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最終章 笑顔の絶えない世界
小人のチー
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元魔王軍所属、小人の“チー”。チーの様な小人が魔王軍に所属して、果たして戦力になるのか。そう疑問に感じる人も少なくないだろう。だがしかしその問題は、チーが配属されていた部隊の名によって全て解決する。その部隊の名は“暗殺部隊”、国の重役など表立って殺せない者達に対して、内密に息の根を止める。小人であるチーにとって、この暗殺部隊はまさに天職であった。自身の小さな体を最大限に生かし、誰にも気づかれずに標的を暗殺出来るのだ。しかし、そんな優秀なチーを馬鹿にして来る輩がいる。チーはそれが我慢ならなかった。自身の力を認めさせる意味も込めて、馬鹿にした約百五十人を皆殺しにして見せた。だがこの行動が、魔王軍を脱退する原因となった。チーの心は怒りと憎しみで満たされた。いつか必ず自身を追い出した魔王軍に復讐してやると心に誓った最中、一人の道化師と出会うのだった。
「きゃあああ!!!」
「リーマ、ダイジョウブカ!!?」
現在リーマとゴルガの二人組は、元魔王軍小人のチーと交戦していた。
「大丈夫……です……単なるかすり傷ですよ…………」
「そんなかすり傷でも、人は簡単に死ぬんだよね!!」
すると、周囲に散乱した家具の隙間から小人のチーが飛び出し、隙だらけのリーマに襲い掛かった。
「あああああ!!!」
「リーマ!!」
気が付くと、リーマの右足には鋭利な刃物で切り裂いた後の様に、出血していた。
「だ、大丈夫です……これ位…………うっ!!」
大丈夫には見えなかった。傷そのものはそこまで深くは無いものの、体のあらゆる所から出血していた。相当な痛みが全身を襲っているだろう。
「クソッ!!!ドコニイル!!?」
ゴルガは辺りを見回すも、チーは素早く物陰に隠れてしまった為、見つけるのは既に困難と化していた。
「待って下さいゴルガさん……闇雲に捜しても見つかりません……何か弱点はありませんか?」
「…………」
怒りで、冷静な判断力を失い欠けていたゴルガだったが、リーマの制止に何とか落ち着きを取り戻した。
「アルトスレバ…………アイツハ“スキル”ヤ“マホウ”ヲ、アツカエナイノダ」
「えっ!?そうなんですか!?」
「アァ、モシモアツカエテイタノナラ、スデニオレタチハゼンメツシテイル」
小人であるチーは、その小さな体のせいでスキルを扱っても、反動で体が耐えられない。また、小さな体のせいで魔法を扱うだけの魔力を持ち合わせていない。
「それなら、一度でもあの小人を捕らえる事が出来れば、私達は勝てるんですね?」
「ソウイウコトニナルナ…………」
「おいおい、そんな悠長な事を述べている場合か!?」
小人であるチーが持つ、唯一の弱点。スキルと魔法が扱えない事を聞いた瞬間、目にも止まらぬ早さで襲われ始めた。
「う……くっ……!!」
物陰から好きなタイミングで襲い掛かり、痛みから次第に衰弱し始めたリーマ。
「リーマ!?オイ!!ネラウノナラ、オレヲネラエ!!」
チーの攻撃は常にリーマを狙っており、今までゴルガに対して一度も当てていなかった。側で弱々しくなっていくリーマを見かねて、庇うかの様にゴルガはリーマの前へと飛び出した。
「四天王ゴルガ、君は馬鹿なのかい?こちらは、いつでも殺せる立場にいるのだよ。それでも未だに殺さず生かしているその理由は、俺が慎重派だからだよ。途中で獲物を変えたりなんて、そんな無粋な真似は決して行わない。だから先ずは、先に殺しやすそうなその女から始末するのさ!!」
ゴルガの願いも虚しく、チーは家具の物陰から勢い良く飛び出し、持っていた小さな剣でリーマの皮膚を切り裂いた。
「きゃあああ!!!」
「リーマ!!!…………ク、クソォオオオオオオオオオオオオ!!!」
