笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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最終章 笑顔の絶えない世界

リーマとゴルガ

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 「取り敢えず、この部屋を出ましょう。何とかして、離れ離れとなってしまった皆と合流出来れば、一先ずは安心する事が出来ます」



 「ソウダナ」



 リーマとゴルガの二人組は、新魔王城の門から足を踏み入れ、現在はゴルガの寝室にいた。



 「それにしても…………本当に散らかっていますね…………少しは片付けたらどうですか?」



 「メ、メンボクナイ…………」



 リーマは、周囲に散乱する家具やゴミを見ながら指摘した。その指摘を受けたゴルガは、申し訳なさそうに片手を後頭部に置いて平謝りをする。



 「まぁ、ともかく先を急ぎましょう!!」



 そう言うとリーマは、先を急ぐ為に寝室の扉に手を掛け、勢い良く開けようとした。



 「あ、あれ?」



 しかし、扉は開く事は無かった。



 「ドウシタ…………?」



 「い、いえそれが……開かないんです……」



 「ナニ!!?」



 「押しても引いても、扉が全く開かないんです!!」



 リーマは扉が開かない証拠として、力一杯に押したり引いたりして見せるが、扉は微動だにしなかった。



 「カシテミロ、オレガヤル」



 「お、お願いします…………」



 ゴルガは、扉が開かない事に半信半疑な為、リーマと替わり扉を開けようと試みる。



 「グォオオオオオ!!!」



 「頑張って下さいゴルガさん!!」



 ゴルガは持てる全ての力を込めて、扉を押し込んだり引っ張ったりした。しかし、それでも扉は微動だにしなかった。



 「ナ、ナゼダ…………」



 「ゴルガさんの力でも開かないだなんて…………いったいどうなっているの?」



 「クカカ、無駄だよ。そんな事をしても扉は開かないさ」



 「「!!!」」



 リーマとゴルガが扉が開かない事に悪戦苦闘していると、部屋の何処からか二人では無い別の誰かの声が響き渡った。



 「い、今の声……何処から!?」



 「クカカ、ここだよここ!!」



 声のした方向に顔を向けるが、そこには誰もおらず声だけが聞こえる。



 「えっ、誰も……いない?」



 「いや、ここ!!ここだってば!!見えないの!!?」



 リーマは声のする方向に目を凝らすと、そこには五センチ程の小さな男がこちらに気がついて貰う為、両手を大きく振っていた。



 「おーい!!ここだここ!!」



 「“こ、小人”!?」



 “小人”妖精の一種類で、花や茸の上に乗る位の大きさをしている。また滅多に姿を見せない事から、一説では見た者には幸せが訪れると言われている。



 「ウォオオオオオ!!!」



 「ゴ、ゴルガさん!?いったい何を!?」



 すると突然、ゴルガが五センチ程の小さな小人目掛けて、その巨大な拳を迷い無く叩き込んだ。



 「おいおい、いきなり殴り掛かる事は無いだろ?はぁー、相変わらずの肉弾馬鹿の様ですな。四天王ゴルガさん?」



 「キサマ……ナゼココニイル?」



 しかし、その拳は小人に当たる事無く、そのまま床を殴る形で終わった。



 「ゴルガさん、あの小人の事を知っているんですか!?」



 「アイツハ……“チー”……モトマオウグンショゾクダッタオトコダ…………」



 「!!!」



 元魔王軍所属。滅多に姿を見せないで有名な小人が、魔王軍に所属していた事に対して、驚きを隠せなかったリーマ。



 「あの人が元魔王軍所属…………?」



 「どーも。まぁ、一年で魔王軍から脱退したんだけどね。ここの連中、俺が小人だからって、すぐ馬鹿にして来るからムカつくんだよね」



