傍らには、魔王サタニアがコウスケと同じ様に、変わり果てた姿となっていた…………」



 「「「「!!!」」」」



 真緒達とサタニア達は、アーメイデの口から二人が亡くなった事を聞いていた。聞いていた上で、二人が負けたその事実に驚いてしまった。



 「…………二人は仰向けで寄り添う様に寝かされていた。そして、コウスケは左腕を魔王サタニアは右腕を、それぞれ失っていた…………」



 「し、師匠は…………?」



 「…………エジタスの死体は無かった…………」



 「「!!……ホッ……」」



 真緒とサタニアの二人は、エジタスの死体が無かった事に、思わず安心してしまった。



 「だけど…………二人の死体の中央に、エジタスのいつも付けている仮面が真っ二つに割れて置かれていた」



 「「「「「「「「!!!」」」」」」」」



 エジタスが、いつも肌身離さず付けていた仮面。その仮面が真っ二つに割れて置かれていた事に、驚きを隠せなかった。



 「それはつまり……エジタスも死んじまったって事なんじゃないか?」



 「それは無いね……いや、あり得ないって言った方が正しいかもしれない…………」



 「それってどういう…………?」



 シーラは、割れた仮面からエジタスも亡くなったのではないかと予想した。



 「そもそも何故、コウスケと魔王サタニアが相討ちになったという情報が、たった一晩で世界中に知れ渡ったと思う?」



 「?」



 「当時、魔王城の中にいた兵士達は私とコウスケとエジタスの三人が全て片付けていた。特に玉座の間では私達と魔王サタニアの四人しかいなかった。誰一人として入り込む事など出来ない。そんな中で、両者が相討ちになったという情報をたった一晩で世界中に流す事の出来る人物……それは……」



 「ま、まさか…………!?」



 アーメイデの説明から、シーラは気が付いた。手に入れた情報を、たった一晩で世界中に流せる人物。そんな芸当が出来るのは一人しかいない。



 「エジタス本人よ…………」



 「!!!」



 空間魔法である“転移”を使えば、意図も簡単に、勇者と魔王が相討ちになった情報を流す事が出来る。



 「その後私は……コウスケを蘇らせようと魔法の研究に没頭する様になった。その過程で王冠の一つである“土の王冠”を手に入れた。そして、二度とエジタスの手に渡らない様“クラウドツリー”に家を建てた。そんな中、私が三十歳になろうとしていた時に、コウスケを蘇らせようとして、時間の流れを止める“停止魔法”という副産物が生まれた」



 「成る程、それで三十歳から歳を取らずに生きていけるのだな」



 「そう言う事よ。私は自身に“停止魔法”を施し、永遠とコウスケを蘇らせる魔法を研究していた。だけどまさか……二千年経った今になって、再びエジタスと会う事になるとは思わなかった…………」



 「…………ちょっと待てよ……アーメイデさんは“停止魔法”のお陰で歳を取らない。だがそうなると、エジタスさんは何故二千年経った今でも、歳を取らずに生きているんだ!?」



 「「「「「「「!!!」」」」」」」



 フォルスが気が付いた大きな疑問。それは二千年経った現在、エジタスは全くもって歳を取っていないという事だ。



 「それは私も、ずっと疑問に感じていた。“停止魔法”は、私がコウスケを蘇らせようとして偶然生まれた魔法…………エジタスが二千年経った今でも、当時の若さを保っているその理由……全く分からないわ…………」