気づかぬ内に傷が増えるリーマは、思わず片膝をついてしまった。そんなリーマを只見守る事しか出来ないゴルガは、自身への不甲斐なさとチーへの怒りによって無我夢中になりながら、そこら中の家具やゴミを叩き潰し始めた。
「あーあ、自棄になっちゃって……そんな頭に血が登った状態じゃ、俺を捕らえるなんて一生掛かっても無理だね」
その時チーは、リーマの肩に乗っかっていた。物陰に隠れていると思って、家具やゴミを叩き潰しているゴルガを哀れみの目で眺めながら、リーマに止めを刺そうと剣を構える。
「だけどそろそろ、終わらせないといけないからね……悪いが君にはここで死んで貰うよ」
チーはリーマの首筋目掛けて、持っていた剣を突き刺す様に振り上げた。
「心配しなくても、君の仲間達もすぐに後を追い掛けてくるだろう!!!」
「シマッタ!!リーマ、アブナイ!!カタニイルゾ!!」
「死ねぇえええええええ!!!」
その直前、無我夢中で家具やゴミを叩き潰していたゴルガは、声のする方向からチーの居場所に気がつき、慌ててリーマに危険を知らせるが時既に遅し、チーの振り上げられた剣はリーマの首筋目掛けて、振り下ろされた。
カァン!!
「…………えっ?」
それはまるで、硬い金属に打ち付けた時の様な甲高い音だった。気が付くと、チーの振り下ろした筈の剣先が、綺麗に折れていたのだ。
「ゴルガさん……ありがとうございます……ゴルガさんが注意を払ってくれていたお陰で、何とか間に合いました…………」
いつの間にか、リーマの体は茶色い物体に覆われていた。
「“土の鎧”」
リーマの体を覆っているのは、魔法で生成した“土”だった。この土の硬さによって、チーの振り下ろした剣先は折れてしまっていたのだ。
「クソッ!失敗したか、だがまだ負けた訳じゃない。一度体制を立て直してから…………こ、これは!?」
暗殺に失敗したチーは、急いでその場から離れようとしたが、両足が土の鎧の影響で填まってしまい、その場から動け無くなってしまった。
「この“土の鎧”は、私の意思で解除しない限り外れませんよ」
チーは、何とか抜け出そうと必死に足を動かすが全くと言っていい程に、動く事はなかった。
「い、いつから俺が肩にいると気が付いていたんだ……?」
「ゴルガさんが、家具やゴミを叩き潰し始めてからです。いくらあなたが小人で物陰に隠れやすいと言っても、先程のゴルガさんの様に手当たり次第、隠れる場所を叩き潰されては見つかるのは時間の問題。そうなれば必ず、隠れられる場所が完全に無くなってしまう前に、早期決着をつけようとする。しかし物陰に隠れて狙えば、ゴルガさんに叩き潰される可能性がある。そうなると必然的に、あなたが私を殺す為に選ぶ場所は“私の身体の何処か”という答えになります」
リーマは、ゴルガの突発的な行動を読み解き、小人であるチーの心理を上手く突いた。
「そんな……優秀な俺が……こんな単細胞の連中なんかに……」
「私の役目は、あなたの動きを封じる事…………後はゴルガさん、一思いにお願いします」
「!!!」
「マカセロ」
例えどんなに小さな的だとしても、動かなければ当たるのは確実。ゴルガはその巨大な拳を引いて、リーマの肩で動けなくなったチーに向けて構える。リーマは自身が当たらない様に首を傾け、目を強く瞑って肩を突き出した。
「ま、待て!!話せば分かる!!そんなデカイ拳で殴られたら、死んでしまう!!頼む思い直してくれ!!」
「アンシンシロ…………イチゲキデ、ホウムッテヤル……」
「ちょっと待てって!!そうだ!!この部屋の脱出方法を教えてやる!!だから頼む殴らないでくれ!!」
「ハ、クイシバレ……ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!」
ゴルガの巨大な拳が、小人であるチー目掛けて叩き込まれた。その威力から、チーの足は土の鎧から外れ、そのまま壁に勢い良くめり込んだ。
「あ……が……あ……」
「…………やりましたねゴルガさん……」
「……リーマガ、イテクレタオカゲデタスカッタ。コチラコソ、レイヲイウ…………」