 「ダッタイシタノデハナク、サセラレタノダロウ。トウジ、オナジヘイシタチ、ヤクヒャクゴジュウニンヲ、ミナゴロシニシタノダカラナ」



 「ひゃ、百五十人!!?」



 リーマは、目の前にいる小人が同じ魔王軍兵士、約百五十人を皆殺しにしたとはとても信じられなかった。



 「だって……あいつら俺の事を可愛いとか言って馬鹿にして来るんだもん…………」



 そう言いながら、“チー”と呼ばれる小人は両頬を膨らませながら、右足で近くにあった小石を蹴飛ばし、言い訳をし始めた。



 「ソンナキサマガ、イマサラナンノヨウダ!?」



 「えー、決まってんじゃん……君達二人を抹殺しに来たんだよ」



 「「!!!」」



 小人である“チー”は、小さく可愛らしい見た目に反して、とても物騒な言葉を述べた。



 「……自分で言うのも何だけど、俺はさ……優秀なんだよ。それなのに、ちょっと仲間を殺した位で追い出しやがってよ!!ふざけんな!!…………魔王軍から追い出され、途方に暮れていた俺を拾ってくれたエジタス様。そんなエジタス様への恩返しと魔王軍への復讐の両方を叶える為、君達にはここで死んで貰うよ!!!」



 「あ、あなたもエジタスさんに救われた身なのですね!!お願いします!!私達は、どうしてもエジタスさんの元まで行かなければいけないんです。どうか、この扉を開けて下さいお願いします!!」



 一筋の希望を望んで、リーマは同じくエジタスに救われた小人の“チー”に、頭を下げてお願いした。



 「…………嫌だよバァーカ!!」



 「!!!」



 しかしリーマの気持ちは届く事無く、罵倒を浴びせられてしまった。



 「分かっているんですか!?エジタスさんがやろうとしている事は……「人類統一化だろ?」……!!?」



 事情を理解していないのかもしれないと、リーマが丁寧に説明しようとしたが、小人である“チー”は既に知っていた。



 「クカカ…………良いじゃねぇか!!人類が統一すれば俺の身長は伸びて、もう馬鹿にされる事も無い!!平和な世界と化すんだ!!」



 「そんな……」



 「リーマ。コンナヤツ、キニトメテヤルヒツヨウハナイ。ソレニ、コノヘヤヲデルニハ、アイツヲ、タオサナケレバナラナイ。ソウナンダロ“チー”?」



 「クカカ…………」



 小人である“チー”は、ゴルガの問い掛けに対して静かに笑うだけであった。



 「イクゾ……キヲユルメルナヨ……」



 「…………はい!!」



 リーマは、ゴルガの慰めのお陰で何とか気分が落ち着き、そして部屋からの脱出の為に小人である“チー”に向けて、魔導書を開いて構えた。



 「俺を倒すって……こんな小人を痛め付けるのかよ。何とも物騒な考えを持っているね……」



 すると、小人である“チー”は周囲の散乱した家具の隙間へと入って消えた。



 「マテ!!!」



 ゴルガは、家具の隙間に入った小人である“チー”目掛けて、家具ごと勢い良く叩き割った。しかし、そこに“チー”の姿は見当たらなかった。



 「クソッ!!ドコニイッタ!?」



 ゴルガは、周囲を探し回るも“チー”の姿を捉える事が出来なかった。



 「ゴルガさん、ここは一度冷静になって状況判断を…………きゃあ!!?」



 「リーマ!!?」



 リーマが突然の悲鳴を発した事で、ゴルガはリーマの側へと駆け寄る。



 「ダイジョウブカ、ナニガアッタ?」



 「み、右腕がいつの間にか斬られていて……」



 確認すると、リーマの右腕が何か鋭利な刃物で切り裂かれた後の様に、出血していた。



 「クカカ、俺は小人だからな。君達が俺の姿を見失っている内に、攻撃をさせて貰ったよ。いつ斬られたか分からないだろ?」



 「ドコダ、ドコニイル!!?」



 「こ、これは……非常に不味い状況かもしれません…………」



 声はするけども姿は見えない。リーマとゴルガの二人組は、かつてない危機に直面するのであった。
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