 エジタスの謎。“停止魔法”では無い何らかの力を使って、その若さを二千年間保ち続けている。考えれば考える程、謎は深まっていく。



 「まぁ、とにかく以上が私が語れる全てよ。後は知っての通り、エジタスの“人類統一化計画”を止めようとして、そこの二人を殺そうとした…………」



 「アーメイデさん……私は気にしていませんから、確かにあの時は怖かったけど、アーメイデさんの立場からしたら何としてでも止めたいって思うのは当然です」



 「僕も全然気にしていないよ。悲劇を繰り返さない為、自身が悪になるその覚悟…………その思いを無下にする事なんて出来ないからね」



 「あなた達…………」



 真緒とサタニアは、アーメイデを責めなかった。相手の立場に立って、物事を見定められる二人だからこそ、アーメイデの行いを許す事が出来たのだ。



 「それでえっと……話を整理すると…………?」



 「師匠はこの世界にいる、全ての種族を一種類の種族に統一して、更に各々の個性まで一種類に統一させ、それから頂点に君臨して、まとめ上げようとしている…………」



 「そして、それら全てを可能とするのが“ワールドクラウン”。だけどまさか、その王冠を扱える唯一の人物が、クロウトだったなんて…………」



 「つまりクロウトちゃんは、伝記に記されている偉大なる王の血を、受け継いでいるという訳ね…………」



 「“隔世遺伝”…………」



 “隔世遺伝”個体の持つ遺伝形質が、その親の世代では発現しておらず、祖父母やそれ以上前の世代から世代を飛ばして遺伝しているように見える遺伝現象。クロウトは、何千年以上前の偉大なる王を遺伝した。その為、両親は魔族だったのにも関わらず、人間と魔族のハーフとして生まれてしまったのだ。



 「それでどうする…………?」



 「と言うと…………?」



 フォルスの問い掛けの意味を、分かっていながら真緒は聞き返した。



 「今、魔王城ではエジタスさんが人類を統一させようとしている。それを止めるべきかどうか…………俺はマオの判断に任せるよ」



 「私もマオさんの判断に、ついて行きます」



 「エジタスざんど、長ぐいだのはマオぢゃんだぁ。マオぢゃんが判断じだ方がオラは良いど思う」



 「フォルスさん、リーマ、ハナちゃん…………」



 三人は、真緒の判断に全てを委ねる事にした。



 「それなら、私達も魔王様に判断して貰おうかな」



 「ソウダナ、オレモマオウサマノハンダンニ、ミヲユダネル」



 「どんな判断をしようと、あたし達は魔王ちゃんについて行くわ」



 「シーラ、ゴルガ、アルシア…………」



 魔王側の三人も、サタニアの判断に全てを委ねる事にした。



 「「…………」」



 終始無言が流れる。一分、二分…………そして遂に真緒とサタニアの閉ざされていた口が、ゆっくりと開いた。



 「私は…………」



 「僕は…………」



 その場にいる全員に緊張が走る。



 「「エジタスと一緒にいたい!!」」



 「エジタスと一緒に旅を続けたい!!」



 「エジタスと一緒に食事がしたい!!」



 「「「「「「了解!!!」」」」」」



 二人が下した判断に、六人全員が了解の意を示した。そしてこの瞬間、勇者達と魔王達の想いが繋がり合った。



 「(…………あぁ、そうか……私はコウスケへの償いとして、エジタスの計画を止める事しか考えていなかった。だけどあの子達は、エジタスと一緒にいたいという好意からエジタスの計画を止めようとしている…………今の世の中を変えられるとしたら、それはエジタスの計画などでは無く、あの子達の様な純粋な想いなのかもしれない…………)」



 アーメイデは、真緒達とサタニア達を見ながら、自身の浅はかさに反省させられた。



 「師匠……待っていて下さい……例え師匠が望んでいなかったとしても……必ず迎えに行きます……だって……」



 「エジタス……待っていてね……例えエジタスが来て欲しく無いと思っていたとしても……必ず逢いに行くから……だって……」



 「「あなたの事を、心の底から愛しているから!!!」」



 愛は人を強くする。エジタスを愛する想いが、真緒とサタニアの力を何倍にも増幅させた。そして真緒達とサタニア達は、エジタスが待つ魔王城へと向かって行くのであった。









































 時を同じくして、魔王城玉座の間。現在、エジタス達はクロウトに“ワールドクラウン”を被って貰い、人類を統一する為にエピロの“電魔法”によって、半ば洗脳に近い事を行っていた。



 「それで、後どの位掛かりますか?」



 「そうですね……中々抵抗が激しいので……最低でも後二時間は掛かるかと思われます…………」



 エジタスは“電魔法”を扱っているエピロに、後どの位で洗脳が完了するのか問い掛けた。すると、最低でも二時間は掛かると言われた。



 「う~ん、微妙ですね~。その位の時間があればマオさん達やサタニアさん達が戻って来てしまいますよ~。何とか時間稼ぎ出来ないものか…………あっ、そうだ!!」



 何かを思い付いたのか、エジタスは転移を使って一度外へと出た。



 「ふふふ…………皆さん……“迷路”はお好きですか?“クリエイトメイズ”」



 エジタスは、真緒達とサタニア達が来る事を見越して妨害を企てていた。



 「さぁ~て、後はマオさん達とサタニアさん達が来るのを待つだけですね~」



 そう言いながらエジタスは、転移を使ってその場から姿を消した。そうして着々と、エジタスの計画は進んで行くのであった。
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