元魔王軍所属小人のチー、ゴルガの巨大な拳をまともに食らって戦闘不能。
「きゃあああ!!!」
「リーマ、ダイジョウブカ!!?」
現在リーマとゴルガの二人組は、元魔王軍小人のチーと交戦していた。
「大丈夫……です……単なるかすり傷ですよ…………」
「そんなかすり傷でも、人は簡単に死ぬんだよね!!」
すると、周囲に散乱した家具の隙間から小人のチーが飛び出し、隙だらけのリーマに襲い掛かった。
「あああああ!!!」
「リーマ!!」
気が付くと、リーマの右足には鋭利な刃物で切り裂いた後の様に、出血していた。
「だ、大丈夫です……これ位…………うっ!!」
大丈夫には見えなかった。傷そのものはそこまで深くは無いものの、体のあらゆる所から出血していた。相当な痛みが全身を襲っているだろう。
「クソッ!!!ドコニイル!!?」
ゴルガは辺りを見回すも、チーは素早く物陰に隠れてしまった為、見つけるのは既に困難と化していた。
「待って下さいゴルガさん……闇雲に捜しても見つかりません……何か弱点はありませんか?」
「…………」
怒りで、冷静な判断力を失い欠けていたゴルガだったが、リーマの制止に何とか落ち着きを取り戻した。
「アルトスレバ…………アイツハ“スキル”ヤ“マホウ”ヲ、アツカエナイノダ」
「えっ!?そうなんですか!?」
「アァ、モシモアツカエテイタノナラ、スデニオレタチハゼンメツシテイル」
小人であるチーは、その小さな体のせいでスキルを扱っても、反動で体が耐えられない。また、小さな体のせいで魔法を扱うだけの魔力を持ち合わせていない。
「それなら、一度でもあの小人を捕らえる事が出来れば、私達は勝てるんですね?」
「ソウイウコトニナルナ…………」
「おいおい、そんな悠長な事を述べている場合か!?」
小人であるチーが持つ、唯一の弱点。スキルと魔法が扱えない事を聞いた瞬間、目にも止まらぬ早さで襲われ始めた。
「う……くっ……!!」
物陰から好きなタイミングで襲い掛かり、痛みから次第に衰弱し始めたリーマ。
「リーマ!?オイ!!ネラウノナラ、オレヲネラエ!!」
チーの攻撃は常にリーマを狙っており、今までゴルガに対して一度も当てていなかった。側で弱々しくなっていくリーマを見かねて、庇うかの様にゴルガはリーマの前へと飛び出した。
「四天王ゴルガ、君は馬鹿なのかい?こちらは、いつでも殺せる立場にいるのだよ。それでも未だに殺さず生かしているその理由は、俺が慎重派だからだよ。途中で獲物を変えたりなんて、そんな無粋な真似は決して行わない。だから先ずは、先に殺しやすそうなその女から始末するのさ!!」
ゴルガの願いも虚しく、チーは家具の物陰から勢い良く飛び出し、持っていた小さな剣でリーマの皮膚を切り裂いた。
「きゃあああ!!!」
「リーマ!!!…………ク、クソォオオオオオオオオオオオオ!!!」
気づかぬ内に傷が増えるリーマは、思わず片膝をついてしまった。そんなリーマを只見守る事しか出来ないゴルガは、自身への不甲斐なさとチーへの怒りによって無我夢中になりながら、そこら中の家具やゴミを叩き潰し始めた。
「あーあ、自棄になっちゃって……そんな頭に血が登った状態じゃ、俺を捕らえるなんて一生掛かっても無理だね」
その時チーは、リーマの肩に乗っかっていた。物陰に隠れていると思って、家具やゴミを叩き潰しているゴルガを哀れみの目で眺めながら、リーマに止めを刺そうと剣を構える。
「だけどそろそろ、終わらせないといけないからね……悪いが君にはここで死んで貰うよ」
チーはリーマの首筋目掛けて、持っていた剣を突き刺す様に振り上げた。
「心配しなくても、君の仲間達もすぐに後を追い掛けてくるだろう!!!」
「シマッタ!!リーマ、アブナイ!!カタニイルゾ!!」
「死ねぇえええええええ!!!」
その直前、無我夢中で家具やゴミを叩き潰していたゴルガは、声のする方向からチーの居場所に気がつき、慌ててリーマに危険を知らせるが時既に遅し、チーの振り上げられた剣はリーマの首筋目掛けて、振り下ろされた。
カァン!!
「…………えっ?」
それはまるで、硬い金属に打ち付けた時の様な甲高い音だった。気が付くと、チーの振り下ろした筈の剣先が、綺麗に折れていたのだ。
「ゴルガさん……ありがとうございます……ゴルガさんが注意を払ってくれていたお陰で、何とか間に合いました…………」
いつの間にか、リーマの体は茶色い物体に覆われていた。
「“土の鎧”」
リーマの体を覆っているのは、魔法で生成した“土”だった。この土の硬さによって、チーの振り下ろした剣先は折れてしまっていたのだ。
「クソッ!失敗したか、だがまだ負けた訳じゃない。一度体制を立て直してから…………こ、これは!?」
暗殺に失敗したチーは、急いでその場から離れようとしたが、両足が土の鎧の影響で填まってしまい、その場から動け無くなってしまった。
「この“土の鎧”は、私の意思で解除しない限り外れませんよ」
チーは、何とか抜け出そうと必死に足を動かすが全くと言っていい程に、動く事はなかった。
「い、いつから俺が肩にいると気が付いていたんだ……?」
「ゴルガさんが、家具やゴミを叩き潰し始めてからです。いくらあなたが小人で物陰に隠れやすいと言っても、先程のゴルガさんの様に手当たり次第、隠れる場所を叩き潰されては見つかるのは時間の問題。そうなれば必ず、隠れられる場所が完全に無くなってしまう前に、早期決着をつけようとする。しかし物陰に隠れて狙えば、ゴルガさんに叩き潰される可能性がある。そうなると必然的に、あなたが私を殺す為に選ぶ場所は“私の身体の何処か”という答えになります」
リーマは、ゴルガの突発的な行動を読み解き、小人であるチーの心理を上手く突いた。
「そんな……優秀な俺が……こんな単細胞の連中なんかに……」
「私の役目は、あなたの動きを封じる事…………後はゴルガさん、一思いにお願いします」
「!!!」
「マカセロ」
例えどんなに小さな的だとしても、動かなければ当たるのは確実。ゴルガはその巨大な拳を引いて、リーマの肩で動けなくなったチーに向けて構える。リーマは自身が当たらない様に首を傾け、目を強く瞑って肩を突き出した。
「ま、待て!!話せば分かる!!そんなデカイ拳で殴られたら、死んでしまう!!頼む思い直してくれ!!」
「アンシンシロ…………イチゲキデ、ホウムッテヤル……」
「ちょっと待てって!!そうだ!!この部屋の脱出方法を教えてやる!!だから頼む殴らないでくれ!!」
「ハ、クイシバレ……ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!」
ゴルガの巨大な拳が、小人であるチー目掛けて叩き込まれた。その威力から、チーの足は土の鎧から外れ、そのまま壁に勢い良くめり込んだ。
「あ……が……あ……」
「…………やりましたねゴルガさん……」
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